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第十三話 6 衝突 

bandicam 2013-03-06 23-55-32-319
*****************************


二本の打棒が、固い音をたてて激しく打ち合う。競技場の中央で、ソンジュンとジェシンは互いに一歩も譲らず、相手を威嚇するように睨み合っていた。
火花散るとはまさにこのことだ。東西の応援席の声援は、鬼気迫る二人のぶつかり合いに益々白熱し、興奮する儒生たちで沸き返った。

「まったくしょうがないな」と、職員席で一人呑気な声を出したのはヨンハである。

「刀は持たずとも、まさに戦も同然ですね」

落ち着きなく立ったり座ったりしていた大司成は、頭を搔き毟らんばかりにして叫んだ。

「あの二人は、いったい何をやっているんです!党派に分かれてるわけでもないのに、何故あんなにムキになって喧嘩を?ああまったく、いったいどうしたら……」

ふふっと楽しげに笑って、ヨンハが言う。

「放っておきましょう。喧嘩して育つ年頃です。あいつらは、情熱的なんですよ」

「そういう君は───」と、競技場を眺め遣りつつ、チョン博士が言った。

「いつも見物ばかりだな。争うのが怖いのか、それとも負けるのが怖いのか……どちらだ?」

ヨンハは眉を上げ、顎に手をあてて考えるような素振りをした。

「そうですね……たぶん、両方かな?」

応援席の歓声が、一際大きくなった。球がまたソンジュンへと渡ったのだ。猛然と突進してきたジェシンと、真っ向から激しくぶつかり合う。
試合は、最早この二人の闘いになったと言っても過言ではなかった。
だが、ほとんど膠着状態になっていた試合の流れを変えたのは、掌議ハ・インスだった。
ソンジュンとジェシンが互いを牽制し合っている隙に、球はいつの間にかインスへと渡り、インスはそれを敵であるユンシクに向かい、受け取れとでも言うように打ち返したのである。

嫌な予感が胸を掠め、ヨンハは眉を潜めた。

「掌議の様子がおかしいな……。滅多に失敗しない奴なのに」

先制点を取られていた西軍に、得点の機会が巡ってきた。小さな身体で懸命に球を運ぶユンシクの動きは思いのほか俊敏で、野を駆ける兎を思わせる。
大歓声が、競技場を包んだ。

ソンジュンに行く手を阻まれ、揉み合っていたジェシンは、球門に向かって走るユンシクの背中の先に、打棒を構えるビョンチュンの姿を見た。
その舌なめずりするような顔つきに、ジェシンは はっとして動きを止めた。
迂闊だった。ソンジュンなどに構っている場合ではなかったのだ。

───テムルが危ない。

ジェシンはソンジュンの肩を突き飛ばすと、矢のようにまっしぐらにビョンチュン目掛けて突っ込んで行った。
渾身の力で体当たりしてきたジェシンに、ビョンチュンが吹っ飛ぶ。そのジェシンにコボンが突進し、三人は互いに相手を押しのけようともみくちゃになった。
「テムル、テムル」と、盛り上がる応援席。チョソンを始めとする宴席の妓生たちも、ユンシクの活躍に手を叩いて喜んでいる。

球門はもう目前だ。走りこんできたユンシクが狙いを定めた、そのときだった。球門とユンシクの間に、いきなり滑りこむように割って入った者がいた。
インスだった。
彼は明らかに逆上していた。血走った眼は異様な光を宿し、既に正気の者のそれではなかった。頭上に振り上げた打棒が、ユンシクに打ち下ろされるかに見えた、その瞬間。
横から飛び出してきたソンジュンが、ユンシクに覆い被さった。インスの振り下ろした打棒が、彼等を襲う。殴打されたはずみで、二人は折り重なるようにしてどさりと地面に倒れた。

会場が、水を打ったように静まり返った。


*   *   *


目を開けたユニが視線の先に見たのは、地面に投げ出された手だった。

私のじゃない。筋張った大きな、男の人の手。白藍の戦服。───イ・ソンジュン?

