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Three Pointed Star 

本日の更新はオクセジャの読み切りです。
秋の夜長向けにしっぽり路線を狙ってみました(笑)



*********************************



シャワールームの扉を開けると、中に立ち込めていた湯気が白い煙になって流れていった。
洗面所のシンクの前にある大きな鏡が、たちまち真っ白になる。
曇り止めのスイッチを入れ、濡れた髪と身体をバスタオルで手早く拭く。
そして下着をつけた私は、そのまま真っ直ぐに、鏡の前に立つ。

もうほとんど儀式みたいになってしまった、いつもの習慣だ。

ヒーターに温められ、きれいに乾いた鏡に映る、私の身体。
その真ん中には、幅25センチほどもある大きな“傷跡”がある。

邸下〈チョハ〉を庇って車に跳ね飛ばされ、死にかけた私を救ったのは、姉、セナがくれた肝臓だった。

300年前の朝鮮からやってきた王世子〈ワンセジャ〉───イ・ガクという人に出会って、彼を好きになって。
一緒に過ごした数ヶ月間は、今にして思えば夢の中の出来事だったような気がするけれど。
この傷跡が、あれが確かな現実だったことを私にはっきりと教えてくれる。

少し首を傾げて、なんとなく傷跡を指でなぞっていた私は、右の脇腹の方に伸びた傷の先が、前より薄くなっていることに気づいた。その分だけ、正面から見ると線が短くなったように見える。

普通は、傷跡が少しでも薄くなれば嬉しいはずなのに、なんだか寂しい気分になっている自分が可笑しくて、ちょっと笑ってしまう。
それほどに、この傷は私の身体の一部になってしまっているのだ。

「───何笑ってるの?」

いきなり背後からそんな声がして、私は飛び上がった。大慌てで引っ掴んだバスタオルで前を隠して、振り返る。
すると僅かに開いたドアの隙間から、テヨンさんが悪戯っぽい顔を覗かせていた。

「テッ、テヨンさん!いつからそこに?」
「さっき。歯磨こうと思ったらきみがもういたから。そのままずっと見てた」

全く悪びれもせずに、そんなことを言う。

「それって覗きって言わない?」
「だね。だってきれいだったから。きみの身体。つい見とれてた」

彼はバスルームに入ってくると、タオルを持つ私の腕に手を掛けて、言った。

「どうして隠すの?」
「だって、恥ずかしい」
「変なこと言うね。いつも見てるのに」
「いつもは、その、暗いし」

ベッドの中とはわけが違う。こんな、バカみたいに明るいところで、しかも背後には鏡まであるのだ。前後からいっぺんに彼の視線を感じて、全身が火照ってくる。

「見せて」
「……はっ?」

あまりにさらりと言うので、つい自分の耳を疑ってしまった。

「ちゃんと見たい。きみのその傷」

返事に困っていると、「……だめ?」と上目遣いの瞳が私を捉えた。彼は多分、知っててやってる。私が、彼にこの“おねだり顔”をされると決して断れないってこと。
彼の長い睫毛が、甘い声が何だか無性に憎らしくなった私は、わざと怒ったような顔を作って、彼を睨みつけた。

「引くでしょ、普通。こんなの見たら」
「どうして。きみにとって大切な傷なんでしょ?」
「えっ?」

驚いた私を、彼の腕が抱き寄せる。私の肩に顎を乗せて、彼は言った。

「知ってるよ。きみが服を着るとき、いつも必ず鏡の前でその傷を確かめてるの。大きな傷だし、最初は気にしてるのかと思った。だけどすぐに、違うってわかった。傷に触れてるときのきみの顔はいつも、すごく優しいんだ。さっきみたいに」
「テヨンさん……」

彼は私を抱き締めたまま、するりとバスタオルを取り払ってしまった。耳元から首筋、そして胸の谷間へと、彼の唇が私の身体に小さな焼印をいくつも残していく。とても立っていられなくて、洗面台に手をついて寄り掛かっていた私は、彼の指がお腹の傷にそっと触れたとき、思わずびくりと全身を震わせてしまった。

