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第十話 3 抗えぬ想い 

bandicam 2012-07-29 02-17-05-227

********************************************************


人通りの絶えた街なかを、二人は無我夢中で走った。官軍の松明の明かりは、すぐそこまで迫ってきていた。
いり組んだ路地に入り込み、どうにか追っ手をまいたときには、二人ともすっかり息が上がり、しばらくは口もきけない有様だった。

だが、無事逃げおおせたことにほっとしたのだろう。あえぎながらも、ユンシクは笑った。ソンジュンも微笑み返した。そのときになってやっと、しっかりと握りあっていた互いの手に気づいた。
火花に触れたかのように、ぱっと離す。

何となく気まずい空気が、静けさとともに二人の間に降りてきた。
虫の音だけが、夜のしじまにやけに大きく響いている。
沈黙に先に耐えられなくなったのはソンジュンだった。

「───僕に、同情したのか?」

丸い瞳が、訝るように彼を見上げた。

「夜更けに、そんな格好で危険を冒してまで来るなんて……。君にとって僕は、無力で哀れな存在で、誰かが差し伸べる救いの手に、喜んですがりつくと───そう思った?」

忘れようにも忘れられない台詞をそのまま返したのは、ささやかな報復だ。案の定、ユンシクは さっ、と頬に血を上らせた。

「イ・ソンジュン!このっ………!」

振り上げた小さな拳を、片手で難なく受け止める。ユンシクは怒った顔のまま、二、三度抵抗を試みるが、ソンジュンの手を振りほどくことができない。ソンジュンにしてみれば、ほんの少し、握る手に力を込めているだけなのに。

不思議な奴だと、思う。
腕力も無ければ、感情を抑制する術も持たない。さっきまで官軍に追われて青い顔をしていたくせに、次の瞬間には怒って赤くなる。立派な君子とは到底言えない振る舞いだが、ソンジュンはこのころころと変化するユンシクの表情に、いつしか自分が魅せられていることに気付いた。
目まぐるしく変わる彼の表情や態度に驚かされたり、戸惑ったりすることはあるが、それが少しも不快ではないのだ。むしろ、楽しんでいるんじゃないかと思うことさえある。
こんな風に彼が怒ったり、恥ずかしがったりするような言い方をわざと選んでしまうのは多分そのせいだ。

「同情なんかじゃなかった。───君と同じだ、キム・ユンシク」

もがいていたユンシクの手が、ぴたりとおとなしくなった。ソンジュンは視線を落とすと、言った。

「僕だって、同情したから、助けたわけじゃない。最初は、君の文才が惜しいと思った。だがじきに、君が必要になった。友になるなら、君がいいと思ったんだ。ただ、方法がわからなかった。誰かに対してこんな風に思ったのは………初めてだったから」

幼い頃も、学堂に通っていた頃も、ソンジュンの周りには常に人が集まってきた。
多くは、左議政の息子という肩書きに引かれ、その威光にあやかろうとする者たちか、あるいは妬みと敵意を剥き出しにし、彼が何かヘマをしでかすのを今か今かと待ち構えている者たちだ。
家柄や派閥など関係なく、ただソンジュンという人間の中身を正当に評価してくれる者など、ただの一人もいなかった。親しくなろうという気にさえならなかった。ソンジュン自身、友人という存在にそれほどの価値を見出していなかったのだ。

だがユンシクは違った。
例えば、朝報で面白い記事を読んだとき。尊経閣の書物の中に、新しい解釈や政治論を見つけたとき。
ソンジュンはまず真っ先に、ユンシクを思い浮かべてしまうのだ。
彼ならこれを見て、何を思うだろう。僕の意見に、何と返すだろう。
それが知りたくて、ソンジュンは彼の姿を探す。広い成均館の中を、いつも。そしてユンシクを見つける。彼も、こちらを見て笑う───。

ソンジュンはただ、知らなかっただけなのだ。そんな風にしていつも一緒にいることが、自分にとってこれほど大切になろうとは。

初めてだった。居眠りする誰かに肩を貸すのも、講義が始まる前、他にも席はたくさんあるのに、誰かが迷わず自分の隣にやってきて、当たり前のようにそこに座るのも。
そして、そんな些細なことに、心地良さを感じている自分も。

