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きみのためにできること 2 

番外編の続きです。
季節外れで申し訳ない。(^^ゞ
この後、も少し続きます~。
*****************************************************


朝晩まだ少し冷え込む日はあったものの、日中に吹く風にはもう、一頃の刺々しさは無くなっていた。
遠くに見える山々は眠たげに霞に煙り、木々の若葉は勢い良く芽吹いて、目に鮮やかだ。
鳥の囀りに耳をくすぐられながら、道端にかたまって咲いている菫の花に時折目を留める。そんな風にしてつらつら歩いているだけで、理由〈わけ〉もなく気分が弾んでくる。
いつの間にか、春はすぐそばで盛んにその到来を告げていたのだ。

待ち合わせたのは、村の入り口にある大きな樫の木の下だった。約束した時刻にはまだ間があったはずだが、長身の両班の青年が人待ち顔でそこに立っているのを見つけ、ユニの胸は知らず、高鳴った。
一目でソンジュンだとわかる。彼に一番良く似合う、縹〈はなだ〉色の道袍に、深い藍色の快子〈ケジャ〉
あんな風に、ただ立っているだけで人の目を惹くような美丈夫なんて、そうそういるものではない。

どうしてこんなにドキドキするんだろう。毎日一緒にいるのに。

外で逢うのが久しぶりだからなのか、それとも自分がこんな格好をしているせいなのか。
ユニは手鏡を取り出して、今日何度見たかわからない自分の顔をもう一度確かめた。
髪は一筋も乱れていないし、白粉も紅も崩れていない。
よし、と足を踏み出そうとすると、嬌声を上げながら興奮気味に走ってきた若い娘たちに、危うくぶつかりそうになった。
何事だろうとその背中を見送ったユニの耳に、傍を通りかかった中年女の声が聞こえてきた。

「なんとまあ、いい男だねぇ。惚れ惚れするよ」

ああやっぱり、とユニは納得した。自分の贔屓目などでは決してない。彼は他の誰が見ても美しく立派で、心惹かれずにはいられない存在なのだ。
そんな彼の横に並ぶ女人として、果たして自分は相応しいのだろうか───。

男の格好をしていたときは、露ほども気にしていなかったことが頭をもたげた。
それはそうだ。男なら、一緒に歩いていても単なる友人として人は見るだろう。けれど、それが女人となれば話は別になる。
落ちた視線の先に、長衣〈チャンオッ〉の襟を握り締める自分の手があった。そこに光る銀の指輪を見、ユニは沈みそうになる気持ちを奮い立たせた。
この指輪は、彼がくれた想いだ。自分を疑うことは、彼のこの想いを疑うのと同じことになる。

ユニは頭から被っていた長衣を更に顔の前に掻き合わせて、ソンジュンの待つ場所へと向かった。


「どなたか、お待ちなのですか?」

声を掛けると、ちょっと驚いたような顔がこちらを見た。だがそれはすぐに、悪戯っぽい笑みに変わる。

「婚約者を、待っています。見かけませんでしたか?女だてらに男の格好をして、大酒飲みで、そそっかしいくせにとても生意気な口を利くんです」
「……酷い女人ですね」

ユニはまた落ち込みそうになった。全部本当のことだから怒る気にもなれない。どうしてそんなのと婚約なんかする気になったんだと、むしろ本気で訊きたくなる。

「まったくです。───でも」

ソンジュンは一歩ユニに近づくと、合わせた長衣の襟を、両手でそっと開いた。
急に広くなったユニの視界に、優しく微笑むソンジュンが見えた。

「美しく、聡明で、思いやりに溢れ、努力家で、行動力があって───。この世に二人といない、僕には、過ぎる程の女性なんです」

長衣の下で、頬が熱くなるのがわかった。いくらなんでもそれは褒めすぎでは、と思ったとき。
彼は言った。

「出会ったときから、ずっと好きでした」

ふわりと吹いてきた風が、どこからか桃の花の香りを運んできた。
その甘い香りと、ソンジュンの言葉が残した余韻に、目眩がしそうになる。

返事を待っているわけではない。ソンジュンはただ静かに、ユニを見つめている。
青々とした葉を繁らせる樫の木の下、二人はしばらくそうやって、身じろぎもせずに佇んでいた。

彼女を包むように長衣の襟を持つ、ソンジュンの手。
それは、愛する人を男たちの目から隠そうとしているようでもあり、外界のあらゆるものから彼女を護ろうとしているようでも、あった。





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2012/10/04 Thu. 13:29 [edit]

category: きみのためにできること

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: こばとんさま

はじめまして!こちらにもお越しくださいましてありがとうございます(^^)
ソンジュン、ちゃんといい男になってますか~?ヨカッタ。
番外編はそう言っていただけるのが一番嬉しいデス!
今後ともよろしくお願いいたします~

あまる #- | URL
2016/02/03 01:56 | edit

ヤバイ!

はじめまして。
楽しく読ませていただいてます♪
どれも素敵なお話ですが、この話のソンジュンはヤバイです!めっちゃいい男だ!
キュンキュンがとまらない~

こばとん #- | URL
2016/02/01 10:56 | edit

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# | 
2015/06/15 23:12 | edit

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# | 
2015/05/20 09:14 | edit

Re: ちゃむさま

相変わらずお忙しい中、コメありがとうです(^^)

ウチの書き散らかしを果たして巷の活字本の代わりにしてもらっていいものか激しく疑問ではありますが(笑)
スキマ時間に楽しんでいただければ幸いでございます~。
お互い体調に留意しつつ(^^ゞ頑張りましょうね~。

あまる #- | URL
2012/10/05 19:37 | edit

Re: haru-haruさま

初めまして~。コメありがとうございます(^^)

そーなんです。ソンジュンはユニが大大大大好きなんですよぉ~(萌)
ふわーっとした感じですか?そーなんだ~。
自分の文章って自分じゃよくわからないので(^^ゞ読者様にそう言っていただけるのはとっても嬉しいです。
ありがとうございます~。
自分としてはちゃんとした日本語にするので精一杯なんですけどね(笑)

つ、続き……早くお披露目できるよう頑張りマス。
今後ともよろしくお願いしますね~

あまる #- | URL
2012/10/05 19:27 | edit

久々の

番外編と~っても嬉しいo(^▽^)o
今週もものすごく忙しくて折れそうな気持ちをあまるさんのとこで修復してます。
本を開く暇がなく活字に飢えてるのでちょっとの時間で携帯から覗いて楽しめるいい場所を見つけたなって思ってます。番外編続き楽しみにしてます。

ちゃむ #- | URL
2012/10/04 23:44 | edit

番外編

こんにちは。
初めてコメント書かせていただきます。

成均舘本編もとても好きで、読ませていただいてるんですが、個人的にはこの番外編のお話が、とっても好きです。
ソンジュンがユニを大・大・大好きなのが感じられて。
そして何となく感じる、ふわーっとした感じが読んでてとっても素敵です。

どれも何度も読んじゃってます。今日こちらに尋ねたら、番外編新作が2つもあって。幸せです。

まだ続くとのこと。とっても楽しみにしています。

haru-haru #BJfyOLl6 | URL
2012/10/04 15:29 | edit

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