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第二話 5 二人の受験生 

妙なこともあるものだ、とチョン・ヤギョンは人気も疎らになった試験会場を見て思った。
科挙は答案の内容はもちろんだが、早く書き上げればそれだけ有利になる。現に、初試で次席と圧倒的な差をつけて首席となったのは、あの不正行為一斉検挙という騒動の中で真っ先に答案を書き上げたイ・ソンジュンだった。この覆試でも、彼は当然それを狙ってくるだろうと思っていたのだ。
 
 秀才と呼ばれる人間は、得てしてそういうものだ。とにかく徹底して一番に拘る。彼らにとって、それ以下はなべて等しく価値がない。自分の先に誰かがいるということを、彼らの自尊心が決して許さないのだ。
 学堂にいる間、ただの一度も首席の座を譲らなかったという左議政の息子の噂は、ヤギョンの耳にも届いていたから、彼などは、その典型だろうと思っていた。
 
 ところが今日の彼は、そろそろ終了時刻も近いというのに、まだ 答案を提出しに来ない。試巻を汚したという儒生のことが気になるのか、時折そちらを気遣うように様子を伺っているのが、遠目にもわかった。
 天才故の余裕か、それとも別の理由があるのか。どちらにしても面白い奴だ。
 ヤギョンは小さく笑って、手元の答案に目を落とした。 


 ユニは、最後の一文字を書き終えると、ふうっと息をつき、硯に筆を戻した。
 手早く試巻を折りたたみ、立ち上がる。背後で、ソンジュンが同様に席を立つ気配がした。

「どうしてぼくに構うんだ?」

 なんとなく並んで歩く形になってしまったソンジュンに向かい、ユニが尋ねる。

「言っただろう。巨擘にしておくには惜しいと思った。それだけだ」
「そう思い通りにいくかな。今日こそ本の代金を貰うから、逃げようなんて思うなよ」
 
 ユニの言葉にも、ソンジュンは全く表情を変えず「君の方こそ」と言った。

「逃げるって、ぼくが?なんで?」
「さあ。自分の胸に訊いてみるといい」

 礼儀正しく教官席に一礼し、試巻を提出するソンジュンに習って、ユニも頭を下げる。そのまますたすたと会場を出てゆくソンジュンを慌てて追いかけた。

「待てったら!まだ話は───ぶっ!」

 ソンジュンが急に立ち止まったせいで、ユニはその背中に思い切り鼻をぶつけてしまった。見ると、王宮の東通用門、建春門の前に、大きな人だかりができている。
 試験を終え、とっくに帰ったとばかり思っていた受験生たちが、どうやら固く閉じられた門から外に出られず、わいわいと溜まって騒いでいるらしい。
 口々に何事かと問う儒生たちに向かい、書吏が進み出て声を張り上げる。

「本日の覆試は、陛下が即日放榜をなさいます!」
 
 放榜?聞いたことのない言葉だ。ざわめきが収まらないのを見てとって、書吏が続けた。

「陛下がその場で学士様方の答案をご覧になり、合格者を発表されるのです」

 陛下が、直接?しかも、今?
 ユニの全身から血の気が引いた。陛下がご覧になるというのか、自分の書いた“あれ”を。
 一度思い切って飛び降りてしまったら、それで終わりだと思っていたのに、いったいこの深い谷はどこまで続くのだろう。
 移動を始めた儒生たちの集団に背中を押されるまま、ユニは暗澹たる気持ちで、来た道をとぼとぼと引き返すのだった。

* * *

「大監、あのまま陛下を放っておかれるおつもりか?!」

 同じ頃。王宮の一角では、兵曹判書ハ・ウギュが左議政イ・ジョンムに詰め寄っていた。

「科挙に親臨試を断行するばかりか、自ら合格者まで選ぶとは……。陛下は我ら老論の子弟たちを根こそぎ排除し、成均館、いや、いずれは朝廷にも近寄らせない腹づもりですぞ!」

口角泡を飛ばさんという勢いでまくしたてる兵曹判書に、左議政はただ笑みを返すばかりである。

「そんな、呑気にしておられる場合ですか!ご子息とて例外ではありませんぞ!いくら優秀でも、今回ばかりは合格するかどうか」
「ならば、仕方ないだろう」

 左議政はおもむろに口を開いた。

「その程度で挫折するようなら、出仕できたとしても我々の役には立つまい」
「しかし…」
「まあ、見せていただくとしようじゃないか。陛下が、どこまでなさるのか。慌てるのはそれからで充分だ」

 王が何をどうしようが、結局は、我々の手の内で足掻いているに過ぎないのだから。
 左議政の、一見穏やかな微笑にそんな含みがあることを、兵曹判書も感じ取ったのだろう。それ以上は何も言わなかった。

* * *


 太鼓が鳴り響き、再び、王正祖が勤政殿に姿を現した。
 その前に、書かれたばかりの答案の束がうやうやしく置かれる。今この瞬間、時間を止めてやると言われたら、ユニは相手が鬼神だろうが妖怪だろうが、喜んで魂を売り渡しただろう。王の目の前にある、あの試巻の束から自分のだけを抜き取って、ここから逃げ出すことができたら。

「名を呼ばれた者は前に出よ」

 ユニの願いも虚しく、時は進んでいく。少しの遅れもなく。
 一人、また一人と名を呼ばれ、自分の番が近づく毎に、ユニは生きた心地もしなくなってきた。
 緊張のあまり、視界がぐらぐらと揺れ、気分が悪くなってくる。もう限界だ、と思ったとき。

「キム・ユンシク!」

試験官の声が、その名を呼んだ。



*******************

今日来た社内メールの冒頭。

「お疲れさまです。ユノです。」

これだけでイッキに血圧上昇したワタシはそう、トンペン。←バカ
ありがとう、湯野くん。巷はお盆だかなんだか知らんがバカンスの真っ最中に、お陰で仕事する元気が出たよ。
キミの顔も知らんけどな~ヽ( ´ー)ノ フッ

今からリプリ見ます…




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2011/08/14 Sun. 01:00 [edit]

category: 第二話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: 王様

正祖とじーちゃんの英祖は、生い立ちから何からドラマちっくで、
題材としては魅力的なんでしょうね~。
イ・サンは未だに未見なんですが(^^ゞ今屋根部屋の皇太子に出てるハン・ジミンちゃんも
出てるみたいなんで、かなり心惹かれてまする。早く時間作って見なくてわ~

あまる #- | URL
2012/05/05 23:50 | edit

王様

最近はぐっさんにしか見えませんが・・・
こんな海千山千の臣下に囲まれてたらそら若くて純粋な学生に心惹かれるよね。

王様も気楽な商売じゃないのよねー
特にこのイ・サンもとい朝鮮王朝第22代王、正祖は毒殺やら暗殺やら失脚やら、生き抜いてこれたのが不思議なくらいな王様ですもんね。
イ・サンと同時進行で見るのが最近のお気に入りです。

ちびた #D4zl0nFc | URL
2012/05/05 13:30 | edit

Re: 湯野くん

> ウケる人にはウケる名前だね。

激しくウケた人σ(゚∀゚ )
カフェでタブレットからメールするビジネスマンユノユノ想像して更に撃沈。

あまる #- | URL
2011/08/15 00:21 | edit

湯野くん

一瞬、おっ?
マジ、そういう名前?
ウケる人にはウケる名前だね。

にゃん太 #- | URL
2011/08/14 23:11 | edit

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