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進撃のオムライス 

本日の更新は『屋根部屋のプリンス』です。

……怖れていた事態が起きました。
ソンスの17話を書き上げた途端、なんかもう終わった感がヒシヒシと(^^ゞ
やばい、これはいかんと自分に喝を入れつつガクちん書きました。(なんでや)

時期的には8話あたりのお話です。
イガクがまだセナ追っかけてて、でもなーんとなくパクハのことも気になり始めてる頃。
パクハはイガクに「会いたい人がいる」とこの時代に来た理由を聞かされて、かなり切ない状況。
ラブラブもモチロン好きですが、このへんの微妙な二人も実は無性に好き(^^)


*************************************


ある日のこと。

「あんたたちってさぁ……」

皿を置くなり、餌を待ち構えていた犬の仔のようにオムライスをがっつき始めるイガク、ヨンスル、チサン、マンボの四人を見て、パクハは深い深い溜息をついた。

「そればっかり食べてて、飽きないわけ?」

「馬鹿を申すな」とイガク。
「全然」とスプーンを無心に口に運びつつ答えたのはヨンスル。
「まったく」と頷いたのはマンボ。
チサンは、ケチャップのついた口の中いっぱいにバターライスを詰め込んでいるので、返事の代わりに、ビシっと彼女に向かって親指を立てた。(なんだか最近、一人前に仕草まで現代人っぽくなってきた)
大昔の人間だから無理もないが、保守的といえばこれ以上ないほどコンサバな彼等である。

「……私は飽きた」

ぼそりと、パクハは言った。

「飽きた!もーやだっ!オムライスなんて見たくもないっ!暫く作んないから!」
「───そなた」

一粒の米も残さずきれいに平らげた皿の上に、イガクが静かにスプーンを置いた。

「誰に向かってそのようなことを?」

すかさず、まだ皿を抱えたままのマンボが言う。

「左様にございますぞ、パッカどの。奥女中の身で、畏れ多くも世子邸下〈セジャチョハ〉ご所望の夕餉を作らぬなどと!」
「誰が奥女中よ!」

四人の男たちが、一斉にパクハを指差す。
そして例の如く、アレが始まるのだ。

「この家は誰の家だ?」
「……邸下です」
「そなたの立場は?」
「……居候です」
「わかっていればよい」

イガクはにっこりと満足気に笑って、席を立った。手を後ろに組んで、ちろりとパクハを見下ろす。

「明日も頼むぞ。おおそうだ、冷蔵庫のけちゃっぷが切れる頃だろう。買っておくように」
「なんと!それは一大事。頼みましたぞ、パッカどの」
「では、我々はこれにて」
「ごちそうさまでした」

そりゃあこれだけ連日オムライス漬けでは、流石のハインツ業務用1.25kgトマトケチャップも太刀打ちできない。
いっそ毎日ケチャップだけ飲んでれば?!と言ってやりたいパクハだったが、階段を登っていくイガクら四人の背中を、唇を歪めて睨むだけに留めた。

彼等の言うとおり、今となっては自分は惨めな居候の身。イガクの臣下ですらないから、この屋根部屋〈オクタッパン〉では最下層の身分だ。夕食の献立くらいで目くじらを立てられる立場ではない。
ほんのちょっと前までは、路頭に迷っていた彼等を保護し、仕事まで与えてやっていたのは自分の方だったというのに、見事にひっくり返されてしまった。

───なんか、ムカつく。

むっつりとした顔でテーブルの皿を片付け始めたパクハはふとあることを思いつき、にんまりと笑った。
あっという間に機嫌を直した彼女は、鼻歌まで歌いながら、重ねた皿を手にキッチンへと向かったのだった。


*   *   *


翌朝。

「こっ……これは……!」
「美味しそうでしょ?自信作よ」

上機嫌なパクハとは対照的に、イガクら四人は顔面蒼白で、目の前に置かれた皿を、いや正確に言うと皿に盛られたオムライスを見つめた。
パステルピンクの皿の上には、彼等の愛してやまない、目にも鮮やかな黄色いふわふわ卵。だがあろうことかその上に、茶色い液状の物体がどっぷりとかけられ、見るも無残な有り様になっているではないか。


om.jpg
※画像はイメージです




「今朝はケチャップが無かったから、代わりにこれで我慢して。でもこっちのが美味しいから、食べたら病みつきになるかもよぉ」

ミネラルウォーターをグラスに注いでやりながら、うふふと笑う。と、イガクの拳がテーブルの上で激しく音をたてた。
飛び上がった臣下三人が、主を見つめる。世子の肩は、わなわなと震えていた。

「なんということだ!余の……余のおむらいすの上にビチ……」
「「「わ───っっ!!!!」」」

叫ぶや、臣下三人がいちどきにイガクに飛びついた。はずみで彼は椅子から転げ落ち、床の上にひっくり返ってしまった。

「何をする!無礼だぞそなたら!」
「なりません邸下!それ以上は放送禁止ですっ!」
「世子様の尊い御口が汚れます!」
「ええぃ放せっ!そなたらは許せるのか!この、この女は無礼にも余にこんなものを食せと言っておるのだぞ!」

