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第六話 9 最終点呼  

王が王宮を出立したという知らせは、すぐに成均館に伝えられ、それまで以上に構内は慌ただしさを増した。
最終点呼を前に、博士チョン・ヤギョンは儒生たちの列に並ぶソンジュンとユニに向かい、言った。

「もうすぐ陛下がお越しになる。ムン・ジェシンが来なければ、中二房のイ・ソンジュンとキム・ユンシクは予選失格。そして規則のとおり───学科不可となる。」

出場選手たちの手に、各々の組が記された前掛が配られた。ソンジュンは、余ってしまった一人分の前掛を握り締め、そこだけぽっかりと空いた隣の列に目をやる。その横顔を見詰めるユニもまた、彼と思いは同じだった。

「同室生の心さえ得られないで、何が蕩平だ」

近くにやってきたビョンチュンが、二人をすくい上げるように見ながら、言った。

「コロは来ないし、これで失格だな」

いひひひ、と笑うコボンを見もせず、ユニはきっぱりと言った。

「開始まで、まだ時間はあります」

とその時、王の来訪を告げる声が聞こえてきた。
正面に立つチョン博士が、儒生たちを見、無情にも言い渡す。

「じき開始時刻だ。これより最終点呼を行う。今いない学生は、同室生も含めて大射礼には出場できない」

手にした学生名簿を開き、博士はゆっくりと列の間を歩き始めた。競技用の矢を抱えた斎直たちがその後に従う。
いよいよ、最終点呼が始まった。
学生たちの名を呼ぶチョン博士の声が、徐々にユニとソンジュンの列に近づいてくる。
ユニはソンジュンを見た。彼の横顔は微動だにしない。硬い表情で、ただじっと前を見据えたままだ。
ぎゅっと弓を握りしめた。

───大丈夫。コロ先輩は来てくれる。必ず。

ソンジュンの言うとおりだ。先輩は、見てくれはあんな風でも、いい加減な人じゃない。
でも、とユニはだからこそ一層不安になるのだ。

何か、不測の事態が起こっていたら?
来たくても来られないようなことが、先輩の身に起こっていたら───?



その頃、東斎で着替えを終えたジェシンは、ふらつく足取りで丕闡堂へと向かっていた。が、既に北墻門をくぐって構内に入っていた王の隊列にぶつかり、彼は慌てて木陰に身を隠した。
王より先に会場へ入るには、丕闡堂を取り囲む塀を越えるしかない。
彼は意を決し、助走をつけて塀に飛びついた。
普段なら、難なく越えられる高さの塀だ。だが傷を負った今のジェシンには、まさしく自殺行為だった。腹部に激しい痛みが走り、彼は無様にも塀の手前に転げ落ちてしまった。

「つ……っ!」

傷のあたりに手をやり、痛みをやり過ごしていると、その肩を乱暴に掴まれた。無理矢理引き起こされたジェシンは、自分を取り囲む男たちの中に、昨夜見た顔があることに気付いた。

官軍か───?

服装は文官のそれだが、彼の顎を掴み、まじまじと見ている男の顔には確かに見覚えがある。おそらくは、先ほどの王の一行に紛れて成均館に入り込んだのだろう。男は、ジェシンの記憶を裏付けるように、手にした巻物を開き、そこに記された人相書きと彼の顔を交互に見比べ───そしてニヤリと笑った。
逃れようとしても、喉元に突きつけられた小刀のせいで身動きがとれない。

ここまでか。

彼は唇を噛んだ。




俯いていたユニの目に、黒い履き物が見えた。顔を上げると、チョン博士が目の前に立っていた。

「中二組、イ・ソンジュン」
「はい」
「キム・ユンシク」
「───はい」

少しの間の後、博士はその名を呼んだ。

「ムン・ジェシン」

当然ながら、返事はない。ユニは全身を強張らせた。

「ムン・ジェシンはどうした?」

ユニもソンジュンも、黙り込んだまま動くことすらできない。博士は繰り返した。

「中二房のムン・ジェシンは不参加か?」

チョン博士の険しい視線が、ユニを刺す。
先刻、ビョンチュンが彼にしては珍しくもっともなことを言った。
同室生の心を得ることもできずに、何が蕩平だ、と。
同じことを、博士に言われているような気がした。同室生の心を変えることもできないのに、どうやって世の中を変えようというのか。

