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第十四話 10 誹謗 

bandicam 2013-06-05 18-48-40-337


**********************************


東斎に戻り、縁側〈マル〉に上がろうとしたユニは、踏み石に掛けた足をぴたりと止めた。
中二房で、何やらヒソヒソと話す声が聞こえる。
恐らく、中にいるのはヨンハとジェシンだ。思わず、耳をそばだてた。

「───それが、お前の兄貴の意志を示すことになるってのか?今正体を明かせば、やってもいない罪を着せられて、死罪になるんだぞ」

ヨンハの声はどこか切羽詰まったものがあった。だが対するジェシンの声の調子はいつもと変わらず、まるで他人事のように飄々としている。

「俺だって考えてる。最善の方法をな」

だろうな、とヨンハは笑った。だがそれはジェシンを小馬鹿にしているようにも、酷く怒っているようにも聞こえた。

「お前がそこで最優先するのは、テムルなんだろ?いいか、斎会で妙な真似をしてみろ。死罪になる前に、俺がお前をあの世に送ってやるからな」

ユニは靴を脱ぐことすらできずに、そのまま中二房を離れた。

(コロ先輩は、斎会で自分が紅壁書だと明かすつもりでいる。───私のために)

それだけは、絶対に避けなければならなかった。
けれど、あの晩享官庁にいた理由をどう説明する?
散々考えたが、思いつくものはどれも嘘くさく、逆に疑いを深めることになりかねなかった。

───こんなとき、彼ならどうするだろう。

つい思い浮かべてしまうのは、ソンジュンの顔だった。
いつでも、どんなときでも決して諦めない彼。逆境をものともせず、彼は常に打ち勝ってきた。自分の中の、弱さにさえ。
だが、ソンジュンに全てを話すことはできなかった。話せばきっと、彼の立場を危うくすることになってしまう。

物思いに沈んで庭先を歩いていると、突然、白い砂粒のようなものがユニの顔に降ってきた。

「汚らわしい男色野郎め」

耳に入ってきた声に、全身が凍りついた。見ると、ユニは数人の儒生たちに周囲を取り囲まれていた。
彼等は皆一様に、器を手にしている。どうやらそれは塩のようだった。一人が、手に掴んだそれを勢い良くユニに投げつけた。それを合図に、聞くに耐えない罵倒と塩の礫が嵐のように降り注ぎ、ユニの頬を打った。

(耐えるんだ。私は、何も悪いことはしていない。こんなの平気。石を投げられないだけまだましだ───)

絶え間なく顔を叩く塩粒のせいで、目も開けていられない。
唇を噛み、悔しさに涙が出そうになるのを必死で堪えていると、ふいに儒生たちの声と塩の雨が止んだ。
いつの間にか白い袂が、自分を庇うように目の前を覆っている。
顔を上げたユニはそこに、激しい怒りを孕んだ目で儒生たちを睨み据えているソンジュンの怜悧な顎を見た。

「イ・ソンジュン……」

呆然とその名を呟いたユニに目もくれず、ソンジュンは口元を固く引き結んだまま、ユニの肩を押して歩き出した。
残された儒生たちが、何だあいつ、とブツブツ文句を言っているのが聞こえたが、ユニにはもう、そんなことはどうでもよかった。
ただ、自分の肩を抱くソンジュンの手のぬくもりが泣きたくなるほど懐かしく、胸の震えを抑えることができなかった。



「礼を言うべきか……それとも、謝るべきかな」

人けのない中庭で、ユニはそう切り出した。
目の前に立つソンジュンは、ユニの視線を避けるようにこちらに横顔を向けている。
それでも彼がまだそこにいてくれることにささやかな勇気を得て、ユニは言った。

「明日の斎会でも、力を貸して欲しい」

ソンジュンが、ユニを見た。冷たい、無表情な眼差し。もうどのくらい、彼の笑顔を見てないのだろう。

「厚かましいことを言ってるのはわかってる。でも、コロ先輩とぼくは、そんな仲じゃない。潔白なんだ」
「だったら話せ」

語気を鋭くして、ソンジュンが言った。

「あの晩、享官庁で何があった」
「それは……」

ユニが口ごもると、ソンジュンは憤りを露わにした表情で、踵を返そうとした。ユニは思わず彼の腕を掴んだ。

「コロ先輩のためなんだ。だから、ぼくを信じて助けてくれないか。斎会は、コロ先輩を……」

言い募ろうとしたユニを、ソンジュンは口早に遮った。

「事の重大さがわかってるのか?下手をすれば、君の人生が台無しになるかもしれないんだぞ。それなのに、そんな時だっていうのに、君は自分よりムン・ジェシンを心配するのか?」

