スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

--/--/-- --. --:-- [edit]

category: スポンサー広告

cm --  tb --  

水月 2 

続きです。

まだまだ海のものとも山のものともつかないブツなのに、拍手コメントくださった皆様、本当にありがとうございます~。
例によってお返事できてませんが、しっかり読ませていただいとります(T_T)
本編ともども、よろしく可愛がってやってください。
では~。
************************************


「これは何だ?」

文机の横に山と積まれた写本と巻紙を見るなり、ソンジュンは眉間の皺をまた一本、増やした。
試験勉強と筆写の仕事で、いつも明け方近くまでユニの部屋に明かりが灯っていることを、彼が知らないはずはなかった。それでも、ユニのやりたいようにさせてくれたのはおそらく、試験勉強も仕事も、いずれは終わるものだと思っていたからだろう。大変なのは、たまたまこの二つが重なった今だけのことで、試験も仕事も片付きさえすれば、彼女も自分の身体をゆっくり休めることができると、そう信じていたからに他ならない。

ユニはソンジュンの顔を上目遣いに見ながら、おずおずと言った。

「……仕事、です」
「昨日よりむしろ増えているように見えるが、僕の気のせいか?」

いっそ気のせいだと言ってしまえたら、と思ったが、今夜の彼にはそんな胡麻化しは通じそうになかった。

「私の書を気に入ってくれた人がいて、それで、ご指名だっていうから、断れなくて」

ユニがそう言うと、ソンジュンは険しい表情のまま、深い深い溜め息をついた。
また例の小言が始まるのかとユニは覚悟を決めたが、彼はそのまま、黙り込んでしまった。
胡座をかいた両膝に拳を乗せ、じっと足元の床を睨み据えている。
沈黙に耐えられなくなったユニは、ついに口を開いた。

「あの、怒ってるの?」

ソンジュンは尚も黙っている。ユニは更に続けた。

「試験も終わったし、これくらいすぐ片付くから大丈夫よ。だから心配することなんて何も……」

言いかけて、ユニは はたと口をつぐんだ。視線を上げたソンジュンの目が、怒っているというよりどこか悲しげに見えたからだ。

「僕は、きみにとってそんなに頼りない男か?夫として、きみがきみ自身やきみの家族を安心して任せられる資格が僕にはないと、そう思ってるのか?」

ユニは慌てて首を横に振った。

「そんなこと、ない。絶対にないわ。私がこれまでどれだけ貴方に頼ってきたか、よく知ってるでしょう?」
「キム・ユニ」

ソンジュンはユニの手を取ると、両手で握り締めた。

「僕は、きみのことを誰よりも理解できる男でありたいし、実際そうだという自信もある。だから、正直に言ってくれ。僕との結婚をきみは」

言葉に詰まったかのように、少しの間を置いて、彼は言った。

「きみは、躊躇ってるのか……?」

「イ・ソンジュン!」ユニは驚いて、つい声を上げてしまった。

「どうしてそんな風に思うの?私が、貴方との結婚を躊躇うなんて、そんなわけないでしょう」
「だったらどうして素直に僕を頼らない?言ったはずだ。きみの家族は僕の家族でもあると。僕の負担になるのが嫌だとか、そんなつまらないことを思ってるんだったら……」
「そうじゃない。そんなこと、思ってない」

それ以外、何も言えなかった。自分でさえどうしたいのかわからず、持て余し気味なこの気持ちを、上手く彼に説明することなど到底できそうになかった。
ユニは俯き、押し黙った。その頬にそっと右手で触れながら、ソンジュンは静かに言った。

「きみが幸せでなければ、僕も幸せにはなれない。信じてくれ、キム・ユニ。きみの進む道を、僕は共に歩きたいだけなんだ」
「……それは、私だって同じよ」

消え入りそうな声でそう言うと、ソンジュンはユニの肩を引き寄せ、その身体をきつく抱き締めた。

「早く僕だけのものになってくれなんて言うのは……僕の我侭か……?」

そんなことない、と言う代わりに、ユニは彼の背中に回した腕に力を込めた。
こうして抱き締めてくれる彼の腕がなかったら、たとえどんなに大きな仕事を任されても、どれだけ自分の書を認められても、決して幸せではないだろう。
彼を、自分のせいでこんな風に辛くさせている今も、幸せではないように。