がば、とユニは身体を起こした。首を巡らすとそこには、目を閉じて横たわるソンジュンがいた。
一瞬、何が起きたのかわからなかった。覚えているのは、打棒を振り上げたインスの、恐ろしげな形相だ。全身が強張り、動けなくなった。殴られる、と思った瞬間、目の前が暗くなった。
倒れた拍子に打ちつけた肘以外に、痛むところはどこにもなかった。そのとき、ユニはようやく悟った。
ソンジュンが、身を呈して自分を守ってくれたのだと。

「テムル!」

肩を掴まれて、はっと我に返った。ジェシンの青ざめた顔がそこにあった。

「先輩、どうしよう。ソンジュンが……」
「薬房に運ぶぞ。おいそこの!担架だ!」

周囲には、いつの間にか人垣ができていた。ジェシンの声に、中にいた書吏の一人が慌てて頷き、儒生たちを掻き分けあたふたと駆け出していく。

ソンジュンは倒れたまま、ぴくりとも動かない。震える手を握り締め、ユニはただ何かに祈るように、彼を見つめるしかなかった。


*   *   *

担架に乗せられ、運ばれていくソンジュンを遠目に見送りながら、ハ・ウギュは額の汗を拭った。
隣に立つジョンムに、きまり悪げに低頭する。

「大監、これは……どうも、成り行きで、その……も、申し訳ありません」
「試合中に起こったことです。お気になさらず」

ジョンムはウギュに一瞥もくれず、そう言った。言葉とは裏腹に、その声は酷く尖っていた。夫人を伴い、競技場を後にする左議政の背中に、ウギュは頭を振り、深いため息をついた。

「ヒョウンよ……残念だがこの縁談は、白紙になりそうだ」

血の気の失せた顔で呆然とその場に立ち尽くしていたヒョウンは、父の言葉にもただ、唇を僅かに震わせるだけだった。

前半戦の終了と、休憩を告げる銅羅の音が会場に鳴り響いた。
手にした扇子で自分の肩を軽く叩きながら東軍の天幕にやってきたヨンハは、ちらりとインスに視線を投げると、言った。

「らしくない真似しちゃって。わかってるよ。狙いはキム・ユンシクだったんだろ?まさかお前が、自らの手を汚すとはね。驚きだ」

インスが普段の冷静さを失う原因といえば、ひとつしかない。恐らくはユンシクの活躍に喜ぶチョソンを目の当たりにして理性が飛んだとか、そんなところだろう。
結局、大射礼のときと同じ失態を演じたわけだ。あの掌議、ハ・インスが。

「驚きなのは奴らだ。左議政の息子が何故、奴を守るために身を投げ出す?」

唇を歪め、インスは苛立たしげに呟いた。

「一体、キム・ユンシクが何だというんだ……!」




****************************
あまるですどうもこんにちわ。

久々の本編更新です。またアクセス数減るなぁ、きっと(笑)
番外編の続きは、ぼちぼち書きますので、のんびり見守ってやってください~(^^ゞ




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2013/03/07 Thu. 00:16 [edit]

category: 第十三話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: あらちゃんさま

来ましたよ、ついに(笑)
しかも次の回、さっきアップしてきました。まー嫌なとこは早いとこ終わらせようかと(^^ゞ
さら~っと流してね、さら~っと。

> ♪意味のない想像も君を成す原動力♪って歌詞を私は♪意味のない妄想も君を成す原動力♪と勘違いして憶えていて

所謂「重いコンダラ現象」ですね(違)
想像も妄想も紙一重。でもどっちも原動力であることには間違いないわけで。
PM2.5やら花粉やら黄砂やら、いろんなもんが飛び交って訳わからんことになってる九州上空ですが、日々の妄想を糧に強く生きていきます(^^)

あまる #- | URL
2013/03/08 03:44 | edit

Re: ともさま

>ユチョペン様達にはこの辺りのお話は辛いのでしょうね

いや辛いですよまぢで(^^ゞDVD見てもユチョの笑顔が全然なくって。痛々しいカオばっか。くぅ。

>原作、一気に上巻を読み終えてしまいそうでしたが、ちょっともったいなくなってしまい、あえて休憩。

あーソレわかります。なんか早く読み終わっちゃって、楽しみがなくなるのがヤダっての、ありますよね。
でも成均館の、特に下巻は(笑)何度も読み返しちゃって結構ボロボロです……(^^ゞ

あまる #- | URL
2013/03/08 03:36 | edit

Re: ちびたさま

お待たせしましてスミマセン(^^ゞどーにか更新できました。

> しかもこの写真、ええ所とってきてますなあ(ぐふふ)

いやもう、この回はこれしかないっしょ!
そうよね……止まない雨もない……(-_-;)うう。頑張って乗り越えるぞー!
そしてラブラブに突入だぁ~!