違う、とユニは胸の内で叫んだ。
コロ先輩はそんな人じゃない。傷めた指を見て、弓懸を作ってくれた。傷を消毒して、命中させるコツだって教えてくれた。必死で弓の練習をしていた自分を、見守ってくれていたのだ。いつも。
何かあったのだ。コロ先輩の身に、どうしても来られない何かが。

「規則は規則だ。中二組は1名不参加。よって大射礼には出場できない」

チョン博士は、手にした筆で学生名簿の中二組の文字の上に、大きくバツ印を書いた。

「ムン・ジェシンの不参加により、中二組イ・ソンジュンとキム・ユンシクは不可」

ソンジュンは前を睨みつけたまま、前掛を強く握りしめた。ユニの手から、弓が滑り落ちる。足元の砂利の上で、それは虚しい音をたてた。

「コロの奴……いったい何をやってる」

列の後ろで、一部始終を見ていたヨンハが天を仰いだ。

「落ち込んでいるようだな」

勝ち誇ったような顔でユニにそう告げたのは、インスだった。

「私も残念だ。お前たちを叩きのめすことで、蕩平など幻想に過ぎぬことを王に示してやりたかったのだが」

ソンジュンが、そこで初めてインスを見た。彼の視線はこれまでにないほど険しい。インスはそんなソンジュンを一瞥し、続けた。

「私の標的はお前らではなく、王だ。もう二度と、蕩平などとふざけた言葉は口にしないことだな。お前たち自身が証明したのだ。そんなものは、不可能だと」
「───何が不可能だって?」

と突然、インスを嘲るような声が、彼のそれ以上の台詞を阻んだ。
振り向くと、皆と揃いの競技服ではないにしろ、髪を結い、きちんと身なりを整えたジェシンが、こちらに歩いてくるのが見えた。

「先輩!」

インスに刺すような視線を向けていたジェシンは、ユニの声に、ふっとその表情を緩めた。

「頭数を揃えに来てやったぞ。───テムル」





***************************************************
あまるですどうもこんにちわ。

ちょっとお待たせしたぶん、今回は6話ラストまで一気にいきました。あーしんどかった。
あ、しんどいってのは時間的にとか体力的にとかそーゆうことではないので、どーかご心配なくです(笑)
このあたり、場面転換がやたら多くて、あまるの文章力では話をまとめるのにえらく苦労してしまったと
ゆう次第……。
これも観る側をハラハラさせるような、ドラマ的な手法なんでしょうかね~。

あとゼッケン!(爆)アレって日本語で何て呼べばいいんだ?!
思わず「前掛」なんてまるでエプロンかよだれ掛けみたいなネーミングで押し切っちゃったけども、
検索かけたら英語の「ビブス」って当たらずとも遠からずみたいな意味合いらしい……。
時代劇ってこーゆーいらんとこに苦労するわ(^^ゞま、ベンキョーにはなりますが。




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2012/02/24 Fri. 12:01 [edit]

category: 第六話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: 王様のおな~り~☆

確かにあの時代にゼッケン、ってのはちょっと違和感アリかも(^^ゞ
まー大射礼の生中継に糸電話使ってるドラマだしね~。時代考証なんて無いも同然?(笑)

あまる #- | URL
2012/02/25 00:11 | edit

王様のおな~り~☆

この時代にゼッケン?でもゼッケン付けてたものね~( ..)φメモメモ
なんとなく、せめてハチマキやら手ぬぐいやらじゃなかったのかな?
まさか・・・。中世ヨーロッパのようにオトメからいただいたリボンを武器に巻くなんて・・・。
コロ様はありえないけど、ソンジュンは後に腰巻ベルト?貰ってたし・・・。う~。

みずたま #- | URL
2012/02/24 13:18 | edit

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