スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

--/--/-- --. --:-- [edit]

category: スポンサー広告

cm --  tb --  

第九話 8 闇市 

その部屋には、さして珍しくもない木彫りの像や陶器の壷がいくつも並んでいた。壁には、明らかに有名作家の模造品とわかる絵が堂々と飾られている。
ヨンハが我慢ならないのは、この部屋の主が、こういう偽物をそうと承知の上で買い、単なる見栄や体裁のためだけにいけしゃあしゃあと飾り立てていることだった。
大抵はにこにこと機嫌良く、人当たりのよい彼が不機嫌を露わにするのは、こういう悪趣味を目の当たりにしたときだ。
芸術品は、その価値に相応しい代価と敬意を払われるべきだ、というのがヨンハの持論である。それこそがより良い次の芸術を生み出す源泉となり、健全な流通を促す根幹ともなる。彼が、これと思った品には投資を惜しまない所以だ。

そんなヨンハの美意識において、この部屋は決して許せるものではなかった。
たとえ部屋の主が、学堂時代からの旧友であったとしても。

煙管を持ち、紫煙をくゆらせる友人の手元にちらと視線を投げて、ヨンハは小馬鹿にしたように言った。

「何だその指輪。お前、未だに裏通りで盗品を買ってるのか。しかもそんな、10年前のシロモノを」

男は口を尖らせ、薬指に嵌めた金の指輪をヨンハの目から隠すように手で覆った。

「10年も前じゃない。せいぜい3年だ。だから高かったんだぞ、すごく」
「で?どこで買った?」
「えっ……?」

にっこりと、ヨンハは笑った。この日この友人に対して、彼が初めて見せた笑顔だった。


それから程なくして、ヨンハが次に訪れたのは裏通りにある馴染みの骨董屋だった。
天竺渡りの青い玻璃の洋杯を、片手でポンポンとぞんざいに投げ上げながら、店の主人に尋ねる。

「何?もしかして言えないの?ん?」
「ああっ、や、やめて……」

ヨンハの手の上でいいように弄ばれている貴重な玻璃の品に、店の主人はもはや半泣きである。商売云々の前に、主人がこの美しい硝子工芸品に女人に恋するがごとく心奪われていることを、ヨンハはもちろん承知している。

「知ってるだろ?私はク・ヨンハだ。口を割るか、店を畳むか。どっちだ?ああ、それよりこいつが粉々になっちまう方が早いかな」
「わ、わかった。話すよ。ガキから買ったんだ!マンドクの店の裏手にいつもたむろしてる奴婢のガキどもがいるだろ?あいつらだよ!」

さっさとそう言えばいいものを、とヨンハがぽいと洋杯を放る。主人が大慌てでそれを受け止めるのを確かめもせず、彼はさっさとそこを後にしたのだった。


「まったくどこがガキだよ……。あいつ、絶対店を畳ませてやる」

こっちに向かって鷹揚に手招きする少年の、既に少年とは言い難いその体格と、ふてぶてしい面構えを見たとき、ヨンハは思わず呟いていた。
店と店の間の、ひさしの接するわずかな隙間にムシロを敷き、寝床代わりなのか藁が積んである。
薄汚れたボロをまとった、似たような風体の少年たちが4、5人、そこに蹲って今にも飛びかかってきそうな目つきでこっちを睥睨している様は、山で出くわす野犬の群れを思わせた。

「さっさと来い!」

通りでぐすぐずしているヨンハにしびれを切らした少年が、怒鳴った。ヨンハは咄嗟に浮かべた愛想笑いをすぐに引っ込め、まったく冗談じゃないよと独りごちた。

「何が欲しい」

身を屈めて軒下に入ると、少年は慣れた様子でヨンハに尋ねた。
ヨンハはおもむろに懐から金子の束を取り出した。
おそらく少年たちが一度にそれだけの額の金を見たのは、初めてだったに違いない。たちまち目の色を変え、おお、と声にならない声を上げた。
一瞬で、自分の優位性を取り戻したヨンハは、金に目を奪われている少年を覗きこむようにして、言った。

