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第十九話 1 侵犯 

bandicam 2013-12-03 11-31-38-174
**********************************


宗廟へと向かう官軍の足元に、一本の矢が鋭く突き刺さった。
振り仰いだ官兵が、民家の屋根に浮かび上がる人影に向かい、叫ぶ。

「紅壁書だ!」

それはまるで、何かの合図のようだった。官軍兵たちは一斉に色めき立ち、陣を組んで民家の周囲を取り囲んだ。
自ら放った矢を追うように、黒ずくめの男がひらりと地面に降り立った。腰を落としたまま、素早く抜刀する。
紅壁書がいくら武芸に長けているとはいえ、これだけの人数の官軍兵の只中に飛び込むなど、無謀としか言いようがない。散々煮え湯を飲まされてきた敵と正面で対峙することになった官軍指揮官は、紅壁書をひたと見据えたまま鯉口を切ると、声を張り上げた。

「甲、乙は宗廟へ行け!こいつはただの足止めだ!」

鋭い気合いと共に、指揮官の青白い刀身が、ひょうと音をたてて空を切る。激しく打ち合った刹那、柄を握るジェシンの手にびりびりと痺れるような感覚が走った。渾身の力を込めて弾き返すが、飛び退いた一閃ののち、相手は猛然と斬り掛かってきた。
右に左にと身体をかわすジェシンの目に、指揮官の脂ぎった顔が見える。
二度、三度と打ち合う両者の技倆は伯仲していた。
踏み込んだジェシンの太刀を、指揮官が払い上げる。その右脇腹に僅かな隙を見たジェシンは、返す刀で斬り込んだが、相手の動きは速かった。柄頭で手の甲を激しく打ち据えられ、思わず太刀を取り落とす。一瞬、無防備になった彼の肩から胸にかけ、灼けるような痛みが走った。

覆面に覆われた口から、低い呻きが漏れた。ジェシンは崩折れるように地に膝をついた。

「誰もいません!」

ばたばたと足音高く戻ってきた兵が、声高に告げた。

「宗廟には、誰もいませんでした!」

兵のその報告が、ジェシンの足に力を呼び戻した。胸を抑えて立ち上がった彼は、無我夢中で走り出した。




「紅壁書に逃げられただと?奴に深手を負わせたのにか?!」

兵曹判書ハ・ウギュの目が釣り上がった。指揮官は頬をひきつらせ、低頭する。

「それが、追跡の途中で邪魔が入り……」
「何者だ!また王の護衛か?!」
「いえ、今回は私兵のようでした」

私兵?とウギュは片眉を上げる。代わりに不敵な笑みを浮かべ、頷いたのは傍らに立つインスだった。

「見当はついています。恐らくは、成均館に相応しくない者の仕業でしょう」


*   *   *


その頃、ユニとソンジュンは成均館に戻ってはいたものの、二人共中二房には入らず、ジェシンの帰りを待っていた。
紅壁書の騒ぎに乗じて宗廟を無事抜け出すことができたはいいが、逃げる途中で垣間見た官軍の殺気立った様子が気になった。
ユニが、不安に揺れる瞳でソンジュンを見上げた。

「捜しに行かなきゃ。遅すぎるよ」

今にも飛び出して行きそうな彼女の腕を掴み、なら僕が、と言いかけたそのとき、書吏のチュンホとジャンボクが手に下げた灯篭をゆらゆら揺らしながら日月門の方からこちらにやってくるのが見えた。彼等は二人にじき点呼の時刻であることを告げ、大司成様とユ博士がお留守だからって規則破りはいけませんよ、と釘を刺した。

「大司成様とユ博士が留守?」

訊けば、朝鮮の主だった書院の長を集めた会合が開かれるとかで、大寺洞〈テサドン〉まで出掛けているのだという。
何故かちらりと、嫌な予感めいたものがソンジュンの胸を過ぎった。
書吏たちの姿が大成殿の方へと消えると、それを待っていたかのように暗がりから「テムル、カラン」と二人を呼ぶ声が聞こえた。
振り返った二人が見たのは、ヨンハに抱えられるようにしてこちらへ歩いてくる、血の気を失ったジェシンの顔だった。



「い、いったいこれは何の真似ですか!」

開け放たれた東三門から雪崩のように押し寄せてきた官軍兵に、チュンホとジャンボクは揃って仰天した。

「ここは孔子様を祀る成均館ですよ!官軍とはいえ、儒生たちの取り調べなど、許されることでは……」
「掌議の権限で許す」

そう言って彼等の前に進み出てきたのは、ハ・インスだった。

「そこをどけ」
「掌議!」

インスが、指揮官に向かい顎をしゃくる。官軍兵たちは小隊に別れ、一斉に館内に散っていった。
官軍の立ち入りは清斎はおろか明倫堂、尊経閣にまで及び、その捜査は横暴を極めた。
寝ていた儒生たちを追い立て、部屋中をひっくり返し、尊経閣においては貴重な書物も次々と乱暴にはたき落とされ、踏み荒らされた。

