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第十二話 8 相克  

bandicam 2012-12-04 02-58-09-112
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打球は勢い良く飛んで、数尺先に張られた布の的を激しく揺らした。
ジェシンは、額に流れる汗を拭おうともせずに、手にした打棒でまた次の球を打った。

麻浦の渡し場から戻ってきて、部屋で横にはなったものの、瞼の裏にユンシクの顔が浮かんでは消え、却って頭は冴えるばかりだった。ついに諦めて外に出ると、昼間、儒生の誰かがしまい忘れたのだろう、杖打用の打棒が明倫堂の前庭に転がっていた。
杖打大会の練習などするつもりは、もちろん、無い。何も考えず滅茶苦茶に身体を虐めれば、そのうち疲れて眠れるだろうと、彼は的に向かってひたすら球を打ち続けた。
何もできず、ただ気を揉みながら長い夜を悶々と過ごすのは耐えられなかった。

だがどういうわけか、そうやって一心不乱に的に向かっていると、逆に神経は研ぎ澄まされていった。草の上を歩く虫の足音まで聞こえそうな感覚の中で、脳裏に浮かぶ彼女の面影はなお一層鮮やかだった。

『ありがとうございます、コロ先輩』

そう言って、ジェシンの作った弓懸を軽く振って、微笑んだ。

『先輩、怪我したんですね。大丈夫ですか?』

触れた指先は、細く柔らかで、握り潰してしまうんじゃないかと思った。

『先輩が、どうして暴れ馬って呼ばれてるのか不思議です。ぼくには、いつも優しいから』
『しゃっくり止まった!ほら!』

無邪気に笑う、顔。

ユンシクの仕草や、表情の一つ一つが、まるで目の前にあるかのように次々と思い出され、ジェシンを苦しめる。
離れていることが、彼女が自分の手の届かないところにいることが無性に歯痒く、少しでもじっとしていると、自分の身体を引き毟りたくなるような衝動にかられた。
だから、東の空が白み始め、打棒を持つ腕が次第に上がらなくなってきても、打ち続けるしかなかった。

日が昇り、周囲がすっかり明るくなる頃には、指先の感覚が怪しくなり、ついには打棒の柄を握る力もなくなっていた。
ジェシンは打棒を地面に投げ捨て、両膝に手をついた。肩で息をするたび、滴り落ちる汗が地面にいくつもの染みを作った。

その視界にふいに入ってきたのは、派手な刺繍入りの履物〈ミトゥリ〉だった。誰の物かわかりきっていたので、顔を上げる気にもならなかったが、体力のみならず消耗しきった今の姿を、この男に見せるわけにはいかなかった。
彼は身を起こすと、ちらとも視線をくれずに首筋の汗を拭った。
ヨンハは殊更呆れた声を上げ、ジェシンの頬に手をやった。

「お前、一睡もせずに待ってたのか?こんなにやつれた顔して」

何かというと人の身体に触りたがるヨンハの手が煩わしく、ジェシンはそれを払いのけた。

「誰も待ってやしねぇよ」

なら良かった、とヨンハはいきなり口元に拳をあて、泣き出しそうな顔で言った。

「どうやら昨夜の雨のせいで、何かあったらしい。島のどこにもテムルが……」

何だって⁈

全身から血の気が引いた。身を翻して駆け出したジェシンの背に、「先輩」と聞き慣れた声が掛かる。

「そんなに急いで、何処へ行くんですか?」

振り向くとそこに、ユンシクがいた。一晩中、ずっと見たかった顔だ。実際に目の前にあってもすぐには信じられず、一瞬、ジェシンの動きが止まる。

「な、なんで、お前……」

狼狽えて、ヨンハの方を見た。彼はにんまりと笑ってジェシンに口付けを投げると、すたすたと退散した。
またしてもやられたのだ。あの男のくだらない悪戯に。
我ながらどうしてこうも簡単に引っ掛かってしまうのかと、自分の浅はかさに舌打ちする。

「先輩がすごく心配してたって、聞きました」

申し訳なさそうに眉を寄せて、ユンシクが言った。

「心配なんて、別に」

言い濁した言葉は、喉の奥で消えた。かといって、死ぬほど心配して身も心もボロボロになってるなんて、言えるわけがなかった。
ユンシクは、どこか疲れた顔で、すみませんでした、と頭を下げた。

「顔色が悪いぞ。早く休め」

そう言うと、彼女の頬に微笑みが浮かんだ。その笑顔は、いつもと変わりなかった。
途端に、全身から力が抜けた。やっと実感した安堵のせいだ。
そして同時に、彼は気付いてしまった。
一晩中眠れぬほど苦しんでいたのは、彼女の身を案じてのことだったが、それだけではなかった。
傍にいれば、どんなことだってしてやれる。何があったとしても。だがその役目を、他の男に譲る気には到底なれなかった。

何もできずに苛立つだけのこんな思いは、もう二度としたくない。
そう、思ったときには彼女の肩を掴んでいた。

「駄目だ、テ……」

呼ぼうとして、口ごもる。今更だったが、“大物”とはすんなり言えなかった。今のジェシンには、彼女を男だと思い込むことはもちろん、そんな風に扱うことも、もう無理だった。
だが、彼女はここでは男でいなければならないのだ。そして自分は、その嘘に騙されたフリをし続けなければならない。これからもずっと。

「いいか、これからは絶対に、俺から離れるな。どこで何をしてようが、絶対離れるなよ」

丸い瞳が、不思議そうにジェシンを見上げる。妙な邪推をした自分が恥ずかしくなるほど、屈託の無い瞳だ。
一瞬のうちに、あらゆる葛藤が彼の中で渦を巻いた。が。

「お前のせいで───気が変になりそうだった」

それが、彼にできた唯一の告白だった。






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あまるですどうもこんにちわ。
ア○ーバスタッフにはトンペンがいると見た。あまるの街にはそれらしき奴らが5人揃いました(笑)
お暇なかたは遊びに来たって~。

ところでここ2日ほどのワタクシ、体調最悪でした。
その日は早退して会社から自宅まで通常30分のところ、3時間かけて這いずるように帰りました(^^ゞ
便器とすっかりお友達になりながら、まさか嘔吐下痢?ノロウイルス?って青くなりましたが、ただの急性胃炎だったようで。
ちょっとε-(´∀`*)ホッ

忘年会シーズンが間もなくやってきますが、ストレスと暴飲暴食には気をつけましょうね!←お前がな!





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2012/12/04 Tue. 03:17 [edit]

category: 第十二話

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