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水月 15 

番外編更新しました。
お気づきのかたもいらっしゃるかと思いますが、シン・ユンボクの一部の設定や図画署を追い出された理由なんかは、ドラマ『風の絵師』のソレをパクっております。
そう、この番外編はソンスと風の絵師のクロスオーバーなのです!
……と言ってごまかしておこう。ティッ o(^◇^)○☆((( >0<)アウッ

あ、でも実際のドラマのユンボクの設定は全然違いますので、未見の方は誤解のないように~。
バイでもないし、キャラクターももっと純粋で可愛い子です。
ミステリー的な筋立ても面白かったし、師匠であるキム・ホンドとのラブストーリーもステキでした。
ラストはちょっと悲しかったので、どっかで幸せになってくれてるといいなぁと思いつつ……。
********************************


部屋に入ってきたスウォルは驚いたのか、若様、と言ったきりしばらく目を見開いたままそこに立ち尽くしていた。

「急に訪ねてきて、迷惑だったかな」

居心地の悪さを感じながらユニが微笑むと、スウォルは はっと我に返ったように腰を落とし、両腕を掲げて作法に則った礼をした。

「失礼いたしました。四人衆のお一人がいらしたと皆が騒いでおりましたので、てっきりヨンハ様かと」

膳の前に座り、顔を上げたスウォルはもう、普段の落ち着きを取り戻していた。

「嬉しゅうございますわ。若様の方から、わたくしに会いに来てくださるなんて」

言いながら、急須を手に取り、茶を注ぐ。ふわりと、菊花の香りが立った。ユニは思い切って、言った。

「貴女に、言わなきゃいけないことがあるんだ」

ユニには確信があった。目の前にいるスウォルは、あの絵を描いた蕙園その人だ。だが、それを尋ねる前に、自分の正体を明かさなければならないと思った。そうしなければ、何かずるいような気がしたのだ。
けれどやはり、酷く傷つけてしまうだろう。チョソンのように。
ユニは俯き、躊躇いがちに口を開いた。

「ぼくは……その、こんな格好をしてるけど、本当は……えっとその、つまり」
「女人なのでしょう?」

さらりと、スウォルは言った。びっくりして、思わず言葉を飲み込んでしまったユニは、息も継げずにスウォルを見た。

「存じておりましたわ。とうに」
「え……どうして、でも、ええっ?!」

真っ白になっていたユニの頭に、僅かに血が巡り始めた。知っていたというのなら、また別の疑問が頭をもたげてくる。訊かずとも、スウォルはそれと察したようだった。にっこりと笑って、彼女は言った。

「あの晩、申しましたでしょう?わたくしは道理に縛られたりはしない人間だと。人が人を想うのに、性別など関係ありまして?」
「それは……そうだけど。いや、でも……」

ユニはしどろもどろになりながら、額の汗を拭った。こんなことは、全く想定していなかった。女性に女性として想われたことなど、今までもちろんなかったから、どう対応すればいいのかさっぱりわからない。
ソンジュンがユニに言い寄る妓生たちにまで嫉妬の目を向け、警戒する意味がようやくわかった。こういうこともあり得るのだということを、今更ながらに理解したユニだった。

スウォルは静かに立ち上がると、膳を回ってきてユニの横に座った。思わずぎくりとして身を引こうとしたユニの手を捕まえ、両手で包むように握り締める。

「同じ女であればこそ、女の身体のことはよく存じております。その気になれば───」

妖しい視線が、ちらりとユニを捉えた。

「あの左議政様の若君よりも、あなた様を喜ばせて差し上げることもできましてよ」
「ススス、スウォル?」

全身からどっと、冷や汗が吹き出した。スウォルの白い指先が、ユニの頬をすうっと撫でた。

「……お試しになりますか?」

追い詰められたユニは恐慌に陥る寸前だ。蛇に睨まれた蛙とはまさにこのことである。恐怖のあまり、身がすくんでちらとも動けない。
するとふいに、くすっと笑って、スウォルはユニから身体を離した。

「冗談です」
「へっ?」

思わずそんな、間の抜けた声を出してしまった。
広げたチマの上にきちんと両手を重ねて座るスウォルには、ついさっきまでの妖〈あやかし〉かというほどの蠱惑的な気配は微塵も感じられない。

「若様があんまり可愛らしく怯えておいでなので。つい悪ふざけが過ぎました」
「は……」

ユニは笑おうとしたのだったが、そんな、息ともつかぬ声が漏れただけだった。
冗談にしては、刺激が強すぎる。
座り直したユニは、まだ乱れたままの心臓を落ち着かせようと大きく息を吐いた。

「けれど、女人であるあなた様をお慕いしているのは本当です。叶わぬ想いと承知してもおりますわ」

スウォルは微笑みをたたえてはいたが、その目見は悲しげだった。
ユニは道袍の裾を握り締め、言った。

「……どうして、貴女たちはそんなに潔いんだ?」

「え?」と、スウォルが眉を上げる。

「以前にも、こんなぼくに想いを寄せてくれた人がいた。その人も貴女と同じ妓生で、応えられないと言ったぼくに、やっぱり同じように微笑ってくれた。きっと、辛かったはずなのに。貴女たちに比べたら、ぼくはどうしてこう、往生際が悪いのか……」

ソンジュンの妻になることを望んでいながら、学問や出仕への未練も捨てきれない。男でも女でもない、今の自分と同じだ。どっちつかずで、そんなつもりはなくても結局、周りの人間を傷つける。

「ただの意地です」

事も無げに、スウォルは言った。

「そんな風に突っ張っていなければ、わたくしのような心弱い女は、とても立ってはいられないのです。若様の素直さは、強さですわ。風にしなる、柳の枝のような。だからきっと、心惹かれずにはいられないのです。わたくしも、その妓生も」

胸が詰まったようになって、ユニは下を向いた。

「ぼくは……ちっとも強くなんか……」
「───左議政様の若君が、お好きですか?」

ユニは黙って、小さく頷いた。今の自分の気持ちの中で、一番確かなものは、それだけだった。

「その御心を、大事になさいませ。あなた様にそれほどに想われている方ならきっと、あなた様が後悔しない道へと、導いてくださるでしょう」

顔を上げたユニは、スウォルの艶美でありながら少年のように涼しげなかんばせを見つめた。

「スウォル、貴女は───蕙園なの?」

別段驚いた風もなく、「お気づきになりましたか」と彼女は微笑んだ。自分がここに来た理由〈わけ〉を、初めから彼女は知っていたのだと、ユニはそのとき思った。
衣擦れの音をさせて、スウォルが立ち上がった。

「よろしければ、外でお話ししませんか?散歩がてらお送りします」






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2013/04/17 Wed. 18:28 [edit]

category: 水月

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