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最終話 8 学ぶこと、そして生きること 

bandicam 2014-05-05 15-22-21-313

憂いのオヤジ(笑)
*************************************


とにかく一旦成均館に戻ろうということになり、その道すがら、ヨンハはヒョウンから聞いた話を手短にソンジュンに伝えた。
ヒョウンやインスにキム・ユンシクの秘密を知られていたということにソンジュンは衝撃を受けたが、それよりも驚いたのは二人の舎兄が、ユンシクが女性だという事実をまるで当然のように普通に話していることだった。

「では、お二人もご存知だったんですか?キム・ユンシクが女人だと」

思わずそう尋ねたソンジュンに、ヨンハは「まあ、そういうことだ」と肩を竦めた。ジェシンに目を移すと、こちらもきまり悪げに視線を逸らす。
その様子から、ソンジュンは直感的に悟った。二人が事実を知ったのはおそらく、昨日今日のことではないのだ。

───ずっと、知らぬ振りを……?

力が抜け、その場に座り込みそうになるのをソンジュンはどうにか堪えた。真実を知りながら敢えて口を閉ざしていた二人の気持ちを有り難いと思うのと同時に、もうこの二人に対して嘘をつく必要はないのだという安堵感にも似たものが、張り詰めていた彼の心を緩ませたのだ。ふいに込み上げてきた熱い何かに、ソンジュンは今の自分がユニのことでいかに心弱くなっていたかを思い知った。

彼女のことを思うと不安でたまらない。だがしっかりしなければ。
頭を働かせろ。彼女を連れ去ったのが兵曹判書なら、この後どうする───?

「兵判にとって、テムルは切り札になり得る。ヤツは、女を成均館に入学させた責任を王に問うだろうな」

ヨンハの言葉に、ジェシンが焦りの色を浮かべる。

「なら、成均館に戻ってる暇はない。すぐにでもアイツの居所を突きとめて、助け出さないと……」

待ってください、とソンジュンが口を開いた。

「切り札は、一番後に使う者が勝ちます。相手が最後の一手を出すまでは、懐に隠し持つのが定石です」
「相手の……最後の一手?」

繰り返したジェシンの横で、ヨンハがはっとして目を見開く。

「王の、金縢之詞か!」

ソンジュンは頷くと、言った。

「昼間、北村〈プクチョン〉の実家で老論の官僚が集まって話していたのを聞きました。陛下が、次の経筵〈キョンヨン〉で華城への遷都を公表なさると。おそらく陛下はその場で、反対する老論を抑えるために金縢之詞を突き付けるはずです」
「次の経筵は月末だ。なら、それまで時間はあるってことか」
「官軍を動かさず、秘密裏にキム・ユンシクを連れ去った理由も、それで説明がつきます」

なるほど確かに、とヨンハが顎を撫でながら呟く。ジェシンの表情からはまだ焦りは消えていなかったが、ソンジュンの意見に納得はしたようだった。
まずは腰を落ち着けて作戦を練ろう、というヨンハの提案に従い、彼等は夜の道を急いだ。


*   *   *


崇文堂に召された成均館博士チョン・ヤギョンは、かつてないほど青褪めた王の顔に、言葉を失っていた。
王は、震える手で酒瓶を掴むと、手ずから盃に注いだ。王の口元が忌々しげに歪んだのは、注ぐ勢いが過ぎて大半は卓上に溢れてしまった酒のせいばかりではないだろう。
王の激しい怒りを肌に痛いほど感じながら、ヤギョンは黙して面を伏せた。
一気に煽って空になった盃が、卓の上で硬い音をたてる。なおそれを握り締めたまま、王は吐き捨てるように言った。

「左相が余に取引を申し出た。金縢之詞を伏せねば、国法を犯して女を成均館に入学させ、密命を遂行させた罪を余に問うそうだ。───チョン博士」

王の問い掛けに、ヤギョンは顔を上げた。王の、猛禽を思わせる鋭い視線が自分を見上げていた。

「これが、そなたの沈黙が招いた結果だ。満足か?」

陛下、とヤギョンが苦しげに声を絞り出すと、玉座を跳ね飛ばさんばかりの勢いで王が立ち上がった。

「何故黙っていた!そなたは余の臣下であり友ではなかったのか!」

王の声に打ち据えられたかのように、ヤギョンはその場に膝を折った。それはつい先刻、この同じ場所で跪き、恐怖に慄いていた彼の愛弟子の姿そのままだった。

「死を持って償えと仰せなら、従います。あの者の過ちは、私に罪を問うてください」
「そなたが天主教を信じるゆえか」

深く息を吸い、王は言った。

「天主教では、男女平等の世を理想と説いているそうだな」

西洋を発祥とする天主教は、朝鮮の倫理基盤である儒教とは対極を成す教えである。だが王はこれを積極的に迫害しようとはしなかった。天主教がもたらす害よりも、来朝する宣教師たちによりこの国に持ち込まれる実学や産物───つまりは、実利の方が大きいと考えたためだ。

