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時ヲ止メテ 

本日の更新はオクセジャの短編です。
ソンスみたくノベライズするつもりはありませんが(笑)どうしても書いておきたかったあのシーン。

タイトルは東方神起の同名曲から。なのでフレーズも一部歌詞からパクっておりマス。
BGMにドゾ。









このまま 時が止まってしまえばいい
ずっとあなたのそばにいて
もっとあなたを抱き締めていたい

涼やかな眼差し
少し掠れた 甘い声
頬に触れる 長い指
ひとつひとつ あなたのことを覚えながら





静かな晩だった。

これまであったいろんなことが、すべて夢の中の出来事に思えるような。
まるで現実感のない、しんとした夜の底で、確かなのはただ、固く握り締めたパクハの手だけだった。

思いのほか小さく、柔らかな手。
しなやかな指先が、その感触を確かめるように、そっとイガクの手を撫でた。

「チサンや……マンボやヨンスルさんは、無事についたかな」

二人、横たわったベッドの上で、パクハが呟いた。
そうだな、と言うと、彼女は少し唇を尖らせて

「電話くらい、くれればいいのにね」

そんな、無茶なことを言った。

「モンチュンイ」

いつも言われている言葉を、返してやった。
口にしてみて、初めて気付いた。
伝えたいのに、どう言い表せばいいのかわからない、もどかしい気持ち。
彼女も、そんな想いをこの言葉に乗せていたのだろうか。
今の、自分のように。

盗らないでよ、とパクハが悪戯っぽく笑った。

「それはあんたのあだ名でしょ、モンチュンイ」

そうか、あだ名か、とイガクは微笑んだ。
悪くない。
彼女以外の誰かが自分をそう呼ぼうものなら、即打ち首にするところだが。

「……感謝してる」

言っておきたかった。もう、一緒にいられる時間は限られていたから。
路頭に迷っていた自分たちに、手を差し伸べてくれたこと。
暖かい部屋と、オムライス。
恋人を守るために、己の命すらも投げ出そうとした。

「やめてよ」

か細い声で、彼女はそう言った。
自尊心も、照れ臭さも。
いま、彼女を目の前にして、どれほどの意味があるというのか。
失おうとしている時になって初めて、そんなことに気づくなんて。

「ごめん」

知らなかった真実のために、彼女を苦しめた。
いつか来る別れを予感していながら、想いを止められなかった。

「そんな言葉、聞きたくない」

覚えておきたかった。
小憎らしい口調、今この瞬間の、彼女の髪、彼女の頬、彼女の眼差し……彼女のすべて。

「───愛してる」

息を飲むような気配のあと。
彼女の唇が、微かに震えた。

「もう一度、言って」

言葉は、ほんの一瞬で儚く消えてゆく。
それでも、この想いが彼女の胸に残るなら。

「愛してる」

この身体が彼女の前から消えてしまっても、確かに残るなら。

「もう……一度」

何度でも繰り返す。

「愛してる……」

こぼれた涙が、彼女の鼻筋を伝い、枕に小さな染みをつくった。
胸に飛び込んできた彼女の身体。ふわりと漂った、甘いシャンプーの香り。
きつく抱き締めた肩は、酷く震えていた。

「……結婚するのは、明日だ」
「もう今日よ」
「後悔させたくない」

何を後悔するの?と、潤んだ声が言った。

「形だけの式を挙げて、夫のぬくもりを知らない妻になること?そうなったら、きっと死ぬほど後悔するわ」

いつか来る別れに怯えるのは愚かだと、パクハはあの日イガクに言った。
彼女の言うとおり、自分は怯えているのだと、イガクは思う。
今は当たり前のようにそばにある彼女の香りも、温かさも。
シーツの淡い水色も、天井にぼんやり灯るシーリングライトも。
この部屋にあるものはすべて、彼のいた世界には無いものだ。

