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第八話 1 享官庁の秘密 

その頃。

───いない。

中二房の扉を開けたソンジュンは、真っ暗な室内に やっぱり、と小さく溜息をついた。
酒房に来た途端、帰ってしまったユンシク。明らかに様子が変だった。
ここへ戻る途中、ビョンチュンと殴り合いの喧嘩をしていたのを見た、と言う者もいた。
にわかには信じられなかったが、あのときのユンシクならあり得ることかもしれない。

弓の練習と、大射礼での優勝を通して、お互い、やっと友と呼べるようになったと思った。上手くは言えないが、ユンシクの勝利が決まったあの瞬間、お互いの間に、何か絆のようなものができた、そんな気がしたのだ。

酒など呑めもしないのに、祝勝会の席にわざわざ行ったのも、ユンシクと今日の勝利を祝いたかったからだ。
なのに、酒房の店先で、ユンシクがソンジュンに向けた目は、また元の───あの雨の中、科挙なんか受けても無駄だと、恵まれた人間に何がわかると突っぱねた、あのときの目と同じだった。

指先の方にまで巻かれていた包帯が痛々しかった。
だが、彼はソンジュンに言った。『関係ない』と。
その言葉に、ソンジュンは少なからず傷ついていた。

何かあったのかもしれない。そう思うと、いてもたってもいられなくなった。
ソンジュンは扉を閉めると、縁側を降り、ユンシクを探し始めた。

一方、こちらはヨンハである。
先程から、自室の中を行ったり来たりしながら、何やらぶつぶつと呟いている。

「……これは別に、女の裸が見たいというスケベ心じゃない。真偽を確かめたいという、学士の探求心だ」

そうとも、と閉じた扇子をぱしんと手に打ちつけ、彼はにたりと笑った。


成均館の北の外れ、享官庁〈ヒャンガンチョン〉。祭祀を執り行う祭官だけが入室を許されているその場所は、ありがちではあるが幽霊が出るという噂のせいもあって、普段から近づく者はほとんどいない。

夜な夜な、隠密活動を続ける紅壁書ことジェシンにとっては、好都合な隠れ家である。
血止めに使える煙草の葉が置いてあるのも、生傷の絶えない彼には有難いところだ。
その晩も、寝る前に包帯を取り替えようと享官庁へやってきたジェシンは、いつもは真っ暗なはずのそこの窓からぼんやりと明かりが漏れているのを見、眉を顰めた。

まさか、昼間の官軍が紅壁書の手掛かりを探すためにまだうろついているのだろうか。
ジェシンは足音をたてないように、そっと軒下まで近づくと、扉の隙間から中を伺った。

祭器の並べられた棚の向こうには湯桶があり、白い湯気が立ち上っている。
ゆらゆらと揺れる蝋燭の明かりの中。

彼はそこに、信じ難いものを見た。

手のひらに湯を受け、幸せそうに微笑んでいるのは、キム・ユンシク。幾筋もの髪が細い肩に濡れて貼りつき、複雑な模様を作っている。いつもとは違う何やら妖艶な雰囲気すら漂わせてはいるが、確かに彼だ。

だがその、薄明かりの中でも輝くばかりに白い肌と、魅惑的な丸みを帯びた胸元を見たとき───
ジェシンは一瞬、自分の頭が確実におかしくなったと思った。

あの矢には、神経を狂わせる毒でも塗ってあったのか。それとも、痛みのせいで幻覚を見ているのか。
ユンシクが、あの、テムルが女?そんな馬鹿な。

この男ばかりの成均館で、あり得ないことだった。いや、あってはならないことだった。
心臓が、早鐘のように打ち始める。自分は、決して見てはいけないものを見てしまったのだ。

扉に掛けていた手が震え、思わずぎゅっと握り締める。
視線を引き剥がし、扉に背中を預けた。それでも足から力が抜け、ずる、と地面にへたり込みそうになった。

「───ヒック」

唐突に出たしゃっくりに、ジェシンは思わず口を塞いだ。
そうか、と彼はやっと理解した。どうしてテムルを前にするとしゃっくりが出るのか不思議でならなかったが、彼が実は女であったのなら、この反応も合点がいく。

なんてこった。

テムルが女。
そしてその秘密を、自分は知ってしまった。おそらくは、まだ誰も知らない秘密を。

未だ力の入らない足をどうにか踏ん張り、ジェシンはよろよろと身体を起こした。
しゃっくりは止まらない。とにかく、ここから離れなければ。
真っ白な頭で考えることができたのは、それだけだった。