「私が欲しいのは情報ってやつだよ。お前らに盗品を渡したのは誰だ?」


*   *   *

雲従街の西の外れ。以前は街と街を結ぶ単なる街道でしかなかった場所が、いまやがらりと趣を変えていることに、ヨンハは驚きを隠せなかった。
草木が茫々と生い茂っていたはずの道の両脇は綺麗に整えられ、藁葺き屋根の簡素さではあるが、いっぱしの店構えをした建物が軒を連ねている。
荒い石がごろごろしていた中央の通りは、平坦に均されており、これなら膝をついての品定めや値引き交渉にも支障はないだろうと思われた。
その証拠に、地面に座り込んで客引きをする店の女将や、売り物を物色する客の顔はどれも雲従街の市場通りと変わらぬ明るさと活気に満ちている。
これが法の網をかいくぐって開かれている闇市だとは、たとえそうと知っていても思えないほどだ。

こういうところに顕れる、下層階級と呼ばれる人々の、生きるために起こす行動の素早さと、したたかさ、逞しさには、流石のヨンハも舌を巻いてしまう。
踏みつけられ、虐げられているからこそ発揮されるものなのか、それとも彼等にもとから備わっているものなのか、それはわからないが、彼等に好きな土地で自由に売買できる権利と財力がもしあったなら、いったい世の中はどんな風になるだろうと、ヨンハは思わずにはいられないのだ。

しばらく通りをぶらつき、市に並ぶ商品を逐一検分していたヨンハは、ついに探し求めていた物を発見した。
女物の小物入れと、白磁の壷の間にちんまりと収まっていると、思わずただのガラクタと見落としそうになるが、あの輝きと精巧さは紛うこと無き、彼の紫禁城だ。

思っていたよりも早く目的の物が見つかったことに安堵し、ほっと息をついたその時である。一人の少年が、彼の脇を風のような素早さで駆け抜けていったかと思うと、あっという間に人込みの中に消えていった。間を置かずして、同じように勢い良く通りに飛び出してきた男の姿に、ヨンハは思わず声を上げた。

「おい、コロじゃないか!」

ジェシンはヨンハの呼びかけを無視してそのまま走り去ろうとしたが、意外にも機敏な動きを見せたヨンハに、がっちりと捕まえられてしまう。

「こんなところで会うなんて、やっぱり運命で結ばれてるんだなぁ」

嬉々としてジェシンを抱き締めるヨンハの背中を、ジェシンが「邪魔すんな!」と力任せに殴りつけた。
通りを見渡すが、追ってきた少年の姿は既にない。痛みに顔をしかめているヨンハに、ジェシンは毒づいた。

「逃げられちまったじゃねぇか!奴が、犯人だったかもしれないのに」
「まあそういきり立つなよ。まだ機会はある」
「何?」

ヨンハが親指でくい、と店先の紫禁城を指し示す。ジェシンがそちらに視線を移した、その時だった。
男女の入り乱れた悲鳴と共に、派手な物音が通りに響き渡った。見ると、数人の屈強な男たちが、有無を言わさず店の商品をひっくり返し、滅茶苦茶に荒らし回っている。
恐らくは特定商人の差し向けた、所謂“暴れ役”の連中だろう。破格の値段で売買する闇市の存在は、特定商人たちにとっては邪魔な存在だ。こんな嫌がらせは闇市では日常茶飯事だった。

ジェシンはヨンハを押しのけ、通りに飛び出した。商品を守ろうと抵抗する女店主に、男が殴りかかる。その腕を、寸前で掴んだ。

「むやみに人を殴ると、癖になるぞ」

と言いつつ、男の横っ面を思い切り良く殴りつける。

「てめぇ、何しやがる!」

横から襲いかかってきた仲間の腕をなんなく避け、鳩尾を蹴り上げた。

「痛い目にあわねぇとわからねぇのか?ああ?」

凄むジェシンの肩を掴み、それ以上の大立ち回りを阻んだのは、ヨンハだった。

「もういい。官軍が来た」

顎で指し示す方に目をやると、揃いの服に身を包んだ官軍兵たちが雪崩のように通りに押し寄せ、店を片っ端からひっくり返しているのが見えた。その非情さ、乱暴さに比べたら、先程のチンピラたちの暴れっぷりなど、まだ可愛いものだった。

