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第十四話 2 誤解  

bandicam 2013-05-08 00-57-12-434

**********************************


地面に点々と落ちていた血痕をひと通り消し、享官庁に戻ってきたユニは、壁に背中を預けて座り込んでいるジェシンのそばに急いで駆け寄った。

苦しげに喘ぐジェシンの黒衣は、血に染まり更にその濃さを増している。襟元を開こうとすると、ジェシンの手がユニの手首を掴み、それを阻んだ。

「……もういい。戻れ。自分でなんとかする」

血の気の失せた顔で、ジェシンは息も絶え絶えにそう言った。ぬるりとした感触が残ったユニの手首には、べっとりと血の跡がついていた。

「自分でなんとかって……そんな有様で、何ができるっていうんですか」

ふいに、怒りのようなものがこみ上げてきて、ユニはいくらか声を荒げた。

「紅壁書はどんなバカかと思ってたら、まさか先輩だったなんて」

どうしてこの人はこんな危険な真似をするのか。弱い者には人一倍優しいくせに、自分のことはちっとも大事にしようとしない。周りの人間がそのせいでどんな思いをするかなんて、考えもしないのだ、きっと。

いっそ傷に塩でも塗り込んでやりたい、と腹立たしさの勢いに任せて、強引に襟元を開く。彼の肩から脇腹にかけて、ざっくりと割けた傷口を目の当たりにしたユニは、思わず凍りついた。

(どうしよう……こんな酷い傷……!)

全身がかたかた震えだした。呼吸を乱したまま動けずにいるユニに向かい、ジェシンは片頬を上げて微かに笑った。

「さっきまでの威勢の良さはどうした」

そう言いながら、震えるユニの手を宥めるように、血まみれの手を重ねる。

「大丈夫だ。これくらい……もう慣れてる」

ユニは唇を噛んだ。
そうだ。怖がってる場合じゃない。なんとかしなきゃ、このままじゃコロ先輩が死んでしまう。

「そんなの……自慢になりません」

気を取り直したユニは、着ていた儒生服の裾を勢い良く裂いた。とにかく傷口を塞いで、止血しなければと思ったのだ。

一本の長い布を作り、傷にあてて縛る。背中に布を回すとき、できるだけそっとジェシンの身体を起こしたつもりだったが、彼はユニの耳元で小さく呻き声を上げた。

ジェシンの身体のあちこちに残る傷の理由が、やっとわかった。彼はこれまで幾度も、こうやって怪我を負い、“自分でなんとか”してきたのだ。真夜中に、たった独りで。

顎からぽたぽたと雫が滴り落ちてきて始めて、ユニは自分が泣いていることに気付いた。

彼は弱い者に人一倍優しいから。だからなのだ。自分の身を顧みず、独りで闘おうとする。
明倫堂で論語を唱和しているだけでは世の中は変えられないと、自ら危険の中に飛び込んでゆく。
そんな彼に、自分が一体何を言える───?

「つっ……!」

痛みに耐えかねたのか、ジェシンの手がユニの肩を強く掴んだ。引き寄せられる格好になったユニは、はっとしてジェシンの身体を支えた。

「先輩!動いたら駄目です、傷が……!」

ジェシンの荒い呼吸が落ち着くのを待ちながら、ユニは必死で考えた。

(どうしよう。いったいどうしたら……)

そのとき脳裏をよぎったのは、ソンジュンの顔だった。だが彼女はすぐにそれを振り払った。
もう彼には頼れない。友人には戻れないと、はっきり言われたのだから。
自分でなんとかしなければ。なんとか───。

ユニは汗の浮いたジェシンの頬に手をあて、真っ直ぐに目を合わせると、言った。

「先輩、気をしっかり持って。教えてください。ぼくに、どうすればいいか」


*   *   *


ユンシクを追ったソンジュンは、その姿がとある建物へと消えるのを見た。
そこは、享官庁だった。そういえばいつだったか、夜更けになっても戻ってこないユンシクを捜してここへ来たことがあったな、とソンジュンは思い出した。
ヨンハとジェシンとで大騒ぎして入った挙句、結局そのときは、彼はそこにいなかったわけだが……。

