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蜜月 2 

番外編の続きです。
ソンジュンいぢめが癖になりそうな今日この頃……。


************************************


「俺はなぁ、何も、テムル相手に鶏姦をやらかそうなんて、思ったわけじゃないんだぞ」

赤ら顔のドヒョンが、盃を片手にボヤいた。

そこは例によって儒生たちの溜り場であるいつもの酒房。鼻は包帯でぐるぐる巻き、おまけに前歯も無いという間抜け面のドヒョンが、へウォンとウタクを相手にくだを巻いている。
傷口に酒が沁みるのか、一口含む度に頬を歪めているにもかかわらず、盃を煽る手を一向に止めようとしないのは、流石に自らを酒仙と称するだけの事はある。
傷が癒えるまで酒は厳禁の筈だが、当然そんな医師の忠告など彼のおよびではなかった。

一方のへウォンとウタクはといえば、ドヒョンが喋る度にポッカリ空いた前歯の隙間からすうすう息が漏れるのが可笑しくて、笑いを堪えるのに必死だった。

「ただほんのちょっと、あの細っこい身体をギュッとさせて貰えりゃあ、それで良かったのに。何なんだあの、鉄壁の防御は!」
「テムルには例の男色騒ぎがあったからなぁ。イ・ソンジュンも過敏になってんじゃないか?」

へウォンの言葉に、先程までの勢いは何処へやら、ドヒョンはたちまちしゅんとなった。
元を正せば件の騒ぎは彼等の軽口が発端である。あれよあれよという間に噂に尾ひれがつき、斎会なんて大事に発展してしまった。それに関しては多少の後ろめたさのある三人であったから、ドヒョンの前歯も代償としては妥当と言えるかもしれない。(と、へウォンとウタクはこっそり思った。)

ドヒョンは盃を卓に叩きつけると、言った。

「おおそうとも!確かに今回の件は、身から出た錆だ。俺も士大夫のはしくれ、前歯の一本や二本でウダウダ言ったりはせんぞ!だがな、テムルへの接近禁止命令、ありゃ何だ?イ・ソンジュンにそんなことする権利がどこにある!テムルはあいつの所有物か?!」

ヘウォンが、大きく頷いて盃を掲げる。

「同感だ!テムルの飲み仲間である俺たちを排除する権利が、下戸のあの野郎にあるはずがない!」

すかさずウタクが人差し指を立てて言った。

「子曰く、『故旧は大故なければ即ち棄てず』!ドヒョン兄が一体テムルに何をしたってんだ!」
「俺は断固抗議するぞ!」
「おお!」

一致団結した三人は、固い決意のもと立ち上がった。だがすっかり酔いの回ったその足元はかなり危なっかしかった。


*   *   *


ソンジュンがその騒ぎに気付いたのは、夜も更け、そろそろ寝支度を始めようとしたときだった。
げらげら笑いながら、何やら大声でがなり立てている男たちの声が聞こえる。どうやら街で羽目を外してきた連中が帰ってきたらしい。
騒々しいことだとソンジュンは眉間に皺を寄せたが、いつものことなので特に気にもせず行衣〈ヘンイ〉を脱ぎ、布団を敷こうと棚に手を伸ばしたそのときだった。

大きな物音とともに微かな悲鳴が、東斎の薄い壁を通して聞こえてきて、ソンジュンはさっと顔色を変えた。
壁の向こうは、ユニの部屋である。
手にしていた枕を放り出し、単衣〈チョクサム〉姿のまま彼は中二房を飛び出した。

「キム・ユンシク!」

扉を開けたソンジュンは、その信じ難い光景に一瞬自分の目を疑った。
厚かましくもユニの布団の上に、酔って正体をなくしたむさ苦しい男三人───ドヒョン、へウォン、ウタクが、てんでバラバラに寝転がっている。
彼等の真ん中で正座したまま身動きが取れなくなっているユニは、困り果てた表情で、助けを求めるようにソンジュンを見上げていた。

