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第十九話 2 連行 

bandicam 2013-12-12 02-07-58-259

しまった。部屋番号入っちゃった(^^ゞ
ヨンハの部屋、原作ではユニたちの隣の中一房なんですが、ドラマでは何故か上三房なんですよね……。
でも設定としては隣の方がオイシイので、ウチでは中一房ってことでお願いします(笑)
*********************************


外の騒ぎは、部屋の中からも伺い知れた。
気を失ったように夜具に横たわっているジェシンを、ヨンハが思い詰めた表情で見下ろす。やがて彼は意を決したのか、さっと腰を浮かせた。
その腕を、先輩、とソンジュンが引き留める。

「その場しのぎの策はもう通用しません。僕が、代わりに行きます」
「それは……どういう意味だ」

一瞬、ソンジュンの言わんとすることがわからず、ヨンハは座り直して彼を見返した。

「まさか、お前が紅壁書だと自白するつもりか?」

無茶だ、とヨンハは即座に却下しようとしたが、かといって他に何か策があるわけではない。必死で頭を巡らすが結局何も思い浮かばず、彼は苛々と両手でこめかみの辺りを叩いた。
ソンジュンはそんなヨンハに微かに笑ってみせ、言った。

「この朝鮮は、公正な法に基づき裁く国だと信じていますから。何よりも、こんな状態のコロ先輩を義禁府に送ることはできません」

大きく息を吐き出したヨンハは、こんこんと眠り続けるジェシンをただ黙然と見下ろした。



一方、扉を隔てた東斎の前庭では、官軍を率いて乗り込んできたインスを前に、ユニが為す術もなく立ち竦んでいた。その周囲には、夢路ばかりか部屋まで追い出された儒生たちが、夜着のままぞろぞろと集まってきていた。

「負傷した紅壁書が成均館に入り込んだ。見なかったか?キム・ユンシク」

インスは、獲物をほぼ手中にしたも同然という余裕がそうさせるのか、場違いなほど穏やかな声で尋ねた。
が、もともと返事など不要だったと見え、頬を強張らせて黙っているユニに構わず、背後の兵に指示を飛ばす。

「紅壁書が隠れているか調べろ」

やめろ、とそれを制止したのはヨンハの声だった。縁側を降りてきた彼は、インスの前に立ちはだかると、硬い表情で言った。

「儒生たちが見てるんだぞ。官軍を入れ成均館を汚す最初の掌議になる気か?」
「権力とは何かを教える最初の掌議になるつもりだ」

インスは、ヨンハの言葉に怯むどころか、勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
そして含みのある目で言った。期待していろ、と。

数人の官軍兵が、土足のままどかどかと縁側に上がり込んだ。この状況にすっかり眠気も吹き飛んだらしい儒生たちは皆騒然とし、口々になんてことを、と非難の目をインスに向けた。
兵が中一房の扉に手を掛けようとしたそのとき、いきなりそれは開け放たれた。身を屈め、敷居をまたいで出てきたのはイ・ソンジュンだった。
彼は言った。

「紅壁書は、僕です」

その手には、べっとりと血のついた黒装束が握られている。彼はそれを、兵に向かって差し出した。

「他に証拠がいりますか」

ユニは愕然として、隣のヨンハを見た。ヨンハは何も言わず、ユニの肩に手を置いた。
儒生たちの間に、ざわめきが広がる。その顔はどれも唖然としていた。無理もない。紅壁書とイ・ソンジュン。この二つの名を彼等の頭の中でにわかに結びつけるのは至難の業だった。

「……これは何の茶番だ。イ・ソンジュン、貴様が紅壁書だと?」

インスが怒りに頬を歪め、兵に連行されるソンジュンを睨み据えた。
その顔を、ソンジュンが真っ直ぐに見返す。

───馬鹿どもが。罪人が、捕まる時にこんな眼をするものか。

凪いだ湖面のように静まり返ったソンジュンの瞳。インスの胸に、激しい苛立ちがふつふつと湧き上がる。
何故なのかはわからない。だがこの男を前にすると、恋敵であるはずのキム・ユンシクにさえ抱いたことのないほどの憎しみに、全身が焼けるように熱くなるのだ。
この男を、今すぐ八つ裂きにしてやりたい。そんな衝動を堪え、彼は言った。

