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第十八話 4 学問の向かう先、国の始まる所 

bandicam 2013-10-14 02-04-11-576

*******************************



翌朝早く成均館に戻ったユニは、その足で薬房へと向かった。診療簿の整理なのか、机に向かい書き物をしていたチョン博士は、ユニの差し出した亡き師の講義録を見、目を瞠った。そしてそれを感慨深げに開くと、中を丹念に読み始めた。

「……一つ、気になることがあるんです。父が、暗号文を使って金縢之詞を隠したのは、もしかしたら、予感していたからではありませんか?誰かが、金縢之詞を奪うために父の命を狙うと……」

チョン博士は頁を繰る手を止め、顔を上げた。

「そうだな。元はといえば、先王によって宗廟に収められていた金縢之詞を、連中から遠ざけ月出山の道岬〈トガプ〉寺に移したのも、師匠だった」
「なぜそんな危険なことを……?」
「金縢之詞が、新たな朝鮮を開く鍵だと信じたからだ」

そう言うと、チョン博士は手元の講義録に目を落とした。

「才能豊かな娘に機会を与えたい───そう思ってきた師匠にとって、金縢之詞は命懸けで守るべき希望だったはずだ」

それでは、お父様は私のために金縢之詞を守り、命を落としたということ───?

ユニは改めて、己の罪深さを思った。自分が学問に興味を持ったりなどしなければ、父は娘のために世の中を変えようとは思わなかったはずだ。
こんな、父の心も知らぬ親不孝な娘のために。
こうなるとわかっていたら、学問なんか続けられなくても良かった。父の命に変えられるものなど、この世にありはしないのに……。


*   *   *


その夜、貰冊房の地下工房跡に集まったソンジュン、ジェシン、ヨンハの前に父の文書を広げ、ユニは言った。

「金縢之詞は成均館にあります」

ヨンハが驚いて身を乗り出す。

「何?成均館にだって?」

ユニは頷くと、文書の文字を指で辿った。

「この文書の“成人材之未就”とは、人材を使い、国を作り上げること。“均風俗之不斎”は、民を均一にすること……。これは、辞職願でも、詩でもなかったんです。ここを、見てください」

行頭の二文字を指し示す。ソンジュンとジェシンも揃って文書を覗きこんだ。

「“成“と”均“……。そうか、これは成均館を示してたのか。でも、いきなりどうしたんだ?よくこの意味がわかったな」
「成均館がその名に相応しい機関となるよう、博士キム・スンホンは強く願っていました。南山村の家で、父の講義録を見たんです」

言いながら、ユニはソンジュンの視線を感じたが、そちらを見ることはできなかった。
俄然元気になったヨンハが、ぱちんと指を鳴らす。

「なるほど。これでつながったな。成均館のどこか───学問の向かう先、国の始まる所に、金縢之詞がある。それじゃ、まずは成均館の配置図探しだ」



早速、尊経閣で成均館の配置図を探し始めた四人だったが、これがなかなかに骨の折れる仕事だった。
成均館内の建物は初めから今の配置で建てられたわけではなく、過去に何度も増改築や移築を繰り返しているせいで、現在の姿が一枚にまとまった配置図というものが存在しないのだ。
かなりの枚数に及ぶと思われる図面のそれぞれの年代を割り出して、自分たちでつなげていくしかない。

深夜、ヨンハとジェシンが部屋に戻った後も、ユニは尊経閣に残って図面の整理をしていた。
清斎の図面が一部抜けていることに気付き、書架を探す。だが成均館の配置図など、めったに人の目に触れるものではない上に、年代物である。大抵はユニの手が届かないような、棚の一番上に押しやられているのだ。

きっとあれだ、と当たりをつけた図面らしき書類に、爪先立って手を伸ばす。なかなか届かなくて苦労していると、横から難なくそれを取ってくれた手があった。
無言で図面をユニに差し出したのは、ソンジュンだった。

ありがとう、と礼を言いながら、同じことが前にもあったのをユニは思い出した。
ソンジュンが成均館に復学したときだ。振り向いたら、彼がそこにいて。驚いたけれど、以前のままの、堅苦しくてちょっと尊大で、自信たっぷりのイ・ソンジュンで、嬉しかった。

あれからまだいくらも経っていないというのに、今のユニはあのときのように、真っ直ぐに彼の瞳を覗き込むことができない。
ソンジュンを恨んでいるからではない。恨むことなどできやしない。
自分を見つめる彼の瞳がただ切なく悲しげで、胸が酷く痛むのだ。