礼を重んじるソンジュンが先輩を名前で呼ぶなど、それまで無いことだった。ユニは一瞬たじろいだが、懸命に気持ちを奮い立たせて、言った。

「疑う気持ちはわかるよ。君は模範生だから、理解できないかもしれない。それでも、一度だけ、何も訊かずにぼくを信じて力を貸して欲しいんだ」
「キム・ユンシク、君は───」

言いかけた彼は一旦、昂ぶる怒りを抑えるように大きく息を吐いてから、再び口を開いた。

「君はどこまで、僕を頼る気だ?君のために、どれだけやれば気が済むんだ。君のせいで僕はずっと、愚かで情けない真似ばかりしてる。こんなのは……」

ふっと、ソンジュンの口調が緩んだ気がした。ユニはその眼差しの中にかつての友情の欠片を見出そうと、じっと彼を見つめ続けた。だがソンジュンはユニから視線を逸らし、苦しげな声を漏らした。

「───こんなのは、僕らしくない。こんなのが僕であるはずは、ないんだ」

それ以上話しかけることを許さぬ頑なさで、ソンジュンはユニに背を向けた。
遠ざかって行くその後姿に向かい、ユニは酷く打ち拉がれた気持ちで、呟いた。

「仕方ないよ……だって、こんなときに思い浮かぶのは、イ・ソンジュン、君しかいないんだもの」


*   *   *


「イ・ソンジュンの奴、なんでテムルを庇ったりするんだ?」
「ひょっとしてあいつも同類か?」

儒生たちの下卑た笑い声が、庭先に響いた。その一人が、ひっ、と小さく声を上げて顔を引き攣らせる。
日月門の方から、人を殺しそうなほど凶悪な眼つきでこちらに近づいてくるジェシンに気付いたのだ。

「コ、コロ。今の、み、見て……」

有無を言わさず、ジェシンは儒生の襟首を強引に引っ掴むと、抱きすくめた。儒生はまるで、虎に組み敷かれ、今しも喉元を引き裂かれようとしている哀れな子鹿だった。棒切れのように直立してかちかちと歯を鳴らしている。

「……どうだ?」

儒生たちの青褪めた顔を、ジェシンは一人一人、舐めるように見渡した。

「また噂すりゃあいい。泮宮の暴れ馬、ムン・ジェシンの好きな男は、こいつだとな」

ジェシンは儒生を乱暴に引き剥がすと、低く押し殺した声で、言った。

「今度またキム・ユンシクを侮辱してみろ。この拳が、どこにどう飛ぶかわからねぇぞ」

静まり返る儒生たちを威嚇するように眺め渡し、ジェシンは立ち去った。
食われる寸前だった儒生が、くたくたとその場にへたり込む。とりあえず今日のところは命拾いした、と安堵しつつ、皆顔面蒼白で、悠然と去る虎の背中を見送ったのだった。





*********************************
あまるですどうもこんにちわ。

すかぱーでDr.JINが始まりました。
大沢たかおの日本版「仁」は大好きなドラマだったし、何よりジェーひょんとミニョンちんが出てるからこれは見ておかねば!とイソイソ録画しといたのですが。
ああ~。なんか辛い。ジェーがむっちゃ可哀想な感じになる予感がヒシヒシと。
最後まで耐えられるかなぁ(^^ゞ
で、その反動かついつい日本版の「仁」第一話をネットで再見して号泣。
「ちちんぷいぷい」を泣きながら繰り返す子役の演技に涙、バックに流れるあの音楽にまた涙。
このドラマの綾瀬はるかはいいなぁ。ホントにいいなぁ。
咲さんのあのひたむきさが大好きだ。仁先生と結ばれなかったのが残念でなりません。

それはともかく。この感動が果たして韓国版でも期待できるのか微妙ですが、
頑張って見ます。ジェーひょんのために!←え?





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2013/06/05 Wed. 19:08 [edit]

category: 第十四話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: ちゃむさま

ハッピーエンドもそれなりに納得できるものじゃないと白けちゃったりすることはありますよね。
……肝に銘じよう(笑)

>成均館もラストは原作とちがうので悩ましいですよね。

悩ましい!確かに悩ましい!
あのユニとソンジュンの可だの不可だのワチャワチャやってるとこは是非とも書きたいんですが、???な部分も多いラストなので……。
どーするかはまだ実際に書いてみないとわかんないですね~(^^ゞ

あまる #- | URL
2013/06/09 20:29 | edit

Re: あらちゃんさま

ユニロールのシーンは確かにイロイロと想像を掻き立てるオイシイ場面ではあります。
あの一晩に何があったのかなかったのか!(爆)

