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水月 6 

この時期、仕事が尋常でなく忙しくなっているというのに、我ながら元気だなと思う今日このごろ。
本編もこのペースで書けたらいいのに~(T_T)

というわけで続きです。ネムイ(´・ωゞ)
***********************************


緊張の糸を先に断ったのは、スウォルだった。
にこ、とまるで何事もなかったかのような美しい笑顔を見せると、彼女は言った。

「卑しい女が、手慰みに描くつまらぬものです。ほんの座興に過ぎませぬ故、どうかお許しください」

ソンジュンは黙っていた。何か一言でも発すれば、自ら墓穴を掘ることになりそうな気がしたからだ。彼の神経という神経が鋭く尖り、スウォルという得体の知れない妓生を警戒していた。
だが、静かに一礼して退出していくスウォルとソンジュンを交互に見ていたユニが非難の矛先を向けたのはソンジュンだった。

「酷いよ、イ・ソンジュン!どうしてあんなこと言ったの?!」

ソンジュンは表情をぴくりとも動かさず、なおも押し黙っていた。頑なな態度に痺れを切らしたように、ユニは立ち上がり、部屋を出て行こうとした。

「駄目だ、キム・ユンシク!行くな!」

咄嗟に引き留めたソンジュンを、振り向いたユニが きっと睨みつける。

「きみは、性別や身分で人の才能を判断したりしない人間だと思ってた。あの人にあんなこと言わせるなんて、見損なったよ」
「ユ……」

その名を呼ぶことすら許さずに、ユニはソンジュンに背中を向け、ぴしゃりと障子戸を閉めた。
ヨンハがやれやれと溜め息をつく。

「テムルはあの自覚の無さが欠点だな。なまじ下心が無いもんだから、女はすぐ本気になる。チョソンの二の舞にならなきゃいいが」
「そんなことは有り得ません」

即座に否定して、ソンジュンは握り締めていた絵を広げ、ヨンハとジェシンの前に置いた。

「これを見てください」
「さっきの絵か。あーあ、こんなにくしゃくしゃにしちゃって」

一目見るなり、ジェシンが息を飲むのがわかった。

「おい老論、これって……」

説明は不要だった。
そこに描かれていた人物は、つば広の笠を被り、道袍を来た、服装は確かに両班の青年のものだった。だがその顔は、到底青年のそれとは言い難いものだった。
ほんのりと染まった、陶器のように滑らかな頬、柔らかそうな桃色の唇。それは控えめな微笑を湛え、見る者にぞくぞくするような感覚を呼び起こさせた。長い睫毛に縁取られた瞳は僅かに伏せられ、愛らしさと妖艶さが同居したような、何とも言えないユニ独特の雰囲気を見事に醸しだしている。
男の格好などでは決して胡麻化しようのない、彼女本来の姿がそこにはあった。