あまる #- | URL
2013/03/08 03:30 | edit

Re: ちゃむさま

でへ~。褒められた~ヽ(=´▽`=)ノ
ええ、頑張りましたともワタクシ!(涙)
でも、胸の痛むシーンの中にも、チラホラと好きなとこがあるからまだ良かったです。
そうそう、ソンジュンとコロ、ユニをめぐる男同士の火花散る闘い!
乙女にはじゅる~なシチュエーションですわ(^^)

大和和紀作品中のヒロインは、頑張る女の子が多いですよね。ヨコハマ物語は未読ですが、大事なの忘れてた。
『天の果て地の限り』。三角関係にときめく歴史はアレから始まった気がする……(笑)

あまる #- | URL
2013/03/08 03:26 | edit

来ましたね、ついに。

ついに本編ですね。
ここを超えなければいけないのはわかっているのですが、往生際の悪い私は明日っからアクセスするのが怖いかも。ほんとに自分が情けない。思いっきり生活に影響でそうな予感。

全然関係ないお話で済みませんが・・さっき、アジカンのリライトを子どもが歌っているのを聴いて今更ながら自分の勘違いに気づいてびっくりしました。
♪意味のない想像も君を成す原動力♪って歌詞を私は♪意味のない妄想も君を成す原動力♪と勘違いして憶えていて「そうだ、そうだ!」と妄想に彩られた自分の生活を正当化していたのですが・・・もちろん歌詞の本当の意味はもっと深いと思うのですが、私にぴったりだと思ってほくそ笑んでいただけに、なんかがっかりしちゃいました(笑)

PM25に負けないで、くれぐれもお体お大切に。

あらちゃん #- | URL
2013/03/08 00:49 | edit

ついに、本編更新ですね!

更新お疲れ様です!
ユチョペン様達にはこの辺りのお話は辛いのでしょうね
早くユニと心が通って欲しい!

私的には、コロちゃんがユニに過保護にお世話を焼くところが多いのと、ソンジュンを見つめるユニを切なそうに見つめるコロちゃんが見れるので意外と好きなのです。

原作、一気に上巻を読み終えてしまいそうでしたが、ちょっともったいなくなってしまい、あえて休憩。
いやー脳内映像化して楽しんでます♡
ドラマ化するにあたって、ここをあんな風にアレンジしたのね!フムフムなどと一人楽しんでます♪









とも #- | URL
2013/03/07 23:06 | edit

きゃー 本編がアップされていますねー♪
サイドストーリーもよいですが、本編はやっぱり気になってました~
しかもこの写真、ええ所とってきてますなあ(ぐふふ)

ようやくイ・ソンジュンやコロ先輩に血が通ってきたなーというシーンがてんこ盛り♪
だからこそ見ている方は辛いんですけどねー
彼らにとっての『大人の階段昇るー♪』時
若者よがんばれ!明けない夜はない!乗り越えられない苦しみはない。
ね!あまるさん(笑)

本編・水月どっちも楽しみにしてますので、無理しない程度にねー

ちびた #- | URL
2013/03/07 21:20 | edit

お久しぶりぶり

お~本編ですね(^-^)/よくがんばりました。よしよし(*^ー^)ノ(笑)この後の二人のつらい展開を思うと胸が痛みますが、この時のソンジュンとジェシンの意地のぶつかり合い、好きです♪とっても♪なんか熱くって良いですよね~番外編も楽しく拝読してますよ。皆さんのコメントも楽しくて。私も大和和紀は大好きでなかでも横浜物語がおすすめです。頑張る女性が好きなのは昔からなんだな~と自らをふりかえっちゃいました。続き楽しみにしています。なかなかコメントできずゴメンナサイ。

ちゃむ #- | URL
2013/03/07 11:08 | edit

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