何故か胸がざわつくのを感じて、ソンジュンは扉のある方へと回り込んだ。
灯りは、ついていないようだった。そっと扉を押すと、それは難なく開いた。
暗がりに目を凝らす。奥に、人の動く気配があった。そちらに視線を移した彼は、はっと息を呑んだ。

祭器の並ぶ棚の間から、ユンシクの白い横顔が見える。その傍には、ざんばら髪の男───ジェシンがいた。
二人は互いを抱き締め合っていた。まるで恋人同士がそうするように。
ユンシクの手が、ジェシンの頬を包む。二人は互いを見つめ合い───。

ソンジュンは咄嗟に目を逸らした。とても耐えられなかった。それ以上見ていることを、彼の全身が拒んだのだ。
そこから、どう歩いてきたのか覚えていない。
たった今享官庁で見た光景が脳裏に焼き付いて、彼の一切の思考を停止させていた。

足がもつれ、思わず傍らの木の幹に左手をついた。息を吸うことすらできず、苦しさに彼は胸を押さえた。

「イ・ソンジュン?」

声に顔を上げると、ドヒョン、ヘウォン、ウタクの三人組が怪訝な顔でこちらを見ていた。
ソンジュンは彼等とろくに目も合わさず、足早にその場から立ち去った。




遠ざかるソンジュンの背中を見ながら、ヘウォンはぱちぱちと瞬きした。

「なんだ?奴も、試験に備えて幽霊の“気”を浴びにきたのかな」

ドヒョンがさも感心したように頭を振る。

「流石だな。よくもまぁ、この極秘情報を知ってたもんだ」
「イ・ソンジュンまで来るなら、かなり信頼できる情報と言えるな」

ウタクが言うと、ドヒョンは大きく頷いた。

「そうさ。俺たちは家柄も実力も劣る。頼れるのはたったひとつ。運だ!」

「運か!」と、ヘウォンとウタクが声を揃えた。

「いざ、享官庁へ!」

三人は高々と右手を挙げ、意気揚々と享官庁へと向かった。




享官庁に噂の幽霊が本当にいたとしたら、今夜は千客万来だとさぞかしうんざりしたことだろう。
だがもちろん、恐る恐る扉を開けるドヒョンたちは、そんなことは露ほども知らない。
幽霊のご利益にあずかろうと、恐怖心はさておき、戸口から三つの頭を並べて中を覗き込んだ。

いきなり、ひっ、と小さく声を上げたのはウタクだった。

「なんだ、どうした」
「い、いいいい、いる!」
「何が?」
「ゆゆゆ、幽霊!」

ドヒョンとヘウォンが、暗がりに目を凝らす。

「バカ、ありゃテムルじゃないか。お前、この暗いのにそんな色眼鏡なんか掛けてるから」
「へ?」

ウタクが、鼻の下まで眼鏡をずり下げて再び中を覗いた。

「ホントだ。テムルだ。あいつ、こんなとこで何やってんだ?」

ユンシクは何やら探しものでもしているのか、室内に立ち並ぶ棚の間を行ったり来たりしている。
あっ、と今度はドヒョンが声を上げた。

「おい、あれ、コロじゃないか?」

え?と身を乗り出そうとした彼等だったが、その肩をむんずと掴まれ、阻まれる。
振り返った三人はそこに、にっこりと笑って立っているヨンハを見た。

「君たちはここで何をやってるのかな?」

ヘウォンが驚きに口をぱくぱくさせて、中を指差す。

「いや、俺たちはただその、明日の試験のために……」

最後まで聞かず、ヨンハは素知らぬ風で言った。

「さっきそこで、見回りのユ博士を見かけてね。もうそろそろこちらに来る頃じゃないかな。減点されたくなきゃ、部屋に戻った方がよくないか?」

三人は途端に顔色を変えた。試験でいい成績をとるためにわざわざこんなところまで来たのに、減点などされてしまってはたまらない。大慌てで清斎へと戻って行った。

残されたヨンハは、笑顔を収めて ほっと息をつくと、木の陰の暗がりに向かって声を掛けた。

「もういいぞ。出てこい」

辺りを伺いながら、男が姿を現す。ヨンハは袂から鉢巻き用の布を取り出すと、言った。

「さて、悪いがここから先は目隠しさせてもらうよ。中に、ちょっとした重要人物がいるんでね」




************************
あまるですどうもこんにちわ。

久々のウソ注意報発令です。今回はドヒョンたちのシーン。
完全版では彼等が享官庁でユニとコロを見たのかどうか一切説明がなくて、そのせいかこの後男色騒ぎへと発展する過程がどーもモヤッとした感じに(^^ゞ
ディレクターズカット版ではそのへんどーなってんのかな。
ご存知の方いらしたら教えてください(←人任せ?)

