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吾亦紅 2 

ソンス番外編の続きです。

ドラマ終了後、完全に放置プレイの花の四人衆以外のキャラクターたち。
彼らの後日譚、みたいなものもちょっと書いてみたいなぁと思ったりしてまして。
そのうち、一番書きたいのは弟ユンシクくん。で、二番目が例のあの人。(笑)
しかしなぁ。果たしてそんなもん需要があるのか?となかなか実行に移せずにいたんですが。

先日、久々のその人の本編登場が意外にも好感触だったので(笑)思い切って書くことにした次第です。
ではでは、お見苦しいかもですが(^^ゞあともうちょっとお付き合いください……。


******************************************


物語の主人公は、とある両班の青年。眉目秀麗、頭脳明晰、謹厳実直。家柄は良く、諸芸に通じ、文事ある者は必ず武備ありを体現するまさに完全無欠の貴公子である。

小科試験に主席合格を果たした彼は、成均館に入学する。そこで同室となった紅顔の美少年と友情を育むが、それが次第に激しい恋情へと変わっていく。青年は苦悩の末、ついに成均館を退学。親の勧めに従い、美しい良家の令嬢と結婚する。

ところが、妻の父親の愛妾───つまり、青年からすれば義理の母親の立場となる女が、かつて彼が恋した美少年に生き写しだったことから、青年は女に心奪われ、またしても苦悩を背負うことになる。

女に散々翻弄され(この辺りをヨンハはかなり具体的かつ熱く語った)挙句の果てに捨てられ、身も心もぼろぼろになる主人公。
ここから、物語は急展開を見せる。なんと、その女の正体は実は妖怪、九尾狐〈クミホ〉だった!
男にも女にも自在に化けられるその妖怪は、最初は成均館の同室生として、次に義理の母親として青年の前に現れ、その精気を吸い取っていたのだ。

すべてを知った青年はようやく心の呪縛を解かれ自分を取り戻すが、時既に遅し。もはや風前の灯となった彼の命を救ったのは、それまでじっと耐え忍び、彼を陰で支え続けていた聡明かつ美しき妻だった。

彼女は何故か巫女のような神力を備えており、妖怪九尾狐を派手な格闘の末見事成敗。(どうもこのあたりが物語の山場ではあるようなのだが、ヨンハはバッサリ割愛した。)
青年は、妻への感謝と申し訳無さに涙する。妻はそんな夫に向かい、自らを吾亦紅の花に喩えて言う。
『吾も亦紅。たとえ貴方の目に留まらぬほど取るに足りない人間でも、わたくしもまた、女なのです』と。
青年は妻の深い愛に心打たれ、その後二人は末永く幸せに暮らしたという───。



語り終わったヨンハは、すっかり冷めてしまった茶を一口啜って喉を潤すと、楽しげに笑った。

「どっかで聞いたような話だろ?」

はっ、と短く息を吐き出したソンジュンは、馬鹿馬鹿しい、と一言のもとに切り捨てた。

「展開が無理矢理だし、筋立ても都合良過ぎる。人物に深みもなければ、行動に根拠もない。はっきり言って駄作です」

えっとね、とユニが控えめに口を挟んだ。

「あなたはこういうの全然読まないから、知らないと思うけど……大衆小説って、だいたいそんなものだよ?」

ソンジュンは真剣に驚いて、言った。

「きみともあろう人が、こんなくだらないものを読んでるのか?」
「だって、仕事だもの。筆写するのに、読まないわけにはいかないじゃない」

途端に、ソンジュンの眉間に皺が寄る。彼はユニに膝を向け、居住まいを正した。

「いいか?僕がきみの筆写の仕事を黙認してるのは、きみの働きたいという気持ちを尊重したいってだけじゃなく、多くの書に触れることがきみのためになると思ってるからだ。こんなものにきみの貴重な時間と労力を使わせるためじゃない」
「私は自分に求められることをしてるだけよ。たくさんの人が望んでるものを書くのが、そんなに悪いこと?」