ソンジュンは黙ったまま、ユニの右手を取った。そこにあるはずの指輪がなくなっていることに、彼は気づいたようだった。

「……外すべきだと思って」

胸が、またひりひりと痛んで、ユニは右手を袂の中に隠した。

「ぼくは、ずっと父に見向きもされてないと思ってた。でも実際はぼくの方が、父を見ようとしてなかったんだ。だから、絶対に見つけたい。どうして父が、そこまで金縢之詞を必要としたのか、知りたいから」

ソンジュンは何も言わない。だが彼がじっと自分を見つめていることはわかった。あの、切なく悲しい瞳で。

「ぼくは、長い間父に寂しい思いをさせてきた。もしかしたら、今回が最初で最後の、父を理解できる機会かもしれないから、だから……」

ソンジュンの親指が、そっとユニの頬に触れ、涙を拭った。ユニはそのとき初めて、自分が泣いていたことを知った。

「……いいんだ。もう無理しなくていい。よく、わかったから」

静かな、優しい声だった。胸が詰まって、ユニはそれ以上何も言えなかった。

「約束する。金縢之詞は、必ず捜し出してみせる」

ユニと目が合うと、ソンジュンは微かに笑った。
きみの気持ちはわかっているからと。僕のために、心を痛めることはないと。
彼の微笑みは、ユニにそう語りかけていた。

涙でぼやけた視界の中で、ソンジュンの背中が書架の向こうに見えなくなる。ユニは歯を食い縛り、彼が尊経閣を出て扉を閉めてくれるのをひたすら待った。喉にせり上がってくる嗚咽を堪らえるのは、どう頑張ってもそこまでが限界だった。





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あまるですどうもこんにちわ。

こんなとこで何ですが、いつも拍手コメくださる*な**ら☆さん、総拍手数のカウントありがとう~(^^)
10001パチ目とは、いやー惜しかったですね!(笑)
お礼と言うほどのものではありませんが、折角なので1万拍手越えの記念にまたしても妄想拍手ページを中途半端に7枚ほど追加しております。
現在全部で37パターンとなりました。
腐臭漂うページではありますが、苦笑しつつ楽しんでいただければ幸いです。





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2013/10/14 Mon. 02:24 [edit]

category: 第十八話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: 甘*さま

こちらこそわざわざありがとうございます(^^)

リピ10回目突破とは、もう救いようのないほど重症化してますね!(にっこり)
あまるは既に腐敗臭を放ち始めておりますので、まだまだ大丈夫ですよ!←何が

娘さんと一緒にソンス祭りなんて、羨ましい限りです。
ウチは男の子なんで、まったく韓流ドラマには興味を示さず(でもアフタースクールは好きらしい)つまんないったらありゃしません。

18話は最後の心臓破りの坂ってカンジですが(^^ゞここを越えればゴールは目の前なので、もうひと踏ん張り頑張ります。
今後ともよろしくお付き合いください~。

あまる #- | URL
2013/10/19 12:39 | edit

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# | 
2013/10/18 22:02 | edit

Re: あらちゃんさま

このシーンはソンジュンがほんとにせつなくて辛くて、あの仕草と声が優しくて、泣けました。
ユニの前では笑ってても、背中向けたときの表情がめちゃめちゃ痛々しくてもう(T_T)
せっかく渡した指輪もソッコー外されちゃってるし。哀れだ……。
そしてこの後はタコ殴りされてヨガってるソンジュンが控えているという(^^ゞ
こんなブログやってるせいで、いちいちいらんとこまで妄想するクセがついちゃって、そのせいで余計見ててツライのかもしれませんね~。
最終話のヒゲソンジュンに辿り着くまで頑張ります~。

あまる #- | URL
2013/10/16 01:37 | edit

一万拍手おめでとうございます!

>ソンジュンの親指が、そっとユニの頬に触れ、涙を拭った。ユニはそ  のとき初めて、自分が泣いていたことを知った。

こういう、映像を見ているとなにげにスルーしてしまうような細かいところをちゃんと掬ってくださるから、あまる様の描くソンスを私は愛しているのです。見えちゃってるものって、当たり前に漫然と見ちゃって、逆に想像力を働かせることをつい怠ってしまいますよね。ほんと、すごいわ、あまる様。
ドラマから完全にぶっ飛んでしまっている最近の私は襟を正す思いで読ませていただきました。m(_ _)m
メルシー♪

あらちゃん #- | URL
2013/10/15 00:39 | edit

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