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吾亦紅 1 

あまるですどうもこんにちわ。
ここ暫くソンス本編の更新が続いたので、箸休めの(^^ゞ番外編です。

ネタとしてはかなり前から温めていたものの、ちょっとこれはどうなんだろう、と実際に書くのを躊躇っていたブツ。
なんでまたアップする気になったのかというと……それはまた次回に(笑)





***************************************




ある人は言う。その花の色は黒だと。
また別の者は紫と言い、更に別の者は断じて茶色だと言い張って譲らない。
するとその花は言った。

『私は、紅です』

花が自分でそう言うのだから間違いはない。その場の誰もが、我も我もとその花を紅だと言い出した。
今では誰もが、その花の色を紅だと信じて疑わない。

吾も亦〈また〉、紅なり───

その花の名は、吾亦紅〈ワレモコウ〉





その日、帰宅したソンジュンがいつものように内棟のユニの部屋に行くと、扉の向こうから「ちょっと待ってて」と声がした。
彼女も貰冊房から帰ってきたばかりで、まだ着替え終わってないのだという。
そうか、とソンジュンはおとなしく扉に掛けた手を引っ込めた。
快子〈ケジャ〉を脱ぎ、長衣〈トゥルマギ〉だけを羽織れば済むソンジュンと違い、家では男装を解く彼女は文字通り頭の天辺から爪先まですっかり女人のそれへと整えなければならない。慣れているとはいっても、帰宅後の着替えはどうしたって時間がかかるのだ。

(まだかな……)

締め出しをくらった飼い犬のように、障子扉の前で所在なく待っていると、なんだか自分が恐ろしく間抜けに思えてくる。

───だいたい、成均館で寄宿生活をしていた頃ならまだしも、二人だけのこの家で、しかも互いに相手の身体のすべてを知っている間柄で、どうして着替えを隠す必要がある?
そうだ。僕たちの間で、隠し事などあってはならない。たとえどんなに些細なことであっても。
これは、二人の信頼関係に関わる問題なのだから。

とか何とか無理矢理な理由をくっつけて、ソンジュンは再び扉の把手に手を掛けた。こと相手がユニとなると、普段彼が遵守している礼も法も頭からきれいさっぱり抜け落ちてしまうのだから困ったものである。

ソンジュンは音をたてないように、静かに扉を引き開けた。
部屋の奥、半分ほど広げた屏風の向こうに、紅いチマを巻きつけている最中のユニが、こちらに背中を向けて立っていた。結い上げた髷〈サントゥ〉をまだ解いてないせいで、うなじから背中にかけて露わになった肌の白さが、ソンジュンの目を眩しく刺した。
そんな姿を見てしまったら、触れたくなるのが男心というものだ。

ソンジュンはまたしても都合の良い理由をつけてユニの背後に近づくと、その細い肩を後ろからそっと抱き締めた。
きゃっ、と短い悲鳴を上げて竦み上がった首筋に、くちづけを落とす。

「イ・ソンジュン……!まだ入っていいなんて言ってないけど」
「もう待てない」

言いながら、たった今結んだばかりのチマの帯紐をするりと解く。
ちょっとちょっと、と焦ってその手を押しのけようとするのを無視して、耳元に囁いた。

「きみが悪いんだ。いつまでものんびりやってるから。士大夫〈ソンビ〉たるもの、有事に備えて日頃から動作は機敏でなくては。大射礼のとき、教えただろう?」
「もうっ!こんなことされる士大夫がどこにいるっていうの?」

ここに、とソンジュンが言うと、緩んだチマがすとんと床に落ちた。こぼれ出た双丘を両手で押し包み、背骨にそって舌を這わせる。ユニは甘い声を含ませた溜め息をつくと、立っていられないという風にずるずるとへたり込んだ。

