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幻月 2 


続きです。

こんなところでナンですが、拍手コメくださった は**く*☆さま。
待っててくださってありがとうございます(^^)ちなみにHN、FC2のコメント欄では「星」ってなってました(笑)
マックでは機種依存文字になってるのかな?

他にも、拍手コメントくださった皆様、待ってたよのメッセージ、本当に嬉しかったです。ありがとうございます。
お礼になるかわかりませんが、楽しんでいただけるように頑張りマスッ!(`・ω・´)ゞ

ちなみにこの回で出てくるチェソン君、ちらっとですが『蛍火』にも登場してる彼と同一人物です。
お時間のある方は探してみてください~(笑)


*******************************

カアァ、と男の髭に覆われた顔が朱に染まった。言ってしまった後で、自分の科白が恥ずかしくなったらしい。

「貴方は───」

じっと手紙の文字を見つめていたソンジュンの視線がゆっくりと上がり、ひたと男を捉えた。

「見たんですか?僕に宛てたこの手紙を」

冷ややかに問うと、男の口が、あっ、という形に開いた。

「そっ、それはだな、もしやソ・ユンが妙な男に騙されているのではと、心配で……」
「───最っ低」

ユニの容赦無い言葉が、更に男に冷水を浴びせる。

「う、うるさいっ!とにかくだ、俺と勝負するのかしないのか、はっきりしろ!」
「勝負などするまでもなく、結果は明らかだと思いますが」
「うわははは、貴様、そんなに俺様に恐れをなしたか!」
「逆です。いつ僕が貴方に負けると言いました?」
「なにいぃぃ?!」

思い出したくもない記憶を呼び起こされて不機嫌極まりないソンジュンと、頭に血が昇りきった猛獣のような男が互いに睨み合う。まさに一触即発の、その時。

「兄上!一体何をやってるんですか!」

度を失った声が、二人の間の張り詰めた空気を破った。

「パク・チェソン?」

ユニの声に、ソンジュンが はっとしてそちらを見る。
あたふたとこちらへ駆け寄ってきたのは、成均館の儒生の一人、パク・チェソンであった。彼は必死の形相で、自分の腿くらいの太さはあろうかという男の腕にかじりついた。

「国に戻るなり屋敷からいなくなったと思ったら、こんなところで人様に絡んだりして!父上がお聞きになったら、ただでは済みませんよ!」

チェソンの剣幕に、男はたちまち叱られた子供のように首をすくめ、小さくなった。

「お、俺はただ、キム・ユンシクに決闘を……」
「決闘?!」
「あ、いやその」

ソンジュンとユニは呆気にとられて兄弟らしき二人を見た。
ついさっきまで眼光鋭くソンジュンを威嚇していた男の目は、しょぼしょぼとしてしきりに瞬きを繰り返している。一方のチェソンはといえば、普段の物静かでおとなしい印象からは想像もつかない怒気を発し、見上げるほどの大男を容赦なく叱り飛ばしているのだ。
その様はさながら。

「クマと猛獣使い……」

ぽろりとこぼれたユニの呟きに、ソンジュンは深く頷いて同意を示した。
猛獣使いは見物人たちから引き剥がすようにクマを後ろに追いやると、ユニに向き直り、頭を下げた。

「申し訳ない、テムル。僕の兄が、君に無礼なことを」
「いや、それよりあの人が、君の兄上なの?あの、清に留学してて、いつも面白い話をしてくれるって言ってた、優秀な」

ユニが驚きを隠そうともせずにそう尋ねると、チェソンはバツの悪そうな顔で首の後ろを掻いた。

「面目ないが、そうだ。兄上が優秀なのは嘘ではないし、心根は良い人間なんだ。ただ、少しばかりその、直情径行というか、単純なところがあって。まさかこんな形で、君に兄上を紹介することになるとは、恥ずかしい限りだ」
「……苦労するな、君も」

