スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

--/--/-- --. --:-- [edit]

category: スポンサー広告

cm --  tb --  

第三話 7 初日の朝 

 斎直たちの、起床を知らせる声が太鼓の音とともに響く。
 既に起きて本を読んでいたソンジュンは、もうそんな時間か、と文机から顔を上げた。自然、視界に入ってくる部屋の有様に、彼は溜め息をつく。

 ただ寝ているだけなのに、朝になるとどうしてこういうことになるのか、ソンジュンには理解できない。
 単に寝相が悪いとか、そういった問題ではないような気がする。

 上掛けの布団や枕はわざわざ投げ飛ばしでもしない限り有り得ないような位置まで飛ばされているし、ジェシンの衣ははだけて裸同然。ユンシクに至っては敷布団の上にすら収まっていない。

背中が痛くて目が覚めたりしないのか?

 素朴な疑問を抱きながら、ユンシクを跨ごうと片足を上げたソンジュンだったが。
 仮にも同室生だ。いくら部屋を占領しているからといっても、人を跨ぐのはやはり礼に反すると思い直し、転がっているユンシクの背に腕を差し入れ、抱き起こした。

 ふと、妙な感じがした。
 ユンシクの身体が予想外に軽く、あっさり持ち上がってしまったということもあるが、それにしてもこのフニャフニャした柔らかさは何だろう。まるで餅を抱いているみたいに、心許ない。
 巨擘をしてまで家族の面倒をみていた彼だ。しっかりした男らしい身体を作れるほど食べられなかったのかもしれない。
 そう思うと、ソンジュンの胸は少し傷んだ。

「う……ん」

小さく鼻を鳴らして、黒い瞳がぱっちりと開いた。ぎく、とソンジュンの肩が揺れる。二、三度瞬きして焦点を結んだその目が、驚いたように大きく見開かれ、じっと彼を見た。

「えっ……?」
「あ……」

 別にやましいことをしたわけでもないのに、言葉に詰まってしまった。何事もなかったように振る舞うのが逆に不自然なほど、二人の距離が近かったせいだ。
 
 瞬間、ソンジュンは思い出してしまった。あの雨の日、岩場の影でぴったりくっついて息を潜めていたユンシクの白い頬と、小さな肩。そしてその記憶は、まずいことにあのわけのわからない、心臓をぎゅっと掴まれるような感覚をも一緒に連れてきてしまう。
 ソンジュンは焦って、ユンシクを抱え込んでいた右手をぱっと離した。それとほとんど同時に、ユンシクがいきなりがばっと身体を起こした。


ごんっっ!!


 比喩でなく、本当に目から火花が散った、と思った。
 ユンシクの強烈な頭突きをくらい、はずみでソンジュンが倒れたのは、寝ているジェシンの腹の上だった。まずい、とすぐに飛び起きたが、時すでに遅し。最悪ともいえる起こされ方で目を覚ましたジェシンは、すこぶる不機嫌な表情でむくりと起き上がった。

 どんよりとした目が、二人を交互に見る。ユンシクはぶつけた額を抑えるふりをして、顔を隠してしまった。
 コロなんてあだ名は伊達ではない。ソンジュンが思わずそう納得してしまうほどに、寝起きのジェシンの顔は凶悪だった。

「……てめぇら、正気かよ?」

 地の底から響くかというような声が、部屋の空気を震わせたかと思うと。

「とっとと出てけ!!!」

 身支度もそこそこに、二人は中二房を叩き出されてしまったのだった。


 成均館で働く職員は、大司成や博士たちの他にも、食事を作る茶母や、細かな雑用を担う年少の斎直たち、そして幅広い年齢層の書吏がいる。中でも書吏の仕事は、博士たちの秘書的な雑務から儒生の生活の世話、学内の運営に関わることまで、その内容は多岐に渡る。彼等は早朝から深夜まで、本当にくるくるとよく働くのだ。
 
 寝起きのジェシンに恐れをなして縁側に出てくると、そこには既に書吏たちの手によって、洗顔の準備がすっかり整っていた。ユンシクは、宿舎の並びに沿ってずらりと並んだ湯桶に少し驚いたようで、物珍しげにきょろきょろしている。
 ふと横を見ると、それぞれに大欠伸や伸びをしながら出てきた儒生たちに混じって、こちらに向かいひらひらと手巾を振る男が目に入った。例によってク・ヨンハだ。人を食ったようなあの態度は朝から全開らしい。ソンジュンは軽く目礼して、手早く顔を洗った。
 
 洗顔が終わると、桶が取り替えられた。今度はこれで脚を清めるのだ。家ではスンドルにして貰っていたことも、ここでは全て自分でやることになる。彼はどちらかというと身の回りのことはできるだけ自分でやりたい方だったから、却って気が楽だった。
 隣のユンシクはこういった集団での行動に戸惑っているのか、桶を前にしたまま、まだぐすぐずしている。何やってるんだ、と声を掛けると、彼は「ああ、うん」と曖昧な返事をして、下衣〈パジ〉の裾をほんの少しだけ、捲り上げた。
 