「これじゃ……いつまでたっても着替えられない……」
「何も着なければいい。僕といるときは」

少なくとも今は本気でそう言って、ソンジュンはユニの腰に腕を回し、こちらを向かせた。桃色の唇を貪りながら、その身体を長座布団〈ポリョ〉の上に横たえる。

「まだ明るいのに」
「黙って」

先程から文句ばかり言う唇を、ソンジュンは軽く噛んだ。くすっと笑っておとなしくなった彼女に意を得た彼が、いざ事に及ばんと慌ただしく長衣を脱ぎ捨てた、そのとき。

「坊っちゃーん!こちらにおいでですかぁ?ヨリム坊っちゃんがいらっしゃいましたよー!」

響き渡るスンドルの声が、ふたりの甘い時間を瞬時に凍りつかせた。

───よりによってこういう時に、いつも邪魔をしてくれるのだ。あのありがたい先輩は。

「坊っちゃーん!ヨリム坊っちゃんがお部屋でお待ちですよー!早く来てくださーい!」

がっくりと脱力してユニの上に突っ伏したソンジュンを、遠慮の無いスンドルの声が急かす。
ユニが、そっとソンジュンの髪に手を触れ、囁いた。

「ね、早く行った方がよくない?」
「……わかってる」

ユニの首筋に顔を埋めたソンジュンは、といってすぐに起き上がる気にもならず、不貞腐れた調子で呟いた。


*   *   *


「それで、御要件は?」

舎廊棟の、ソンジュンの部屋。あからさまに不機嫌な顔でそう訊き返したソンジュンに、ヨンハは苦笑する。

「お前ねぇ、仮にも私は先輩だぞ。歓迎するフリくらいしたってバチはあたらないんじゃないか?」
「生憎と、嘘はつけない性質〈たち〉なので」
「そういうのは嘘じゃなくて、社交辞令っていうの!まったく、まだ日も暮れてないうちから乳繰り合ってるお前らの方が悪いんだろ。私を恨むなよ」
「なっ……!」

途端に耳まで赤くなったソンジュンに、「あれ?図星だった?」とにんまりする。
ソンジュンの頬が引き攣った。

「ち……」

とそのとき、身支度を終えたユニが扉を開けてにこやかに中に入ってきた。

「ヨリム先輩、いらっしゃ……」

「乳繰り合ってなどいませんっっっ!!!!!」





しんとした静寂が降りてきた。

はっと我に返ったソンジュンが見たのは、込み上げる笑いを必死でこらえているヨンハと。
黒い瞳の奥に、怖ろしいほど静かな怒りをたたえて自分を見据えているユニの姿だった。




「……男同士で随分、楽しそうな話をしてたみたいだね?イ・ソンジュン庠儒」

チマを履き、髪を編んだ娘姿であるにも拘わらず、わざわざそんな口調で話すのは、彼女が相当に機嫌を損ねている証拠だ。
ソンジュンは返す言葉もなく、ただ目の前にいるヨンハという名の疫病神に恨めしげな眼差しを送るばかりだった。

「まぁまぁ、そうこいつを責めるな、テムル。今日はさ、ちょっと面白いものを持ってきてやったんだ。お前ら、見たら絶対、ウケるぞ」
「何ですか」

ソンジュンが投げ遣りに尋ねると、ヨンハは何やら袂をごそごそと探って、一冊の本を引っ張り出した。
ほれ、と放ったその表紙には、題名らしき『吾亦紅』の文字があった。
ソンジュンは訝りながらその本を手に取り、ぱらぱらとめくってみた。ハングルで書かれた、挿絵の多い、一見して大衆小説とわかる代物だ。

「この本が、どうかしたんですか?」

横から覗き込んでいたユニが、ヨンハに尋ねた。

「まぁ待て。まずは、その物語のあらすじをざっと話してからだ。結構長い話だから」

そう前置きして、ヨンハは語り始めた───。





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2014/02/05 Wed. 05:03 [edit]

category: 吾亦紅

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re:めぐめぐさま

ま、またしてもバレテーラ!(爆)