雲行きが怪しくなってきた。自分の持ち込んだ本が原因で喧嘩を始められてはたまらんと思ったのだろう。ヨンハがすかさず、口を挟んだ。

「待て待て、二人とも。私はここでお前らに大衆小説の何たるかを論じ合えと言ってるんじゃない。見せたかったのはこの物語の前半部分だ。完全無欠の貴公子と、緑髪紅顔と讃えられる美少年の、成均館での男色紛いの友情。実際読むと判るが、大射礼といい、杖打大会といい、まんま、お前たちのことが書いてある」
「ええっ?」

ユニとソンジュンが、揃って驚きの声を上げた。
慌てて本をひったくり、食い入るように読み始めたのはユニだ。

「本当だ……。弓に細工をされて、怪我したことまで……いったいどうして」

呆然と呟いて、表紙に記された作者の号を確かめる。

「先輩、この、“荷雲〈ハウン〉”って」

尋ねたユニに、ヨンハは聞いて驚け、と顎をそびやかした。

「芙蓉花だ。ハ・インスの妹にしてカランの元許婚者、ハ・ヒョウン」

かくん、とユニの顎が落ちた。ソンジュンは目を見開いたまま、言葉を失った。
そんな二人に、ヨンハが更に追い打ちをかける。

「ついでに言うと、カランがこき下ろしたその本だが、巷じゃえらい人気だ。今や彼女は押しも押されぬ流行作家だぞ。あの深窓のお姫様が、たいしたもんじゃないか。なぁ?」


*   *   *


「───それにしたって、妖怪扱いは酷いと思う」

その夜遅く寝床に入ってから、ユニは改めて思い出したように言った。

「そりゃあ、彼女には恨まれても仕方ない立場だってことはわかってるけど……そんな風に見えたのかなって思ったら、ちょっと傷ついた」

まぁそうだろうな、とソンジュンは天井を見つめ、くすりと笑う。

「だが話があそこまで突飛だと、不思議と腹も立たないな」

ユニに負けず劣らず、あの物語の中のソンジュン(と思われる人物)も、見てくれはともかく男として相当に酷い描き方をされていたのだが、所詮作り話は作り話だ。気にするほどのことでもない。それに、あれを書くことで芙蓉花の気持ちが少しでも晴れるなら、むしろ良かったとも思う。

「きみと僕が義理の親子なんて、大した想像力だ」

ソンジュンが苦笑交じりにそう言うと、ユニが彼の方に頭を傾けて「あら」と眉を上げた。

「有り得ない話でもなかったのよ。あなたが彼女と結婚して、私が家の借金を返済できなくて、兵曹判書に嫁いでたら」

───は?

思わず半身を浮かせたソンジュンは、隣に横たわるユニをまじまじと見下ろした。

「今、何て?」

だから、とユニは繰り返す。

「兵曹判書に、結婚を迫られてたの。覚えてるでしょ?あなたが私を巨擘に雇った、小科の覆試の日よ。ほんとはあの日、輿入れするはずだったのを、ユンシクが私の身代わりになってくれて、それで」
「どうして───」

掠れた声で、ソンジュンは言った。彼は無意識に、ユニの腕を強く掴んでいた。

「どうしてそれを早く言わなかった!」

思わぬ剣幕に驚いたのだろう、ユニは戸惑った表情でソンジュンを見返した。

「だって、言えるわけないでしょう?あのときの私は、あなたにとっては男だったんだもの」

ユニの言葉に、ソンジュンは急に全身から力が抜けたようになって、そうか、と掴んでいた手を離した。
ふいと横を向き、立てた片膝に肘をついて頭を支える。千々に乱れた心を落ち着かせようと、彼は目を閉じた。
そのままじっとしていると、心配になったらしいユニが、そっと起き上がって声を掛けてきた。

「ね、どうしたの?───大丈夫?」

ソンジュンは深く息を吐き出すと、ようやく目を開け、ユニを見た。
そこにいるのは、彼が愛してやまない、キム・ユニという紛れも無い女人だ。
艶やかな髪、白く滑らかな肌、光を湛えた、黒曜石の瞳───そして彼を惹きつける、小さな淡い唇。
それが、まかり間違えばあの蜥蜴のような兵曹判書の汚らわしい手に触れられていたかもしれないと思うと、腹の底から寒気がし、怒りが湧き上がってくる。

