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第七話 8 祝宴 

雲従街の酒房。儒生たちが陣取る席には、“祝 大射礼優勝”の文字が大きく掲げられている。
あらかた酒が行き渡ったのを確かめ、席に着いたヨンハがまず口火を切った。

「さあ、今夜はとことん飲むぞ!」
「乾杯!」

酒が溢れる勢いで、盃を打ち交わす。その場にいる者は皆、上機嫌だった。誰も勝てるはずがないと思っていたあの掌議組を、中二組が打ち負かしたのだ。しかも最後に掌議本人に引導を渡し、劇的な勝利を呼び込んだのは、他でもないテムル。ロクに弓も握れなかった初心者である。こんな痛快な話はなかった。

「注目!」

この祝勝会の特別主催者であるヨンハが、これまた特別に用意させたらしい酒を捧げ持ち、言った。

「諸君、これは大射礼で見事に優勝を収めた中二房を祝う席だ。今夜は我らが英雄、中二組を祝う気持ちの分だけ飲んでくれ!いいな!」

儒生たちから、一斉に「無論だ!」「まかしとけ!」と声が上がる。

「おい、イ・ソンジュン。今夜は最後まで付き合えよ」

ヘウォンがソンジュンの盃に酒を注ぎながら言った。それからも次から次へと、ソンジュンに酒をつぎにくる者は後を断たない。それというのも、今夜の主役であるはずの中二組でこの席にいるのは彼一人だったからだ。ユンシクは怪我をした手の治療で遅れ、ジェシンは元からこんな集まりに来るような性格ではない。結果、彼等の分までソンジュンが祝いの酒を受ける羽目になっているわけである。
だが今夜のソンジュンは余裕の表情だ。その理由は、卓子の下に彼が密かに用意しておいた瓶にあった。
ソンジュンの盃に注がれる酒はすべて、彼の胃袋の代わりに足元の瓶に流し込まれた。これなら、この間のような失態を犯す心配はない。
そう、もうあんな失態は二度と───

はた、と盃を持つソンジュンの手が止まった。さっきまで足元にあったはずの瓶が忽然と消えている。
と、目の前にどん、とその瓶が置かれた。

「まったく、こっそり隠しておくとは。お前、どんだけ酒好きなんだ?ん?」

ちちち、と芝居っけたっぷりに舌を鳴らしてそう言ったのはヨンハである。

「さ、飲め。酒はたっぷりある。どんどん飲め」

瓶ごと差し出すヨンハの目は、いかにも楽しげに笑っている。今夜は一滴も飲んでいないというのに、もう目眩がしてきた。
とそのときだった。

部屋の扉がすっと開き、赤いチマの裾がこぼれ出てくるのが見えた。見上げるとそこには、恥じらうようなヒョウンの横顔があった。
どうやら居場所を教えたのはスンドルらしい。半歩遅れて、丸い顔がソンジュンを見て笑った。

「……お約束を、守ってくださったのですね」

ヒョウンがそう言うと、儒生たちから、冷やかすような声が上がった。ソンジュンは席を立ち、ヒョウンと向かい合った。

「成均館に行かなくても逢えるように、私を訪ねてきてくださったのでしょう?」

───はっ?

ソンジュンはうろたえた。そんなつもりは全くもって無い。だが正直にそう言ってしまえば、女人に恥をかかせることになる。彼は返事の代わりに、小さく咳払いをした。
ヒョウンは、袂から小さな布袋を取り出すと、ソンジュンに差し出した。

「ソンジュン様が、大射礼の練習に励んでおられる間、私も何かして差し上げたいと……。一針一針、貴方様の勝利を祈って縫いました。出来は良くありませんが、どうか私の気持ちを汲んで、お受け取りください」

ひゅーっ、と周囲から声が上がった。躊躇っていると、手拍子と共に「受け取れ、受け取れ」と儒生たちが声を合わせる。ソンジュンは仕方なく、差し出された袋を受け取った。青い絹の袋からは、色鮮やかな布を縫い合わせた、男物の帯が出てきた。

「私にはとてももったいなくて、いただけません」

ソンジュンの言葉に、ヒョウンの顔が硬直する。と、横からヨンハが さっと帯を取り上げた。

「おやぁ?これは実に素晴らしい腕前だ。何年待ってもなかなか手に入らない、かの有名なキム・オップン先生の春季限定版───」

石のように固まっていたヒョウンの顔が、今度は血の気を失う。

「───にそっくりだ。まさに瓜二つ」

ヒョウンは一瞬、鋭い目でヨンハを睨みつけたが、すぐに取り繕うように にっこりと笑った。

「ど、努力はしたんです、ソンジュン様……」

別にどっちでも良かった。ソンジュンはただ、このいたたまれない場の空気から一刻も早く逃げ出したいだけだった。

「それにしても、テムルの奴は何やってんだ?随分遅いな」

帯をぞんざいに首に巻きつけながら、ヨンハが言った。ソンジュンも全く同じ事を考えていた。


丁度その頃、ユニは、実は酒房の前まで来ていた。だが中には入らず、何やらブツブツ呟いている。

「───どう、伝えたらいいかな。でも、これだけは言っておきたくて」

ユニの相手をしているのは、店先に置いてある灯籠だ。酔っぱらいの小便の臭いが立ち昇るそれに向かって、ユニはとびきりの笑顔を見せた。

「今日は、ありがとう。全部君のお陰だ。ずっと忘れない」

ダメだ、とユニは首を振った。何だか真面目過ぎる。もっとさらっと、軽く言った方がいいかもしれない。男同士なんだから。

「今日の勝利は、ワン殿のお陰だよ!ほんとにありがとう」

ソンジュンの肩の高さは、大体このあたり。ぽんぽん、と叩いたりしながら。

───よし!