ご指摘のとおり、ソンジュンのバックハグから押し倒しまでの流れがどうも気に入らなくて修正、というAV監督かオマエわ、みたいなことをやっとりました。
それにしてもあんなちょびっとの加筆なのに、読者様方のヨンハ並みの鋭さには時々ビビリます(笑)
いやほんと、背筋が伸びる思いですわ。ありがとうございます(^^)

あまる #- | URL
2014/02/22 03:28 | edit

また少し筆が加わりましたか?(*´∀`)

ヨンハの会話とのクロスオーバーがたまりませんねぇ(*^^*)

めぐめぐ #7X15vbXw | URL
2014/02/21 23:58 | edit

Re: すずさま

子供向けアニメって~?(笑)
ワレモコウは、花も地味で妙にカワイイんですが、やっぱ名前に惹かれますね~。
「我も恋う」とかって、ちょっとステキ(^^)

> ソンジュン&ユニがイチャこいてる時に、ヨンハ先輩が邪魔しに来るシュチュエーションが個人的に好きです。

いやもうこれはお約束というか(笑)ソンジュンにはお気の毒ですが……(^^ゞ

あまる #- | URL
2014/02/07 06:50 | edit

Re: r***h*さま

コメントありがとうございます~(^^)

番外編、楽しんでいただけましたでしょーか(笑)
なんかムラッ気のある更新で申し訳ない限りですが、ヨロシクお付き合いいただけると嬉しいです。
またお気軽に遊びにいらしてくださいね~

あまる #- | URL
2014/02/07 06:42 | edit

Re: harurun さま

ご期待どおり何やら面白く書けるといいのですが(笑)
ワタシも、二人には本当はもうちょっと長くひみつの(笑)寄宿舎生活を楽しんで欲しかったんですが、ウチのソンジュンはどうにも我慢のきかない子で(^^ゞ
でも東斎を出ても結局邪魔されてるので、あんま変わらないかも……。

今回のお話もきっとヨンハに頼りっぱなしになるんではと(笑)
彼はグイグイ話を回してくれるとってもありがたいキャラクターです。

あまる #- | URL
2014/02/07 01:15 | edit

Re: みきさま

コメントありがとうございます(^^)
はい~。お言葉に甘えて(笑)ちんたらペースではありますが、忘れられない程度に……。
思い出したときにでも覗いていただけると嬉しいです~

あまる #- | URL
2014/02/07 00:33 | edit

師匠!!

今日、某子ども向けアニメを見てたら(なんでそんなの見てるんだって話ですが笑)、まさかのワレモコウが出て来て、思わずこちらにもコメントしてしまいました(^^)/
私、そういう変な引きせ?みたいなの持ってるんです(笑)
小っちゃくて丸っこい花なんですね!

いや~さすが、あまる様。
特に、このありがたい先輩が良い(笑)
ソンジュン&ユニがイチャこいてる時に、ヨンハ先輩が邪魔しに来るシュチュエーションが個人的に好きです。
そして、イ・ソンジュン君子がそれで、イライラしてるのも(←Sかっ!)

どんなお話になるか、更新楽しみにしてます☆

すず #- | URL
2014/02/05 17:49 | edit

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

# | 
2014/02/05 12:55 | edit

わーい。

こんにちは。
何やら面白そうです!
私的には、この頃の二人のお話好きなんです。
ソンジュンの前では女性でいられるユニが、幸せそうで。

そしてヨンハが語ろうとしてる物語にも興味津々です。

harurun #BJfyOLl6 | URL
2014/02/05 11:54 | edit

おはよーございます。いつも楽しく読ませていただいています(^o^)今回の番外編も面白そうで続きが早く読みたいです。でも、無理はしないでマイペースに更新してくださいね(´▽`)ノ

みき #3DpfYUu6 | URL
2014/02/05 07:16 | edit

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