「遠慮はいらんぞ。派手にやれ、派手に!」

舞い上がる砂煙の向こう、通りの入り口近くで、官軍兵たちに指示を飛ばす官服姿の男が見える。そのすぐ脇に、二人の歳若い役人が立っているのを見つけ、ヨンハとジェシンは同時に はっと息を飲んだ。

そこには、官軍兵たちの暴挙を、為す術もなく呆然と見つめているソンジュンとユンシクの姿があった。




************************************
あまるですどうもこんにちわ。

あまる地方でも、地上波で成均館、放送が始まってました。
今日は仕事が休みだったので、家のことイロイロしながらなんとなく流してたんですが、
やっぱそ~と~カットされてるみたい(^^ゞ
ああでもでも、一人でも多くの人にソンジュンの、ひいてはユチョンのらぶりーさが
伝わるといいなぁと思いつつ……(´∀`*)
そういやKNTVで今月27日から始まりますね、オクセジャ!
ハイ、ワタクシスカパーのよくばりパックを解約して、KNTV契約しました!ガクちんのために!(爆)
これで我が家のスカパーはついに韓流チャンネルオンリーとなってしまいました。
さようならAXN!FOX!MTV!(T_T)オクセジャ終わったらまた会おう~




↓楽しんでいただけたらポチっとお願いします
にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
スポンサーサイト
web拍手 by FC2

2012/07/12 Thu. 19:28 [edit]

category: 第九話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

cm 4  tb 0 

コメント

Re: 大江戸捜査網?

>みずたまさま

死して屍拾う者無しってやつですね。しかしチョイスが渋すぎるわみずたまさんたら(笑)

雨、そらもー酷かったです~(>_<)
福岡は10年ちょっと前の水害の後に治水対策したお陰か、そんなでもなかったんですが、
熊本の方は大変だったみたいです。
頑張れくまモン!熊本の復興はキミにかかっているぞ!
ちなみにいきなり団子はあまるの大好物だ!

あまる #- | URL
2012/07/16 00:38 | edit

Re: タイトルなし

> ちびたさま 

よくばりパックは61chで3980円。KNTVは1chで3780円……ボッ**リやん!(爆)
と叫んでしまったワタクシは潔いというよりむしろセコいですが(笑)
こーなったらモトを取るべくオクセジャ以外のドラマも録画しまくります。
↑やっぱりセコい(^^ゞ

とりあえずウネちゃんの「私に嘘をついてみて」と「太陽を抱く月」は予約しとこ。

暴れ馬を乗りこなすヨンハ……(笑)この二人だとやっぱしコロ受けなんだろうなーとか
ほんのり思うワタクシはBLなひとではないですが(ホントです)コロには彼がいてくれて
良かったと思いますワ。
ドラマではユニに恋心を全く気付かれずに終わってしまったので(^^ゞ

しかしせめてあのラストでコロの捕まえた青壁書がユニ顔負けの美少女だったりとかしたら
脳内で妄想竹がむくむく生えてきたのになあとか思う今日このごろ。

あまる #- | URL
2012/07/16 00:26 | edit

大江戸捜査網?

昔の獲りものドラマを思いだす場面であ~る。

身分制度や街並みも同じ感じだし。

国は違えど発展のしかたは同じなんだなって思いながら鑑賞してました。

いや~、奥深しドラマです~ヽ(^。^)ノ✿

ワタクシ、梅雨でどうも言語機能が錆びてるようです。

あまるさんとこ、雨大丈夫?

みずたま #- | URL
2012/07/15 16:59 | edit

あまるさん、オクセジャのために欲張りパックを解約する潔さ、好きです(爆!)
成均館→オクセジャと続けて視聴するとより一層魅力が増すわよーと思うのは私だけ??

この回はク・ヨンハ大活躍ですね。
さすが世情の裏表を知り尽くしている粋人、あなたがいなければ解決できなかったわー(ぱちぱち)
そして、コロたんを乗りこなせる(爆)のもあなただけ♪ベストカップルに選ばれたのわかるわー

ちびた #- | URL
2012/07/15 13:28 | edit

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://amaru0112.blog.fc2.com/tb.php/106-1d367167
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

2017-10
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。