かつてヤギョンの親類であるユン・ジチュンが、母の葬儀を天主教の教義に則って執り行い、その罪を問われた際、処刑を当人と縁者の二人だけに留められたのも、この王の庇護あってこそだった。
その恩を、ヤギョンは忘れたことはない。儒教を唯一の教えとし、法として信奉する老論の重臣たちの中にあって、異端とされる天主教に王がそういった立場をとることがどれほど苦労を伴うものであるか、ヤギョンは十分過ぎる程承知していた。

「私は天主教で、貧富貴賎、そして老若男女の別なく、人は皆尊いと学びました。しかしそれは、この国の役人としては受け入れ難いものでした。女が学問を学ぶ必要など無い、ましてや出仕など、到底認められるものではありませんでした」
「ではなぜだ!」

声を荒げた王を、ヤギョンは静かに見上げた。

「あの娘に教わったのです。学ぶことと、生きることは同じだと。天主教は、私にとって学問です。私が信じ、従う主君は、ただお一人……陛下だけです」
「許しが欲しければ」

ヤギョンを見据え、王は冷ややかに言った。

「そなたが信ずる天主教の神とやらに請うがいい」

真紅の衣冠の裾が、再び頭を垂れたヤギョンの目の端で翻った。遠ざかる王の足音を聞きながら、ヤギョンは暫くの間立ち上がることもできずにいた。






***********************************
あまるですどうもこんにちわ。

ディレクターズ・カット版をご覧の方はお気づきかもしれませんが、この回の前半部分、科白はほぼあまるの捏造です。

ソンジュン「ではお二人も、ご存知だったんですか?キム・ユンシクが女人だと」
ヨンハ「まあ、そういうことだ」
ヨンハ「芙蓉花の話だと、兵曹判書も内密にアイツを探し回ってるらしい。一体誰が連れ去ったんだろう」
ジェシン「キム・ユンシクが女だと明かしたいのは兵曹判書。その逆の、明かされたくない側なら?」
ソンジュン「それは……誰ですか」

で、王とチョン博士のシーンに場面転換、が正解。

ジョンムが王様にユニのことをチクったのは非常にイレギュラーな行動だったことを考えると、この状況の三人がユニを誘拐したのは兵曹判書だと結論づける方が自然な気がしたんですよね(^^ゞ
ドラマのこのシーンを見たとき、なぜ彼等が兵曹判書の仕業だと思わず、王がユニの正体を知ってるとすんなり思っちゃったのかがどうしてもわからなくて。
後のシーンでソンジュンが経筵で遷都が公表されることを知ってたのも「をいお前そんなんいつ聞いた?!」と思わずツッコミ入れちゃったのもあって、少々修正入れさせていただきました。
ついでに言うと三人が話してる場所も、ドラマではホントは例の貰冊房地下工房跡です(^^ゞ
南山村からそこへ行くまでに黙々と歩いてる三人を想像すると不自然すぎて不気味だったので変えました(笑)

見てるときは別に何とも思わなかったことですが、やっぱドラマはリアリティより絵を重視、ってことなんでしょうね~









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2014/05/05 Mon. 15:32 [edit]

category: 最終話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: ふみさま

コメントありがとうございます(^^)
GWも終わりですね~。連休はいかがお過ごしでしたでしょーか?

>ユニ抜きの3人組さん、って意外とレアなシーン…ですか?

ですね~。このシーンは完全版ではカットされてたから、なおのことレアかも。
ユニがお風呂に入ってた享官庁でのドタバタもありましたが、あそこは3人に見えて実はユニもいましたしね(笑)

お気遣いありがとうございます。
ここにきて捏造が増えてやたらシーンを刻んでいることに気付いた自分……。
私も終わるのが寂しくて無意識にラストを先延ばしにしてるのかもしれまへん(^^ゞ

あまる #- | URL
2014/05/07 04:05 | edit

ユニ抜きの3人組

あまる様

連休中の本編更新、ありがとうございます!

ドラマの流れをこわさず、かつ読んでて自然な仕上がり、あまる師匠の感性が生きてると思います。

ユニ抜きの3人組さん、って意外とレアなシーン…ですか? (抜きと言ってもユニのこと考えているので、やっぱりユニが求心力なのには変わりないですが)
花の四人衆ばかりでなく、王様や丁先生や、ジョンムにとっても、これからまた辛い展開が続きますね。もちろん、よくできた素晴らしいシーンも盛りだくさんですから、早く続きを読みたい気持ちと、でもやっぱりこわくて先延ばししたい気持ち、半々です…。文章に描き出すあまる様にとっても、気力体力が余計に必要なんじゃないかと思うので、お体労わってください。

ふみ

ふみ #- | URL
2014/05/06 11:39 | edit

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