 びっくりするほど、細い足首だった。顔はもともと色白だと思っていたが、下衣の裾から覗いた脚は更に白く、水面の光を反射して透き通るようだった。
 
 あんな男の脚があるだろうか。普通、男の脚っていうのは、今周りで何本もざぶざぶ水に浸かっているような、みっしりと体毛で覆われた、ゴツゴツしたものなんじゃないのか。あんな風にほっそりした、なめらかで小さな男の脚なんて見たことがない。

 当のユンシクは、ソンジュンの視線が気になったのか、つま先をほんの申し訳程度に水に浸しただけで、さっと下衣の裾を下ろしてしまった。男らしさとは程遠い自分の脚を、彼も気にしているのかもしれない。不躾にじろじろ見てしまったことを、ソンジュンは少し後悔した。


「おい、あれ、イ・ソンジュンだろ?左議政の息子の……」
「なんで老論が東斎にいるんだ?」
「何考えてんだ、いったい。俺たちを馬鹿にしてるのか?」
「生意気なんだよ、ちょっと親に力があるからってさ」
  
 縁側に腰掛けて濡れた脚を拭いていると、周囲でひそひそと言い交わす声が耳に入ってきた。今度はソンジュンが不躾な視線に晒される番だった。
 東斎と決まった瞬間から、このくらいは覚悟していた。当人に聞こえるように囁かれる悪口など、とうに慣れている。
 ただ腹が立つのは彼等が、いつもああして陰でこそこそ言い合うばかりで、ソンジュン本人には決して面と向かって言わないことだ。

 気に食わないなら、はっきりとそう言えばいい。そうしたら、水も漏らさぬ論理と根拠で裏打ちされた正論をぶつけ、完膚なきまで叩き潰してやれるのに。
 どんな反論だろうと、完璧に打ち負かす自信と用意が、ソンジュンにはある。だが誰も彼に向かって球を打ってこなければ、打ち返すことはできない。それが、悔しいのだ。

───天下の成均館も、中にいる人間は学堂と何ら変わらない。

 ソンジュンは、脚を拭う視界の端で、隣に座るユンシクが自分を見ているのに気付いていた。朝から東斎に漂う棘々した空気を当然感じているはずだが、彼はソンジュンに何も言わなかった。






*******************************************

あまるですどうもこんにちわ。またしても前回更新から間があいてしまってスミマセン。
しかも時間かかった割に短いし今回(^^ゞ
この調子でいくと次回あたりで第三話終わりそうなんで、バランス考えて切りました。
けっして、けっして奎章閣下巻に読みハマって手抜きしてるとかじゃないデスヨ!(滝汗)

あ、そうそう、はじめのごあいさつでも書いてますが、今回は特にドラマとは違い、あまるの妄想色の濃い部分がございますので、そのへんご注意くださいねっ。
後でドラマと見比べて「やっぱ全然違うぢゃーん!」とかゆうのは、どーかあなたの心にそっとしまっといてくだされ(笑)
ではまた~(^^)/



↓楽しんでいただけたらポチっとお願いします
にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
スポンサーサイト
web拍手 by FC2

2011/09/27 Tue. 00:52 [edit]

category: 第三話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

cm 15  tb 0 

コメント

Re: びわさま

> ソンジュン…原則とか礼とかいって自分に言い聞かせている時は大体、
> ホントは自分の本能に従ってる言い訳してる時じゃないのぉ〜(*´艸)( 艸`*)ププッ

間違いないでしょう、それわ(笑)
みかん獲得選手権のときもなんだかんだ言い訳して結局ユニのお願い聞いちゃってましたからね~。
あーもぅ面倒臭いヤツめ!でもそこが愛しい(爆)

あまる #- | URL
2013/07/07 20:52 | edit

抱っこ

ソンジュン…原則とか礼とかいって自分に言い聞かせている時は大体、
ホントは自分の本能に従ってる言い訳してる時じゃないのぉ〜(*´艸)( 艸`*)ププッ
(中二房から出て行かない時しかり、今回の抱っこしかり)
…なんて思っちゃいました☆

びわ #p6hXJKzs | URL
2013/07/07 07:27 | edit

Re: タイトルなし

抱っこしたかったんだよね……(爆)
ユニソンフィルタのかかった目にはそうとしか見えないのだった(笑)

あまる #- | URL
2012/05/09 21:58 | edit

うはは、寝起きの悪いコロ先輩サイコー!

イ・ソンジュン君子、やましいことしてんじゃん(爆!)
そんな、色々理由つけなくっても触りたかった!これだけでいいのよーん。

ちびた #- | URL
2012/05/09 21:17 | edit

オッケ~☆

入浴シーンは 由美かおる・・・・
なんていうのが脳内よぎってます~

妖しい私たち・・・芙蓉✿クラブ建立っ☆ ビバ!