きっとそれは、相手がキム・ユンシクだったからに他ならない。
身体は小さいくせに、度胸だけは一人前で、思っていることがすぐに顔に出る。気が強くて呆れるほどのお人好しで、何をするにも一生懸命。後先を考えずに行動する無鉄砲なところがあるが、恐らくはその危なっかしさも、周囲の人間を惹きつけてやまない理由のひとつだ。
その引力といったら半端ではない。何せ、あのジェシンやヨンハといった、およそ一筋縄ではいかない連中でさえも、引き寄せるくらいなのだから。
未熟な自分などが、抗えるはずもなかったのだ。
最初に出会った、あのときから。

「───悪かった」

ユンシクが、こんな格好をしているせいだろうか。何故か素直に、謝ることができた。

「君に、嫌な思いをさせた。すまない、キム・ユンシク」

ふいに、ユンシクが横を向いた。見ると、大きく見開いた彼の瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちている。
突然のことに、ソンジュンは激しくうろたえたが、何と声を掛けていいのかわからない。

「……酷い」

ぽつりと、ユンシクが呟いた。

「ぼくが、どれだけ必死になって気持ちを吹っ切ったか………なのにこんなの、あんまりだよ。君ってほんとに………酷過ぎる」

ユンシクの頬を、とめどなく涙が伝う。ソンジュンにはユンシクの言葉の意味も、彼がなぜ泣いているのかもわからない。ただ、今目の前にいる彼に涙を流させているのは間違いなく自分だ。それだけはわかった。

「ごめん」

こんな時はどうしたらいいのだろう。いくら焦ってみても、答えは見つからず、ソンジュンはただ謝るしかなかった。

「悪いのは、すべて僕だ。本当にすまない。だから………もう泣かないでくれ」

小さな肩が震えている。その肩を思い切り抱きしめてやりたい衝動にかられた。
強く抱きしめたら、彼の涙は止まるだろうか。いや、止めてやれなくても、せめて、彼の悲しみを受け止めてやりたい。自分の、全身全霊で。

ソンジュンは腕を伸ばした。少し躊躇ってから、震える肩にそっと手を置いた。

それが、精一杯だった。





***********************************************
あまるですどうもこんにちわ。

毎度こんなとこ&亀レスですみません(^^ゞ

>to***oさま、拍手コメ、どうもありがとうございます(^^)
トキメキ☆なんて日本版タイトル、ちょっとププッとか最初は思ったんですけど、あのソンジュンのドキドキがあってこそのドラマだと思うと、確かにトキメキ☆だよなぁという気はします(笑)

>ク**ム・ポ*タさま
いつも拍手&コメありがとうです(^^)
ワタシも胸きゅんなソン×ユニに万年飢えてる状態ですので、お気持ちはよっくわかりますっっ!(>_<)
本編がもちょっと落ち着いたら、番外編の方もそろそろ手をつけようかなーと思ってますので、どうぞ生あたたか~く見守ってやってください(笑)




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2012/07/29 Sun. 02:49 [edit]

category: 第十話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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コメント

信じがたいことに

セリフはこのあと一切なし。手をパッと離してCM,CM明けはいきなりコロとヨリムの会話シーンです。
どうしたらこういう編集ができるのか、理解しがたい。(T_T)今後も限りなく不安です。

あらちゃん #- | URL
2013/07/18 07:48 | edit

Re: あらちゃんさま

ナニー!!!
そっからどこまで飛んだの?
まさかまさか、ソンジュンが「だってボク初めてで……(*・ω・*)ポッ」っていうところまるまるカットされちゃったの?あそこは10話の中でも(あまる的に)最強な萌えシーンだとゆうのに!
不要なんてことがあるかーいっ!o(`ω´*)oプンスカプンスカ!!

