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第十三話 3 対立 

bandicam 2013-01-26 00-00-00-299

*****************************


中二房に戻ったジェシンは、布団を敷くとそこにユンシクを寝かせた。
細い身体はさして重いわけではなかったが、酔いつぶれて砂袋のようになった彼女を横たえるのは、思いのほか苦労する仕事だった。
目を閉じたユンシクは微かに眉を寄せ、安らかとは言い難い寝顔だが目覚める気配はない。

ここまで飲まずにはいられないほどの何が、彼女に起こったというのだろう。
いつだったか、明倫堂で一人、声もたてずに泣いていた彼女の姿を思い出した。こんな男だらけの場所で毎日、それこそ命をはって過ごしているのだ。その辺の男どもより余程気丈でなければやっていけるものではないだろうと思っていたが、それは大きな思い違いだったかもしれない。
いつも溌剌とした彼女の、もろい一面を垣間見た気がした。

枕の上にそっと頭を乗せ、上掛けを引っ張って肩まで掛けてやった。淡い唇が、ジェシンの間近にあった。
じっと見つめていると、そこに唇を寄せてみたいと思っている自分に気づく。
実際、そうしようと思ったのかもしれなかった。彼女に覆い被さるように床に両手をついたまま、ジェシンはしばらくの間動けなかった。

ユンシクが、小さく唸って顔を横に向けた。
ジェシンの胸で飛び上がったのはいつものしゃっくりかと思ったが、違った。我に返った彼は、がばと身を起こして彼女から離れた。
鼓動が、うるさいくらいに耳を打っていた。息苦しさに耐えられなくなったジェシンは、慌てふためいて中二房を出た。

(何を考えてるんだ、俺ってやつは)

とにかく眠っているユンシクから離れなければと思った。どこへ行くという気もなかったが、大股で東斎の前庭を突っ切ると、反対の方角からこちらへ歩いてくるソンジュンと出くわした。
ソンジュンはジェシンに目を留めたが、何の反応も示さず、歩調を緩める様子もない。すれ違いざま、ジェシンは思わず言葉を投げつけていた。

「お前、何なんだよ」

ソンジュンが足を止める。切れ長の目が、こちらを見た。

「すぐそばにいたくせに、テムルが酔いつぶれるまでいったい何やってた」

ソンジュンは押し黙っている。そのまま行こうとするのに かっとして、なおも言った。

「あいつが、あんなになるまで無理して飲んでたのに、心配じゃないのか」

そこでやっと、ソンジュンが口を開いた。だがその言葉は、驚くほど冷たいものだった。

「僕が───なぜ彼の心配をしなければならないんです」
「何?」
「そんなに心配なら、先輩が面倒を見てやればいい」
「何だと、この野郎!」

胸ぐらに掴みかかったジェシンの手首を、ソンジュンの左手が掴む。骨が砕かれるかというほどの力に、ジェシンは僅かに頬を歪めた。
一見、静かにこちらを睨み据えるソンジュンの目の奥に、激しい敵意が揺らいでいる。それは、場数を踏んでいるジェシンをも一瞬、怯ませるものだった。
ソンジュンは、ジェシンに視線を据えたまま、喉から声を絞り出すように言った。

「二度と、キム・ユンシクの名を、先輩の口から聞きたくありません」

ジェシンの指先に、痺れとともに血の気が戻ってきた。その手首にははっきりと、掴まれた痕が赤く残っていた。
思わず振り返る。立ち去るソンジュンの背中にはただ、冷たく光る刃のような、誰をも寄せつけない拒絶があるばかりだった。


*   *   *


王は、広げた書面にじっと目を凝らした。卓を挟んで立つハ・ウギュが一礼し、奏上する。

「紅壁書に厳罰を求める上書に御座います、陛下」

濃い眉を曇らせ、王は言った。

「紅壁書による略奪と殺傷が、後を絶たぬようだな」
「所業は今や、役所を狙う義賊の真似事に留まらず、民の命をも奪い、国の秩序を乱しております。紅壁書を捕らえ、死をもって罪を償わせ、国法の厳しさをお示しください」

