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第十八話 7 追跡 

bandicam 2013-11-05 18-45-16-585

****************************



「イ・ソンジュンは、人を驚かす才能があるな。普段、あんなに冷静で周到な奴が……まだ信じられんよ」

ヨンハが、溜息まじりに呟いた。
ソンジュンはユンシクを追って賭場を出て行ったきり、戻らない。
あの二人には辛いだろう。正直、ユンシクにもソンジュンにも、掛けてやる言葉すらヨンハは見つけられないでいた。

「尊敬してた父親に背を向けるってことだろ。まさに死に物狂いで。父親を憎んで生きるのは地獄だ。───お前なら、わかってるだろうけど」

聞いているのかいないのか、傍らのジェシンは何も言わず、ただ指先で将棋の駒を弄んでいる。

ジェシンは死んだ兄のために、ソンジュンはユンシクのために、自ら地獄を歩むことを選んだ。
自分には似合わない真似だからと、放って置けるか?こんな、馬鹿な奴らを。

先刻のインスに向かい、ヨンハは胸の内でそう問う。
あの男には決して理解できないだろう。誰かのために馬鹿をやらかす者の気持ちなど。
そして、そんな馬鹿な奴らに、ほんの少しの羨望と共に惹かれる者の気持ちも。

ばらりと、硬い音が響いた。ジェシンが、弄んでいた将棋の駒を薙ぎ払ったのだ。
どうにも出来ない苛立ちが、彼の面輪に滲んでいた。

ややあって、静かに開いた扉の影から、ソンジュンが姿を現した。
「テムルは?」とヨンハが尋ねると、ソンジュンは僅かに俯き、「戻りました」と言葉少なに答えた。
ヨンハはそれ以上は訊かず、空気を変えるようにさて、と立ち上がった。

「ここの女将の話だと、ユン参軍は今夜にも都を離れるらしいぞ。金づるを掴んだのか、借金を精算してったそうだ」

ぱっと顔を上げたソンジュンは、急に目が覚めたような顔でヨンハを見た。

「何処へ行くと?」
「隠れ場所をわざわざ教えたりするもんか。ただ、東へ向かうユン家の荷を見たって奴がいる。恵化門〈ヘファムン〉か興仁之門〈フンインジムン〉に張り付いてれば捕まえられるかも……あっ、おいカラン!」

皆まで聞かず、ソンジュンは身を翻して賭場を飛び出して行った。すかさず、ジェシンがその後を追う。
花の四人衆の鉄砲玉は、どうやらジェシンだけではなかったらしい。ユン参軍はとりあえずあの二人に任せることにして、ヨンハは嵐が去った後のような賭場を見渡した。いったい、ここを元通りにするには女将にあといくつのノリゲを献上すればいいだろうと思いながら。


*   *   *


楼閣から見下ろす王宮は、濃い闇の中に溶け込み、静まり返っている。日中であれば、右手奥の辺りに槐の葉陰から僅かに覗く宣政殿〈ソンジョンジョン〉の青い瓦屋根が見えるはずだが、今はその位置すら定かではない。

吹き抜ける風が木々の葉を揺らし、さざ波のような音をたてた。束の間目を閉じた王は、己の立つ楼閣が渺々たる大海にぽつんと浮かぶ小舟のように思え、無意識に欄干を握り締めた。
今は凪いでいるがこの海は、いつ荒れ狂うとも知れぬ恐ろしさを秘めている。ひとたび風が吹けば、こんな頼りない小舟に乗る自分など、たちまち飲み込まれてしまうだろう───。

王は目を開けた。眼下には、葉をいっぱいに繁らせた槐の木々が確かにあった。彼は更に目を凝らした。この季節、学者の樹とも呼ばれるあの大樹には、大豆のような実がたわわに実っているはずだった。その莢の一つ一つに、次の若木となる種が詰まっていることを、王たる自分は決して忘れてはならないのだ。

