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第十五話 9 王の闘い 

bandicam 2013-07-16 23-38-31-981
*******************************



「そなたの息子が、成均館を出たそうだな」

車〈チャ〉の駒を手にした王の視線が、將棋〈チャンギ〉盤の上をさっと眺め渡す。
さして迷いもせずに、王は駒を置いた。

「居館修学は王命だったはずだ。本人の体調が良くなったら、成均館に呼び戻すように。余は待つつもりだ」

息子ソンジュンの成均館退学を、ジョンムは本人の体調不良という当たり障りのない理由と共に王に報告していた。
ジョンムは袂に仕舞い込んでいた右手を早々に出すと、馬〈マ〉を手に取り、敵陣へと進める。宮〈クン〉の中で動けずにいる王〈ワン〉はもう目の前だ。
ジョンムは微笑み、言った。

「一介の学生に過ぎぬ若輩者に、なにゆえそのような深いご配慮をいただけるのでしょうか……。未熟な息子ではございますが、学問への探究心が強く、書院へ行くと申して聞きませんでした」

実のところ、ジョンムは息子が何故いきなり成均館を辞めたいと言い出したのかわからないでいる。
己を律することに長けた子だ。慣れない集団生活や試験の毎日に嫌気が差したわけでは決してないだろう。
ならば、と考えたとき、ジョンムの脳裏に浮かんだのはあの、王が緑鬢紅顔〈ノッピンホンアン〉と讃えた南人の儒生キム・ユンシクの存在だった。

根拠があるわけではない。だが、息子が父の理解の及ばない行動を取るとき、何故かいつもあの青年が関わっているような気がしてならないのだ。

ジョンムは、成均館に入ってからのソンジュンの変化を、彼の身近で最も感じている人間といってよかった。だがそれが、己の家門にとっていい方向かどうか、となると甚だ疑問であったから、ソンジュンの退学は父にとって意外ではあったにせよ、強硬に反対すべきものでもなかったのである。

「学問への探究心か……」

丸い駒が盤を打つ。王の馬がジョンムの陣に攻め入ってきた。
傍らに控えていたハ・ウギュが、口を挟んだ。

「竹亭書院は、左議政が若かりし頃に修学していた場所にございます。父の政治理念を継ごうという、見上げた孝行心の現れでは?」

王はウギュの言葉に微かに片頬を上げた。そして深く息を吐き出すと、言った。

「実は、余も今更ではあるが子の努めを果たすつもりでいる。───左議政」

ジョンムは顔を上げた。王の目が、刺し貫くようにこちらを見ていた。

「余は、父の夢が未だ眠る華城〈ファソン〉に、都を移そうと思う」

ウギュが、「陛下!」と言ったきり絶句した。ジョンムも瞠目して王の顔を見返す。

「王手」

静かに、王が言った。ジョンムは はっとして盤に目を落とした。ジョンムの駒はいつの間にか逃げ場を塞がれ、詰められていた。今回の対局では、王がジョンムよりも一手先を読んでいたようだ。

華城遷都。
それは不意打ちと言ってもいい、王の、老論に対する突然の宣戦布告だった。




「何たることだ!」

そこは左議政の執務室である。自身の机で茶を含み、ゆっくりと喉を潤すジョンムの前で、ウギュは声を荒げた。

「漢陽を捨て、華城に遷都とは……!都を捨てることは、我ら老論を捨てるのと同じことですよ!不可能に決まっている!」
「いや……」

ジョンムは茶器を置き、押し殺した声で言った。

「そうとも言えません。王の手に金縢之詞があれば……決して不可能ではない」

王が、父である思悼世子の墓を水原〈スウォン〉にある華山〈ファサン〉に移し、顕隆園〈ヒョンユンウォン〉と称してからというもの、華城築城に心血を注いできたのはこのためだったのだ。いや、そもそも楊州〈ヤンジュ〉にあった思悼世子の墓をわざわざ華山に移築したのは、王都を移すという最終目的のための手始めに過ぎなかったのである。
王の狙いは明白だ。新都に人を集め、流通を分散させることで、漢陽に集中している老論の利権を奪い、弱体化させる───。
甘く見過ぎていた。暫くおとなしくしていたからといって、王は、決して王宮の中で身動きが取れずにいる老論の傀儡ではなかったのだ。
王の直轄部隊である壮勇営は、今や軍部の中心となり、その一部陣営は華城に駐留している。
南人や少論の実学者たちを出自に拘らず重用したことも、水原の商工業、農業の急激な発達の原動力となっている。
すべては、この遷都実現のため綿密に練られた計画の一部だった。それを、王は長い年月をかけて実行してきたのだ。
老論を、経済と軍事の両面から包囲し、退路を断つために。
後は王に、民心を味方につけ、老論僻派官僚たちの反論を許さぬ大義名分さえあればいい。
それが、他ならぬ金縢之詞なのである。

