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第十五話 12 発覚 

bandicam 2013-07-18 23-57-38-706

***************************************


岩棚の上に揃って転がされたビョンチュンとコボンは、自分たちの頭の遥か下にある滝壺を横目で見るなり、「ひいっ!」と悲鳴を上げてガタガタ震えだした。

二人に覆い被さるように身を屈め、見下ろしているのはジェシンである。
ちょうど太陽を背にしているせいで、彼等の方からはその表情はよくわからない。だが何故かその両眼だけは、爛々と光っているように見えた。

「言ってみろ。さっき、テムルの後ろで何やってた」

ジェシンが、いつもと変わらぬ低く押し殺したような声で訊いた。
川辺で、ビョンチュンとコボンがユンシクを水中に突き落とそうと背後に忍び寄ったまさにその瞬間、二人はジェシンにむんずと襟首を掴まれ、この滝壺まで引き摺られてきたのだった。

「な、な、何も……ただ、一緒に水遊びでもしようと思って」
「そ、そうだよ。せっかくの野遊会だし」

息も絶え絶えに二人は答えた。だがもちろん、そんな空々しい科白を信じてもらえるはずもない。
いきなり、ジェシンの手が二人の襟元を鷲掴みにした。

「そうかよ。なら俺としようぜ、水遊び。せっかくの野遊会だ。……仲良くな」

そう言って、ぴしゃぴしゃと頬を叩く。
ビョンチュンとコボンは恐怖のあまり涙を滲ませ、歯の根も合わぬほど震えるばかりだった。


*   *   *


───関係ない。

スンドルを連れ、書院へと戻る山道を歩きながら、ソンジュンはその言葉を幾度も胸の内で繰り返していた。
成均館も、キム・ユンシクも、ハ・インスやその取り巻きたちも。
すべてに決別すると決めた自分には、一切関係のないことなのだ。

川岸で、何も知らぬげに一人佇んでいたユンシク。
その背後で、彼の様子を密かに伺っていたビョンチュンとコボン。
あれは、明らかに何か良からぬことを企んでいる顔だった。
執拗なあの二人が、ユンシクに何もしないわけがない。

いったいムン・ジェシンは何を考えてる?どうしてユンシクを一人にするんだ。あれほど、彼を守れと言ったのに。
彼を大事に思うなら、しっかり守りぬけと。本当に大事に、思うなら……。

ソンジュンの足は、次第にのろのろと遅くなり、やがてぴたりと止まった。

「坊ちゃん?」

スンドルが、どうしたのかと問いたげにソンジュンを覗き込んだ。

「───スンドル。お前は先に戻れ」
「はい?」

ソンジュンは道袍の裾を翻すと、スンドルが尋ねる間もなく、全速力で走り出した。

ごつごつとした石や木の根が土から顔を出す足場の悪い道を、何度も転びそうになりながらソンジュンは走った。
川のせせらぎを頼りに森を抜け、開けた場所に出る。そこは確かに、ついさっきユンシクを見た渓流だった。
だが彼の姿は、既にそこには無かった。
激しい後悔が、ソンジュンを苛む。

身の危険を知らせてやれば済むことだった。なのに何故あのとき、ユンシクの前から逃げ出すように立ち去ってしまったのだろう。
声を掛ける勇気すら出せずに、彼に背を向けてしまった。
己の体面や、自尊心なんかどうだっていい。一番大事なのは、彼だったのに。

「キム・ユンシク!」

ソンジュンの声が、渓谷にこだまする。耳を澄ますが返事はない。焦りが募った。ふと足元に目を遣ると、見覚えのある小さな黒い靴が、ゆらゆらと揺れながら川面を流れていた。
それを見た途端、ソンジュンの胸は早鐘を打ち始めた。川の水に触れてもいないのに、凍りついたように全身が冷たくなった。

川の上流に向かいながら、何度も、彼の名を呼んだ。だがその声は、森の木々に虚しく吸い込まれていくばかりだった。この月出山が、彼をいずこともなく飲み込んでしまったかのように思え、怖ろしくなる。

