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蜜月 5 

続きです。
事情により今回と最終回はちょっと短め(^^ゞ

*****************************


荷車で突き破る、というヨンハの言葉に、まさかと思ったユニとソンジュンだったが。
実際ヨンハが、連れて来た下男たちに文字通り山のような荷を次々と運び込ませるのを見たときには、揃って空いた口が塞がらなかった。

しかも、酒や料理といったものに紛れて、数組の布団や洗顔用の金盥など、どう考えても引越し祝いとは言い難い品々が目の前を横切っていくのを見、ソンジュンは嫌な予感と共に尋ねた。

「何か、先輩が引越して来るような勢いに見えますが……」

手にした扇子を優雅に揺らしながら、家や庭の設えを検分していたヨンハが、「まさか」とわざとらしく目を丸くした。

「私は幾ら何でもそこまで無粋な男じゃないぞ。ただ、雲従街からも近いし、せっかくだから別宅がわりにたまーに使わせて貰おうかと思ってるだけさ」

それを無粋と言わずして何と言うんだ、とソンジュンは殺意に近い怒りで頬をひくつかせた。
どうりで、家探しに随分と協力的だったわけだ。というか、もしかしてこれが目的だったのか?

「たまになんて言わずに、しょっちゅう寄ってください。講義のときしか先輩に会えなくなるのは寂しいもの」

ソンジュンの気も知らず、にっこり笑ってそう言うユニに、ヨンハは大袈裟に感動してみせる。

「聞いたかカラン!持つべきものは可愛い後輩だよなぁ!よしよし、テムルがそこまで言うなら来ないわけにはいかないな。私も忙しい身だが、お前を寂しがらせるのは忍びない。マメに顔を出してやるとしよう」

今はユニの邪気の無さまでもが恨めしく、ソンジュンはがっくりと肩を落としたのだった。


*   *   *


「どうして、ヨリム先輩にあんなこと言ったんだ」

すっかり酔い潰れ、床に転がって寝てしまったヨンハを横目で見遣って、ソンジュンは憮然として言った。

「あんなことって?」

ヨンハに上掛けを掛けてやりながら、ユニが訊き返す。

「しょっちゅう寄れ、なんて言ったら、先輩のことだ。ほとんど住み着くに決まってる」

くすっ、とユニが笑った。

「いいじゃない、それならそれで。なんだか楽しそう」
「楽しい?どこが!」

ソンジュンは思わず声を上げた。これでは、成均館を出る意味が全くないではないか。

「なあに?まさか、ヨリム先輩にまで焼きもち妬いてるの?困った旦那様ね」

周囲にピリピリし通しな自分に比べて、彼女のこの余裕は一体何なんだろう。
ソンジュンは何か釈然としないものを感じたが、ユニの、まるで母親のようなかなわない顔に浮かぶ微笑みは、どこか彼をどきどきさせるものを含んでいて、つい無意識に手が伸びる。

「───だって、ヨリム先輩にはなんだか、悪かったなぁって思ったんだもの」
「何が?」

彼女を引き寄せようとした手をはたと止め、ソンジュンは尋ねた。

「先輩のことだから、絶対女絡みだと思って。貴方をそそのかした張本人みたいに、恨んでたの。貴方が悪いのよ。始めからそうと言ってくれれば、バカなこと考えずに済んだのに」

そう言ってソンジュンを睨みつつも、本気でないことは微笑うかたちに上がった彼女の口元を見ればわかる。

同じように嫉妬に苦しんでも、バカなこと、とそんな風に後で笑えるのはきっと彼女の方だけだ。実際、ユニ以外の女性に目移りするなんて、ソンジュンには有り得ないバカなことだから。

男というものは本当に始末に負えない。それは、この国に限らず、清や倭の権力者たちの歴史を見ても明らかだ。
男は、女を娶った途端、家の最奥に閉じ込めてできるだけ人の目に触れないように隠してしまう。
自分はどれだけ外で好き勝手をしても、妻には、自分以外の男の存在を絶対に許さない。
愛に関しては、男は常に狭量だ。女ほど寛大には決してなれない。おそらくは、そういう生き物なのだ。

ソンジュンは思う。
いっそ本当に彼女を蔵にでも仕舞いこんで、鍵を掛けてしまえたら───。

「きみにはきっと、わからない。男の群れの中にいるきみを、僕がいつもどんな気持ちで見ているか」

ついそんな恨みがましいことを口にしてしまった自分が情けなく、ソンジュンはユニに背を向けた。
すると、背後から伸びてきた白い手が、ソンジュンをそっと抱き締めた。
柔らかな温もりが、彼の背中にじんわりと染み込んでくる。

「本当。わからない。貴方がそんな風に思う必要なんて、これっぽっちもないのに」

ソンジュンは自分の胸の辺りに回された彼女の手に目を落とした。
皮膚の薄い手の甲、か細い指。形の良い、桃色の爪。
彼女をまだ男だと思い込んでいた、あの頃。いつも一緒にいて、気づかないなんてどうかしていたのだ。
男が、こんな綺麗な手をしているわけがない。

ソンジュンはユニの手首を取り、その華奢な手のひらにくちづけた。指と指の間にそろりと舌を這わせると、背中の彼女が はっと小さく息を乱すのがわかった。
その反応で、一旦は治まっていた熱が再び彼の身体をちりちりと焼き始め、疼いた。

ソンジュンは振り向くと、ユニを両の腕に抱き上げ、立ち上がった。そのまま足で部屋の扉を蹴り開け、すたすたと縁側〈マル〉に出る。

腕の中のユニが、囁くように言った。

「待って。ヨリム先輩、あのままにしておく気?」
「構うことはない。あの様子じゃ、きっと朝まで起きないだろう。こんなこともあるかと、できるだけ舎廊棟と内棟が離れてる家を探し回ったんだ」

ソンジュンはユニの鼻の頭に軽くくちづけて、微笑んだ。


二人の夜は、これからだった。






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次回は限定公開です。
エロ描写がありますので18歳未満の方、苦手な方はご遠慮くださいね~。




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2013/07/01 Mon. 19:31 [edit]

category: 蜜月

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