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第十五話 8 スンドルの憂い 

bandicam 2013-07-13 15-03-49-225
*******************************


正録庁では、大司成が拡大鏡を手に漢陽周辺の地図をじぃっと睨んでいた。
成均館学長の、幾分芝居がかったように見えなくもないそんな様子を、ヨンハは手持ち無沙汰な風情で眺めている。

「さーてさて……京畿道〈キョンギド〉、忠清道〈チュンチョンド〉、全羅道〈チョルラド〉……決めました!今回の野遊会は、月出山〈ウォルチュルサン〉に行きましょう、ク・ヨンハ庠儒」
「月出山ですか?」

なんでまたそんな面白くもない所を、とあからさまに眉を潜めたヨンハに、大司成は異議は一切認めないとでも言うように声を張り上げた。

「無等山〈ムドゥジサン〉の精気を受け継ぎ、多くの人材を輩出した月・出・山!決定!」
「今時、野遊会を山や谷でやるなんて流行りませんよ」

ヨンハが鼻で笑うと、大司成はムッとして「じゃあどこならいいって言うんです?」と言った。

「妓生庁の裏庭にゴザを敷くだけでいい。最高に楽しめます」

いかにも彼らしい科白だが、それはまた儒生たちを代表する意見でもある。修行僧じゃあるまいし、どうせ酒を飲むなら山奥の野草より街に咲くあだ花を愛でながらの方がいいに決まっている。

「気を養うには月出山が一番なんです!」

大司成は少々ムキになってそう言ったが、形勢不利と見たのか、彼にしては珍しい提案をした。

「では今回は私が援助金を出しましょう。だから月出山。ね?」
「水一杯もおごらない大司成様が援助金を?」
「我が成均館の学生が元気でこそ、朝鮮の未来も明るくなるというものです」

そうもっともらしく頷くと、先程からすぐ近くで書架の整理をしていた書吏のジャンボクがさりげなく茶々を入れた。

「正直におっしゃればいいのに。イ・ソンジュン庠儒のおられる竹亭書院が月出山にあるからだと。でしょ?」
「イ・ソンジュン?」

ヨンハが訊き返すと、ジャンボクは大司成をちらりと見て、からかうような笑みを浮かべた。

「イ・ソンジュン庠儒に楽しそうな学生たちの姿を見せれば、成均館への里心がつくんじゃないかってお考えなんですよ、大司成様は」

おほん、と大司成は咳払いすると、「私は、迷える者を正しい道に導きたいだけです」と言った。
月出山か、と指先で顎を撫でていたヨンハは、大司成の机の上に両手をつき、身を乗り出した。

「行きましょう、令監。月出山に」

たちまち、ヨンハを見上げる大司成の顔に満面の笑みが広がった。

「まったく、令監も人が悪いな。先にそれを言ってくださいよ。ちょうど私も、あの薄情者に会いたいと思ってたところなんです」

どうやら今回の野遊会は相当に楽しめそうだ。

彼は大司成に向かい、ぱちんと片目を瞑った。


*   *   *


月出山の懐深くにある竹亭書院は、これまで官僚や学者等優秀な人材を多く輩出しただけあって、学問に専念できる環境が整っていた。
外から訪れる者も少なく、静寂の中、聞こえるのは耳に心地良い鳥のさえずりだけ。空気は澄み切っており、窓を開ければいつでも冷涼な風が流れこんできて、目に染み入る木々の緑や、その香りとともに、頭を冴え渡らせてくれる。

しかも、学士たち一人一人に与えられる個室は成均館の清斎のような長屋造りではなく、土地を贅沢に使った離れ家である。世話係の下男を住まわせる部屋まで備えてあり、生活の不自由はもちろん、周囲に気を遣う必要もなかった。

こんなところに小さいときからいて学問漬けの毎日を送っていたら、おれだってお役人くらいにはなれたかもしれない、とスンドルも感激したものだが、そう思ったのもここにやって来た最初の一日だけだった。

何しろ山奥である。時折出くわす蛇や猪に驚かされることはあるが、それ以外は全くと言っていいほど変化のない毎日に、彼はすぐに飽きてしまった。

世の中にここまで退屈な場所があったとは。
スンドルがこの書院に来てまず一番に学んだことはそれだった。
坊ちゃんがいるからいいようなものの、一人でこんなところに閉じ込められでもしたら、とてもじゃないが三日と もたないだろう。
やっぱり坊ちゃんのような余程の学問好きでもない限りは、お偉いお役人になんてなれっこないのだと、スンドルは改めて思ったのだった。