「……イ・ソンジュン?」

か細い声が、ふいに彼の名を呼んだ。振り返ると、驚きに見開かれた黒い瞳がこちらを見ていた。
ずっと見たかった、逢いたかったキム・ユンシクが、彼の目の前にいた。

何も考えなかった。ソンジュンはユンシクに駆け寄ると、ほとんど衝動的にその細い身体を抱きすくめていた。

腕の中にすっぽりと入ってしまう、小さくて柔らかな彼の身体。首筋から立ち昇る、甘い香り。
ソンジュンは彼の存在を全身で確かめるように、抱き締める腕に力を込めた。
このまま離したくないと思う気持ちが、狂おしいほど胸に溢れてくる。

あれは、斎会の前日だった。ソンジュンはユンシクに言った。いつまで僕を頼る気だと。
だがそれは大きな間違いだった。ユンシクが自分を頼ってくるのではない。他でもないソンジュン自身が、ユンシクから離れられないのだ。
彼の姿を見、彼の声を聞き、彼に触れることを、こんなにも求めている。ソンジュンがどんなに認めたくなくてもそれは、否定できない事実だった。

ソンジュンはそっと両腕を解くと、囁くように言った。

「───駄目なんだ。いくら会うまいと心に決めても、僕は君の姿を探してしまう。だから……今度は君が、僕から逃げてくれ、キム・ユンシク」

ソンジュンをじっと見つめるユンシクの瞳は、今にも溢れだしそうに涙で潤んでいる。
身を切られるような思いで、ソンジュンはユンシクに背を向けた。

「待って!」

震える声が、立ち去ろうとするソンジュンの足を止めた。

「どうして、ぼくに返事をさせてくれないんだ?行くなら、ぼくの答えを聞いてからにしろよ」

(答え……?)

振り返ったソンジュンは、こちらに向かって駆け出してくるユンシクを見た。
だが次の瞬間、彼の身体は大きく左に傾いだ。靴を履いていない方の足を滑らせたのだ。ソンジュンが手を伸ばすが、間に合わない。ユンシクは短い悲鳴とともに、水飛沫を上げて川の中へと落ちてしまった。

ソンジュンが、間髪入れず後を追い川へと飛び込む。幸い、さほど深くはなかったが、ユンシクは冷たい水の中で気を失っていた。力なく沈んでいく身体を引き寄せ、夢中で水を掻いた。どうにか浅瀬まで泳ぎつくと、彼を両腕に抱え上げ、岸に上がった。

水を吸った衣のせいか、ずっしりと重い。ソンジュンはぐったりとしたユンシクの身体を、岩の上に横たえた。

「キム・ユンシク、しっかりしろ!キム・ユンシク!」

声を掛け、頬を叩いたり身体を揺さぶったりしてみるが、彼は紙のように白い顔をしたまま、瞼をぴくりとも動かさない。少しでも呼吸を楽にさせようと、ソンジュンは震える手でユンシクの快子の釦を外し、道袍の合わせを開いた。
そして更にその下の、単衣の襟元を開いたとき、彼はぎくりとしてその手を止めた。

彼がそこに見たのは、きつく巻かれた白いサラシと。
その下に窮屈そうに収められた、男の胸には絶対に有り得ない、見るからに柔らかそうなふたつの膨らみだった。







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2013/07/19 Fri. 01:33 [edit]

category: 第十五話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: ちゃむさま

ちゃむさんも怒濤のコメントありがとうございました。
なんかもうお疲れ様ですとゆうか申し訳ないとゆうか(^^ゞ
えええ~しかも風邪気味ですと?大丈夫~?どうかお大事に……

あまる #- | URL
2013/07/22 01:10 | edit

怒濤の更新分ついに読了。ふぅー(大汗)コメントも皆さんのは読まずに書いているので感想かぶってるかもしれませんが、ここまでお疲れ様でした。次回、楽しみです。ユニを助けに飛び込むシーン力入りすぎだろーと思って笑っちゃいましたが泳ぎも上手なんだろーなって感心したりして、ユチョン引き出し多そうですね。あまるさんがはまるのわかりますよ。では、珍しく風邪気味の私は今日はおとなしく過ごします(T_T)明日も仕事だし…あまるさんも体調管理忘れずに

ちゃむ #- | URL
2013/07/21 11:10 | edit

Re: 阿波の局さま

本文だと別に平気なのに、ここのコメント欄で改めて自分の文章読むと
妙に恥ずかしいですね(^^ゞなんでだろ。

憑依はあまるも常にしてますが(爆)
ワタシがユニだったら死んでもあんなタイミングで川に落ちたりしませんっ(笑)