ウギュが咳き込むようにして言った。

「金縢之詞は十年前に失われました。あの晩、金縢之詞を運んでいた成均館博士キム・スンホンと掌議ムン・ヨンシンが殺害され、彼等とともにこの世から消えたのです。大監もよくご存知でしょう」

ジョンムはウギュを鋭く見返すと、言った。

「王の側近くに、我々の息のかかった者を置く必要があります。王の厚い信頼を受ける者を……」


*   *   *


耐えかねたように、王は両手で卓を叩くと、立ち上がった。

「密命を下すのは、イ・ソンジュンが戻るまで待つ」

陛下、と領議政チェ・ジェゴンが低頭しつつ、だが断固とした口調で言った。

「恐れながら、早急に金縢之詞を捜し出すことが、老論に計画を妨害させず華城遷都を完遂する道と存じます。どうか、イ・ソンジュンが老論の息子だということをお忘れになりませぬよう」
「だからこそイ・ソンジュンが必要なのだ」
「陛下……!」

玉卓の前に立つヤギョンは口を引き結んだまま、二人のやり取りを聞いていた。
イ・ソンジュンの師でありながら、彼の退学という事態を手をこまねいて見ているしかなかったことは、返す返すも悔やまれる。
王の身体の状態を知るヤギョンには、ソンジュンを待つという王の決断が苦渋の選択であることがわかるだけに、何も言えないのだった。

「領議政、余が求めているのは、金縢之詞そのものではない。朝鮮の未来なのだ」

王はヤギョンに視線を移し、言った。

「老論の息子を味方につけねば、この長き闘いは決して終わらぬ。あの者は、この国の行く末を左右する鍵となろう。失うわけには、いかぬのだ」




*************************
あまるですどうもこんにちわ。

すまそん……。
この回、おっさんしか出てこないとゆう二次小説にあるまじき暴挙に及んでしまいました(^^ゞ
どうもBS放送でソンスやってるせいか、当ブログに漂着するお客様が以前より確実に増えてる中でコレ!(爆)
え?ダレ?ぐっさん?回れ右~されてもしゃーないな~と思いつつ、我ながら勇気ある更新(笑)
個人的には王様書くのスゴク好きです。
原作の王様は四人衆の頭痛の種(笑)ですが、ドラマの王様は彼等の尊敬を受けるに値する大きな人なので。

次、なるべく早くアップできるよう頑張ります~。



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2013/07/17 Wed. 00:06 [edit]

category: 第十五話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: ちゃむさま

王様は苦労してますからね~。イ・サン観た後だと余計そう思います。
ソンス初見のときは「お願いだからユニを許したげてー!」と思ったもんですが、
王様もユニ同様命懸けで自分の人生やってたわけですから、どれだけ苦渋の選択だったかと思うと(涙)
ソンジュンには是非とも頑張って王様の志を継いで欲しいものです。

「宮崎駿はね、宮崎駿だからなんだよ」とワタシならうっかり言っちゃって
彼の夢を見事に打ち砕いていたことでしょう←鬼母
ええもー作るもん書くもんは置いといて(笑)
楽しむことに関してはハヤオには負けませんですよっ( ̄^ ̄)

あまる #- | URL
2013/07/22 00:53 | edit

私もすきー

王様キャラいいですよね〜落ち着いてて、ソンジュン父もいいですが今回イマイチ腹の中がわからない設定なので王様の潔い考え方にじんときちゃいますよね。このお話があっての最後の王様の選択は泣けてくる。男前です。そして、あまるさんがちゃんとここにこの話を放り込むとこ、策士ですねーますます先が楽しみです。うちの息子が言ってました。宮崎駿は当てようと思ってトトロを作ったんじゃなくて自分が楽しみたくて作ったら当たったんだってさ〜って、あまるさんも是非楽しんで書いて下さい。

ちゃむ #- | URL
2013/07/21 10:19 | edit

Re: かよぺさま

初コメありがとうございます~(^^)