「今度の相手は私ではないのだぞ。国法と兵曹を向こうに回し、賭けに出る気か、イ・ソンジュン!」

ソンジュンは黙したまま、ただインスを見ている。唇の端は切れて血が滲み、顎には赤黒い痣までありながら、その眼に宿る光は少しも揺らぐことはなかった。

「何をしている!」

対峙する二人の間の緊迫した空気を、その声が破った。
つかつかと息子に歩み寄ったハ・ウギュは、指揮官に向かい「義禁府に連行せよ」と顎をしゃくった。

「しかし父上」
「ここからは父に任せろ」

父の有無を言わさぬ調子に、インスはぎりぎりと音がしそうなほど奥歯を噛み締めた。官軍兵に両脇を抱えられたソンジュンは、何の抵抗も見せず大人しく伝香門へと向かう。兵の方にも、相手が成均館の儒生、しかも左議政の息子だということで遠慮があるのか、腕を抱える以上のことはせず、縄も掛けなかった。

門の向こうへとソンジュンの姿が消える直前、ユニは思わず一歩足を踏み出した。こちらを振り返ったソンジュンと目が合う。
彼はユニに向かい、微かに頷いた。

“心配しなくていい。大丈夫だから“

そんな声が、聞こえた気がした。だが連れ去られて行く彼の姿は涙でぼやけて、よく見えなかった。


*   *   *


左議政の息子、イ・ソンジュンが紅壁書と自白し、義禁府に拘束されたという知らせは、一刻も経たぬうちに宮殿と北村の左議政の屋敷に届けられた。
王は瞠目し領議政やチョン・ヤギョンの前で玉卓を叩き、左議政は手にしていた筆を取り落とした。

そして、官軍の引き上げた成均館、東斎中一房。
横たわるジェシンの額を絞った手拭いで拭ってやりながら、ヨンハが言った。

「あまり心配するな。安全だっていう確信がなきゃ、行かせたりしないさ。あいつは左議政の一人息子だ。兵曹判書も簡単には手出しできない。私が保証する」

傍らに座るユニは俯き、唇を噛み締めた。今はヨンハのその言葉を信じるしかない。だが、連行されて行くソンジュンの後ろ姿を思い出すと、ただ言いようのない不安ばかりが頭をもたげてくる。

「今……何て言った」

低く、しわがれた声がそう言った。はっとして顔を上げたユニは、ジェシンの瞼がいつの間にかがうっすらと開き、天井を睨みつけているのに気付いた。
かなり出血したんだ、寝てろとヨンハが溜め息混じりに言い聞かせるが、ジェシンは乾ききった唇を震わせ、更に訊いた。

「言え。イ・ソンジュンが何だ?兵判がどうしたって?」
「コロ先輩……」
「あいつが、俺の代わりに紅壁書だと自首したってのか?そうなのか?」

ヨンハが諦めて、答えた。

「そうだ。怪我人を牢獄には送れない。だからおとなしく寝てろ」

ジェシンは起き上がろうとしたが、自力ではやはり無理のようだった。少し身体を動かしただけで息を切らし、額に珠の汗をかいている。だがその歪んだ表情は、傷の痛みのせいばかりではないらしかった。彼は握り締めた拳を床に叩きつけ、畜生、と唸った。
今、一番辛いのはきっと彼なのだと、ユニは思った。

「ここで苛ついたって仕方ない。しかしずるいぞお前ら。自分たちだけカッコつけやがって」

ヨンハが、いつもの軽い調子で文句を言う。その横顔に、ふと怒りとも決意とも見えるいろが浮かんだ。

「兵曹が成均館に押し入った。これは許されることじゃない。掌議に責任を問う。兵曹判書に謝罪させ、イ・ソンジュンを救い出す」

ユニは息を飲み、尋ねた。

「───できますか?」

信じろよ、とヨンハはユニに向かい、口端を上げた。

「私はク・ヨンハだ」




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2013/12/12 Thu. 02:18 [edit]

category: 第十九話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: みあるさま

なるほどなるほど。( ..)φメモメモ

いえいえ、浅いなんてこたないですよ。
実際、インスはコロを捉えたいと思ってたハズだし。どこにスポットをあてるかで、そのへんはけっこう変わってくるところだと思います。特にインスは(^^)
ワタクシもイロイロ想像?妄想?しては楽しんでおります(笑)