>ソンジュン達が赤面するくらいいっぱい妄想話を打ち立てた(爆)

そんな妄想は一刻も早く外に吐き出してあげるべきではないですか?(にっこり)

あまる #- | URL
2013/06/09 20:07 | edit

Re: ちゃむさま

そうそう、前に買おうかと思ったこともあったんだけど、あの画風にちょっと躊躇してしまったんですよね~(笑)
ここんとこ時間なかったんだけど、明日休みなんで、今から録画したやつ見ます。
(でもまた欲求不満で日本版見ちゃうカモ(^^ゞ)

あまる #- | URL
2013/06/09 19:42 | edit

JIN原作について

原作はハッピーエンドでした。っていうか、究極のハッピーエンドですよ^_^でも、わたしがひねくれているせいか漫画はやりすぎじゃないかなって…思っちゃっただけで…ドラマが終った時はなんで漫画とおなじにしなかったのか?って憤ってたんですけどね〜成均館もラストは原作とちがうので悩ましいですよね。あまるさんはラストはドラマに忠実に書かれるのかな?もしそうなら別にあまるワールドを描いてくれることを切望してる私です。

ちゃむ #- | URL
2013/06/09 14:23 | edit

ユニロール♪

ユニロール♪ユニロ~~ル
聞いただけで盛り上がる、鳩林の場面は私の萌えポインツです。原作でもドラマでも房中の2人のやりとりは大好きな妄想暴走原点!ソンジュン達が赤面するくらいいっぱい妄想話を打ち立てた(爆)
ソンジュンの笑顔まであまる様頑張ってください!!楽しみにしています。

危ない世界・・・てんちか堂出入り禁止になるから、聞かないで下さい。
アラフィフ女が3人寄るとどんだけ危険かってことです(爆)

JIN・・・ドラマの方がまだましなラスト?あれで?原作見ない方が無難ですか?私もハッピーエンドがいい。原作ハッピーエンドっていうのはガセネタだったんですね・・・

あらちゃん #- | URL
2013/06/09 02:01 | edit

JIN

私もハマったドラマでした。はまりすぎてマンガを大人買い。少女漫画好きにはとっつきづらい画風ではありましたが、話が面白いので楽しめましたよ。ラストについては悲しいけどドラマの方が納得できる気がしました…ま、タイムスリップものは話自体がありえないんだから、あり得なくったってハッピーエンドでイイじゃんとも思いますが^_^韓国ドラマ版はなんかすったもんだあったみたいだからちょっと残念ですよね〜あまるさん是非感想聞かせて下さい。本編ユニロール(笑)の回楽しみにしてます♪

ちゃむ #- | URL
2013/06/08 15:50 | edit

Re: あらちゃんさま

ご無沙汰です~(^^)
お久しぶりのコメ嬉しいです。ありがとうございますー。
ところで危険な世界っていったい……(笑)

> >もうどのくらい、彼の笑顔を見てないのだろう。←ほんとだよ!

このツッコミに笑かしていただきましたwww
いやもうほんとに。ここはユニとゆーよりあまるのキモチです。早く16話が書きたいわ~。
ユニがお布団で「ユニロール」になったとこでやっと笑うんですよね。

咲さんと仁センセ、原作だと結ばれるの~?ううーん←ちょっと漫画読みたくなってる
イカン。最近本やら漫画やらやたら衝動買いしてるから自制しようと思ってたのにい(>_<)

あまる #- | URL
2013/06/07 23:56 | edit

Σ(゜Д゜)

あ~~久々のソンギュンガンの空気を堪能しています。清浄~~
私が危険な世界に足を突っ込んでいる間にもあまる様はしっかり更新してくださっていたのですね!!
自分のあほ加減を反省しつつ、楽しませていただきました。
と言いつつ…この辺りはできれば避けて通りたいくらいの痛い場面続きで・・・

>もうどのくらい、彼の笑顔を見てないのだろう。←ほんとだよ!

>ただ、自分の肩を抱くソンジュンの手のぬくもりが泣きたくなるほど懐かしく、胸の震えを抑えることができなかった。←ぬくもりの暖かさに(泣)

ここにこんな言葉を持ってきて人を泣かせて~やっぱりあまる様好きです!

仁、私も大好きでした。原作では結ばれる2人が(未読)どうしてドラマだと咲さん、あんなにかわいそうな結末になってしまうんでしょう?号泣でした。
主題曲の平井堅のPVも大好きでした。



あらちゃん #- | URL
2013/06/07 13:35 | edit

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