くんずほぐれつの騒ぎになっている四人の男たちを見下ろし、パクハは憮然として言った。

「こんなものって何よ。食べ物を粗末にするとバチが当たるんだからね!」

一人さっさと椅子に腰掛け、スプーンを手に取る。途端に男たちは凍りついた。

「お腹すいちゃった。バカは放っといて食べよっと。いただきまーす」
「ひいぃぃぃぃ!!!!!」

叫ぶ臣下三人。イガクは口元を抑えて吐き気を堪えている。パクハはそんな彼等を尻目に、オムライスを一匙掬うと、ぱくりと口に入れた。

「あー美味しい」

水を打ったように静まり返る室内に、パクハが皿の上で時折たてるスプーンの音だけが小さく響く。
ごくりと唾を飲み下して、マンボが言った。

「邸下、何だか本当に美味そうにございますぞ」

くんくん、とヨンスルが鼻をひくつかせる。

「それにこの匂い……不思議と腹が鳴りますな」
「もう我慢できない。いただきまーす!」

真っ先にテーブルに戻ったのはチサンだった。その後を追うように、マンボとヨンスルも席に着く。
恐る恐るオムライスをスプーンに掬ってみた彼等は、一口食べるや、途端に眼の色を変えてがつがつと口の中に掻き込み始めた。

「パッカどの、これは何という料理にございますか」

目をきらきらさせながら、ヨンスルが尋ねる。

「オムカレーよ。上にかかってるのがカレーっていうの」

うっとりとマンボが空〈くう〉を見つめる。

「かれー……。これは、なんとも刺激的な……そしてこの複雑且つ芳醇な香り……」
「ご飯が止まりませぬ。パッカどの、おかわりを」

チサンの差し出す皿を、パクハは「オッケー」と笑顔で受け取り、キッチンへと立つ。
一人、床の上にぽつねんと取り残され、茫然と彼等を見つめているイガクを視界の端に捉えながら、パクハは悪魔の微笑みを浮かべるのだった。


*   *   *


「ほんと素直じゃないよね、あんたって」

イガクが渋々ながらようやくテーブルについたのは、ヨンスルたちが部屋に引き上げ、暫くたってからだった。
彼の前に温め直したオムカレーの皿を置き、パクハもその向かいに座る。

「少しはチサンたちを見習うべきね。意固地な主君に仕える臣下の身にもなりなさいよ」
「……そなたは実に口喧しい。黙らないとその口、縫いつけてくれるぞ」

上目遣いでパクハを睨みながら、イガクがざくっとオムライスにスプーンを突き刺す。とろりとしたカレーソースがスプーンから滴り落ちるのを、彼は神妙な眼差しで見つめた。

「───冷めるよ」
「うるさい」

イガクは決死の表情で目を瞑ると、一気にスプーンに齧り付いた。

「どう?」

ゆっくりと噛みしめるイガクの口元を、パクハが覗き込むようにして尋ねる。彼の瞼が、ぱっちりと開いた。

「美味だ。これは、まことに美味だ」

嬉しそうに顔を綻ばせてスプーンを口に運ぶイガクに、出会ったばかりの頃が思い出される。
パクハの口元にも、自然と笑みがこぼれた。
飽きもせず毎日同じメニューをリクエストされるのは困りものだが、自分の作る料理を、こうして喜んで食べてくれる人がいるというのはとても幸せなことだ。
そんな思いが、ずっと一人で生きてきたパクハの胸を、せつないほど温める。

皿の中は、瞬く間に空になった。匙を置いたイガクは微笑むと、言った。

「この国の馳走には驚かされるばかりだ。かように醜悪なものがけちゃっぷにも勝るほどの味とは。見た目だけではわからぬものだな」
「そうよ。何事も外見に惑わされちゃだめ。王様になる人なら尚更よ」

何気なく口にした言葉に、イガクがふと眉を潜めた。

「何のことを申しておるのだ」
「べつに」

あの晩、セナの腕にあったブレスレット。パクハはそれで悟ったのだ。イガクとのあの日のデートも、自転車の練習もみんな、彼女のためだった。自分は単なる、予行演習に過ぎなかったことを。

「そうだ。私、お見合いすることにしたから」

水を飲んでいたイガクは驚いたのか、少しむせながら「え?」とパクハを見返した。

「聞いてたでしょ?この間のお母さんの話。私もそう若いわけじゃないし、そろそろ真面目に考えなきゃ」
「……結婚、するのか?」
「かもね」

パクハは立ち上がると、皿を下げ、イガクの顔を見ずにキッチンへと向かった。

好きになっちゃいけない。
そう思った時には既に引き返せないところにまで来ていることを、このときの彼女はまだ、知らなかった。






********************************

ちなみにあまるはビーフシチューかけたやつが好きです。





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2013/09/09 Mon. 17:32 [edit]

category: 進撃のオムライス

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: ゆうゆうさま

ラブラブになってからもいいですけどね~。やっぱこのもどかしい感じがたまりませんよね!(^^)
画像見てたらワタシもオムカレー食べたくなって、晩ご飯に思わず作っちゃいましたヨ!(単純)

あまる #- | URL
2013/09/17 00:43 | edit

あまるさん、私もイガクとパッカがお互いに気になり始めたこの頃の二人キューンとして大好きです〜!
ここにオムカレーをもってくるとはさすがです!!
二人と臣下3人の光景が目に浮かんで、ニマニマしちゃいました(^^)

ゆうゆう #- | URL
2013/09/16 10:04 | edit

Re: h**u***さま

臣下三人組が出てくるシーンはとにかく明るくてあったかくて、私も大好きです(^^)
彼等の存在で、あの物語はほんとに救われてますよねー。
次の屋根部屋のお話は、どうなることやらって感じですが(^^ゞ
↑箸休めにもならないかも(笑)
よろしければ読んでやってください。

あまる #- | URL
2013/09/11 06:02 | edit

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# | 
2013/09/10 12:27 | edit

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