「───学生たちは、密命を解けたのだろうか」

静かに尋ねた王に、傍らに立つチョン・ヤギョンが答えた。

「いまだ私に助けを求めに参りませんので、順調のようです」

王は闇に沈む後苑を見据えたまま、微かに頷いた。

「余にはあの文書が、博士キム・スンホンの最後の課題のように思えてならぬ」

課題、と反芻して、ヤギョンは言った。「我々に、何かを教えようとしていると?」

「“学問の向かう先”、“国の始まる所”……キム博士は、何を教えたかったのだろう。ぜひとも知りたいものだ。そうは思わぬか、チョン博士」

恐らくはその課題が解けなければ、何度都を移そうと無意味だ。
学問の目指すべきその先、そして博士キム・スンホンが夢に描いた国の姿とは、いったいどんなものだったのか。
あの若者たちが密命を解いた時に、それが明らかになる。王には、そんな気がしてならなかった。


*   *   *


ソンジュンがユン・ヒョングをようやく見つけたのは、背中に荷を負った奴婢や驢馬を引き連れたヒョングが今まさに恵化門を出たそのときだった。

借金の返済に追われることがなくなった開放感からか、鼻歌など歌いつつどこか浮かれた足取りで歩いて行くヒョングを、ソンジュンが足早に追う。
彼の手が、ヒョングの肩を捕らえようとした瞬間、だった。「ひいっ!」と甲高い叫び声を上げて、目の前のヒョングが地面に尻もちをついた。
見ると、傍らの木に一本の投剣が深々と突き刺さっている。ソンジュンが驚く間もなく、城壁の上から黒ずくめの賊が音もなくヒョングの前に降り立ち、その行く手を塞いだ。

事態を悟ったソンジュンは咄嗟に、腰を抜かしているヒョングを押しのけて前に出た。賊の振りかざしてくる太刀から身をかわし、必死に攻撃を防ぐが、相手の動きは官軍やそこらの私兵とは比較にならぬほど俊敏だった。武器を持たないソンジュンが苦戦を強いられていると、相手との僅かな間合いに風のように滑り込んできた男がいた。
男は敵の太刀をかわし、ほんの一呼吸ほどの素早い動作で相手の腕を捻り上げると、その手から太刀をはたき落とした。

「頭でっかちの割には足が速いな。追っかけるのも一苦労だった」

肩越しに見せた横顔でそう言ったのは、ジェシンだった。

「コロ……先輩」

一瞬、茫然としたソンジュンの目前で、賊はジェシンの腕を振り払い、身を翻した。逃げるその背中を、ジェシンが追う。2つの影が夜の闇に消えるのを見届けてから、ソンジュンは振り返った。足音を忍ばせて立ち去ろうとしていたヒョングの襟首を、がっちりと捕まえる。

「……見つかっちまったか」

反吐が出るほどいやらしい顔つきで、ヒョングが笑った。





***************************************
あまるですどうもこんにちわ。
前回の更新から、ちょっと間が開いちゃってスミマセン。
リアルお仕事が忙しく、なかなか書く時間がとれなかったのもありますが、ドラマ本編も終盤になってくると脚本もムリクリ詰め込んだ感がアリアリで、大胆に飛んでる場面と場面をつなぐのに相当難儀してました(^^ゞ
……ってなんか言い訳になっちゃいますけども(笑)まさかこんな試練が待ち受けてるとは思わなんだ。

そんなワケで、ここら辺りからドラマでは見覚えのないシーンやセリフが若干増えてくると思いますが、細かいとこなのでこれまでみたく都度ウソ警報の発令はいたしません。何卒ご容赦くださいマセm(_ _)m





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2013/11/05 Tue. 18:51 [edit]

category: 第十八話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: soumama さま

ホント、いきなり寒くなりましたね~。そろそろコタツ出すべきカシラ。
ほんの一ヶ月前はまだ半袖着てたのに(^^ゞ

イガクもユヒョンもジョンウも好きなんですけどね。やっぱりソンジュンに戻ってきてしまうという(笑)
わかりますわかります(゚ー゚)(。_。)ウンウン
とかいいつつ、本日の更新はまたしてもオクセジャだったりするんですが。
今日明日の二連休の間に、ソンス本編も更新できたらいいなー。←あくまで希望

いつも読んでくださってありがとうございます(^^)
soumamaさんも風邪などひかれませんよう、あったかくしてくださいね~

あまる #- | URL
2013/11/12 18:09 | edit

寒くなってきましたね。

あまる様、こんばんは。
寒くなってきましたね。
体調はいかがでしょうか?

