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第十話 9 策士たち 

bandicam 2012-09-03 12-40-47-461

ポドゥルの顔が秀逸……

****************************************************************



「ガキのくせに、がめついやつです」

泮村で見た一部始終を報告し終えると、ビョンチュンは ほくそ笑みながらそう言った。

「あの様子では、明日まで口を割りませんよ、掌議」

コボンも、旬頭殿講の可は貰ったも同然と安心したのか、笑いが止まらない。
抜き身の太刀を、ゆっくりと布の上で滑らせながら、インスは僅かにその目を細めた。

「……あとは、王が自らキム・ユンシクを退学させるのを待つだけか」

単に、キム・ユンシクが成均館を出ていくだけでは、この計画は成功とはいえない。
あの王に、己の過ちを認めさせ、二度と蕩平などと馬鹿げたことを言わせないためにも、王がその手でキム・ユンシクに引導を渡す必要があるのだ。
目障りな男は消え、王の権威は失墜。残るイ・ソンジュンは、ヒョウンに任せておけば問題ないだろう。
課題としては稀に見る手応えのなさだ。今回の旬頭殿講は。
白銀の太刀に映るインスの口元が、歪んだ。


*   *   *

静かな室内に、衣擦れの音が響く。楚々とした所作で大拝礼〈クンジョル〉を終えたヒョウンは、緊張のためか固い表情でその場に腰を下ろした。
兵曹判書ハ・ウギュは、黙っていれば慎ましく見える娘に満足して、にこやかに言った。

「娘が、ぜひ大監にご挨拶申し上げたいとせがむものでして」

イ・ジョンムは無表情にヒョウンに視線を据えている。そこから何らかの感情を読み取ることは難しかったが、少なくとも歓迎されていないことは確かだった。
ヒョウンは面を伏せたまま、昨晩何度も練習を重ねた台詞を口にした。

「先日の非礼を、お許しいただきたいと思い、参りました。今日は、二人のお父様がお会いになると聞きましたもので、無礼は承知の上、ご挨拶申し上げたく……。どうか、お許しください」
「先日の非礼を、今日の無礼で返すというわけか」

言い捨てたジョンムに、ヒョウンの表情が凍りつく。だが無論、これくらいの嫌味はウギュの想定内だ。彼はすかさず、娘に指で合図を送った。
ヒョウンは小さく頷くと、言った。

「申し訳ございません。ふつつかな私ですが、ご迷惑にならぬよう学び、お言いつけに従います」

上出来だ。綿密な打ち合わせの甲斐はあった。ウギュがちらりとジョンムを見遣ると、彼は僅かに表情を和らげ、微かなため息とともに、言った。

「息子は書物は読めても、女人の心を読む資質には欠けておる。女姉妹や幼馴染みもおらず、女人には縁がなかった故、当然ではあるが……」
「それでしたら───!」

勢い込むヒョウンに、ウギュが目を剥く。すぐ調子に乗って本来の開けっ放しの性格を出すのは娘の悪い癖だ。父親の恐ろしい形相に、ヒョウンはこほんとひとつ咳払いして、居住まいを正した。

「───充分に、心得ております、お義父様」



肩をいからせて左議政宅の門を出たヒョウンは、ようやく開放されたとばかり、溜め込んでいたものを一気に吐き出した。

「ああやだ!まったく、なんておっかない人なの!ポドゥル、今すぐ清の言葉の先生を手配して!」
「急にどうなさったんです?お稽古は他にもたくさんあるじゃありませんか。お裁縫に、お料理に」

