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第十二話 4 無人島の一夜 

bandicam 2012-11-18 02-47-47-787
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パチパチと薪のはぜる音に、ソンジュンは重い瞼をこじ開けた。
首を廻らすと、目の前にユンシクの寝顔があった。白い単衣だけの姿だ。
はっとして身を起こす。と、自分の身体に掛けられた小豆色の道袍が目に入った。
そして、足元で燃えさかる焚火と、ユンシクの顔についた黒い煤。
全てを悟るには充分だった。

ソンジュンはユンシクの頬に手を伸ばした。そこについた煤を拭ってやるつもりだった。
指の背で、ユンシクの頬をそっと撫でた瞬間、彼がぱちっと目を開けた。
思わず手を引っ込めたソンジュンはそのとき、気づいてしまった。

煤を拭ってやろうとしたなんて嘘だ。
単に、すぐそばで無防備に寝入っているユンシクに触れたかっただけだ。

どぎまぎしながら、何もしてない、と、訊かれてもいないのに、そう言った。
だがユンシクは構わず、その手をはたとソンジュンの額にあて、次に自分の額にあて、またソンジュンの額に戻した。そして微笑んだ。

「熱は下がったね。具合はどう?」

ソンジュンはユンシクの手首を掴み、彼の手に目を落とした。
白くて滑らかな肌は無残に擦り剥け、血が滲んでいる。己の眉間に深い皺が寄るのを感じながら、彼は言った。

「焚火ひとつ起こすのに、この有様とは……。なんて馬鹿なんだ。救いようがないな」

山のように積まれた薪の方にちらと目をやる。あれだけの量を掻き集めるのに、暗い森の中を一体どれだけ歩き回ったのだろう。想像すると、無性に腹が立った。
どうして彼は短慮にも、こんな危険を犯すのか。

「島ごと燃やそうとでも思ったのか?足を滑らせでもしたら、どうするつもりだったんだ。軽率過ぎるぞ」

肩をすくめてソンジュンの小言を聞いていたユンシクが、いきなりふふっと笑った。

「熱がなかなか下がらなかったから心配したよ。でも良かった。いつものイ・ソンジュンだ。安心したよ」

ソンジュンの胸が、何かに掴まれたようにぎゅっと縮こまる。
煤で真っ黒な顔をして、そうやって笑うユンシクを、見ていることができない。
それ以上何も言えずに、ソンジュンは赤く燃える炎に視線を移した。



「兵曹判書のお嬢様だっけ、芙蓉花」

はい、と二つに割った林檎の片方をソンジュンに手渡しながら、ユンシクが言った。
焚火の火が、彼の頬をほの赤く照らしている。

「きっと、心を込めて準備したんだね。美人だし、心もきれいなら、言うことないな。結婚したら、きっと良妻賢母になるよ」

そうだな、と、まるで他人事のようにソンジュンは言った。
実際、芙蓉花と自分が夫婦として生活している姿など想像したことがなかったし、する気にもなれなかった。
こうしてユンシクと二人、ひとつの炎を見つめているとむしろ、婚約者などより余程彼の方を近く感じる。
林檎に勢い良く齧り付いてから、ユンシクが言った。

「どこが、気に入ったの?」
「……考えたことがないんだ」
「そんなわけないだろ?ほら、その人のことを思うと、胸がドキドキしたりとか、気がつくと、その人のことばかり考えてたりとか。ほんの些細なことで、気分が明るくなったり、逆に、地の底まで落ち込んだり。それでもやっぱり、会いたくて……とか。そういうの、あるだろ?」

ある。だがその相手は、芙蓉花ではない。今目の前にいる君だ。

ソンジュンの心を苛むのは、まさしくその事実だった。

「そんな人がいるのか」

ユンシクが、まるで自らの経験のように語るのが、気になった。

彼も、そんな想いを抱えているのだろうか。
相手は、あのチョソンとかいう妓生なのか……?

