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第十七話 1 密命 

bandicam 2013-08-16 05-13-15-175
***************************************


慌てて面を伏せた四人に、王は「無礼を許せ」と言った。だが突然の王との対面に戸惑うあまり、皆返すべき言葉も見つからない。すると王はどこか悪戯っぽい調子で、言った。

「なんと。これはどうしたものかな。チョン博士、そなたの弟子たちは、王の謝罪を受け入れてはくれぬようだぞ」

別の扉を開けて、チョン博士が入ってきた。四人は驚いて「先生」と声を揃える。
そんな彼等を見渡し、王はいささか表情を厳しくして切り出した。

「───そなたたちに密命を下す」

密命?
思わず互いの顔を見合わせる。王がチョン博士に向かいひとつ頷くと、博士は傍らに下がっていた紐を両手で手繰り始めた。それに従い、壁の一面を覆っていた帳がするすると上がって行き、やがて巨大な地図が彼等の前に姿を現した。
『圖説 華城全圖』。
地図の上部には、そう記されてあった。
王は地図の前に立つと、言った。

「余は、この華城〈ファソン〉に、新たな都を建設する。商いをしたい者には店を持たせ、畑を耕したい者には、農具を与える。奴婢や両班といった身分の差も無く、貧富や貴賎の別も無い、蕩平すらも超えた、理想の国家を創る。華城への遷都は、新たな朝鮮を切り拓くための第一歩なのだ」

息を呑んで地図を見つめるユニたちの前に、王は一枚の封書を出し、「これは、華城遷都を実現する鍵だ」と言って机上に置いた。

「先王英祖は亡くなる直前、余が大志を成さんとする際に世に公開せよと言われ、ある文書を遺された」

後を引き継いで、チョン博士が言った。

「十年前、陛下は成均館博士キム・スンホンと掌議ムン・ヨンシンに、その文書を宮殿に運ぶよう命じられた。だが彼等は不慮の事故に遭い、そのとき二人が運んでいた文書も、行方がわからなくなったのだ」

衝撃が、ユニを襲った。父の死に関わる、初めて知る事実だった。

「これは、キム・スンホンが遺した辞職願であり……遺書でもある」

机の上の古びた書に目を落とし、王は言った。その声には、苦渋が滲んでいた。

「これを手掛かりに、そなたたちに先王の消えた文書を搜し出して欲しいのだ。余の夢と余の望みを、そなたたちも共に───抱いてはくれぬか」

王の夢と、望み。それは新しく開かれる、未来の朝鮮という国。
共に抱けと、王は言うのだ。こんなちっぽけな、何の力もない自分に。
目の前に差し出されたものがあまりに大き過ぎて、ユニの身体は小刻みに震えていた。

だが何故か、心は燃え盛る炎を投げ込まれたかのように、酷く熱かった。


*   *   *


「ぼくは……捜したいです。いえ、捜し出します、必ず」

その晩、貰冊房の地下室で、ユニはソンジュン、ジェシン、ヨンハを前にきっぱりとそう告げた。

「今は顔もよく思い出せないけど、ぼくの父がどんな人だったか、知りたいんです。その文書を捜せば……父の最後の足取りを辿れば、少しはわかるんじゃないかって、そんな気がして」

ユニは、ソンジュンを見た。彼はこの部屋に入ったときから、何も言わずただじっと、ユニを見つめていた。今もそうだった。
だから、尋ねずとも彼女にはわかったのだ。
『きみの選択が、僕の選択だ』
彼の静かな眼差しは、そう語っていた。

ユニはジェシンとヨンハに視線を戻し、言った。

「手伝ってください、コロ先輩、ヨリム先輩」

ヨンハは深く息を吐き出すと、身体を支えるように卓に両手をつき、ジェシンを見た。

「コロ、お前はどうするんだ?」

ジェシンは卓の上に浅く腰掛け、呟くように言った。

「ムン・ヨンシン……あのつまんねぇ男の描いた世が、本当に実現するのか見たい。だから……俺もその文書を捜す」

ムン・ヨンシン。その名には、聞き覚えがある。ユニは記憶を辿った。確か、王宮の崇文堂に招かれたときだ。
かつての、成均館の掌議。そして。

「俺の兄貴だ。そのつまんねぇ男ってのは」

ヨンハが、黙ってジェシンの肩に手を置き、そのまま握り締めた。

『成均館の門は、泮村に向かって開いている』
ジェシンに、そう語ったという人。
ユニの父と共に、志半ばで命を絶たれたその人こそが、彼の、兄だった。


*   *   *


王は、手ずから注いだ酒を立ったまま口に含んだ。密命を下したことで、王の胸にも高ぶるものがあるのかもしれないと、ヤギョンは思った。
長年に渡る王の夢が、いよいよ実現に向けて動き出したのだ。
賽は、投げられた。後は、彼等次第だ。
チェ・ジェゴンが、畏まって言った。

「ムン・ジェシンとキム・ユンシクは、この密命を遂行する最適任者と言えます。ですが陛下、恐れながら小臣には、老論の息子であるイ・ソンジュンと、南人や少論でもない……」
「ク・ヨンハか」

ジェゴンが言い終わるのを待たずに、王は彼の名を口にし、微かに笑った。

「あの面白い男もまた、余が建て直すべき朝鮮の未来を担う者だ」

ヤギョンは一抹の不安を隠さずに、尋ねた。

「あの者たちに、暗号文が解読できるでしょうか?」
「信じるしかあるまい」

王はそう言って、また杯を重ねた。





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2013/08/16 Fri. 05:20 [edit]

category: 第十七話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re:ukya さま

そうそう、17話は密命にかこつけた、
二人のイチャイチャ全開の回ですからー(*>ω<*)

サクサク書きたいとは思いつつ、ぢっくり楽しみたいって気もしたりして(笑)

あまる #- | URL
2013/08/16 21:57 | edit

第一関門!

ユニとソンジュンが一段落着いた←着いたかな?ww後の第一関門がやって来ました!
密命を受けての調査。まぁ、これを主題にこれから続くのでしょうが、この調査の合間に見せるソンジュンのユニ愛……激しく萌えます(///∇///)

これから四人に降りかかる困難にハラハラしながらも、イチャイチャ絶好調の二人を楽しみたいと思います!

ukya #CGSys/Bo | URL
2013/08/16 12:56 | edit

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