「……誰かに自慢したくなるな。僕の彼女は、メルセデス・ベンツだって」

身体の中心から三方に向かって伸びる生体肝移植の手術痕は、ドイツの高級車のエンブレムにたとえて、“ベンツマーク”とも呼ばれる。
2年前の手術の後、担当の医者が教えてくれたのを思い出した。

「それ、なんかエッチっぽいから人に言うのやめてね」

くす、と彼は笑って、「言わないよ」と私を見上げた。

「───姉にも、同じ傷があるの。私が事故にあって、肝臓を移植しなきゃいけなくなったとき、ドナーになってくれたから」
「うん」
「だからこれは、私と姉との絆みたいなものなの。一生消えない、消したくない、絆」
「うん……」

同時に、邸下との絆でもあることは、言わなかった。

「きみはきっと、世界を征服するよ。知ってる?ベンツマークはスリー・ポインテッド・スターっていって、陸・海・空の頂点に立つことを意味するんだ」
「そうなの?」

私には猫のクチにしか見えないけど、と言うと、彼はそれも可愛くていいねと笑った。
彼の唇が、小さなキスを繰り返しながら愛おしむようにゆっくりと傷のラインを辿って行く。身体の震えは、熱いうねりに変わり私の深部を徐々に焼き始めた。

「あ……」
「鳴いて。猫みたいに」

熱を孕んだ声で、彼が囁いた。肌がざっと泡立って、私はまた震えた。
下着の上から、私の中心を優しく愛撫する彼の指。
恥ずかしさはとうに消えていた。ぶしつけなほど明るい照明が、絡み合う私たちを淡々と映し出す鏡が、逆に強烈な刺激となって思考を奪おうとする。

目を閉じた私の脳裏に見えたのは、銀のベンツマーク。
三つの光を放つ、スリー・ポインテッド・スター。


いつか彼に、あの人のことを話そう。

この傷ごと私を愛してくれる彼に、私が出会った彼の前世を。
あの、不思議な出来事を。

私たちの出会いは、決して偶然なんかではなかったのだと。


重ねた唇が、濡れた髪を通して感じる彼の手が、熱い。
どこまでも続く深い夜の中で、私は彼を強く抱き締める。


二度と、消えて行かないようにと願いながら。






FIN




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2013/10/04 Fri. 01:00 [edit]

category: Three Pointed Star

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

cm 4  tb 0 

コメント

Re: v***sさま

いえいえこちらこそ~。お越しくださいましてありがとうございます(^^)

ワタクシも頻度でいえばJYJより過去のトン時代のPVとか動画なんかを見る方が断然多いです。
やーどっちのゆちょもステキなんですけどもね(笑)

コチラのブツは好き勝手に書いてるものばかりなのでお見苦しくなること必至ですが(^^ゞ
楽しんでいただけると嬉しいです。また遊びにいらしてくださいね~。

あまる #- | URL
2013/10/10 21:47 | edit

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

# | 
2013/10/09 21:56 | edit

Re: harurunさま

コメントありがとうです(^^)

テヨンはホントのところどーいう人なのかドラマではあんまり描かれてないので、
結構想像の部分が多いですけども(^^ゞ
イガクから王世子の責任とエラソーなとこを無くしたらあーいう感じになるのかなァ、とか……。
後半のパクハへのまめまめしさを見るに、ぢつはチョハはかなりの恋愛体質だと思われます(笑)

テヨンだったらオムライスくらい器用に作ってくれそうな気がするなー。

あまる #- | URL
2013/10/05 00:46 | edit

テヨン★

おはようございます(^o^)

オクサジャですね♪チョハも好きですが、何となくテヨンloveなんですよね。
ちょっと控えめだけどストレート。素敵(*^^*)
ぜひ幸せになるテヨンさんのお話お願いします。

harurun #BJfyOLl6 | URL
2013/10/04 08:25 | edit

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