「これは……誰が見ても女にしか見えないな」

ヨンハが、感嘆とも呆れともつかぬ調子で呟く。

「先輩、あの妓生は一体何者ですか。どうしてキム・ユンシクが女性だと知っているんです」

押し殺した声で、ソンジュンが訊いた。
ヨンハは胸の前で腕を組むと、深く考え込むように言った。

「思うに、知っているというより、判るんだろうな、たぶん」
「どういうことだ、それは」

ジェシンが訊き返す。ヨンハは床に置いたユニの肖像を顎で指し示して、言った。

「これだけの才を持つ女だぞ。凡人には見えないものが見えたとしたっておかしくないだろ。ちなみに私は、最初っからテムルが女だって知ってたけどな」
「本当ですか」

初めて知る事実だ。ソンジュンは愕然とした。
では、僕があれほど苦しみ、絶望に打ちひしがれていた日々はいったい何だったんだ。

「まぁ、あのときは見えたというより、触って気付いたんだが」

さらりとそう言ったヨンハに、ソンジュンとジェシンが揃って目を剥いた。

「先輩……!」
「貴様、今なんつった?!」

失言に気付いたヨンハが、二人の形相に怯えたように引き攣った笑みを浮かべる。

「ふたりとも、そんな怖い顔するなって。偶然だってば、偶然。あっ、あと、考えられることとしては、もうひとつあるぞ!」
「胡麻化すな!」

ジェシンがヨンハの胸ぐらをわし掴みにした。
「ホントだってぇ!」と情けない声を上げるヨンハは最早涙目である。

「……何ですか」

ソンジュンは険しい表情のまま尋ねた。もちろん、この件に関しては後でじっくり追求させてもらうつもりだ。
ジェシンの手からどうにか開放されたヨンハは、乱れた襟元を直しながら言った。

「だからさ、あの女が、自分とテムルを重ね合わせてたとしたらどうだ?普通の人間には、突飛過ぎて思いつきもしないことが、あの女にとってはごく普通のことだったら?」
「どういう意味だ」
「スウォルの正体だよ。いや、シン・ユンボクの正体と言うべきかな。知ってるだろ?絵師の」
「蕙園のことですね。先輩が崇拝してる……」

ヨンハは頷き、声を潜めて言った。

「私が睨んだところ、スウォルと蕙園は同一人物だ」

はあ?とジェシンが呆れ返った声を出した。

「バカ言え。蕙園は男だろ。図画署で、春画描いてた奴だぞ」
「私は成均館で春本を筆写してた女を知ってるが?」

ぐっ、とジェシンが言葉に詰まる。ソンジュンはヨンハに向かい膝を進めた。

「確証はあるんですか」
「自分で言うのも何だが、私はこれでも芸術には一家言ある男でね。あんな見事な手は、そう簡単に真似出来るものじゃない。あと、あの女の筆跡だ。書いたものをこっそり取り寄せて調べてみたんだが、蕙園の絵の添え文の文字とほぼ一致してる」

ソンジュンはごくりと唾を飲んだ。考えもしなかった可能性だった。キム・ユニのような存在が、他にもいようとは。

「それじゃ、まさか……」
「彼女は図画署にいた。茶母とかじゃなく、れっきとした画員として。つまり、王が知る知らないにかかわらず、宮中には女が出仕した前例があるってわけだ」

ジェシンが鋭い視線を上げ、探るようにヨンハを見た。

「お前……何を考えてる」

にっ、とヨンハは笑い、手にした扇子をぱちりと鳴らした。

「言ったろう?面白い女がいるって。単に絵の上手い妓生ってだけなら、お前らに会わせたいなんて思わんさ」





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2013/02/23 Sat. 01:46 [edit]

category: 水月

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: あらちゃんさま

うがーっ!13話のあのシーンに更にそんなオイシイ場面が……!!!

> 各国の放送枠に合わせて現地の人が編集するのでそれぞれ採用するシーンが微妙に違っているそうです。

なるほど~。でもそこは採用して欲しかったなぁ。
完全版はともかくとしても、TV放送の編集は正直、よろしくなかった。
あれもDVDを売るための戦略なんでしょうかね(^^ゞ
でもだからってドラマの魅力が充分に伝わらないような編集だったら本末転倒じゃないか~。
ファンの裾野だって広がらないし。

>でも今一番読みたいのは水月の続きです。m(_ _)m

わは。ありがとうございます。頑張ります(笑)

あまる #- | URL
2013/02/26 08:56 | edit

Re: ともさま

95分か~。思ってたよりはあるなぁ~。
完全版持ってるので購入は流石にちょっと、ですが、レンタルして見てみようかな。
このブログのせいで(笑)完全版は変態的に細かいとこまで見てるので、たぶん追加したとこはわかるんじゃないかと。←書き終わったとこ限定ですが(^^ゞ

> コロが過保護過ぎて萌えキュン死してしまいそう(笑)

そういえばあまるがDVD買ったきっかけって、TV放送時、コロの萌えシーンばっかりやたらバッサリカットされてたのがわかって、ショックのあまり気づいたらアマゾンの購入ボタンをポッチリしちゃってたという……。
今では懐かしい想い出です(笑)