「考えただけでぞっとする。僕は本当に、とんでもなく大きな過ちを侵すところだったんだな……」

今度はユニが、くすっと笑った。

「変な人。起こらなかったことを想像して落ち込んでる」
「……変かな」

変よ、とまた笑って、ユニがソンジュンの脇腹を軽く小突いた。ソンジュンもつられて、笑う。細い身体を抱き締めるついでに、二人して布団の上に倒れ込んだ。

「明かり、消して?」

囁くようなその声は、可愛らしい中にも何処か艶っぽい響きを含んでいて、もっと別の事をねだられているような気分になる。
仰せのままに、と行燈を吹き消したソンジュンは、指先の感覚と彼女の気配だけを頼りに甘い吐息を探り当て、そこを柔らかく喰むのだった。





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2014/02/09 Sun. 16:57 [edit]

category: 吾亦紅

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: めぐめぐ さま

ワタシもお披露目できて嬉しいです(^^)

兵曹判書が相手だったら、ソンジュンはヤツを陥れるために相当恐ろしいことをやらかしそうな気もします……。
なんだかんだ言って王様も見方につけてますしね(^^ゞ

ユンシクくんはいつか書きたいですね~。原作にあるソヨンとのエピソードも心惹かれますし(^^)

あまる #- | URL
2014/02/11 23:04 | edit

Re: Sayuki さま

こちらこそパスのご申請、ありがとうございました(^^)
楽しんでいただけましたなら嬉しいです。

芙蓉花がその後も逞しく生きてくれてこそ、ソンジュンとユニも本当に幸せになれるわけですから、彼女にも最終的にはやっぱ幸せになって欲しいんですよね。
韓国ドラマではああいう、憎めないタイプのライバルって珍しいので(大抵はA.とにかくヤな女でムカつくB.美人で頭も性格も良くて完璧でやっぱりムカつく のどちらかなので(笑))
彼女のその後もできればきちっと見たかったな~と思います。

あまる #- | URL
2014/02/11 22:42 | edit

Re: harurun さま

ほんと良かったですよね。兵曹判書も紅壁書やら金縢之詞やらのゴタゴタでユニのことなんてすっかり忘れ去ってしまったのか、あれ以上しつこく絡んでこなかったのも幸いだったかと(^^ゞ

確かに、ユニソンのらぶらぶはいくら読んでも飽きることはないですね。
こちらこそこれからもよろしくお願いいたします~(^^)

あまる #- | URL
2014/02/11 22:18 | edit

Re: wakuwakunike さま

コメントありがとうございます~(^^)

ヒョウンは、ソンジュンに対して不埒な妄想を抱いているというただ一点において、もはやワタクシにとって
他人ではないので、ついつい肩入れしてしまいますね(^^ゞ

> 出版の陰にヨリムあり???ですか。

ビジネスチャンスは逃さないヨンハですから、案外あるかも……(笑)

あまる #- | URL
2014/02/11 22:12 | edit

この作品がお蔵入りになることがなく、お目にかかることができて良かったです(*´∀`)

結局は自分が一番可愛いヒョウン嬢らしいですね、生き方も作品も…
そういえば、ドラマではソンジュンはユニが輿入れしようとしてたことも知りませんでしたよね…見たかった!(。>д<)

ユンシク君のお話しもぜひお願いします(*^^*)

めぐめぐ #7X15vbXw | URL
2014/02/10 23:00 | edit

あまるさん、先日はパスワードありがとうございました!
週末、たっぷり堪能させていただきました。

こちらの新作も面白い!!
芙蓉花は、どこか憎めない敵役だったので、
こんな風に「転んでもただではおきない」その後が、なんか嬉しいです。

続きも楽しみにしています(^^)

