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第五話 2 罪 

崩折れるように、ユニはその場に膝をついた。

「お許しください」
「女の身で成均館に入っておきながら、許しを請うと?」

チョン博士の言葉が、冷たくユニの胸を刺した。

「目的は何だ?何のために成均館に紛れ込んだのだ」
「生き延びるためです。私は、ただ、生きたかっただけです。母と病気の弟を養わねばならず、仕事で科挙の試験場へ行ったばかりに、そのまま………。本当です。信じてください、先生!」

顔を上げて、博士を見た。チョン博士の表情は一層険しく、ユニへの不信感に満ちている。

「女を弟子にした覚えはない。弁解や言い訳をする愚か者を弟子にした覚えもない。陛下を侮り、道理に背いたお前とお前の家族は、死をもって罪を償うことになるだろう」

頭から冷水を浴びせられたように、ユニは凍りついた。死罪───!お母様やユンシクまでもが?
全身が、がたがたと震えだした。

「家族には何の罪もありません!罪を問うのは、どうか私だけにしてください。どんな罰も受けます!ですから」
「すべての原因が、母親と弟にあると言ったのはお前だ。そんな真似をさせた家族が、許されると思うのか」

ユニは はっとして言葉を飲み込んだ。博士の厳しい声が、追い打ちをかける。

「分かったか。弁解や言い訳では何も解決しない。戻って指示を待て。それまでは誰にも真実を知られてはならん。これ以上罪を重ねないためだ。───よいな」


*   *   *


「キム・ユンシクってのは、妙なやつだよな。なんで、みんなして奴を守ろうとするんだ?」

丕闡堂の弓場では、ビョンチュンが弓を選びながら分厚い唇を尖らせていた。

「だよな。老論と少論が力を合わせて、なんてさ。あり得ないよな」

背後のインスの顔色を伺いながら、コボンが言う。インスはフン、と鼻先で笑って、弓に矢をつがえた。

「老論と少論の結束か。王の目指す蕩平〈タンピョン〉そのものじゃないか。キム・ユンシクはどうやら、王より上手のようだ」

的に向け、弓を引き絞ったそのとき。

「あなたは卑怯だ!」

そう叫んで、足音高く西斎の射台に上がってきた男がいた。イ・ソンジュンである。
彼は弓を構えるインスの真横に立つと、怒気を露わにして、言った。

「標的にするなら、キム・ユンシクではなく、僕を狙うべきでしょう」

インスは弓を下ろすと、ソンジュンに向き直った。

「これは最後通告だ。西斎に来い、イ・ソンジュン。そうすれば、お前を下級生の長である下色掌〈ハセクチャン〉にしてやる。望めば、次期掌議に推薦してやってもいい」

結局そういうことか。ソンジュンはインスの執念深さに半ば呆れた。
この男は、権力欲の塊なのだ。強大な権力を持つ者は、それを崩そうとする僅かな綻びを決して許さない。蟻が通る程の小さな穴が、やがては築いてきたものを一瞬にして決壊させる要因となることを、よく知っているのだ。そして彼の権力が、老論という土台の上に成り立っていることも。
インスにとって自分は、老論という堅牢な土台を脅かす蟻だ。穴を開けられる前にこちら側に引き入れるのが懸命だと、彼は本能的に悟っているのだ。

「断れば、どうなりますか」
「だから貴様は青いというんだ。お前が西斎に移らないせいで、老論、少論、南人の蕩平組ができてしまったことがわからんか」

偏なく党なく 王道蕩蕩たり 党なく偏なく 王道平平たり───。『書経』の一節だ。
蕩平策は、所属する党派に関係なく、官吏登用の機会を平等に与えようと先王英祖が提唱、現国王正祖が継承して推し進めている政策である。成均館の構内に、英祖が建てた蕩平碑閣があることからも、激化する派閥闘争の中、王が並々ならぬ熱意を持ってこの政策を打ち出していたことがわかる。

「蕩平策は………間違いだと?」
「蕩平?党派を超えた結束か」

ソンジュンの問いに、インスは声を上げて笑った。

「そんな戯言を、私は信じてはいない。蕩平策は少論と南人を登用し、味方につけ、我々老論を王宮から追い出すための王の方便に過ぎん。大射礼でお前たちの組が優勝すれば、お前は官僚たちの前で蕩平を支持し、王の側につくことになる」