ひとつ、深呼吸をして、ユニはようやく酒房の門をくぐったのだった。


店の中に入ると、それはすぐに聞こえてきた。手を打ちながら、「カラン、カラン」と声を揃えてソンジュンの名を連呼する儒生たちの声だ。まさかまた大量の酒でも飲まされているのではと、ユニは慌てて奥の座敷を覗いた。
そこで目に飛び込んできた光景に、彼女は凍りついた。
赤いチマの女が、ソンジュンにぴったりと身体を寄せ、彼を抱きしめていたのだ。

頭が真っ白になった。何が起きているのか、すぐには理解できなかった。

「おおテムル、こっちだ!遅かったじゃないか」

座敷の入り口に立ったまま呆然としているユニの腕を、ドヒョンが引っ張る。ユニはされるがまま、すとんと席に着いた。

「皆待ってたんだぞ、何やってたんだ」
「ああ、うん……」
「さあ、まずは一杯!ぐっと飲め、ぐっと!」

ヘウォンたちの声を上の空で聞きながら、盃を受け取る。儒生たちの「カラン、カラン」の大合唱はまだ止まない。
女が、ソンジュンにくっついていた身体を少し離した。目の大きな、くっきりとした顔立ち。それが芙蓉花だということはすぐにわかった。
ユニは、盃に溢れるほど注がれた酒を、一気に喉に流し込んだ。
まるで水を飲んだように味は無いのに、胸だけが焼け付くようにヒリヒリした。

とても座っていられずに、ユニは席を立った。


*   *   *

「結べました、ソンジュン様」

ソンジュンの背中に回していた腕を解いて、ヒョウンが微笑んだ。だが彼女はすぐにその眉をひそめた。見上げたソンジュンは、ヒョウンの存在などまるで忘れてしまったかのように、あらぬ方向を見ている。

「あの……ソンジュン様?」
「申し訳ない。後で」

ヒョウンの方を見もせずに短くそう言うと、彼は さっと身を翻し、座敷を出て行ってしまった。

「……やっぱり、手縫いだなんて嘘ついたのがいけなかったのかしら」

唇を尖らせて、ヒョウンが呟く。その傍らで、ポドゥルとスンドルが揃って深く頷いていた。




**********************************************************
あまるですどうもこんにちわ。

愛用のウォークマンが全く反応しなくなりました。そしてチャリがパンクしました。
会社の健康診断の結果が来て、体重がここ半年で7キロも減ってたのはまあいいとして、血尿反応が出てました(爆)

……これは何かの呪いですか?(T_T)


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2012/04/06 Fri. 01:52 [edit]

category: 第七話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: うらやましい部分も一部あり

ワタクシの場合7キロ減ってどうにか標準体重、という……ほほ(^^ゞ
だから周りにも全く心配されてないです(笑)

帯結ぶだけなら後ろからやればいーじゃん!とか思いますが、そこはヒョウンなので、
やっぱわざとなんだろーな~。全くもって淑女じゃありません(笑)

あまる #- | URL
2012/04/08 07:39 | edit

うらやましい部分も一部あり

おようございます~。
アクシデントって、こぞってやってきがちですよねー。
がしかし「体重7キロダウン」はうらやましい限り!
たとえ忙しさのためでも!と思う私の体重は・・・・トホホ。

さてさて、このシーン、何気に「チッ」って舌打ちしたくなるシーンでしたよね。
ヒョウンの勘違い振り炸裂してて。
大体、酒席に来る自体「淑女」じゃないってーの!!

この後のユニの乱闘シーン、ちょっぴりせつないっす。

りゅうれん #/ZrAXPAI | URL
2012/04/07 08:12 | edit

Re: 贋作ですよ~?センセー(-"-)

自虐ネタがこうも重なると最早笑うしかないという……わはは。
ご心配おかけしましたが、チャリは本日無事修理、点検もばっちりしてもらったので、むしろ前よりも
調子良くなりました。血尿(爆)はとりあえず疲労が原因と思われるので様子見です(^^ゞ
すげーな。なんかワタシ、アスリートみたい(笑)

一番イタイのはやっぱウォークマンだな~。トンとJYJとCNくんとその他モロモロの洋楽以外ほぼダウンロードしてきたやつで、PCにも残してなかったんで、全滅に近い……
ああ~私の少女時代があ~ティアラがあ~secretがあ~デジタルの海の彼方にいぃぃぃ(T_T)

あまる #- | URL
2012/04/07 02:36 | edit

贋作ですよ~?センセー(-"-)

やってくれるじゃないのよ~、ヒョウン・・・。
ウラが取れてしまえばもう・・・・。
ヨリム、いいぞ~。ブリブリッ子のキラキラ☆を踏みつぶしてくれて~。
なんだかスッキリ~✿なワタシです。

あまるさんのコメント読んだ後に、拍手ポチっとなは抵抗がありました・・・。(T_T)
人生楽ありゃ苦もあるさ~。ですたい!
身体には気をつけておくんなさいまし<m(__)m>

みずたま #- | URL
2012/04/06 15:45 | edit

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