「───陛下に、お許しをいただいて。夫婦で居館修学は、流石に無理だって」

ぱっと身体を離して、ソンジュンがユニの顔を覗き込んだ。

「ほんとに?」

ユニが頷くと、ソンジュンはこみ上げる嬉しさを隠そうともせずに、笑った。その笑顔が、やっとユニを幸せにした。
そしてふと、思った。

この上昼間、筆洞で例の“相思夢”の妓生に会った、なんて、迂闊にも口を滑らせていようものなら、いったいどうなっていたか。
そんなことを彼が知ったら、この笑顔を見るのは何日も先になっただろう。

けれど、それもきっと杞憂だ。彼女はああ言っていたが、多分もう、会うことはないだろう。名前すら、お互いに知らないのだし……。

何故か、強い印象を残した彼女の面影をそれ以上考えないようにして、ユニはソンジュンの胸に頬を押し付けた。





↓楽しんでいただけたらポチっとお願いします
にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
スポンサーサイト
web拍手 by FC2

2013/02/09 Sat. 02:18 [edit]

category: 水月

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

cm 4  tb 0 

コメント

Re: ちゃむさま

コメありがとうございます~(^^)
いつも本編に煮詰まると番外編、みたいなカンジで我ながら情けないですが。
しかももうすぐバレンタインだとゆうのに、全く関係ない話になりそうだし(^^ゞ
あまるわーるどは混沌としてますですよ(笑)
ご期待に沿えるかわかりませんが、のんびり頑張ります~。

あまる #- | URL
2013/02/12 07:31 | edit

ご無沙汰です。

番外編ワクワクして読んでますよ~コメント欄もなかなか活発化していて楽しいですね~あまるさんとのやりとり、ちょっと盗み見みたいで気が引けますが、皆さんあまるワールドを楽しみにしている‘同士’ってことで嬉しいですね~では続き楽しみにしています。

ちゃむ #- | URL
2013/02/11 19:43 | edit

Re: あらちゃんさま

ですね~。天才の妻になったばかりに才能ある妻が苦悩するのは悲劇ですね。ロダンの奥さんもそんなだったと思いますが。
ユニとソンジュンの場合は、ソンジュンがとことん努力する人だし、むしろ彼はユニのために世界を変えようとするんじゃないかと。で、それが自分の生き甲斐になっちゃう人だと思うんですよね。
今回のお話でも、そのへんの二人の将来が見えるように書けたらいいな~とか思ってるんですが、上手くまとまるかなぁ(^^ゞ
なんか詰め込みたいことがいっぱいあるので、欲張り過ぎてわけわかんなくなんなきゃいいけど(笑)
我ながらどうなることやらってカンジです。

あまる #- | URL
2013/02/10 07:29 | edit

水月ありがとうございます!

私も、原作にもありましたがユニはソンジュンの妻としてだけ生きるのは完全な幸せではない、無理があると思っていました。一度自分の能力を開花させた人間がそれをすべて封印して生きるのはつらいことだと思います。ユニは智恵子(高村光太郎の妻)のようなことにはならないまでも、ソンジュンを支えるだけという妻ではね~ソンジュンだってそんな妻は望んでないよね。少なくともユニには自分を支えてくれる妻より、同じものを見たり一緒に歩いてくれる妻を望むんでないかと・・・まぁ子どもができたら子どもの教育に情熱を傾けそうだけど、それまでは仕事は生き甲斐としても辞めがたいですよね。

トーマからいきおいで太宰の駈込み訴えに流れたものだから、どよ~んとした淵に沈みかけていたのですが、水月が救ってくれました。この先がとっても楽しみです!

あらちゃん #- | URL
2013/02/09 23:55 | edit

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://amaru0112.blog.fc2.com/tb.php/165-57855d70
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

2017-08
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。