インスは弓につがえた矢の切っ先を、ひたとソンジュンに向けた。

「老論どころか、父親に矢を向けることになるのだ。………それでもいいのか?」

なるほど、とソンジュンは口の端を引いた。だがその目は、少しも笑っていなかった。

「僕は今まで、大射礼で僕たちが優勝することの意味を考えもしませんでしたが………掌議のお陰で、よくわかりました」

インスを見据え、彼はきっぱりと言った。

「僕らは優勝します。必ず」

ぴくりとインスの眉が引き攣る。

「何だと?」
「陛下の蕩平策が戯言なのか、それとも、掌議が独断に陥り権力欲に溺れているだけなのか、優勝すればわかるはずですから」

面白い、とインスは不敵に笑った。

「なら、やってみるがいい。身をもって学べば、忘れることもないからな」

風が、強くなった。射台に張られた天幕が、ばたばたと音をたててはためく。
その下で、ソンジュンとインスは睨み合ったまま、微動だにしなかった。


*   *   *


テムルの秘密だとかなんとか、妙なことを言い出したヨンハのせいか、ジェシンは一人になっても眠ることができなかった。
明倫堂の床に寝そべったままぼんやりと天井を眺めていると、入り口の扉が静かに開き、誰かが入ってくる気配がした。

ったく、自習なら尊経閣でやれよ。

縄張りを犯された獣のごとく眉間に皺を寄せたジェシンだったが、文机の前にうずくまって膝を抱えているのがユンシクだと分かると、思わず身を起こした。
しかも、何だか様子がおかしい。

───もしかして、泣いてるのか?

小さな肩が、震えていた。声を押し殺してはいるが、時折しゃくり上げるような息遣いが聞こえてくる。
放っておくべきだろうか。いやしかし。
迷っていると、ふいに、ユンシクが顔を上げてこちらを見た。顔中、涙でべしょべしょだ。ジェシンはうろたえて、つい目を逸らしてしまった。
誰もいないと思っていたら先客がいたのだ。気まずいのはさすがに向こうも同じだったらしい。ユンシクは顔を背けると、慌てて涙を拭った。

「一応は、男なんだな。涙は見せたくないのか」

言ってしまってから、ジェシンは心の中で舌打ちした。なんでこんな間抜けな台詞しか出てこない?
立ち上がって出ていこうとしたユンシクの肩を掴み、引き止めた。

「いろよ。俺が出てくから」

黙ったまま立ち竦んでいるユンシクを追い越して、ジェシンは扉に手を掛けた。

「おい、テムル。泣くならもっと豪快に泣けよ。………男だろ」

誰も自分に構うなと、たった一人で声を殺して、小さく蹲って。あんな泣き方は、見てる方が辛くなる。
ジェシンはユンシクと目を合わせることができないまま、明倫堂を出た。

薄暗い室内から外に出ると、眩しい光がジェシンの目を刺した。
頬を濡らしていた、ユンシクの涙。見たのは一瞬だが、ジェシンの脳裏には鮮明に焼き付いていた。
一旦は治まりかけていた怒りが、またふつふつと沸き起こってくる。

あの野郎、ただじゃおかねぇ。

丕闡堂へと向かう彼の足取りは、次第に速くなっていった。



「あいつ、夢を見てやがる。優勝なんかできるもんか。弓の名手の掌議がおられるのに」
「イ・ソンジュンがどう頑張っても、優勝なんかできっこないですよ」

弓場を見渡す楼閣に上がりながら、ビョンチュンとコボンがへつらうような笑みを浮かべる。
その先頭を歩いていたインスの鼻先を、何かがひゅっ、と音をたててかすめた。次の瞬間には、一本の矢が、楼閣の柱に鋭く突き刺さっていた。

「何をする!」

カン・ムの腕を払いのけ、持っていた弓を放り投げたジェシンは、真っ直ぐにインスを見据え、ずかずかと歩いてきた。

「気分はどうだ?掌議さんよ」
「………何の真似だ」
「人の命を弄ぶな」

ジェシンは人差し指を立て、インスの頭をとん、と突いた。

「やられる側の気分を、しっかりここに刻んどけ。………さもなきゃ」

今度はインスの心臓を握り潰すかのように、その胸元を手のひらで打つ。

「次はここに刻んでやる」





***************************************************
あまるですどうもこんにちは。

いよいよ今年も押し迫ってまいりましたね~。皆さんちではお正月の準備は進んでますか?
ウチの会社は上司が揃いも揃って下戸です。なので、忘年会といえどちっとも忘れられないという………。
しかし泥酔した部下のアホッぷりに素面で付き合えるのもそれはそれで凄いと思うが(^^ゞ