ソンジュンは心からの同情を込めて、そう言った。

「おい、チェソン!俺はそっちのちっちゃいのには何もしてないぞ。なんで謝ってる!」

少し離したくらいで大人しくなる男ではないらしい。構内の隅々まで響き渡るような大声で怒鳴るのを、チェソンは溜め息と共に見遣って、答えた。

「たった今兄上が言ったじゃありませんか。キム・ユンシクに決闘を……」

言いかけたチェソンが、ふいに口をつぐむ。兄の方に背を向けたソンジュンが、すっと口元に指を立て『何も言うな』と合図を送ってきたからだ。
状況を察したらしいチェソンは、ソンジュンに向かい改めて謝罪の言葉を口にした。

「すまない、カラン。不肖の兄が迷惑をかけた」
「別にたいしたことじゃない。難癖をつけられるのには慣れている」

ソンジュンは無表情にそう言うと、ユニの傍に歩み寄り、その肩を引き寄せた。

「帰るぞ、イ・ソンジュン」

聞こえるようにそう言って、伝香門へと歩き出す。ユニが首をちょっとすくめて、チェソンを見た。チェソンは笑って、手を上げ、二人を見送った。
家路を急ぐユニとソンジュンに向かい、おおい、と銅羅を鳴らすような声が飛ぶ。

「まだ名乗ってやってなかったな!俺はパク・チェガだ!よっく覚えとけ!」


朴 齋家〈パク・チェガ〉。実学者パク・チウォンの門下生の一人で、後に庶子ながら奎章閣の検書官となり、花の四人衆とともに王正祖の政治改革を支える大きな力となる人物だが、このときのユニとソンジュンはもちろん、そんなことは知らない。
チェガの大声を背に受けながら、何やら面倒臭そうな男と知り合いになってしまった、と彼らは互いに苦い笑いを交わし合ったのだった。



そしてその予感は見事に的中し。



(あー面倒臭い)


これまで二十年ちょっと生きてきた己の人生でそうそう口にしたことのない言葉を、このところのソンジュンは(あくまで心の中でだけ、だが)頻繁にこぼす羽目になっていた。

「おお、キム・ユンシク!講義は終わったか!待っていたぞ!」

くだんのパク・チェガが、日を置かず明倫堂の前でソンジュンを待ち構え、弓だ囲碁だ馬術だとなにかと勝負を持ち掛けてくるのである。
しかも今のところソンジュンの全勝、という結果が、更にチェガの意地に拍車をかけているらしく、パク家の弟、チェソンの話によると、兄はどうにかして“キム・ユンシク”をコテンパンにしてやれるものはないかと日々勝負のネタ探しに余念がないというのだ。

「……君の兄上はそんなにヒマなのか?」

初めこそチェソンに同情していたソンジュンだが、こうなるとつい、恨み事のひとつも言いたくなるというものだ。
チェソンは身の置所に困ったように「いや申し訳ない、本当に」とひたすら平謝りするばかりである。
ちなみに、影の成均館掌議、イ・ソンジュンの緘口令により、彼が本当の“キム・ユンシク”ではないという事実は厳格に伏せられたままである。

「一度くらいわざと負けてあげれば……」

口にしかけたユニは、じろりと向けられたソンジュンの視線に、慌てて言い直した。

「なんて考えは、あるわけなかったね。イ・ソンジュンに限って」
「当然だ」
「なんだったらさ、本当のことを言っちゃえば?ぼくがキム・ユンシクだって」
「それは却下」
「どうして?」
「どういう形であれ……」

手にしていた経本を ぽん、とユニに預けながら、ソンジュンは言った。


「きみが他の男と関わりを持つのは、絶対に嫌だからだ」




つづく
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2015/07/16 Thu. 04:33 [edit]

category: 幻月

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re:ねーさま

ほんとーにお久しぶりです(^^ゞ
こちらこそまたお越しいただけて嬉しいです。
今回のお話はあんまりお待たせしないように……したい、なぁ……←希望?
とりあえずまたよろしくお願いします(^^)

あまる #- | URL
2015/07/18 23:56 | edit

わーい!

久しぶりです!(^^)!
新作嬉しいです。続き楽しみにしてます!

ねー #- | URL
2015/07/18 00:22 | edit

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