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第十一話 6 召喚 

bandicam 2012-10-11 18-41-33-824

***************************************************


他の官僚たちに捕まり、遅れて便殿を出たハ・ウギュは、王宮の中庭でようやく、左議政に追いついた。
何度も唾を飲み下して、どうにか息を整えてから、彼はジョンムの前を遮った。

「大監、いったいどういうおつもりですか。通共ですぞ!禁乱廛権の廃止に率先して賛同するとは!王に断固として立ち向かうと、あれほど私に……!」

ジョンムは、ゆっくりとウギュに視線を振り向けた。

「我ら老論が、100年もの間何故実権を握れたかお分かりかな?」
「何をいきなり」

面食らったウギュに、ジョンムは続ける。

「王とは対立しても、常に民心を味方につける術を心得ていたからです。今回の件は打撃が大きい。これから紅壁書の言葉に尾ひれがつき、民を動揺させるはず───。火は、大火となる前に消さねばなりません」

だがこれに味をしめた王が、次々と自分の思い通りに朝廷を動かし始めたらどうなる?
民心を味方につけるのが我々老論ではなく、王の方だったら?
立ち去る左議政を横目で追いながら、ウギュの焦りはいや増すばかりだった。


*   *   *


その朝、成均館では朝報〈チョボ〉を配る斎直たちの声があちこちで弾けた。

「陛下が禁乱廛権を廃止して通共を施行なさいます!辛亥通共です!」

政策の意味はわからなくとも、それが大人たちにとって驚くべき知らせであることは、幼い彼らもすぐに感じ取った。儒生たちは皆朝報をひったくるように受け取るや、食い入るようにしてその文面を読み、ある者は驚嘆し、ある者は悔しがって朝報を引き千切った。
反応は様々でも、彼ら儒生たちの目は、自然とあの四人組に集まった。
テムル、カラン、コロ、ヨリム。
一介の学生に過ぎぬ彼らが、たった四人で、王と、朝廷を動かし、国法を変えさせるという大仕事を成し遂げたのだ。
成均館の外で“花の四人衆”と呼ばれる彼らは、この日を境に、儒生たちの間でも特別な存在となった。
だが本人たちはそんなことには気付いていないのか、そもそも関心がないのか。いつもと変わらず、中庭で子供のようにふざけ合っていた。



「賛成いたしかねます、陛下」

深く低頭したまま、だがきっぱりとヤギョンは言った。
宮殿の東、高台に設えられた楼閣からは、波のようにどこまでも連なる王宮の屋根瓦が見える。
そこに視線を投げたまま、王は言った。

「金縢之詞を捜して老論を排斥し、新たな朝鮮を作る───これは、余の長年の夢だ。そなたも知っていよう」
「しかし」

イ・ソンジュン、と王は老論の息子の名を口にした。

「あの者のためか?」

ヤギョンは面を上げ、王の横顔を見た。

「キム・ユンシクとムン・ジェシンのためです。金縢之詞を捜すために、彼等は父や兄を亡くし、私は尊敬する師と、かけがえの無い友を失いました。この上、年若い弟子を亡くす愚かな師匠にはなれません」
「彼等もまた余の友であり、臣下であり、民なのだ!」

王はヤギョンに向かい、常に無く声を荒げた。

「こうしている今も、あの者共に収奪され、腹を空かし、その横暴な振る舞いに怯えて暮らす民がいる。これ以上は待てぬ」

ヤギョンの胸に、ふとした不安のようなものがよぎった。王という立場が、ヤギョンの言ったような個人的な感情を優先することを許さないにしてもだ。
王の表情には、これまでにない焦りの色があった。
芽吹いたばかりの植物には、機を見て相応の水を与えなければ、腐らせてしまう。
年若い者に重責を与えるのは、本人のためにも、国のためにも得策ではないことを充分に承知していたはずの王が、まだ出仕すらしていない彼らにここまで固執するのは何故なのか。
彼らの出仕を待てないほど、王を焦らせているものは、一体何なのか───。
まさか、とヤギョンが口を開くより先に、王は告げた。

「あの者たちを、既に宮殿に呼んである。じきに来るはずだ」


*   *   *


昌徳宮に隣接する昌慶宮〈チャンギョングン〉は、主に王が執務ではなく、私邸として居住する宮殿である。王妃たちが住まう後宮もここにあり、かつて、正祖の父である思悼世子が非業の死を遂げたのもまさにこの昌慶宮での出来事だった。
今、その昌慶宮入り口にある弘化門を、並んでくぐる四人の若者の姿があった。

「王宮は流石に怖いところですね。なんたってヨリム先輩に官服を着せるんだもの」

ユンシクが、悪戯っぽい笑みをヨンハに向けてそう言った。

「個性も主張も趣向もない官服をな」

ジェシンがヨンハの胸元にある胸背を軽く叩きながら彼の持論を真似れば、ソンジュンまでもが

「こんなものを身に着けていては、いい政策も浮かばないとか」

と、眉を上げてヨンハを揶揄する。
ヨンハは顔の前で虫を払うかのように手を振ると、言った。

「寄ってたかってうるさいな。もちろん、その考えに変わりはないさ」

彼は三人の前にくるりと回りこむと、官服の裾を摘まんで、めくって見せた。あろうことか彼は、青い官服の裏地に、茜色の薄物を勝手に縫い付けていた。じっと立っていればそれと判らないが、彼が歩く毎に、その足捌きに合わせて派手な重ねの色が見え隠れするという寸法だ。

「私は、ク・ヨンハだぞ」

あんぐりと口を開けている三人の顔に満足して、ヨンハはふふん、と笑った。

「なんという執念深さだ……」

先頭に立って、意気揚々と崇文堂〈スンムンダン〉へ向かうヨンハの背中を見ながら、ソンジュンが小さく呟いた。






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2012/10/11 Thu. 19:02 [edit]

category: 第十一話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: ちゃむさま

毎度お疲れ様です~
秋は至る所でさつまいもフレーバーが出回るので、女子には嬉しい限りですね(^^)
ワタクシは今んとこハーゲンダッツの紫芋くらいしか食べてないですが。
あ、でもさつまりことおさつスナックは週一くらいで食べてるかもです(^^ゞ


あまる #- | URL
2012/10/18 02:37 | edit

さつまいも

お疲れ様です(^-^)/今日外出先から会社に戻ったら同僚がチロルチョコのさつまいも味を恵んでくれました(;_;)くまもん絵柄の包み紙でとっても美味しかった~調べてみたらくまもんとのタイアップ商品で紫芋もあるとか…そっちも食べてみよっと。豆乳の焼き芋味、ハーゲンダッツの紫芋味となかなか秋の味覚侮れない。甘いもの食べて頑張ろo(^-^)o

ちゃむ #- | URL
2012/10/15 23:58 | edit

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