みずたま #- | URL
2011/09/29 10:23 | edit

Re: みずたまさま

芙蓉花仲間のみずたまさん(爆)毎度コメありがとうです。
花は花でもかーなーり妖しいニオイを漂わせているワタクシたちですが(^^ゞ
たくましく生きてゆきましょうねっ!

あまる #- | URL
2011/09/29 00:54 | edit

Re: りゅうれんさま

> このシーン、原作だと更にエロい感じで描かれてますよね~。

原作はエロ小説ですから(どきっぱり)←嘘です
つか、なんかこー表現が生々しいというか、ストレートというか、これもお国柄?(どんなだ)

> 奎章閣閣臣たちの日々は、縁あってネット上で
> 翻訳されたものを読む機会があったので、

まーそんな羨ましい機会があったとわ!(^^)小耳に挟んだところではまだ続編があるらしいスね!
まだまだあの4人の世界にどっぷり浸っていたいワタクシとしては嬉しい限りです。

> 最初の山場は「テサレ」だと思っておりまする~~。

私もあのへん大好きなんですよ~。ぐだぐだソンジュンがフツーに男前なのは唯一あそこだけですので!(笑)

あまる #- | URL
2011/09/29 00:48 | edit

Re: Hさま

初めまして~。お越しくださってありがとうございますっ!
奎章閣読んでますよ~(^^)もんのすごくちまちまとですが。
最初にざっとナナメ読みしたところ、例の妓生ネタがあるぢゃーありませんか!ひょ~(喜)
ドラマではユニのあの姿をコロだけが見逃してるので、「良かったねぇ、コロたん……」とついしみじみしてしまったワタクシです。
(や、でもユニの入浴シーンを見たのはヤツだけだったか。役得(笑)

めちゃめちゃトロいペースで読んでるのでイラッとさせちゃうかもですが、私がここで傍迷惑な雄叫びを上げてたら、「ああ、今あのへん読んでんだな~」と寛大に受け止めていただければ嬉しいです(^^ゞ

あまる #- | URL
2011/09/29 00:33 | edit

むふふふ・・

このシーン、原作だと更にエロい感じで描かれてますよね~。
つーか、原作のソンジュンはエロいって事で。

奎章閣閣臣たちの日々は、縁あってネット上で
翻訳されたものを読む機会があったので、
まだ本は買っていませんが・・・こっちもエロいよね(笑)

ますます続きが楽しみです♪
最初の山場は「テサレ」だと思っておりまする~~。

りゅうれん #/ZrAXPAI | URL
2011/09/28 22:25 | edit

ふふふ~

おはようございます~

ソンジュンはムッリ・・ですから~!(きっぱりっ!)

プヨンファの血が騒ぐ~☆☆☆・・のは お互い様♡デスヨ☆

みずたま #- | URL
2011/09/28 10:20 | edit

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

# | 
2011/09/28 00:28 | edit

Re: 更新ありがと!

> 今、地上波でここら辺放送しているね。

あ、そうなの~?コチラの地上波ではキム・タックやってます。
成均館も「美男ですね」みたくもっとメジャーになって欲しいスね。
んでもってグンソクみたいに日本のTVでまたゆちょが見られたらなァ~なんて。
ユノとチャミが頑張ってるのは嬉しいけど、なんか彼等見てると切ないわ~。

妄想外れてない?ホント?(笑)やっぱソンジュンは基本エロですから~←決めつけ

あまる #- | URL
2011/09/27 23:29 | edit

Re: みずたまさま

いやいや、そう言っていただけると嬉すぃです(´∀`*)ポッ
このあたりはドラマの方は完全にユニ目線だったので、
最初はこちらでもそうするつもりだったんですけども。
ミニョンたんのキレーなおみあし見てたらつい、あ、指が勝手に。←やっぱり変態?


あまる #- | URL
2011/09/27 23:08 | edit

更新ありがと!

今、地上波でここら辺放送しているね。
DVDで観たりBSでも観たけど、
録画を残しておかなかったから、
今回は録画して、
今また新たな気持ちで見入っています。
でもって、ここを読んでから観ると
これがまた面白いんだ!
あまるさんの妄想も強ち外れてはいないようで、
私としては大好きだ
これからもよろしく!!

にゃん太 #- | URL
2011/09/27 15:08 | edit

おはようございます~

ナイス☆解釈☆☆☆って思いながら 読みふけりましたよ~♡

ドラマって アンマリ心情が伝わってこないじゃないですか~

活字になると 見える心情・・・

なので こういう風に活字にしてくださる方がいらっしゃると

大変ありがたいでございます~

ソンジュンドキドキ♡伝わってきますね~☆

みずたま #- | URL
2011/09/27 10:12 | edit

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://amaru0112.blog.fc2.com/tb.php/40-1dda6524
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

2017-10
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。