指を折って数えるポドゥルを きっと振り向き、ヒョウンは言った。

「いいの!ソンジュン様と一緒に、清に留学するんだから!あんな親と一緒に暮らしたりなんかしたら、思いっきりしごかれて私死ぬわ!うう、ゾッとしちゃう」

ヒョウンは肩をすくめ、ぶるっと胴震いした。が、急にころりと表情を変えて くふふふ、と笑い出した。
一瞬、ポドゥルはお嬢様に物の怪でも乗り移ったかとぎょっとする。

「でもね、ポドゥル」

ヒョウンは組み合わせた両手に、うっとりと頬をもたせ掛けた。

「お義父様、ソンジュン様とまつ毛がそっくりだったの………」
「ま、まつ毛、ですか?」
「そう。長くって、こう、くるんって。もぉカワイすぎー!!!」

手足をばたばたさせてはしゃぐヒョウンに、一度死ぬほどしごかれた方がお嬢様のためなのでは、と密かに思うポドゥルだった。



ヒョウンの退出後、ジョンムの前に座り直したウギュは、茶器を傾ける左議政に向かい慎重に切り出した。

「此度の件で、特定商人の頭目を、反物商のチョン・ハンモに変えさせました」

ジョンムは頷くと、低く言った。

「ソン・ヨンテは、実に愚かな人間ですな。炎に向かい息を吹きかければ、自らにも火の粉が及ぶことをわかっていない……」
「所詮は商人です。器の小ささを責めても、どうなるものでもありません」

深く息を吐き出したジョンムが、冷ややかな視線を投げた。

「その程度の器の者たちと、国事を共に行うつもりで、手を組んできたと───そういうわけですか。兵曹判書殿」

先程のヒョウンなど、これに比べたらまだ蚊に刺されたようなものだ。ばっさりと切られて息も絶え絶えになりながら、ウギュは平服した。

「面目もございません。例の帳簿に関しては、一つ残らず没収し、私の目の前で燃やしました。二度とこのような不祥事は起こさせません」
「そう願いたいものですな」

左議政は眉間の皺を減らすどころか、その表情をますます険しくしている。
だがウギュとて、ここまで這い上がってきた男だ。そのまましっぽを巻いて帰るつもりはなかった。
乾いた唇を湿して顔を上げた彼は、反撃に転じた。

「───ところで、ご子息をソンの家で見たという者がおりましてね」

ぴくりと、ジョンムの眉尻が動いた。

「生真面目な方だとばかり思っておりましたが、意外に世の道理もわかっておられるようで。頼もしい限りですな」

皮肉交じりのウギュの言葉に、ジョンムはいきなり、声を上げて笑い出した。
滅多なことでは感情を露わにしない左議政が、そんな風にして笑うのは、久しくなかったことだった。
ひとしきり笑って、彼は言った。

「いやいやこれはなんということか。まさか自分の息子の行動を、人づてに聞くことになるとは。私は父親として失格のようです」
「何を仰います。我々は今や身内ではないですか」

ウギュはそう言って、愛想の良い笑みをその口の端に浮かべた。だが左議政の表情を伺うその眼は、少しも笑ってはいなかった。






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2012/09/03 Mon. 22:38 [edit]

category: 第十話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

Re: みずたまさま

みずたまさんは絶対ヒョウンに食いついてくれると信じてたワ(笑)

ヒョウンとポドゥルがいる町内なんて、なんて楽しそうな(笑)
しかしポドゥル似のおばちゃんって、けっこういそうな気もしないでもない……。
そしてドラマでは放置されたまんまだったポドゥルとスンドルの恋の行方はいかに~って、誰も気にしてないだろうがなーっ!(笑)

あまる #- | URL
2012/09/05 09:57 | edit

おや、おや~✿

久々にゆっくりあまるさんちへ読書に来たら・・・・。

見開き1ページ、巻頭カラーにヒョウンちゃんじゃないのさ~(^^♪
なんだか久々だわ~☆

あくどいったら・・・。黒いしっぽまでつけちゃって~✿

前に近所に似てる人がいるっていってたよね。
じつはポドゥルに激似の方もいるんだわ~w

そして昔のドラマ(温○へ行こう)、にでてた伸江さんに似てると思うのはワタシだけかな?

みずたま #- | URL
2012/09/04 23:38 | edit

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