あまる #- | URL
2013/02/26 08:38 | edit

ディレクターズカット版

私はずっと完全版で生活してきたので、正直言うとディレクターズカット版には結構違和感ありました。余計なモンがくっついてる感じが。
しかし!YOU TUBUで見て探していた英語版の13話のシーンはそちらにはあり、ほくそ笑みました。
以前も書いたと思いますが、あきらか飲み過ぎのユニを心配して、走って戻ったけどコロに鳶にあぶらげなシーン。
それに先立つ、送られて行くヒョウンのうれしそうな顔をみて酔いつぶれて卓に突っ伏したユニがとろんとした哀しい目で「How Beauteful she is」とつぶやくところ。(ここのディレクターズカット版の日本語訳はいまいち)
各国の放送枠に合わせて現地の人が編集するのでそれぞれ採用するシーンが微妙に違っているそうです。

最近忙しかったので、毎日の音楽とてんちか堂→寝る前の原作で満足しておりましたが、久々にドラマに会いたくなりました~。
でも今一番読みたいのは水月の続きです。m(_ _)m

あらちゃん #- | URL
2013/02/26 01:49 | edit

ディレクターズカット

私は年末の一挙放送で成均館に出会って途中から見たんです♪
どの辺りが追加になったのかわからず、思い出しながらDVD見てます♡

95分追加があるそさうですね!
その辺り成均館のベテランの人?に話を伺って見たい物です♪

ゆっくり見返すと、さらに引き込まれてしまいますね。
そして、あまる様の作品も読み返して二重に楽しんでいます♡

コロが過保護過ぎて萌えキュン死してしまいそう(笑)

どこまでもコロ、ヨンハ派な私♡

とも #- | URL
2013/02/25 10:18 | edit

Re: あらちゃんさま

ワタシもできることなら寝ないで書きたいんですが(笑)
いやでも職場の若い子たちと飲みに行くと流石にトシを感じますわ~。
オールなんてやった日にゃもぉ廃人ですもん(^^ゞ

男三人の絡み、ワタシも自分で書いといて何ですが、好きなシーンです(^^)

あまる #- | URL
2013/02/25 00:47 | edit

Re:コメントありがとうです

ディレクターズカット版も気になってはいるんですけどね~。どのへんが追加になってんだろ。

> ヨンハの触ってわかったって、いつ〜??って思いながら読んでました(笑)

ヨンハはきっと自分の視覚より触覚を信じる人だと……エロだし(笑)
しかしあの若さでどんだけ経験を積んでるのか考えると恐ろしいです(^^ゞ

お気遣いありがとうございます~。
仕事が大変だと、逆に何か書いてないと精神的にキツいんですよね。
ソンスはワタシにとって癒しですから(^^)

あまる #- | URL
2013/02/25 00:36 | edit

ホントに楽しみすぎます!

お忙しいとのことですが、寝ないで書いてほしいくらいです。すいませんわがままで・・・。楽しみすぎます、続きが。王も知らない女が出仕した例・・・やばい、楽しみで寝られません。男3人の絡みにも興奮だし。どうしよう、だまってても顔がゆるむ。
なんか、あまる様は私を喜ばせるつぼをよくご存じのようで、幸せ♪
生きててよかった~(^o^)
どこまでもついて行きますからお体に気をつけて続けてくださいませm(_ _)m

あらちゃん #- | URL
2013/02/24 03:09 | edit

昨日、TSUTAYAでディレクターズカット版を借りてきました。1話から見たかったのですがなくて6巻からスタートです(笑)

ヨンハの触ってわかったって、いつ〜??って思いながら読んでました(笑)
ジェシンとソンジュン動揺っぷりが。。。ムキーってなってそうですね♡

スウォル、ますます気になりますね〜
続きが楽しみ過ぎます♡
忙しいようですね、無理せずお体の負担にならない程度にして下さいね♡
続きが書けなくなったら大変ですから♪♪

更新お疲れ様です♡ #- | URL
2013/02/23 05:01 | edit

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