ところが。

当の坊ちゃん───ソンジュンの様子が、ここに来てからというもの、どうもおかしいのだ。

毎日、部屋で書物を広げてはいるものの、ぱらり、ぱらりと頁を捲るだけ。
生気のないその目は、手元の文字ではなくぼんやりと空〈くう〉を見ている。話しかけても全くの上の空で、ろくに返事もしない。

夜も更けてから、冷え込んできたので火鉢を持って行ったら、寝ているとばかり思っていたソンジュンが、真っ暗な中、書をめくり終わったそのままの姿勢で微動だにせずに座っていて、スンドルは危うく腰を抜かすところだった。

気晴らしに碁でも打ちましょうよ、と無理やり碁盤の前に座らせてみたが、これが本当に天才と謳われたうちの坊ちゃんかと疑うほど、からきし弱いのだ。いや、弱いというのはちゃんと対局として成り立っている時に言えることだから、この場合は語弊がある。

二人で対局するときは当然、実力が上のソンジュンが白、スンドルが黒の石を使うのだが、自分の番になったソンジュンが白石ではなく、ついさっき盤上から取ったばかりの黒石をぱちりと置いたときには、スンドルは思わず自分の見間違いかと思い、ごしごしと目を擦ってしまった。

食事の時といえど、それは同じだった。
スンドルが汁椀の中に飯を入れてやっても、それをゆっくりゆっくり匙で掻き回すばかりで、一向に口に運ぼうとしない。汁を吸ってかさを増した飯が器から溢れ出ているのにも気付かず、呆けたような顔でいつまでも匙を回している。

いったいうちの坊ちゃんに何が起こったのだろう。
まさか学問のし過ぎで、頭がおかしくなってしまったのだろうか。それとも、この山に入る前に、魂をどこかに置いてきてしまったのだろうか。

ソンジュンの手元で、糊のようになった飯を見つめながら、スンドルの心配はいや増すのだった。





**********************
あまるですどうもこんにちわ。

早いもので、先日このブログも開設2周年を迎えました。
お祝いメッセくださったポンタさん、どうもありがとう~(感涙)
そしていつもありがとうございますっ。

まさか2年も経ってまだやってるとは、ずーずーしいあまるも流石に思ってなかったですが(笑)とりあえず今のところ挫折せずに続けていられるのは、温かい励ましのコメントはもちろんのこと、拍手、ランキングボタンをポチポチしてくださる優しい皆様のお陰です。
あまるにとってソンス最大の難所だった13話と14話をどうにか終え、ようやくゴールが見えて来たかな~という感じですが、ソンジュンの幸せはもちょっと先。
まだまだ気を抜かずに頑張る所存デスッ(`・ω・´)ゞ

これからも当ブログを何卒ヨロシクお願いいたします~





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2013/07/13 Sat. 15:15 [edit]

category: 第十五話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

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# | 
2013/07/16 19:45 | edit

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# | 
2013/07/16 18:57 | edit

Re: p***e*さま

コメントありがとうございます~。
先程メール送らせていただきましたが、無事届きましたでしょーか?
もしダメでしたら、お手数ですがまたコメント欄ででもお知らせくださいまし。

今後ともよろしくお願いしますね!(^^)

あまる #- | URL
2013/07/15 23:32 | edit

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# | 
2013/07/15 08:36 | edit

Re: あらちゃんさま

イエイエ、こちらこそありがとうございますしかないですわ~。

W受験生を抱えつつソンスに耽溺できたのも、親に心配かけない孝行息子さんたちのお陰ですね(^^)
我ながらいつまでソンスソンス言ってんだと思いますが、好きなものはしょーがない(笑)
綺麗になるゆちょ鏡があれば、ワタシも一個欲しいです……。

ソンジュン狂騒曲(笑)に向けて猛暑に負けず頑張ります~

あまる #- | URL
2013/07/15 00:11 | edit

Re: ひろこさま

ありがとうございますー(^^)
我ながらねちっこくソンジュン漬けの毎日ですが、一緒に楽しんでくださる読者サマがいるとゆうのは、
ホントに幸せなことです(T_T)
暑苦しいブログではありますが、こちらこそこれからもヨロシクお願いします~。

いいなぁ~スンドル。
役でも実生活でもソンジュンとイチャイチャしてんのか……←そんなことは言ってません

あまる #- | URL
2013/07/14 23:57 | edit

Re: 夢*さま

お祝いコメントありがとうございます~(^^)
この基地外沙汰な暑さの中でもちまちま書いていけるのは
読者様あってこそですわ~。
こちらこそ今後共よろしくお願いいたします。

そしてそしていよいよこの回のラストにはソンジュン ガ━━(;゚Д゚)━━ン!!
ユニ Σ(゚∀゚ノ)ノキャー なシーンが!(笑)
ワタクシもちょっとドキドキですが、今から書くのが楽しみです。