私も、仕事に忙殺されており、
毎日があっという間に過ぎていきます。
借りていた「屋根部屋のプリンス」も放置状態。
やっと、1か月ぶりに続きを見て、最終話で涙目になってました。
切なすぎます。

やっぱり、ソンジュンの不器用で真面目なとこが、好きです。
そして、思慮深くて冷静な感じなのに、無鉄砲なとこも。
あまるさんのお話を読んでいると、その場にいて、
覗いてみているような、そんな気持ちになります。
お話の続きを楽しみにしています。










soumama #- | URL
2013/11/11 01:03 | edit

Re: じゅさま

コメありがとうございます~(^^)

ソンジュンも結構武闘派なハズなのに手こずってたとこ見ると、チョソンは相当な使い手なんでしょうね~。
で、更にその上を行くのがコロだと(笑)
あの格闘シーンは最初から最後までずっとソンジュンがびっくり顔だったのがなかなか笑えました←そこ?

笠キスといい、エレベーターキスといい、当時の恋人同士にあの笠はジャマだろう、ってソンスの脚本家さんも常々思ってたに違いありません(笑)

あまる #- | URL
2013/11/11 00:32 | edit

こんにちは。
あまるさんのお陰で映像が鮮明に目に浮かんで、改めて4人それぞれに惚れ惚れしてます♡
このお話の格闘シーンも好きでした♩

で・・・今更ですが・・・
笠・・・邪魔ですよね(笑)
思ってた事が前のお話の最初にあって笑ってしまいました〜。
ちなみに、アラン使道伝でも同じ事思ってましたσ(^_^;)
昔の人は抱きしめるのにも一苦労ですよね〜。

じゅ #- | URL
2013/11/10 02:52 | edit

Re:みあるさま

コメありがとうございます(^^)

映像で見るとさほど違和感はないんですけど、あのまんま文章にするとすっ飛ばし感が半端なくて(笑)
まーワタクシが力不足で上手いことまとめられないっていうのもあるんですが(^^ゞ

18話以降は、実はあまるもまだ2回くらいしかDVD見てないので、どんな風に書くか模索中です。
特にラストはイロイロとモヤッとするとこもあったので……。
でもノベライズもどきと銘打ってるからにはドラマに忠実になるべきかと迷ったり。
うう~ん。悩みどころです。

シンイも放送がだんだん終盤になってきました!二次創作がすごいアツいのもわかる気がします。
萌え要素はタップリあるのに、寸止め食らってるカンジで、もーこの物足りなさを何処へ持っていけばいいの!と悶え苦しんでおります(笑)
隊長かっこいいですよね~。ヒロインに敬語、っていうのも激しく萌え(爆)

「その冬~」は正統派メロドラマっていうのかなぁ。ソン・ヘギョの可愛らしさは今更言うまでもないですが、チョ・インソン氏の濃ゆーい演技とちょっとププッと笑ってしまうファッションが堪能できますよ~。
あと、脚本が素晴らしいです。印象に残るセリフがいっぱいありました(^^)

あまる #- | URL
2013/11/10 00:51 | edit

ご無沙汰しています。お仕事大変な中更新ありがとうございます。

それにしても、ドラマを観ていたときは無理やりつないでいる感じは全くなくて2人はどうなるんだろう・・・。せっかく2人の気持ちが通じ合ったのにぃ~って先が気になって早く最終回が見たいような、終わってほしくないという気持ちが入り混じって、夜更かしして観ていましたが・・・。
これからあまるさんの世界が時折入ってくるんですね(*^_^*)
 
この辺りのシーンはせつなくなるシーンが多いので・・・。(先がわかっているから安心して読めますけどね(^^♪)

一気に読んだので前の記事になりますが、シンイは観ました!2次ブログもすごいですね。確かに面白くてイ・ミンホさんがかっこよかった!王妃は、きれいですね~!でもラストが物足りなかったかな・・・?このドラマも最後がバタバタと詰め込んで終わったという感じがして終盤盛り上がってきただけに残念でした。 「その冬 風がふく」はまだ観ていませんが、あまるさんお勧めなら「Dr.Jin」より先に観ようかな(笑)

みある #qsvP4ThM | URL
2013/11/08 19:51 | edit

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