あーワタシもこのところあちこちで前半のソンス話聞いてたらまた初めの頃の初々しいソンジュンが見たくなってきました。特に大射礼の頃のソンジュンはもうもうひたすらかっちょいーですよねぇ。
ユニが惚れるのもよくわかるわ……。

あ、トラックバックとかリンクとかはご自由にどうぞ~。事後報告で全然構いませんです。
ウチからはどうしましょ?
本格始動できそうになったら教えてください。速攻でリンク貼らさせていただきますので~。

あまる #- | URL
2013/07/17 22:16 | edit

うっそ~

今日、録画しておいた月曜放送のTweiiV10話を見ました。
何!?ホントかよ!?(゚д゚)
官軍に追われて逃げ込んだ先で、手を握ってることに気がついてハッとなって、CM。…以上。あと一切カット。
こんなのってアリ?殺してやろうかっていうくらい(°д°)ホーシン状態。
ストーリーを追うのに不要と判断したのかもしれんけど、ここは先のストーリーに重要なんですけど~~ショックでした。
それにしても、イ・ソンジュンを信じるよって場面、ユチョン素敵すぎ。久しぶりに見たから、思わずキャ~って言っちゃいそうでした。(*≧∀≦*)

追伸 トラックバックさせていただいてもよろしいでしょうか?「あまる様にいただいた設定」と書いたら、友人に「その方はどなた?」と聞かれたので。

あらちゃん #- | URL
2013/07/17 21:03 | edit

Re:みずたまさま

チンタラながらもどうにか折り返しました。
みずたまさん始め、いつも速攻でコメくださる皆様のお陰ですわ~(T_T)
まだまだ先は長いけど、こっからは萌えシーンも目白押しだし、頑張りマス。

ところで横レスでなんなんですが

>レベルの低いコメントでいっつもあまるさんをキリキリ舞いさせております~。

↑なんか異様にウケてしまった(笑)飲んでた淡麗生吹いちゃったぢゃないのっっ!!

あまる #- | URL
2012/07/31 01:58 | edit

Re:ちびたさま

あのユチョンの声で「みあなだ……」って言われたらそりゃもー泣くしかないですわ。
ワタクシの場合ユニのように綺麗にゃ泣けませんが。もハナミズたらして号泣です。きたねー(^^ゞ

あまる #- | URL
2012/07/31 01:40 | edit

コメント返し☆

ちびたさま✿

レベルの低いコメントでいっつもあまるさんをキリキリ舞いさせております~。
いつか、三行半(純和風で!王命とかさ~もっと気のいい返答できるといいんだけどね✿)つきつけられるかドギマギしてます~w

年代バレばれwな珍ゲストコメンテーターの珍回答であきれないでくださいね~w
よろしくお願いします~☚

みずたま #- | URL
2012/07/30 23:52 | edit

No title

みずたまさま

はーい!私もそう思います。
尻に敷かれる三国一のはなむこさん。

いつもナイスなコメント楽しみにしてますー

ちびた #- | URL
2012/07/30 22:17 | edit

☚ここテストに出ます☆

あまるさん、世界新ナミの更新で村新記録ナミのワタシは追いつけな~い(@_@)、と、思ったら、気が付いたらもうここまで来たんだね~☆

ユニの艶姿ナミダ娘☆大好きよ~♡
ココ一押しで、おもわずイラストポスターA4付OST買っちゃったんだよん~(^^♪
カランもかたなし・・・。(;一_一)ふふふ。
クラムボンもカプカプ笑っちゃうよ☆
ここで、尻に敷かれるほう決定したよね~ヽ(^。^)ノ
よっ、3国一のハナムコさん♪

みずたま #- | URL
2012/07/29 23:58 | edit

ごめん・・

ごめん、なんて、同年代の友人(がいないけどね。爆)に言った事ないんだろうなあ。イ・ソンジュン君子。
このあたりの性格は原作とかなりかけ離れているけど、あっちはあっちこっちはこっちで楽しめるところがこの作品のいいところ。

きっとこの配役でなければかなり違和感があっただろう設定も不思議とぴったりと合っているのが凄い。

にしても、男だと思っているユニっこにあの姿で、ああも綺麗に泣かれちゃったらそりゃー慌てるだろうて。
おたおたするイ・ソンジュン君子にどれだけのファンが『ええのぅ。その困り顔』と思っていたことやら(あ、もちろん私もです。ほとんどおっさんの感想になってますけどね)

ちびた #- | URL
2012/07/29 14:35 | edit

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