ところでゆちょのドラマを見んがために契約したスカパーのDATVで、『メリは外泊中』もやってたので、とりあえず録画だけしといて見たんですが。
スミマセンダメでした~。キム・ジェウク大好きだし、ヒロインのムン・グニョンも風の絵師やらシンデレラのお姉さんやらで既にお馴染みなんで、安心して見てられると思ってたんだけど。
なんだろなぁ。一話を最後まで見るのさえしんどかった。グンソクは確かにキレイだったけど。
彼のペンがMVだと思って見るのが正解なのかもですね(^^ゞ

でもグンソクドラマであまるの一押しはぢつは『快刀ホン・ギルドン』。
あのチャンフィは切なくて美しかった。

それはさておき。
肝心のゆちょドラマ『ポゴシッタ』。
5話目にしてやっとユチョ登場~なんですが、子役の子たちがあまりにも素晴らしすぎて(>_<)
重い話なのにずっとこの子たちで見たいとかうっかり思ってしまった。
あ、ユチョはステキでしたヨ!もちろん。
相変わらずデコがヤバい感じにハゲ散らかしてましたけどね!(爆)
もーあのボーズ見ちゃったらどんなヘアスタイルだろうがどんと来いですわ。

こうしてユチョペンはまた少し強くなる……(笑)




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2013/05/08 Wed. 02:04 [edit]

category: 第十四話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: あらちゃんさま

アチラのドラマはスケジュールの都合か何かわかりませんが、終盤に近づくにつれバタバタ感が(笑)
今観てるイ・サンも70話越えたあたりなんですが、え?いつの間にそんなことに?っていうのが結構あります、そういえば(^^ゞ

リプリーは、ワタクシの中ではユチョが動いて喋ってるの見るためだけのドラマ……(爆)
登場人物はどいつもこいつも好きになれなかったなァ(^^ゞ
あ、唯一悪役のヒラヤマは個人的に一番魅力的だと思いましたけども(笑)

ワタシも毎朝出勤途中でユチョの声を聞いて仕事、帰宅の電車でまたユチョの声を聞いて癒される、という毎日です(^^)

あまる #- | URL
2013/05/10 19:57 | edit

更新ありがとうございます

このあたりからスケジュールがどうしようもなかったのか、あんまり気にしない方達が作ってるのか、いろんな???が満載だった気がします。
制作側もディレクターズカット版がどうだったか、見てるのにすでに記憶にないおめでたい頭の人には突っ込まれたくないでしょうが。
それでもやっぱりすごいパワーを感じるソンギュンガン。この何日かの私のみみっちい憂さを晴らしていただきました。久々に苦悩するソンジュンを見直して見たく思いました。更新していただいて感謝!です。

私はユチョペンではないので、なかなかすべてを受け入れることができません。ドラマはリプリーですでにOUTだったので。(屋根裏は見てみようと思っていますが、まだ機会に恵まれません)
ただし、ユチョンの声はほんとにほんとに好きで好きでたまりません。
毎日聴いていてもまったく飽きるということがなく、聴くたび○○の一つ覚えのようにいいなぁ~と顔がゆるみます。
個人的な妄想はすべてそこが基点となっています(笑)

あらちゃん #- | URL
2013/05/09 02:32 | edit

Re: す*さま

ご報告ありがとうございます!(^^)
やっぱしヤツらは見てたんですね!(笑)
完全版には、そのへんってほんっとになかったんですよー。
その後の尊経閣での会話から、見たのは二人が一緒にいるとこだけで、抱き合ってるとこまでは見てないのかなぁと踏んだんですが。うむむぅ。

ちなみにヨリム先輩のご出演はワタクシの趣味です……(笑)

あまる #- | URL
2013/05/09 01:00 | edit

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# | 
2013/05/08 19:47 | edit

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