有り得ないことが起こっていた。
たとえ王であっても侵すことの出来ない神聖なる成均館が、官軍の手によって蹂躙されている。
書吏たちは為す術もなく、この世の終わりのような顔でくたくたとその場にへたり込んだ。

官軍がここまでするのには理由があった。彼等は負傷した紅壁書を捜しつつ、金縢之詞のありかも内密に探るよう指示を受けていたのである。
四人衆が金縢之詞を見つけていたとしたら、宮殿に運び込まない限りこの成均館のどこかに隠しているはずだと、インスは確信していた。


ジェシンの手当ての間、一人、東斎のヨンハの部屋の前で所在なげに佇んでいたユニは、周囲の只事でない騒ぎに背筋が冷えるのを感じた。
官軍がここまで乗り込んでくるなんてあってはならないことだが、今は防波堤となる大司成やユ博士がいない。頼みのチョン博士も、朝から王に呼ばれて宮殿へ行ったままだ。
なんてこと、とユニは自分を殴りたくなった。あのハ・インスなら、この機を逃すはずはない。
よりによってこんな時に、こんな騒ぎを起こすなんて。

宗廟からユニを連れ出したときのソンジュンの青褪めた顔の意味が、今更ながら腑に落ちた。
ジェシンは、下手をすると殺されていたかもしれない自分の身代わりになったのだ。

「キム・ユンシク」

はっと顔を上げたユニを、掌議ハ・インスの冷ややかな視線が貫いていた。
その背後には、官軍兵を従えている。
紅壁書を追う者たちの手は、ついに彼の喉元を捕らえようとしていた。





*************************************
あまるですどうもこんにちわ。

このところアホかと言いたくなるくらい仕事が立て込んでおりまして、更新が遅れました。
申し訳ないです。
おまけにシステムの都合で社内でワタクシだけ年末ぼっち出勤が確定。ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!
いっても3~4時間くらいだからまぁいいけどさ……ぐすん。何のイジメだコレ。

それはさておき。
なんとなくモヤッとしているドラマソンスのラストや、折良くよこちょん様から情報をいただき視聴したディレクターズ・カット版なんかで、今後の当ブログの方針(って言うのもなんか大袈裟ですが(笑))についてイロイロ考えまして。(完全版でカットされてた未公開シーンを入れるかどうかとか、ラストをドラマに忠実にするべきかとか……)
ノベライズなんて大風呂敷広げた手前、最後まで本筋からブレちゃいかんのじゃないかとかなり悩みましたが、もともとここは単なる一個人が好き勝手にやってるブログですし(爆)そこまで気負う必要はないだろうという結論に至りまして、やっぱ自分の書きたいように書くことにしました。☆-(ノ゚Д゚)八(゚Д゚ )ノイエーイ←開き直り?

未公開シーンはあまるが個人的に書きたいと思ったシーンだけ追加、ラストも若干、ドラマとは違ったものになると思います。ご不満の向きもあるかとは思いますが、何卒ご理解いただけましたらば幸いです。


ではでは、いよいよ年の瀬も迫り、寒くなってまいりました。あまるの周囲は風邪っぴきがウヨウヨしてます。皆様もどうかお体ご自愛ください~。




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2013/12/03 Tue. 11:36 [edit]

category: 第十九話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

cm 12  tb 0 

コメント

Re: p*a**さま

真剣に読んでくださってありがとうございます~(^^)
映像の方は人それぞれいろんな見方ができますものね~。
ドラマ再見の際に「ここでこんなこと考えるヤツもいるんだなー」と当ブログをちろっとでも思い出していただけたら、ワタクシにとってこんな嬉しいことはないです。

いやもう、終盤に入ってからペースが落ちる落ちる(^^ゞただでさえ亀更新なのに。
もう暫くおつきあいのほど、よろしくお願いします~。


あまる #- | URL
2013/12/15 02:22 | edit

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

# | 
2013/12/13 21:02 | edit

Re: あらちゃんさま

家族の妨害行動(笑)は確かにありますが、まー一人暮らしでもしない限り逃れる術はないですなー。
そうしてまた深夜にぽちぽちキーボード叩いている自分……(^^ゞ

いくら兵曹判書の息子だからって、インスに官軍を動かす権限は無いとワタシも思うんですけどね。
ウギュが兵曹ってとこを独裁者みたいに支配してて、完全に私物化してたとしか。

とんでもないドツボってどんなんだろ(笑)早く抜け出せるといいですね!