耳に掛けていた眼鏡を外し、王は信じ難いものを目の当たりにした人がそうするように、かぶりを振った。

「民からは、許し難い盗賊と恨みを買い、官僚からは国の秩序を乱す逆賊扱いか……金縢之詞を語っていた、あの紅壁書がだ」

チェ・ジェゴンが、真紅の壁書を差し出した。

「紅壁書が次の狙いを定め、自ら雲従街に現れると明らかにした予告状です」
「今まで紅壁書が出現予告をしたことなど一度もなかったが……どういうことだ」

壁書を手に、王は戸惑いを隠さずにウギュを見上げた。

「……民の英雄を気取った傲慢さの現れかと」

微かに笑んだ王は、含みのある声で言った。

「こうして予告までされたのだ。奴を捕らえねば、兵曹の面目は丸潰れだな」
「私は命をかけて紅壁書を捕らえてみせます」

ウギュは王に据えた視線をちらとも動かさずに、言った。挑むようなその顔つきは、見ようによっては、兵判の決意の現れととれなくもない。
王は頷き、表情を厳しくした。

「そうしてくれ。余は、そやつの背後をつきとめ、その黒幕を厳しく罰するつもりだ」


*   *   *

皮をあてた履物が、開いた扉から ぬっと小屋の中に入ってきた。
そのつま先が、辺りを伺うように幾度か方向を変えた後、また足音を忍ばせて奥へと向かう。
歩を進める毎に、濃密な闇の中から浮かび上がるように現れたのは、兵曹判書ハ・ウギュの顔だった。

「ご苦労だった」

ウギュは、更に濃い闇のうずくまる小屋の奥に向かい、低く言った。

「後は雲従街で紅壁書を捕らえさえすれば、事は片付く。全てが終わったその時に、お前との約束は守ってやろう」

闇が、微かな意思の片鱗を見せるかのように、うごめいた。消しようのない血の臭いが、辺りに漂う。
ウギュは満足気に、唇を歪めて笑った。







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2013/01/26 Sat. 00:08 [edit]

category: 第十三話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

cm 6  tb 0 

コメント

Re: 私も限界突破したい

ワタシも好きですーこの台詞。
ユニへの想いが溢れすぎて、もうズタボロになってるソンジュンが思わず発した一言。
このときのユチョの表情がまたっ!(>_<)ついトップ画像にしてしまうほどいい顔してました。

> 今日、ひたちなかのDVDが届きました。

うごっ!いいなぁいいなぁ。今度感想聞かせてください~。

あまる #- | URL
2013/02/01 02:08 | edit

Re: 限界突破

「コマプタ ネギョッテワジョソ……」
あのユチョンの声は聞かずばいられまいて!(爆)
あとワタクシはユチョの高音フェチでもあるので、トンのコーラスで「ふああぁぁぁ~」と入ってる曲は外せません。どんとせいぐっばいとか夕陽見上げてとか忘れないでとか。ゾクゾクしますわ(笑)

ユチョはリアルヤンデレの被害にあってる人ですからねぇ……。アレはイケマセン。うん。

あまる #- | URL
2013/02/01 02:00 | edit

私も限界突破したい

>「二度と、キム・ユンシクの名を、先輩の口から聞きたくありません」

このセリフ、とっても好きなんですv-238
ソンジュンのユンシクへの想いが、それこそ限界突破しようとしてますよね。

今日、ひたちなかのDVDが届きました。
息子たちの冷たい視線・・・v-356

阿波の局 #bo5zNM.6 | URL
2013/01/31 19:21 | edit

限界突破

家族からブーイングが出るのはある意味仕方ないのです。私の病は限界を突破してるから(笑)家族どころか会社の同僚にも「また言ってる」と言われてしまいます。
この2年間、会社の行き帰りは毎日ソンスの音楽8曲エンドレス。会社に着く前に『見つけた』のユチョンの台詞が終わらないと立ち止まって時間調整までします。聴かないと仕事できないでしょ。
自分的には「ヤンデレ」じゃないだけぎりぎりまだまとも、と判定しています。
(^_^) ・・・息子も主人も否定するだろうけど。

あらちゃん #- | URL
2013/01/31 18:58 | edit

Re: あらちゃんさま

>いろんな場面でどうしてユニはコロの気持ちに気づかないんだろう?どうしてコロを好きにならなかったのだろうと思いました。

そうなんですよねぇ~(^^ゞあんたフツー気付くでしょ、って思うんだけど、韓ドラのヒロインはこのテのことには鈍感なのがお約束ですから(笑)
あら、ご家族からブーイングが?それはそれは。ウチは既に諦めの境地みたいです(^^ゞ

あまる #- | URL
2013/01/31 11:25 | edit

コロやさし~な~

コロはほんとにやさしいですね~。外からユニを眺めていて渦中に巻き込まれていないから、ユニのいろんな一面に気がつく(ソンジュンの知らない、ね)。
いろんな場面でどうしてユニはコロの気持ちに気づかないんだろう?どうしてコロを好きにならなかったのだろうと思いました。
だけど、しょうがないんですよね~すでにソンジュンに心臓がっちりつかまれちゃった後だから、他の男は基本目に入らない。
私自身コロもいいな~と言いながら、目はソンジュンを追いかけて離れない。がっちりつかまれちゃってます。
家族からどんだけブーイングが出ようがしったこっちゃない、頭の中は毎日ソンス♪

あらちゃん #- | URL
2013/01/31 01:10 | edit

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