ですよね!おっさんイイですよね!(嬉)
ソンジュン父もですが、チョン博士もけっこういろんなところで見ますよねー。情けない役からいい人まで幅広く。
こういう脇キャラがステキだから主人公たちの良さもより引き立つってことですね、きっと(^^)


あまる #- | URL
2013/07/17 19:10 | edit

Re: じ**2さま

おっさんイイですよね!←調子こいてついに開き直った人(爆)
私もイ・サン観てたので、王様側のドラマはやっぱ無視できないですわ~。
多分この辺りってもうソンヨンは亡くなってた頃だよね~とか勝手に想像(笑)

あまる #- | URL
2013/07/17 19:03 | edit

Re: じゅさま

コメントありがとうです(^^)

ドラマでも原作でも、王様はかなり重要な役どころですもんね~。ただなんか原作の方はよりおぢさん……
じゃなくて(^^ゞ親近感が湧くとゆーか。
ドラマはとにかく格好良くてステキなオジサマです(笑)

コロ好きさんなのにこんなユニソン腐れなブログにお越しいただいてホント感謝です(T_T)
もー代わりにと言っちゃなんですが、コロ書くときはめっちゃ愛込めて書いてマスから!

あまる #- | URL
2013/07/17 18:57 | edit

Re: 阿波の局さま

ほとんどヤケっぱちでアップした回ですが(笑)意外におぢさん好きな方がいらして嬉しいです。

> 私なんぞ、テヨン祖母の独白短編書いてしまいましたって。

読みましたよ~(^^)いや、局さんとこはちゃんとサイトのカラーってのがしっかりあるからいいんですって!
元ネタになったという持統天皇のお話、読みたくなっちゃいましたヨ!
しかしウチ、近所に図書館ないからなー。アマゾンにあるカシラ……。

あまる #- | URL
2013/07/17 18:45 | edit

Re:夢*さま

はい、我ながら勇者だなと(笑)
でもときたまこーゆー話が入ると、なんかちょっと歴史ドラマっぽく見えるかなァなんてww
あくまでそれっ“ぽい”ってだけですけどね(^^ゞ

時代劇は基本的に好きなあまるですが、あんまり骨太なのは駄目らしいことに最近気づきました。
『イ・サン』とか『大望』は結構夢中になりましたが、『階伯〈ケベク〉』は一話目で挫折(爆)
イソジン様ご出演だったから張り切って観たのになー。自分の境界線がよくわかりません。

やっぱ二次小説はLOVEが重要ですね!LOVEが!(笑)

あまる #- | URL
2013/07/17 18:34 | edit

おじさんパラダイス(笑)

こんにちは!
初コメです。で、おじさんパラダイス(笑)
私も成均館のおじさんらは好きでーす。
皆さんイイ味出されてますよね。
グッさん…本当にグッさんにそっくりだし。王様らしいし。
チョン博士なんで、ボス…じゃネクタイを蛇口に巻かれて息も絶え絶えな演技してたのに(笑)ここじゃ博士だしー!
このドラマってわきを固める人がとてもヨカッたですよね!

今後のラブラブなユニ♡ソンジュンも楽しみにしています!

かよぺ #3FtyQ0do | URL
2013/07/17 18:10 | edit

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# | 
2013/07/17 10:31 | edit

あまるさま。
コメント、ご無沙汰してしまいごめんなさい。
でも、毎日通ってます♡

おじさま。特にぐっさん・・・あっ違った(笑)王様、私、好きですよ!
先日、原作もやっと読みました。
続編の方も♪
原作でも、あの飄々とした王様がやっぱり私は好きでしたよ〜。
何でもお見通しな感じで。

もうすぐ川のシーンですね!
やっとここまで来ましたね(笑)
でも、コロ好きな私には少し辛いかも・・・(;^_^A
でも、ラブラブ&かわいいユニも好きなんで、続き楽しみにしてます。

じゅ #- | URL
2013/07/17 07:46 | edit

暴挙?ですか

あまるさん、おはようございます。

ソンスのおじさま方、結構好きですよ。
王様、ソンジュン父、、博士、みんないい味出してる。
ウギュ君は、徹底的にワルですが。←息子ともども嫌い。

暴挙なんでしょうか。だめですか。
私なんぞ、テヨン祖母の独白短編書いてしまいましたって。
そんでなくても地味な話ばっかなのに・・・

あまるさんの文章は、それだけで美しいので、充分楽しませていただきました。

阿波の局 #3FtyQ0do | URL
2013/07/17 07:39 | edit

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# | 
2013/07/17 03:27 | edit

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