「ぼくが訊いてるんだ。結婚……するんだろ?」

ちょっと怒ったような口ぶりで、ユンシクが言った。

「父がそう考えてるだけだ。結婚に興味はない」

ソンジュンが素っ気無く答えると、ユンシクは彼の前に林檎を一個、突き出した。

「ほら。丸ごとあげる。病み上がりだろ。食べて栄養つけないと」

ふと見たその林檎には、どこから飛んできたのかコオロギがちょこんと座り、ソンジュンをじっと見上げていた。

「コオロギが……」
「え?───うわあっ!」

島中に響き渡るかというほどの悲鳴を上げ、ユンシクは林檎を放り投げた。
こちらに背中を向けて膝を抱えているユンシクの姿に、ソンジュンは思わず吹き出してしまう。
見かけによらず豪胆な彼に、こんな弱点があったとは。

「も、もう行った?」
「大物〈テムル〉がどうしたんだ?コオロギが怖いのか?」
「虫が怖くて騒いでるわけじゃ……士大夫たるもの、たとえ虫けら一つの命でも大切にすべきだと……」

袖にとまっていたコオロギをつまみあげ、ユンシクの目の前に差し出した。

「こんな風に?」
「ぎゃああ!」

虫一匹に大騒ぎする様子が可愛いやら可笑しいやらで、ソンジュンは堪えきれず声を上げて笑った。
恨みがましい目でこちらを睨んでいたユンシクも、やがてつられるように笑いだした。

「意外だな。イ・ソンジュンでもこんな悪戯するんだ」
「握ってみろ。ほら」
「もう、やめろってば!」

焚火のはぜる音と、二人の笑い声が、誰もいない静かな島に響いた。


*   *   *


朝靄の中、近づいてくる蹄の音に、ヒョウンは耳をすました。やがて馬の嘶きとともに、ヨンハが通りに姿を現した。

「舟が手配できたのね」

馬上のヨンハを笑顔で見上げ、ヒョウンが尋ねた。
馬の鼻から、真っ白な息がもうもうと立ち昇っている。ヨンハの吐く息も白かった。

「乗って。一刻も早く行きたいだろ」

両班の娘が、男と馬に相乗りする?
躊躇うヒョウンに、ヨンハは左手を差し出した。
戸惑いつつもその手を握ると、ふわりと身体が浮いた。気づくと、既に彼女は馬上の人となっていた。
背中越しに、ヨンハが言った。

「しっかりつかまった方がいい。落馬したら、可愛い顔も見納めになる」

おずおずと、ヨンハの腰に腕を回す。馬の足元で目を丸くしているポドゥルの顔が目に入ったが、どうせ早朝で、見る者は誰もいやしない。何より、人の目など気にしている場合ではなかった。

「ハッ!」

ヨンハが、馬の腹を蹴る。走りだした馬の背で、落馬の恐怖に慄きながら、ヒョウンは必死でヨンハの背中にしがみついた。





*****************************************************
あまるですどうもこんにちわ。

今回は懺悔です。
ごめんよ……ゆちょ。
この回の最後のキミのアドリブ、あまりにもまんますぎて、悩んだけど結局泣く泣くカットさせていただきました(爆)
「意外と美味しいよ。実は僕も少し怖いんだ」の台詞ね(^^ゞ
可愛いかったけどあれはモロゆちょの台詞で、ソンジュンじゃないような気がしちゃったので……。
というか、アレはドラマの心憎いファンサービスだとあまるは受け取ってますので、ここでそれやっても意味ないしなぁ、と(笑)
そーゆうワケなので、例のアドリブシーンは画像のみでお楽しみください~(^^)



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2012/11/18 Sun. 03:15 [edit]

category: 第十二話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: ちびたさま

そう、私は大好きなんだよ、ゆちょ!あのアドリブシーン!(爆)
まさか本人も使われるとは思ってなかったんじゃないかってーくらいナチュラルにユチョで(笑)
ミニョンちゃんも素で笑ってるし(^^ゞ

撮影現場の楽しそうな様子が垣間見えた1シーンでした。

あまる #- | URL
2012/12/04 04:01 | edit

わかるわー!あの最後のアドリブ、私も好きです。大好きです。
でもなー、でもなー、それはイ・ソンジュンじゃないんだよ!ちょっと違うだろう!
と見始めた時にとーほーしんきを知らなかった私もそう思いますた。

あまるさんの判断は極めて正しいっす(なんつう偉そうな)

アドリブって難しいっすねえ。

ちびた #- | URL
2012/12/02 22:23 | edit

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