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第十二話 15 入清斎 

bandicam 2013-01-07 20-23-57-118
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ユニは卓の下の手を落ち着きなく握ったり開いたりしていた。
なんだか妙なことになってしまった。
卓のこちら側に、ユニとチョソンが座り、ソンジュンとヒョウンがそれに向かい合う。
ヒョウンはにこやかだが、ソンジュンは気のせいかさっきよりも一層眦(まなじり)を険しくしている。

その場の気まずい空気を察してか、ヒョウンがおずおずと口を開いた。

「あの、先日の、島の一件は私のせいなんです。本当に、すみませんでした」

ソンジュンが、ヒョウンの言葉に僅かに動揺を見せた。ぱっと視線を上げたその瞬間、ユニと目が合ったが、互いにいたたまれずに目を逸らした。

「お二人だけで置き去りにされ、危ない目に遭われてはいないかと、どれだけ気を揉んだか。でも安心しました。ご一緒だったのが、ソンジュン様の一番大事な同室生だと聞いて。ですよね?ソンジュン様」

ヒョウンが同意を求めると、少し間を置いて、彼は言った。

「同室生は皆同じです。順番などつけられません」

流石に頭にきた。島から戻って以来、なんとなくソンジュンの態度がよそよそしくなったような気はしていたのだが、いくら芙蓉花の前だからってこんな、露骨に気分の悪くなるようなことを言わなくたって。

ユニはソンジュンを見据えたまま、固い声で言った。

「同感だね。ぼくたちはただの同室生だ。別に、一番の親友ってわけじゃない」

ソンジュンがユニを見た。たまに不機嫌になることはあっても、ユニの前ではよく笑顔を見せていた彼だった。だが今の彼は、ユニがどう頑張っても笑ってくれそうになかった。
ひりひりとした空気が、肌を刺した。

「あ、あの、ソンジュン様。どうぞ召し上がってください。結婚が決まって以来、まだ修行中なので、お口にあうかどうか……あっ!」

箸を差し出したヒョウンの袂が盃にあたり、溢れた酒が彼女のチマを濡らした。ソンジュンは さっと袂から手巾を出すと、彼女のチマと指先を丁寧に拭った。
ヒョウンはそんな彼の行動に感動しているのか、頬を染めてぼうっとしている。とても見ていられずに、ユニは箸を取った。

「うっかりして、大事な客人を放っておくところだった。チョソン、食べて。ぼくが取ってあげるよ。どれがいい?」

取り皿を手に尋ねると、それまで黙ってその場のやり取りを見つめていたチョソンは微笑んで、言った。

「まあ……知りませんでしたわ。若様にこんな一面があったなんて」
「まったくだな」

割り込むようにそう言ったのは、ソンジュンだった。

「君が女性を遠ざける理由がよくわかった。女嫌いだからなのではなく、チョソンに義理立てしてのことだったんだ」

島で言い争いになったときのことを思い出した。ユニはまたソンジュンを睨みつけたが、彼は相変わらず感情の無い瞳で、ユニを見ていた。

「それほど───好きなのか」

胸がむかむかした。女好きというならそっちの方だ。島で言っていたことと、やっていることが全然違うではないか。
ユニは思わずヒョウンに向かい、言っていた。

「ぼくも驚いたよ。この人はね、結婚など親の考えだ。興味はないし、考えたこともない。そう、言ってたんです」

ヒョウンが、さっと表情を曇らせて、「本当なんですか?」とソンジュンに問う。
答える代わりに、彼は言った。

「そんな話はよせ、キム・ユンシク」

はっきりと怒気を含んだソンジュンの声が、ユニをこれ以上ないほど打ちのめした。
そして、気付いた。
芙蓉花は、ソンジュンの婚約者だ。彼が彼女を庇うのは当たり前だったのだ。
彼の友人として、いや、単なる同室生としても、自分が彼の婚約者を傷つけていいわけがない。
ユニは俯いた。鼻の奥がつんとしてきたが、必死で堪え、顔を上げた。どうにか、ヒョウンに笑いかけることができた。

「───だけど今日、貴女を見てわかりました。こんなにきれいで、しとやかな女性を前に、この人のそんな気持ちも揺らいでいるようです」

自分で自分の心臓を、鋭い針でぷすりぷすりと何度も突き刺しているような気分だった。だがヒョウンは、ユニの言葉にたちまち満面の笑みを浮かべ、赤く染めた頬を両手で覆った。

「まあ……なんて感動的なんでしょう。どんな物語にも出てこない、素敵な場面だわ」

たまらず、ユニは俯いた。
二人を前にして、これ以上笑うことなどできそうになかった。今すぐこの場から逃げ出してしまいたいのに、その口実が見つからない。膝の上の両手を、ぎゅっと握り締めた。

その時。ふわりと、蘭香が漂った。
それがチョソンの香りだと気づいたのは、ユニの隣で彼女が音もなく立ち上がっていたからだった。

「……この席は、私には場違いだったようです」
「チョソン?何を言って……」

チョソンは悲しげに微笑むと、ユニを見つめ、言った。

「貴方の心にいるのは、私ではありません。その御方を……私が当てて差し上げても?」

ユニには、チョソンが何のことを言っているのか判らない。戸惑っているうちに、彼女は椅子を離れ、卓を回りこむと、ソンジュンの脇に立った。
ご覧になってとでも言うように一度だけ、ユニに視線を送った彼女は、紫紺のチマを摘み、ゆっくりと身を屈めた。


そしてユニの目の前で。
チョソンはそっと、ソンジュンの頬に唇を寄せた。





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2013/01/08 Tue. 01:21 [edit]

category: 第十二話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: ちゃむさま

チョソンも原作とドラマではかなりキャラに隔たりがある人ですよね~(^^ゞ
原作の暴走ぎみのチョソンも実は結構好きだったりするんですが。
13話は展開が辛すぎてなかなか指が進みません~←弱音
じっくりのんびり頑張ります~

あまる #- | URL
2013/01/14 09:00 | edit

チョソンやっぱり素敵♪

今回も大人なチョソンが切なさを演じますね~脇がみんなそれぞれどんぴしゃにハマってるところがこのドラマの魅力でもあります。あ~ユニもソンジュンもこの後つらい展開が…楽しみにしております。~やっと3連休。休みボケからの残業続きでやっと一息…お互い頑張りましょう。

ちゃむ #- | URL
2013/01/13 12:37 | edit

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