あまる #- | URL
2013/07/20 00:41 | edit

Re:shuuyuchunさま

やっとここまで来ましたー。ゼイゼイ
遅くなってごめんよ、と本編のソンジュンには謝りたい気分(^^ゞ
女子としてはユニに感情移入したいところですが、やっぱこのあたりは
ドラマの演出のせいか、どーしてもソンジュン寄りになっちゃいますね~。

幸せなソンジュンを書くのがワタクシも今から楽しみです(^^)

あまる #- | URL
2013/07/20 00:31 | edit

Re:harurunさま

我ながら13話と14話のペースが嘘のような(笑)
え?もう15話終わっちゃったの?と書き終わって自分でもびっくりしました(爆)
次の16~17話にかけては二人の数少ないあまあまが見れますので、
ワタクシもうんと楽しみながら書きたいと思います!

よろしければまた読んでやってくださいね~(^^)

あまる #- | URL
2013/07/20 00:23 | edit

Re: じ**2さま

長らくお待たせしました~(笑)
あまるもようやく肩の荷が降りた感……
いやいやまだまだこの二人にはもう一山ありますので気は抜けませんが。
苦労した分、ソンジュンにはうんと幸せになってもらわねばなりませんので
ワタクシも頑張ります~(^^)

あまる #- | URL
2013/07/20 00:13 | edit

Re: あらちゃんさま

> はい、はい。(^ー^)
↑ちょっとコレ笑ったww

頑張りましたよねぇ、ソンジュン……シミジミ

あまるはどっちかというとドSなソンジュンが好きなんですけど、
なんかもぅこのへんは母な気分ですわ(笑)
この振り幅の大きさがソンジュンのたまらんとこです。愛しすぎる。

飛び込みシーンは絶対一回転してますね、アレ(笑)勢い余り過ぎ。流石や~(^^ゞ

あまる #- | URL
2013/07/20 00:09 | edit

なにもいえまへん

>何も考えなかった。ソンジュンはユンシクに駆け寄ると、ほとんど衝動的にその細い身体を抱きすくめていた。

見ているこっちがはらはらどきどきして・・・
ううう・・・

自分が抱きしめられたわけでもないのに・・・(憑依しているかも・・・)

阿波の局 #3FtyQ0do | URL
2013/07/19 21:29 | edit

ついについにですね

ソンジュン、あなたの想いが、叶う瞬間来ましたよ~

こちらも、心臓が高鳴って来ちゃった。
なぜか、ユニの気持ちより、ソンジュンの気持ちで、ドキドキしてる私が…

今日ここまで読めて凄く幸せ、
ここからが楽しみです!

shuuyuchun #dDm6s.8Q | URL
2013/07/19 20:32 | edit

来ましたーーー!!

こんにちはー。
とうとう、ここまで来ました。この回からは、リピの嵐になるはず。

ようやっと、二人の心が一つになりますねー。

そして今日は、一気にここまでのUP。本当にありがとうございました。
心おきなく他の話まで読み返せます。(今、幸せの一歩前だから~)

またまた暑くなって来ました。体調を崩さぬようお過ごしください。

○本当は、もっともっと一杯いろんなこと書きたいんですが、言葉が見つからずです。でも、心の中はうれしくて、ワクワクの気持ちでいっぱいです。

harurun #BJfyOLl6 | URL
2013/07/19 12:02 | edit

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

# | 
2013/07/19 08:18 | edit

ありがとうございました。

うへへ。

>このまま離したくないと思う気持ちが、狂おしいほど胸に溢れてくる。

はい、はい。(^ー^)

>彼の姿を見、彼の声を聞き、彼に触れることを、こんなにも求めている。
はい、はい。(^ー^)
やっと、ここまでたどり着きましたね~。よかったね~ソンジュン(T_T)
いっぱいがんばりましたけど、それももうお終い。
これでやっと楽になれるんだ。もう苦しまなくていいんだよ~。

絵で舞い上がり、読んで舞い上がり、寝られないかも。明日課内会議で寝そうだ。あまる様、ありがとうございました。(T_T)

(川に飛び込むシーン、どう見ても一回転しそうで、ちょっと笑えますよね)

あらちゃん #- | URL
2013/07/19 02:12 | edit

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