失われればやがて、思い出すことさえ難しくなるかもしれない。
それが、怖い。


「いいのか……?本当に」

小さく頷いてから、パクハはそっと顔を上げ、イガクを見つめた。親指で、その唇に触れてみる。閉じた彼女の瞼から、また涙がこぼれた。

唇を重ねると、彼女の流す涙が隙間から染み込んできた。少しだけ塩辛いその味が、イガクの胸を締め付けた。



───星を見て

その晩、無数のくちづけを熱い肌に受けながら、パクハはうわ言のようにそう言った。
私を想うときは、星を見上げて、と。

たった300年ぽっちじゃ、あの形は1ミリも変わらないから───。

この屋根部屋も、腕の中の互いのぬくもりも、やがては消えて無くなる運命でも。
永遠にも近い時が、あの夜空にはあるのだと。

イガクは想像する。

朝鮮とソウル。300年の時を隔てて、同じ星座を見上げる自分と、彼女の姿を。
そしてふたりは同時に、瞬く星に呼びかけるのだ。

“モンチュンイ……”



更けていく夜は、ただ静かだった。

いっそこのまま 時が止まってしまえばいい
ずっとこうして 彼女を抱き締めて
もっと彼女を感じていたい

囁くような声
柔らかな肌
すべてを甘く包む 彼女の香り

ひとつひとつ 覚えてゆく
唇と指先で 確かめながら



枕元の時計が、カチカチと音をたてている。

交じり合う吐息の中に、いつしかそれも聞こえなくなった。





FIN






****************************************

いつもお世話になっている阿波の局様が、今回のお話に素晴らしい歌を詠んでくださいました。
ありがとうございます~(感涙)
ゆちょんとオクセジャへの愛溢れる局さんのブログ「阿波の局の隠れ家」さんにて公開中です。GO!



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2014/01/22 Wed. 02:19 [edit]

category: 時ヲ止メテ

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: Kiko さま

おおっ!ついにご覧いただけましたか~。ユチョ、クソ可愛かったでしょ~(笑)
ウチのオクセジャ創作は、ドラマご覧になってないと若干わかりづらい部分があるかもなので
(「モンチュンイ」の意味とか……)ご視聴後また読んでいただけて嬉しいです(^^)

>19、20話は普通スピードで見ましたけど

ワタシもラストの二話はむちゃむちゃリピートして見てます(笑)二人のキスシーンなんて普通どころかコマ送りですワ!(爆)
週末、どっぷりオクセジャ漬けで楽しんでくださいね~。

あまる #- | URL
2014/01/31 01:19 | edit

視聴完了しました

あまる様

こんばんは。

「オクセジャ」見終わりました。
ドラマを見る前も、十分素敵なお話でしたが
見た後に読むと、しみじみと沁みます…

ドラマでは表現できないにしても、
2人には身も心も結ばれて欲しかったので
あまる様に「時ヲ止メテ」で叶えてもらえて、
とてもうれしいです。

ドラマの先が見たくて、ほとんどの所を1.5倍速で
再生してたので(19、20話は普通スピードで
見ましたけど)、土日にじっくり1話から見直します。

あまる様のペースで、また素敵なお話をお願いします。

Kiko #- | URL
2014/01/30 21:08 | edit

Re: Kiko さま

なんとまさかの未視聴だったのデスね(笑)

それでも読んでいただけるのは、書いてる側としては嬉しい限りです。
ありがとうございます~。
ドラマの方も、ご機会ありましたらぜひぜひ(^^)
19話のこのシーンは号泣必至ですから~。ユチョの「サラハンダ……」の声がまたイイんです(T_T)

あまる #- | URL
2014/01/25 00:19 | edit

よもやまさかの

あまる様 こんばんは。

気持ちばかり先走り、何が言いたいのかよくわからないコメントに
お返事をありがとうございました。すご~くうれしかったです。

さて「オクセジャ」は、未視聴でございます。

自分でも邪道かな…とは思うのですが、私の韓ドラ選びは、
「あっ、このブロガーさん好きだ」と思った方が書いた
作品紹介や感想を読んで、視聴作品を決める、
ということがほとんどです。
ですから、“ネタバレOK”と言うか、“どんどんネタバレしてくださ~い”
状態で、ブログ巡りをしております。

「時ヲ止メテ」の感想が後回しになって、すみません。

このお話もせつなくて泣きました(視聴してないけど…)。
朝、通勤電車の中で読んでしまい、涙を誤魔化すのが大変でした。
でも途中でなんかやめられない。
素敵なお話をありがとうございました。

