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第六話 5 佳郎 

同じ頃。薬房でチョン博士の診察を受けていたソンジュンは、少し遅れて丕闡堂に来た。弓場にはユンシクの姿はなかったが、置きっぱなしになっていた弓が、たった今まで彼がそこで練習していたことを物語っていた。

ソンジュンは弓を手にとった。六一閣に置いてあった弓の中から、彼が小柄なユンシクに合わせて選んだものだ。握りの部分に張られた革はまだ新しかったはずだが、既にぼろぼろに擦り切れてしまっていた。
そこにそっと手を触れるソンジュンの口元に、微かな笑みが浮かぶ。誰が何を言わずとも、弓は明白に教えてくれた。キム・ユンシクがどれだけ頑張ってきたのかを。

「なかなかやるな」

そう声を掛けてきたのは、掌議ハ・インスと取り巻きたちである。

「キム・ユンシクを人並みにしたようだな。褒めてやろう。だが、私の弓に情けはない。当然、手加減もしない。覚悟しておくんだな」

ソンジュンは無表情にインスを見返した。

「その弓が、敗北も受け入れる弓だと良いのですが」

成均館の掌議に対し、相変わらず一歩も譲らずそう言ってのけるイ・ソンジュンに、ビョンチュンらが思わず身を乗り出した、まさにその時である。

「お兄様」

一触即発の空気を破り、下女とともに射台ににこやかに上がってきた人物がいた。
ビョンチュンの顔が途端に崩れる。

「お嬢様!」

ヒョウンはビョンチュンには一切目もくれず、ソンジュンに向かいしとやかに会釈した。

「まあ……まさか、ソンジュン様もいらしたなんて。私、夢にも思いませんでした」
「何をしに来た」

6人もの下女を引き連れてやってきた妹に、怪訝な顔でインスが訊ねる。だがヒョウンはそれにすら答えず、ただうっとりと頬を染めてソンジュンを見つめている。
ソンジュンの表情に明らかな当惑の色が浮かぶのを見、インスは眉を潜めた。



「新榜礼の夜、奴は北村には行かなかったと言わなかったか」

大司成の部屋へと向かいながら、インスが尋ねた。ビョンチュンがおどおどと答える。

「間違いありません、掌議。あの場にいた私たちが見逃すはずがありません。な、なあ、コボン」

コボンも必死に頷くが、インスの口元には彼らとは逆に、この事態を面白がるような笑みが浮かんでいる。

「……誰かが奴に手を貸していたとすれば、不可能ではないな」
「でも、おかしいじゃないですか。それならなぜ、イ・ソンジュンは嘘をついたんです?小便まみれになるとこだったんですよ」

どうやら、思わぬところで妹は活躍をしていたらしい。インスは胸の内で密かにほくそ笑んだ。


正録庁に隣接する大司成の部屋では、ハ・ウギュが大司成の歓待を受けていた。

「兵曹判書様ばかりか、お嬢様まで来ていただけるとは……恐縮の極みです」

ウギュは出された茶を一口すすり、それは言いっこなしです、とでも言うように眉を上げた。

「今日は兵曹判書ではなく、一人の父親としてお邪魔したのですぞ、大司成。息子が成均館の学生を代表する立場であれば、是非とも大射礼の陣中見舞いに来なければと思いましてな」

とそのとき、バタンと扉が勢い良く開き、掌議ハ・インスがすたすたと室内に入ってきた。

「これはこれは、我が成均館の大黒柱!お父上に似て、すらりとした気品溢れる……」

大司成が早速大仰な世辞を並べ立てようとするが、インスはそれを黙殺し、父に一礼した。

「随分突然のお出ましですね、父上」

ウギュは息子の腕を掴むと、その手に茶器を置き、急須からとくとくと茶を注いだ。

「敵陣を攻める時は、奇襲攻撃が最も効果的だ。守りを固める隙を与えてはならん」

言われずとも承知していますよ、とインスは茶器を握り締め、薄く笑った。


*   *   *

一方。ジェシンのしゃっくりは先程から一向に治まる気配はなく。

「おかしい。絶対におかしい。お前のしゃっくりは女がいるとき限定だ。しかしここは女人禁制の成均館……いったいどこに女がいる?ん?」

ヨンハがしつこく探りを入れるが、当のジェシンにさえわからないものを、説明できるはずもない。
執拗な追求にいい加減うんざりしたジェシンは、ヨンハの首根っこをぐいと掴むと、たまたま目に入ってきた女たちの集団を指差した。

「───あそこだ」

そこには、清斎の庭先に思い思いに散らばる儒生たちの間で、忙しげに立ち働くヒョウンの姿があった。




ユニは木陰に座り、下女たちと共に差し入れの料理を配って回る令嬢の姿をぼんやりと見つめていた。
ついさっき、ソンジュンが彼女と親しげに言葉を交わしているのを偶然見かけてから、何だか変に気持ちが沈んでいた。

───あんな、顔するんだ。

ユニには見せたことのない、ソンジュンの、女性に対するときの表情。
礼儀正しい、だが労るような優しさを湛えた、そんな眼差しで、彼女を見ていた。
ずきりと、胸が疼いた。