Sayuki #- | URL
2014/02/10 21:38 | edit

ソンジュンに会えてよかったー。

「まかり間違えばあの蜥蜴のような兵曹判書の汚らわしい手に触れられていたかもしれないと思うと、腹の底から寒気がし、怒りが湧き上がってくる。」

いやー本当に恐ろしい。そんな事になっていたらソンジュンじゃなくとも考えただけでおぞましいです。
あーよかった。ソンジュンと幸せになれて♡

あの時ユンシクもユニも世界の終わりのような経験をしたんですから、是非、幸せなこれからをお願いします。
ソンジュンとユニのラブラブはいくら読んでもきっと飽きることが無いはず。
どうぞ、これからもよろしくお願いします。

harurun #BJfyOLl6 | URL
2014/02/10 14:08 | edit

あまる様

こんにちは。初めてコメントします。
本編、そして番外編をいつも楽しく読ませていただいてます。

吾亦紅の本の作者がヒョウンというのがいいですね~。
両班のお嬢様らしくない肉食系女子(?)の彼女、
なにがあってもたくましく生きていきそうです。

ところで、この本、
九尾狐がでできたり、作者といい、
出版の陰にヨリムあり???ですか。

wakuwakunike #- | URL
2014/02/10 11:23 | edit

Re: 48ママさま

義理堅い48ママさまに感謝!(笑)
いやいやもぅ、そのまま御蔵入りになると思っていたネタだったのに、日の目を見ることができたのは48ママさんをはじめ彼女の登場を喜んで(?)くださった皆様のお陰ですわ~。
ヨンハには「低俗な趣味」と散々な言われっぷりでしたが、何事も極めれば尊敬を受けるものですし(^^ゞ
朝鮮史上初の腐女子として彼女には是非ともサブカルの発展に尽力していただきたいと(爆)

>それにしても、「美しい良家の令嬢」「聡明かつ美しき妻」って、ほんっとうに自分大好きなヒトだなあ

あ、わかっていただけて嬉しい(^^)たぶん彼女のことだからそのあたりはぬかりなくしつこいくらいの描写をしてるんじゃないかと踏んでおります。

ちなみに「荷雲」はあまるの完全なあて字です(^^ゞ韓国語読みは激しくアヤシイですが、いちおーペンネームということで「ハウン」と読めるかなぁと。ハ・ヒョウンともなんとなく近いし、「荷」は蓮の花、芙蓉の意味もあるらしいので……。
でも48ママさんのコメントにも「なるほど~」と唸っちゃいましたよ。スバラシイ!
なんか自分ではテキトーにあてた字が(おい(^^ゞ)上手いことハマっちゃった感じ。
ありがとうございます~(^^)

印税……それはワタクシも是非とも知りたいぞ……(笑)

あまる #- | URL
2014/02/09 23:58 | edit

やらかしてくれちゃって~!!

あまる様
 何が何でも、今回はコメさせていただかないと、あまる様にもヒョウン嬢にも義理が立たないというものでしょう(^_-)。なるほど、こういう展開でしたか!「1」の時点では、原作の不細工夫人がちらっと思い浮かび、さてどうなるのかと思っていましたが・・・ヒョウン嬢、やらかしてくれましたねえ!!!
だてに大衆小説の女王(←なのか?)してたわけじゃなかったのですね~!
それにしても、「美しい良家の令嬢」「聡明かつ美しき妻」って、ほんっとうに自分大好きなヒトだなあ・・・まあ、あの、お金かかってるのに野暮ったいファッション(特に髪飾り)に、よく表れていると思いますが(ドラマの衣裳担当さん、そのあたり、上手ですよね)。ソンジュンの「あれを書くことで少しでも気が晴れるなら、むしろ良かった」という心中のつぶやきに、彼女に対する「申し訳なさ」よりも強い「憐れみ」の思いが感じられます(ソンジュン自身は、「憐れみ」なんて、さらっさら思っていないでしょうが)。最後の、ユニへの絶対的な愛を感じさせる「仰せのままに」とはあまりにも好対照で・・・。
 ところで、「ヒョウン」とはどう漢字表記するのだろうと、ずっと気になっていたのですが、「荷雲」ですか!いかにも彼女らしい。一度はそれに乗って夢の国(ソンジュンの妻の座)へと行けるかと思ったのに、手酷く突き落とされてしまった(一方的な破談通告)、実体のないフワフワした「雲」。でも、それをかつがずにはいられない・・・そのまま彼女ですね。まあ、彼女なら、例え突き落とされていなくても、自分から落っこちていたでしょうけど・・・。ああ、ヒョウンのことが本当に嫌いなのか、心が千々に乱れる(!?)ワタシでございます。好きではないですが・・・。
 それにしても、印税、どのくらい入ったのかしら(爆)。


 

48ママ #- | URL
2014/02/09 19:21 | edit

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