あまる #- | URL
2013/12/09 00:52 | edit

更新ありがとうございます

お忙しい中精力的に更新していただけて感謝!感謝!です。

個人的にとんでもないドツボにはまってしまい、抜けられません。
年末だというのに、掃除も年賀状もうっちゃり、毎日毎日何やっているんだろう・・・ラミーとバッカスAnniversaryだけがすごいスピードで消費されていく・・・
我が家は今、スペックとあまちゃんに占領されているので、その影響もあり集中できないのかな?あまる様にだって家族の妨害行動はあったでしょうに。ずっと続けてこられたあまる様にほんとに頭が下がります。

いつも思うのですが、ハ・インスのやってることって許されることなのでしょうか?父親の役職における権限は息子には関係ないですよね。でも兵曹の人がインスの言うこと聞くんだから、そこが身分の違いってやつなのかしら?不思議です。

お体にお気をつけて、不要な風邪など召しませんよう!気力、体力勝負ですm(_ _)m

あらちゃん #- | URL
2013/12/07 17:11 | edit

Re: みあるさま

この時期、忙しいのは自分だけじゃないんでしょうけども、疲れるとついついボヤいてしまいますワ(^^ゞ
やっぱトシかしら(笑)

今更ですが、なんかワタシもドキドキしてきました。好きなように書くどー!と宣言しときながらしょーもないラストになって皆様を激怒させたらどーしようかと(笑)
そうならないように気合い入れて書かせていただきます!

お引っ越しとはこれまた大忙しですね~。お気遣いありがとうございます。お互い無理せず元気に乗り切りましょ~(^^)

あまる #- | URL
2013/12/05 01:47 | edit

Re: ねーさま

ワタクシの我儘に、温かいお言葉をありがとうございます(T_T)ダァ~

「ひげソンジュン」ですね。了解しました!(`・ω・´)ゝビシッ!
あまるが書くとちょっとエロくなる可能性がなきにしもあらずですが……(爆)

あまる #- | URL
2013/12/05 01:27 | edit

Re: よこちょんさま

> 無理やり入れて下さったのかしら f^_^;)

いやそんなことはっ!(笑)よこちょんさんから教えていただくまでは、どーしようかとホントに困ってて。
誰かの葬式に行ってるということにしようかとか、例によって勝手に捏造するつもりだったんですよ~。
完全版では、いきなりとってつけたような「留守」に見えたので……。
でも事情がわかったお陰で、恥かかずに済みました。ありがとうございます~(^^)

ところでTBSでディレクターズ・カット版の放送ですか!一話一時間じゃ収まんないと思うけど、そのままの枠で放送するんでしょうかね?それともシンイみたいに話数を増やして時間調整?うむむ~

書きたいように書け、とのありがたいお言葉、胸に沁みます。( ;∀;) ジーン
ご期待を裏切らないよう頑張りますー。

あまる #- | URL
2013/12/05 01:16 | edit

Re: めぐめぐ さま

イエイエこちらこそ、師走のお忙しい中お越しくださいましてありがとうございます(^^)

四人衆のその後は、シーンとしてはすごく短いものだったので、ほとんど想像するしかないんですけど、それでもいまいち納得しきれないものがイロイロと(笑)
ウチのブログは番外編でユニとソンジュンの進む方向をなんとなくですが書いちゃったので、それと繋がるような感じにしたいなーと思ってます。ラストまでヨロシクお付き合いいただけると嬉しいです(^^)

あまる #- | URL
2013/12/05 00:49 | edit

楽しみです!

こんばんは。お仕事で、お忙しい中の更新ありがとうございます。

本当にラストに近づいていますよね~!!
幸せなラストと分かっていながらもやはりドキドキしますね。

あまるワールドのラストとはどんなのでしょうか?
きゃ~!!ワクワクします!
私もいろいろ妄想していますが、文章力抜群のあまるさんならではのお話期待して待ってま~す!

私も主人の仕事の都合で引っ越すことになり、年末年始は大忙しですが、あまるさんもお身体ご自愛くださいね~

みある #qsvP4ThM | URL
2013/12/04 18:25 | edit

いよいよ

お忙しい中、ありがとうございます!
ついに19話、そろそろラストが見えてきましたね。
あまる様のペースで、書きたいようにお書きくださいませ。
それを楽しみにしています。

あ、でも、ラストの「ひげソンジュン」がひそかに好きなので、
ストーリーは違っても、ひげは生やしててほしいなーなんて。

ねー #- | URL
2013/12/04 01:39 | edit

あまるさま☆こんばんは

いよいよ19話突入ですね!
さすが、あまるさま!台詞や心情・場面の描写で、ぐっと緊張感が高まってきますね。
大司成が留守にしていることを知ったソンジュンの描写とか、波乱の展開を予感させてドキドキしました。大司成の行先が織り込まれていて嬉しかったです~
無理やり入れて下さったのかしら f^_^;)

来年1月からTBS韓流セレクトで「ディレクターズ・カット版」が放送されるそうです!
でもまだ見ていない「ポゴシッタ」がよかったんですけど~( ̄3 ̄)

私はあまるさまの筆による、ラストに向けてのドラマが楽しみです♡♡
思う存分書きたいように書いちゃって下さいませ♪♪
きっと素敵な物語になると思います(#^.^#)

あっという間に12月・・・あ~モツ鍋食べたいっ!(≧∀≦*)
お忙しいあまるさま、どうぞご自愛なさって下さいね。

よこちょん #- | URL
2013/12/04 01:20 | edit

忙しい中、更新ありがとうございます(。>д<)
私もドラマのラストには言いたい事があるので、あまるさんのオリジナルをぜひとも読んでみたいです(^o^)

めぐめぐ #- | URL
2013/12/03 13:42 | edit

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