あまる #- | URL
2013/07/14 23:46 | edit

二周年オメデトウ(^▽^)ゴザイマース

もう、ありがとうございますしかありません。
私も2011/6/6に日記に初めてソンスの文字が登場。チュノの後番組としてソンスに巡り逢いました。そこから徐々に廃人と化していく様子が日記を見るとよくわかる(爆)当時長男高3、次男中3。同学年の子を持つ会社の同僚たちは模試の結果に一喜一憂していましたが、母は申し訳ないくらいどっぷりソンス。かわりに二人は好きなよーに志望校を選び、好きなよーに受験勉強してても何も言われず、あまりプレッシャーを感じることなく受験できたと思います。その次男が今や高2、次の受験期に差し掛かっているのですから、世の中私がどうあろうとちゃんと時は流れているのですね。
当時、ユチョンのことは何も知らなかったので、韓ドラほぼ全部二倍速で見る猛者(同僚)にユチョンって誰?と聞いた記憶があります。ちなみに彼女はチャンミンファン。韓国の免税店でもらえるチャンミンとユンホの手鏡を机上にセット。ストレスを受けてもこれを見るとキレイになる鏡(笑)ということなので、私も時折覗かせてもらってます。
長くなってしまい申し訳ありません。
いよいよソンジュンの狂騒曲の始まりですね!
TweiiVのカットだらけのソンスを見て、あまる様の更新を歓び、毎日クソ暑いけど幸せです。(*´∀`*)

あらちゃん #- | URL
2013/07/14 10:47 | edit

Re: snowwhiteさま

コメありがとうございますー(^^)

ホント、我ながらよく飽きないなーと思います(笑)
多分そんだけソンスとユチョが素晴らしいんですよ、きっと。
snowwhiteさんの変わらずのご愛顧にも感謝です。
こちらこそこれからもヨロシクお願いします~

あまる #- | URL
2013/07/14 07:26 | edit

Re: 阿波の局さま

スンドル、心配でしょーがなかっただろうけど、あのシーンはワタシもかなりお気に入りです(^^)
二人で囲碁してるとこなんて、はしゃぐスンドルとぼーっとしてるソンジュンの対比が面白くて。
顔の大きさの対比もすごかったけど(笑)ゆちょ顔ちっさ……。

> 私なんぞ、2ヶ月でもう顎上げて喘いでいますって。(中途放棄の誘惑に常に脅かされてます。)

いやいや、喘ぎつつもあのペースでの更新は素晴らしいですよ。
ワタクシも見習いたいです……って前にも言ってましたね(ヾノ・∀・`)ムリムリ

あまる #- | URL
2013/07/14 07:17 | edit

2周年おめでとうございます!!

あまる様、おめでとうございます。
長く続けてくださっているおかげで、遅デビューの私も読ませていただくことができます・・・本当にありがとうございます。これからもわくわく楽しみにしていますので、どうぞよろしくお願いします。

熱が高じて、とうとう原作本も読んでしまい、ドラマはかなり脚色されていることを知りました。DVDとあまる様のノベライズ、そして原作本、2倍も3倍も楽しめて、本当に幸せです~~。

ユチョン様とスンドル役のお方は、実生活でも親友になったそうですね!
・・・えっ、「ソンジュンの幸せはもちょっと先。」ですか~~(笑) どうぞたくさん引っ張って、ヤキモキさせてくださいませ~~♪♪♪

ひろこ #- | URL
2013/07/14 05:52 | edit

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# | 
2013/07/13 21:47 | edit

出遅れました。

ブログ2周年、おめでとうございます☆

あまるさんの文章を読んでいると、本当にすごい!と思います。
わたしには真似できそうにないので、より感動しちゃう。
そして、情熱が続いていることも凄いな~と。

さぁ、ソンジュンとユニの恋が一気に動きますね!
これからも楽しみにしています。
暑い日が続きますが、お体大切に!

snowwhite #bSUw9.7Y | URL
2013/07/13 17:50 | edit

>魂をどこかに置いてきてしまったのだろうか。
あの時のソンジュンは、まさに魂を置いてきていますよね。
大切な坊ちゃまがあんなで、スンドルはさぞ心を痛めたでしょう。

ところで、2周年なんですね。
すごいな~
私なんぞ、2ヶ月でもう顎上げて喘いでいますって。(中途放棄の誘惑に常に脅かされてます。)

ソンジュンが幸せになれますように。
頑張ってください。

阿波の局 #3FtyQ0do | URL
2013/07/13 15:41 | edit

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