「ここで何をやって……」

そう言ったきり、二の句が継げないでいるソンジュンに向かい、ドヒョンがひらひらと手招きした。

「おお、イ・ソンジュン!お前も来い!今日はここで、皆で雑魚寝だー!」

と言うと、ヘウォンとウタクも上機嫌で「雑魚寝だー!」と声を合わせる。

「ドヒョン兄……貴方にはキム・ユンシクに近づくことを禁じた筈ですが」

ソンジュンは必死に平静を保った声でそう言ったが、ドヒョンは反省するどころか、むっくり起き上がると、ソンジュンに向かい人差し指を突き付けた。

「おいっ!イ・ソンジュン!俺は前から言いたかったんだ。テムルがお前だけの弟だなんて誰が決めた?こいつは皆の弟分だろ?可愛がってやって何が悪い!」

更には、あろうことかユニの膝に頭を乗せてゴロンと寝転がり、「愛してるぞぉテムル!」と、彼女の腿に頬擦りなどしている。

ソンジュンの頭は一瞬で真っ白になった。
ユニの膝枕など、(自称)夫である自分ですらまだ未体験の領域だというのに。
それだけではない。呆然としているソンジュンを他所に、へウォンやウタクまでもが「俺も愛してる!」「俺もダァ!」と叫ぶや、次々とユニに飛びつき始めたではないか。

「ちょっともう、みんな、お酒臭いよ」

彼等に揉みくちゃにされ、ユニは鼻に皺を寄せつつもしょうがないなぁといった風情で笑っている。
それはフツフツと温度を増していたソンジュンの身体中の血が、ついに沸点に到達した瞬間だった。

彼は握り締めた拳をわななかせ、怒鳴った。


「失せろ!」



*   *   *


「まだ、怒ってる……?」

背中を向け、端座して動かないソンジュンに向かい、ユニがそっと声を掛ける。
ソンジュンは憮然とした表情のまま、答えた。

「別に、きみに怒ってるわけじゃない」
「それなら、こっちを見て」

その言葉には、逆らえなかった。ソンジュンは腰を浮かせてユニに向き直ると、彼女の瞳を見つめた。だがそれも長くはもたなかった。
彼は目を伏せ、ひとつ息をついた。すると、ユニは更に言葉を促すようにソンジュンの顔を覗き込んだ。

ユニの真摯な黒い瞳は、こういうとき遺憾なくその力を発揮する。
彼女にはもしかしたら、審問官の才能があるのかもしれない。何も言わずとも、ソンジュンの口をいとも簡単に割らせてしまうのだ。

「……自分が、恥ずかしいんだ。きみは誰にでも好かれる。今日みたいなことがあるたびに、僕は嫉妬で気が狂いそうになる。こんな心の狭い僕に、きみはそのうち、嫌気が差すんじゃないかと」

ユニは少し悪戯っぽくも見える微笑みを浮かべて、言った。

「じゃあ、あなたも私のことを嫌いになる?」
「え?」
「知らないの?街を歩くあなたを、女たちがどんな目で盗み見てるか。露骨にしなを作ってくる妓生たちだっているわ。そのたびに、私がどれだけ嫉妬してると思う?女の嫉妬は大罪だっていうから、黙ってるだけなんだけど」

自分に向けられる女たちの視線など、気付いてもいないソンジュンである。当然、そんなことは思いもしなかった。

「本当に?」

ユニは頷くと、首を傾けて尋ねた。

「どう?私に、嫌気が差した?」
「そんなわけ……」

言い掛けた言葉は、ユニからのくちづけに遮られた。
すぐに離れた彼女は、恥ずかしいのか目を横に泳がせて、言った。

「慎みがないなんて言わないで。これでもすごく勇気振り絞ってるんだから」

ソンジュンはユニのうなじを捉えて少し強引に引き寄せると、唇に吐息がかかるほど間近で、囁いた。

「きみのその勇敢さが好きだ」

そのまま、唇を重ねる。彼女の内側に密やかに入り込むときの痺れるような感覚は、ソンジュンにあの晩を思い起こさせた。

心は、どこまで欲深くなれるのだろう。
そばにいて、見詰めていられるだけでよかった。手を握れば、たまらなく幸せだった。
だが彼女の唇の感触を知り、サラシの下の柔らかさを知り、彼女の身体の中の、熱く深い部分を知り───
互いの肌を重ね、ふたりがひとつになることの悦びを知ってしまった今は、くちづけにさえ満足できない自分を感じる。
彼女が自分だけのものであることを確かめたくて、我侭な指は下衣の腰紐を探る。