Kiko #fv1d0jBM | URL
2014/01/24 00:00 | edit

Re: 阿波の局さま

や~もぅステキな短歌をありがとうございました(^^)
ワタクシの方も事後報告になっちゃいましたが(^^ゞリンク、貼らせていただきました。
トンのPVに局さんの短歌にと、読者サマにイロイロ楽しんでいただける記事になって嬉しいです。

> 下手な文章を、また書きたくなる・・・むらむらと(書けないとは思いますが。笑)

まぁそう仰らずに(笑)書きましょうよ。つか書いてください。ゼヒ。
あ、下のコメントで引用していただいた箇所、ちょっと修正しました。(爆)スミマセン(^^ゞ
書いた当初から若干気になっていたところではあったので……。
前よりわかりやすくなってるといいのデスが(笑)

あまる #- | URL
2014/01/23 22:23 | edit

こんばんは。
あまるさま。勝手ながらリンクを貼らせて頂きました。

しかし・・・素敵です。
切ないです。美しいです。
思わず歌なんぞ詠んでしまって・・・お恥ずかしい・・・

しかし・・・
この場面は本当に切ないです。
下手な文章を、また書きたくなる・・・むらむらと(書けないとは思いますが。笑)

>口にしてみて、初めて気付いた。
伝えたいのに、声に出せないもどかしい気持ち。
彼女も、そんな想いをこの言葉に乗せていたのだろうか。

なるほど・・・

阿波の局 #bo5zNM.6 | URL
2014/01/22 22:30 | edit

Re: よこちょんさま

コメント欄にちょろっと書いてただけなのに……(T_T)お気遣いありがとうございます~
風邪の症状は全くないのに何故か熱発しまして(^^ゞ以前にも経験あるので多分疲労性のヤツだと思いますが。
今は熱も下がってるのでダイジョブです(^^)

ドラマでは描かれてませんが、あの後そのままお休みなさい~なんてことはゼッタイねーだろ、と踏んでおりましたので、今回ソフトではありますが(笑)ちょこっと続きが書けて良かったです。

福岡は今朝、この冬初めての積雪となりました。旦那様、こっちで風邪引かれないといいんですけど(^^ゞ
中洲も今夜は屋台はキビシイかな~(笑)

あまる #- | URL
2014/01/22 13:45 | edit

Re:阿波の局さま

トンのバラードの中でもコレはホント好きなんですよー。
PVは5人が歌ってるとこ以外はやっすぃカラオケビデオみたいになっててイマイチなんですが(^^ゞ
オクセジャのあのシーンと被るな~と思ってからは鬼リピしてます(笑)

……って思ったら局さん、行動が早いわ~。なんか記事アップされてるし!アセアセ
ワタクシもご挨拶に伺います~。

あまる #- | URL
2014/01/22 13:20 | edit

Re: shuuyuchunさま

> あの、時間、二人の時を、ほんとに、トメテしまいたかったですね。

ホントそうですね(T_T)
あのシーンはドラマの数ある号泣ポイントの中でも最大の泣かせどころでしたわ~。

あまる #- | URL
2014/01/22 13:12 | edit

ずきゅーん。。。

あまるさま、体調は大丈夫ですか?
胸にくる素敵なお話、ありがとうございます。
あの場面はすごく切なくて、どうしてもっとギュッとしないの~(ToT)
と思っていました。こんなふうに二人の時ヲ止メテほしかったです。。。

今朝、折よくダンナが福岡へ出張に行ったので、夜はまったりオクセジャ・ビデオナイトだわ(^.^)☆
今晩、うちのダンナが中州の街に出没すると思われます!(^^ゞ

よこちょん #- | URL
2014/01/22 08:03 | edit

あぁ…

朝からこんなの読んでしまってどうしましょ。一気にあまるワールドに持って行かれました。タイトルだけですでに…切ない…
いかん、いかん現実世界に戻らんと(笑
また、今晩じっくりと味わいにきま〜す。

阿波の局 #- | URL
2014/01/22 05:55 | edit

胸を打ちます

あの、時間、二人の時を、ほんとに、トメテしまいたかったですね。
素敵な夜を、ありがとうございます。

shuuyuchun #dDm6s.8Q | URL
2014/01/22 05:23 | edit

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