ディレクターズ・カット版、ぜしぜし楽しんでくださいね~。

あまる #- | URL
2013/12/17 01:40 | edit

いやいや、そんなあまるさんのお話を読んだ後には、自分のよみの浅さに恥ずかしくなるもので・・・。

たとえば、今回のインスは「コロが紅壁書だろ!コロをつかまえられるチャンスを、よくも・・・!」だったり、
イ・ソンジュンは、「大丈夫。行ってくるよ。」とか・・・。ほんのちょっとの微妙な感じなのですが・・・。そうやって文章に表すとおもしろいですね。
あまるさんのドラマの中でセリフがなく表情だけで演技している部分を文章で表現されていることが嬉しく、またドラマをおもしろくさせてくれそうで、今度ディレクターズカット版が出るそうなのでそれを最初からみるのが楽しみにしているところです。

みある #qsvP4ThM | URL
2013/12/16 10:48 | edit

Re: あらちゃんさま

インスの、ソンジュンに対する敵意は尋常じゃないですよね。
まったくあらちゃんさんの仰るとおりで、ヤツがソンジュンに対して抱いてるのはたぶん、自分にはどう頑張っても得ることのできないものを、初めから当然のように持ってる者への妬みだったり憎しみだったりするんだろうなと。
インスが、地位とか権力ってものにどれほど執着しているかが、よくわかります。

でも、彼がそうなった大元を辿っていくと、初恋の女性チョソンに行き着くわけで。そう考えると可哀想な男だなぁと思ったりもするのデス。
まぁ、好きにはなれないですけどね……(^^ゞ

あまる #- | URL
2013/12/15 02:05 | edit

インス

すごくよくわかります。インスの感じ!
ソンジュンへのこのインスの当たりの強さって、完全に成り上がりの卑屈さですよね。あまる様に言葉にしていただくまで漠然とした感想でしたが、やっぱりそうだよね!と納得。
ハ・ウギョにしろインスにしろプライドの異常な高さは卑屈さの裏返し。だから成り上がりでない上に自分にへつらわないソンジュンにものすごくこだわるんでしょうね~、ソンジュンの何気ない視線にもバカにされているように感じることもあったのでしょう。義弟にして見下してやりたかったでしょうね~残念でした<(_ _)>

あらちゃん #- | URL
2013/12/12 23:53 | edit

Re: みあるさま

その違う解釈、是非ともお聞きしたいです(^^)
ホント、いろいろ集めたら面白いかもですね~。

「な~ク・ヨンハだ」はソンスの名科白の一つですよね。彼の背負ってるものを考えると、すごく深い言葉だと思うし、この一言がヨンハの全てを語ってるというか。19話を見た後だと、余計に沁みます(T_T)


あまる #- | URL
2013/12/12 20:52 | edit

あぁ~ソンジュン~(T_T)

こんにちは

あの緊迫した場面・・・。思い出してそれぞれの心の中を読んでいるようでした。


───馬鹿どもが。罪人が、捕まる時にこんな眼をするものか。
あの時インスはそんな風に思ったんだと・・・。

心配しなくてもいい大丈夫だから・・・。
そうか、ソンジュンは、そんな風に言ったんだ・・・。と・・・。

私は少し違う解釈でしたが、あまるさんの解釈のほうが「そう!そう!そうだったんだ!」と感心させられて、ドラマを観るときにちがった見方ができそうで楽しみにしている私です(*^_^*)

私の好きなセリフのひとつ「私は、ク・ヨンハだ」・・・これを聞くと、あの何かやってやるぞ~的な顔が思い出されて私たちをワクワクさせますよね(笑)

さあ!ク・ヨンハ!出番ですよ~!!

みある #qsvP4ThM | URL
2013/12/12 10:11 | edit

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