いつの間にか布団の上でユニに覆い被さり、彼女の単衣を脱がしにかかっていたソンジュンは、細い手が必死にそれを阻もうとしているのにも全く気づかなかった。

「だ、だめ……」

ユニの、たまりかねたような声にようやっと動きを止める。

「何がだめなんだ?」

とぼけるソンジュンに、頬を紅潮させたユニが恨めしげな目を向けた。

「わかってるくせに」
「布団を被ってすれば問題ない」
「そ、そういうことじゃ……」
「声を堪らえる自信がないとか?」

またそんなこと言う、とユニは呆れ顔で、軽くソンジュンの胸を小突いた。

「礼と法を重んじるイ・ソンジュンが、孔孟を祀る神聖なる成均館で色欲に溺れるのはどうなの?」
「そういうきみはどうなんだ?その神聖なる成均館の祭祀を納める享官庁で、僕の妻になった」
「あれは、私たちにとってはすごく神聖で、厳粛なことだった!今のあなたとは違うわ」
「どこが」
「全部!」

ぼふっ、と枕を顔に押し付けられて、ソンジュンはしぶしぶユニから身体を離した。

「きみは男のことを少しもわかっていない」
「あなたのほうこそよ。言ったでしょ。そういうのは男だけの感情じゃないって」

ソンジュンはふと顎に手をあてて、そうか、とだけ言った。
以前からあったある考えが、そのとき彼の中で徐々に形をとりつつあった。

「何を考えてるの?」

その顔に鋭く何かを読み取ったらしいユニが訝しんだが、ソンジュンは「いや、何も」と返事して微笑んだ。
彼女の、きちんと揃えた小さな膝頭が目に入る。

同衾が駄目なら、せめて膝枕を、と思わず言ってしまいそうになった彼だったが、あまりに子供っぽい気がして、やめた。






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2013/06/18 Tue. 10:46 [edit]

category: 蜜月

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: あらちゃんさま

お忙しいところコメどうもです(笑)
イジリ甲斐、ありますね~確かに。
やっぱゆちょが演ってるからでしょーか←典型的ないぢられキャラ……ww
ユニに転がされてるときのあの可愛さはたまりません(^^)

あまる #- | URL
2013/06/20 07:10 | edit

ちょっと~~

あまる様ったら~、仕事できないじゃ~ん、忙しいのに~(*´▽`*)うれしすぎ。私をメロメロにしてどーすんの~?0(≧▽≦)0

ホントにソンジュンって恐ろしいくらいいじりがいのあるキャラですね。どんなバージョンもいける。こういうキャラはめったにいないと心から思います。愛おしいわ…どうしようもなく。

あらちゃん #- | URL
2013/06/19 23:52 | edit

Re: 阿波の局さま

コメントありがとうございます~。阿波の局さんとこはステキなペースで更新されててスゴイですね。
毎日の楽しみが増えて嬉しいです。
ワタシも見習わなければと思うのですが思うだけで終わるという(爆)

>みんなユニの魅力にメロメロなんですね。女と気づいているか否かにかかわらず。うほほほほ・・・

そうみんなメロメロ(笑)お陰様でソンジュン絶賛ヤキモキ中です。
ワタクシにとっても大変ありがたい子です、ユニは。おほほ。

もはやエロしか考えてない状態の、成均館きっての模範生ですから……
ヤツの企みは、まぁ大体は予想がつくのではないかと(^^ゞ

あまる #- | URL
2013/06/18 20:07 | edit

なんてかわいい

>同衾が駄目なら、せめて膝枕を
ソンジュンといい3人組といい、なんてかわいい男達なんでしょう。
みんなユニの魅力にメロメロなんですね。女と気づいているか否かにかかわらず。うほほほほ・・・

それにしても、ソンジュンかわいい(←こればっか)
手を握っているだけで嬉しそうにしていたのに、ユニの肌の柔らかさを知って、一つになる悦びを知って・・・以下略

しかし・・・今度は一体何を企んでいるのやら・・・?

阿波の局 #3FtyQ0do | URL
2013/06/18 12:28 | edit

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