あの令嬢には見覚えがあった。貰冊房で、下女を通じてユニに恋文を依頼した両班の娘だ。
では、彼女の想いは通じたのか。自分が恋文を代筆するまでもなく。

「あの女だったか」

振り向くと、いつの間にかすぐ傍に来ていたヨンハが、ユニの隣に腰を降ろした。

「あの人が……どうかしたんですか?」
「新榜礼のときのことさ。イ・ソンジュンが北村に行かなかったと嘘をついた理由。男どもの好奇の目から、あの女を守るためだったってこと。ま、あいつらしいと言えばそうなんだけど」

“今を盛りと咲き誇る芙蓉花を折れ”

新榜礼でのソンジュンの密命はそういうものだったと、後からユニはヨンハに聞いたのだ。

「じゃああの人が、芙蓉花……」

ユニはまた彼女に視線を移した。風に揺れる赤いチマと、長い髪に垂らした細布〈テンギ〉が綺麗だ。いつもは騒がしくて品のない儒生たちが、彼女の前では皆一様にかしこまっているのがわかる。

「美人だよな。確かに小便の川に落ちるだけの価値はある……。あ!」

ぱちん、と指を鳴らして、ヨンハが言った。

「今思いついたよ、イ・ソンジュンのあだ名。佳郎〈カラン〉だ!今日からあいつのことをカランと呼ぼう」
「カラン?」
「美しく最高の婿って意味。ぴったりだろ?兵曹判書の令嬢の婿として、あいつなら申し分ない」
「……そうですね。ぴったりかも。“佳郎”」

そう口にしたものの、なんとなく面白くなくて、ユニは茹でたジャガイモに齧りついた。口の中の水分が、“佳郎”の言葉とジャガイモに一気に奪われて、まるで砂を食べているみたいだった。





***********************************************
あまるですどうもこんにちわ。

相変わらず寒い日が続いてますが、皆さんお元気ですか?
あまるは風邪ひきました。幸いインフルエンザではなかったのデスが、たいして熱がないもんだから会社を休むわけにもいかず、そのせいかいつもより長引いている気が……(^^ゞ

具合の悪いときは無理せず休んだ方がいいですヨ!
てか仕事……。普通に休めるようにどーにかするべきだよなぁ~ハァ。

サテ、次回はいよいよ鬼コーチソンジュンがユニにご褒美を!でござるの巻。
大筋はできてるので、なるべく早くアップします~。ではまたっ!


ああ~前髪伸びてきたユチョが可愛いすぎるぅ~←きすみょんサイン会動画に萌え死




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2012/02/08 Wed. 02:25 [edit]

category: 第六話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: おじゃまします~

コロのしゃっくりのきっかけ……ワタシも知りたいぞ~(笑)
チューボーくらいの年頃になんかあったんでしょうかね……←ものすごい妄想中(爆)

あまる #- | URL
2012/02/10 02:29 | edit

Re: にゃん太さま

ヒョウン役の彼女は、他のドラマに出てたのも見ましたが、普通に可愛い女優さんだと思ってたんですけどね~。
たぶん彼女がいないともっと重くなってただろうな、このドラマ。(゚д゚)(。_。)(゚д゚)(。_。) ウンウン

あまる #- | URL
2012/02/10 02:22 | edit

Re: 私、夢にも思いませんでした←え?

新潟だものね~。あの雪の中を出勤かぁ……うう~寒そぉだ(^^ゞ
風邪引かないようにお仕事頑張ってね~

コロはあの手のヲタ女子はムリだろなぁ。
でもソンジュンはユニとの出会いがなかったら、なんだかんだでヒョウンのペースに引きこまれて結婚してフツーに仲良くやってたんじゃないかって気もします(笑)


あまる #- | URL
2012/02/10 02:07 | edit

おじゃまします~

このあたりからソンジュンは「押しの強い女に弱い」感じがヒシヒシするんですよーハイ。
女の兄弟もいなくて免疫がないと後日父上が語っていましたが、
どちらかというと「ツンデレ・タラシ」の素質があるような気が・・・。

コロは絶対女性の好みがはっきりしてると思います!
がしかし・・・気になるのはしゃっくりが出るようになった要因が知りたい!
絶対過去に訳ありの筈♪そこにはヨンハの影もあるはず~。

りゅうれん #/ZrAXPAI | URL
2012/02/08 22:56 | edit

華やかな年頃の両班の娘・・・。
親も兄弟も彼女には甘い。

あまりにも役柄にぴったりな感じだったね。
あの笑顔はこの物語に無くてはならない存在だ。


コロは・・・
女女している人は苦手なんだろうね~。
女に対してしゃっくりしても
好みのタイプとして
得意不得意があるのだろうな~。

にゃん太 #- | URL
2012/02/08 14:27 | edit

私、夢にも思いませんでした←え?

更新感謝です☆
こっちは今日も吹雪いてるよ~☆
クルマのライトon、雪のけ3点セット持参でこれから出勤です(*^^)v

✿✿✿✿私、夢にも思いませんでした✿✿✿✿✿
花の子ルンルン✿(古っ!)のテーマソングがお似合いのヒョウン(芙蓉花)ルル・ルンルンルン♪
ハナヤギ社中のような✿✿✿攻撃でソンジュンのポーカーフェイスの厚塗りを崩せるのかっ~!(^^)!
しかし、コロはゼッタイ彼女は苦手だよね・・・( ..)φメモメモ

みずたま #- | URL
2012/02/08 10:33 | edit

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