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第十六話 7 賭け 

bandicam 2013-08-04 11-58-06-175
***************************************


つま先立ち、腕を頭の上に限界まで伸ばしながら、ユニは顔を顰めた。
尊経閣を散々探して見つけた本は、よりによって書架の一番上の棚にある。彼女の背丈では、届くか届かないかという微妙な高さだ。
本の背表紙が、指先に触れた。だがあともう少し、というところで、目当ての本は背後から伸びてきた手に すい、とあっけなく抜き取られた。

振り向くと、すぐ後ろに立って彼女を見下ろすイ・ソンジュンがいた。

「探しものはこれか?」

彼は手にした本をこれ見よがしに示して、そう言った。
ユニと同じ、黒い儒巾に、濃紺の儒生服。目を見開いて、ユニは尋ねた。

「戻ったの?成均館に?」

ソンジュンは無表情のまま、素っ気無く言った。

「黄柑製〈ファンガムジェ〉の準備なら必要ない」

そのまま、くるりと背中を向ける。ご親切にも取ってくれた本は持って行くつもりらしい。相変わらず意地悪だ。
取り返そうと後を追うと、彼はふと立ち止まって、肩越しにユニを見た。

「きみの言うとおりだ、キム・ユンシ……」

言いかけて、ごほんと咳払いする。彼はユニに向き直ると、言った。

「とにかく、きみを成均館に入れたのは僕だ。責任を取ろう」
「責任を取るって?」
「事実を知られる前に、無事に成均館を出て行けるよう手伝うってことだ。僕がやれば、きっと上手くいく」

ユニはぽかんと口を開けた。もう一度確認しようと、ゆっくりと切り出す。

「つまり……ぼくを追い出すために戻ったっていうの?」

たちまち、ソンジュンの目つきが険しくなった。まずい、とユニはこれまでの経験から反射的に思った。
これは、彼が相手を論破しようと戦闘態勢に入ったときの顔だ。まず勝ち目はない。

「好きな女を、狼の群れの中に放っておくような間抜けだと思うか?この僕が」

有り得ない、とでも言いたげに彼ははっと息を吐き出した。

「で、でも、追い出す権利なんて……」
「僕は、きみに傷ついて欲しくない。入学させた以上、僕にはきみを守る義務がある。権利だって……あるはずだ」

刺々しくさえあったソンジュンの声に、ほんの少し、優しい響きが混じる。すかさず、ユニは言い募った。

「だったら、ちゃんと卒業できるように手伝ってよ。ぼくが、成均館の学生に相応しいと示せばいい?」
「どうやって示すつもりだ」
「えっと……」

ユニは首を巡らせてあたりを見渡した。入り口近くの掲示板が目に入る。咄嗟にそれを指差した。

「あれだ!黄柑製!黄柑製で首席になるよ。そうすれば、認めてくれる?」
「黄柑製?」

ちらりと、ソンジュンは掲示板の方を一瞥した。ところがユニに戻ってきた彼の眼差しは更に鋭いものになっていた。

「黄柑製が、製述〈チェスル〉と講経〈カンギョン〉の試験だということは知っているか?」
「それは……もちろん」
「製述は表現力の他、もう1科目を選んで受け、講経は儒教の教典一つを全て暗記しなければならない」
「それくらい、頑張れるよ」
「更に」
「まだあるの?」

これが一番重要だとでも言いたげに、彼は重々しく告げた。

「何よりこの僕に───勝てるのか?」

一瞬、きょとんとしたユニは、ほっと息をついた。

「なぁんだ。そんなこと」

物凄く難しい課題でもあるのかと心配したじゃない、と笑う。
すると「そんなこと?」と、ソンジュンの眉がぴりりと上がった。

「僕は学童の頃から、一度として首席の座を譲ったことはない。はっきり言って、製述や講経で及第点を取るより難しいぞ」

大した自信だ。だがいかにもソンジュンらしい。その小憎らしい鼻っ柱をぽっきりへし折ってやるのも面白いかもしれない。
ユニは顎をつんと上げて、ソンジュンを見た。

「なら、ぼくが勝ったら、二度と出て行けなんて言うなよ」
「いいだろう」

こうして。
副賞の蜜柑以外にも、絶対にお互いに負けられない理由ができた二人は、思いがけず黄柑製で激しい火花を散らすことになったのだった。


*   *   *


イ・ソンジュンが成均館に戻ったことで、落胆した儒生たちは多かった。彼等は寄ると触ると、黄柑製の首席はソンジュンに決まったようなものだと噂し合った。ヤツさえいなければ、少しは蜜柑のおこぼれに預かれるかも、と期待していた者たちは、今年はあの魅惑の果実を口にすることはできないに違いない、と早々に諦める始末だった。

そして誰もが、不思議に思った。
成均館を辞めたはずのイ・ソンジュンが、どうしてまた戻る気になったのか?
ある儒生は、冗談めかして言った。さしもの天才も、甘い果実の香りには勝てなかったんだろう、と。

(聞きようによっては、当たらずとも遠からずだな)

周囲の儒生たちの注目にも全く動じず、ある種の風格さえ漂わせて泰然と歩いてくるソンジュンを眺めながら、ヨンハはくす、と笑った。

「何笑ってる」

ジェシンが見咎めて、言った。その肩に軽く肘を乗せ、ヨンハは「別に」と眉を上げる。二人に気付いたソンジュンが、こちらに向かい一礼した。

「戻ったか、カラン。キム・ユンシク効果は絶大だな」

そう言ってやると、ソンジュンはきまり悪げに目を泳がせ、小さく咳払いした。
ジェシンはフン、と鼻を鳴らし、もたれ掛かっていた楡の木から身を起こした。すれ違いざま、「おい老論」と声を掛ける。

「どっちかはっきりしろと言ったよな?出たり入ったり……落ち着かねぇんだよ」

立ち去るジェシンの背中を見送りながら、ヨンハが感じ入ったように頭を振った。

「あんなコロはこの10年で初めて見たな。歓迎の挨拶だよ」

あれが?とソンジュンはジェシンを振り返り、やがて微かに口の端を上げて、笑った。






************************************************
あまるですどうもこんにちわ。

なんか最近増えてきたウソ注意報(笑)
冒頭の尊経閣のシーン、ドラマでは本棚占領してるソンジュンの背中をユニがぽんぽん、と叩いて「あの、すみません」。振り返ったソンジュンが「探しものはこれか?」が正解。

いやだってさ、あの背中だもの~。気づくやろ!フツー!というゆちょペンの独断と偏見により
勝手にあまるバージョンに強制変更。
苦情は受けつけマセン!ε=ε=ε=┏(; ̄▽ ̄)┛←逃げ




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2013/08/04 Sun. 12:03 [edit]

category: 第十六話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: あらちゃんさま

あの背中はわかるって、いくらなんでも!(笑)
まー100歩譲って演じてるのがユチョじゃなかったとしても、好きな人の背中ですからね~。
ちょっと大ボケすぎです、ユニさん(笑)

あまる #- | URL
2013/08/07 01:14 | edit

苦情じゃないけど

あの背中、ものすごう好きでした。ホントにふるいつきたくなる。マジに。

あらちゃん #- | URL
2013/08/06 02:14 | edit

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