そういえば紅白で何歌うんでしょ、東方神起。できればうぇーじゃなくてすっぱすたーかBUT希望なんだけど、時勢を考えると Buck to Tomorrow もアリかなぁなんて。あーもう何でもいいや。
とりあえず早く正月休みが欲しい~







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2011/12/22 Thu. 10:50 [edit]

category: 第五話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: びわさま

コロ患いな方はココロが広いなァ~。
こんなユニソン腐れなブログにもお越しいただけるとわ(T_T)
ありがたいことです。

> ここでのソンジュンとジェシンの怒り方にも個性が出てますよね〜

ですね~。ワタシだったらユニに意地悪できませんわ(笑)二人怒らせるの怖くて。
そこが掌議の掌議たる所以なのねぇ~。

あまる #- | URL
2013/07/14 07:33 | edit

はーい!

ここにもコロ病の人が居マース(<自分で言うほどとは…爆)
ほんとに、ソンスはキャスティングが素晴らしい!
そして、原作からこの脚本を起こしたのもすごいと思います。

ここでのソンジュンとジェシンの怒り方にも個性が出てますよね〜
そして2人ともユニっぺのことが大事で大事で…
チャンイ、徹底的にやられてますがな〜

びわ #p6hXJKzs | URL
2013/07/13 21:18 | edit

Re: あー

あ、コロ病のヒトがここにも(笑)
アイ~ンの新しいドラマ、ファッション王だっけ?
ゆちょのドラマでいっぱいいっぱいなもんで(^^ゞ
まだ見てないんですけど、早くこっちでも放送されるといいなァ~

あまる #- | URL
2012/05/17 09:31 | edit

あー

コロ先輩、た、たまらん!(じゅる)
ほんと、今までの役柄とあまりにも違いすぎる。(あ、結婚できない男の役も悪くはありませんが)

もー!ほんっとにあの原作を元にこの脚本を書いた脚本家さんとキャスティングした人に激しく感謝!です。
でもってこのドラマのノベライズしてくれたあまるさんにも激しく!激しく!感謝!です!
ほんと、ありがとー!
(今回はほかの事考えられましぇん)

ちびた #- | URL
2012/05/16 14:08 | edit

Re: コロ~

デスね~。いい役に出会えて良かったね、アイ~ン(^^)

あまる #- | URL
2011/12/24 00:39 | edit

Re: コ~ロ、コロ~コロ☆

19・29ね~φ(..)メモメモ
ロイヤルファミリーんときのチョン博士はイマイチだったから~
今度探してみます~

あまる #- | URL
2011/12/24 00:25 | edit

Re: はうん・・・好き♪

アイ~ンはいいスね~。私もアンティークの時はジフニと魔性のホモしか目に入ってなかったので(爆)彼は全くのノーマークでした。「結婚できない男」にも確か出てたと思うんだけども………なんかメガネの完全モブな役でまたしてもスルー(^^ゞ
まさかコロがここまでハマるとわ。誰だか知らんがキャスティングした人に感謝だ~

あまる #- | URL
2011/12/24 00:16 | edit

コロ~

この役をみて 好きになったe-265
ユ・アイン以外には考えられない
しかし、彼の他の作品は見たことが無い
e-350

にゃん太 #- | URL
2011/12/23 15:19 | edit

コ~ロ、コロ~コロ☆

   ♨《カラン・コロ、立ち上がる》の巻♨

     ♬涙は、美しく~流れる~♬
   ユニはつらい涙ですが・・・・。(-"-)
 
ちょうど、撮りためてた《19・29》を見てたらアン・ネイサンさんが、イイキャラ☆で輝いてました~☆
まじめな役も2枚目役もどちらもヨイです~♡




みずたま #- | URL
2011/12/23 10:25 | edit

はうん・・・好き♪

あまるさん、こんばんわ~。
いよいよ私の一番好きな大射礼のシーンです。
なんかもう「青春」がぎゅぎゅっと詰まっているシーンですよね。
読みながらドラマを思い出しておりました。
うんうん、確かにあの時ジェシンはドキッとした顔してた!

アイン君、いいわ~。でも、アンティークの時はさほど思わなかったんだよね。
やっぱり、コロの役がアインを光らせているのかしら。
あの髪型が良いんだよね、絶対的に(゜ー゜)(。_。)ウンウン
はうん・・・・好き過ぎて身悶えそう!

りゅうれん #/ZrAXPAI | URL
2011/12/22 22:24 | edit

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