「───先輩」

突然、暗がりから声を掛けられ、ジェシンは彼らしくもなく ひっ、と小さく悲鳴を上げた。
そこにいたのは、ソンジュンだった。

「な、なん……何だ?」
「どうして、こんなところに?」
「おっ、お前こそ何してる」

あからさまに動揺しているジェシンを、ソンジュンは訝しげに見つめる。

「ひょっとして、キム・ユンシクを見ませんでしたか」
「キッ……」

心臓が、まさしく口から出てくるのではというほど飛び上がった。

「キム……キム・ユンシク、あいつが、どうした」
「姿が見えないんです」

ジェシンの全身が硬直する。こいつも、明かりのついている享官庁を不審に思って来たのだ。
そのまま行こうとするソンジュンの鼻先で、ジェシンはバンッ、と壁に手をついた。

「ここは享官庁だ。祭官しか入れない場所だぞ。あいつがいるわけないだろ!」
「……いや、それはどうかなぁ」

と言いつつ、物陰からふらりと姿を現したのはヨンハだった。

「な、なんで……」

お前までここに、と言おうとしたジェシンだが、驚きのあまり金魚のようにただ口をぱくぱくさせるだけである。ヨンハは、そんなジェシンを全く意に介さず、続けた。

「享官庁は祭官以外立ち入ることは許されない。もしテムルに、誰にも知られたくない秘密があるとしたら?ここは最高の場所じゃないか。違うか?」

ぽんぽん、と手にした扇子でジェシンの肩を叩き、未だ呆然と立ち尽くす彼の横をすり抜ける。

「ま、百聞は一見にしかずだ。見ればわかる。中にテムルがいるか、それともいないのか───」

そう言って扉に手を掛けようとした瞬間、ジェシンは弾かれたように身を翻し、ヨンハを突き飛ばした。

「よせ!」

扉を背に、必死の形相でそこに立ち塞がる。

「何をそんなに慌ててるんだ?」
「ば、バカ言うな。俺は何も……」

ふふん、と鼻で笑って、ヨンハはすくい上げるようにジェシンを見た。

「泮宮の暴れ馬がどうしたんだ?ブルブル震えて。まるでか弱いロバみたいじゃないか。───もしかして、人に見せたくないものでも隠してるのかな?」
「何のことだ」
「だから、私達には内緒で、一人で見ようって魂胆なのかな、と思ってね。どう思う?カラン」

ソンジュンは、そうなんですか?とでも問いたげにジェシンを見た。当のジェシンは扉の前に立ちはだかったまま、為す術もなくただ身体を強張らせるばかりである。

ヨンハはテムルを疑っている。あいつの秘密をどうにかして暴く気だ。
冗談じゃない。こいつらに、テムルのあんな姿を見られてたまるか。

「何とか言えよ、ん?」

扇子の先にジェシンの顎を乗せ、妙に底光りのする目で彼を見返す。その扇子をはたき落とし、ジェシンは意を決して背後の扉をバンバン、と殴りつけた。

「ここは享官庁なんだよ、享官庁!」

頼むからこの状況に気づいてくれ。中のユンシクに、そう祈るしかなかった。

「こんなとこにあるのは、香炉くらいのもんだ。わかったらとっとと失せろ。早く!」

力まかせに殴りつけた扉の内側で、バキッと嫌な音がした。それに、何かが床に落ちる、硬い音が続く。

げ……。

さーっ、とジェシンの顔から、血の気が引いた。強く叩きすぎたせいで、内側に掛けていた閂が外れたらしい。
僅かだが開いてしまった扉を、背中に隠しながら素早く閉じた。だが、ヨンハがそれを見逃すはずはない。
彼は にい、と片頬を上げて笑った。

「享官庁にあるのは香炉くらいのもんか……なるほど。確かにそうだ。てことは、扉の隙間から漏れてる明かりはきっと、祭礼で使った香炉に、まだ火が残ってたんだな。早く先生に知らせて、成均館の学生全員で、確認した方がいい。うん、そうしよう」
「はっ……?ま、待て、ちょっと待て!」

くるりと踵を返したヨンハを、ジェシンが顔色を変えて引き止める。ヨンハは「ほらね」と勝ち誇ったように言った。

「それより、私一人の方がまだマシだろう?」

こ、の、クソ野郎───!

ヨンハの手でいいように弄ばれているのに気づき、思わず心の中で口汚く罵るジェシンである。
こうなったら力づくで阻止するしかない。ジェシンは、口笛を吹きながら再び享官庁の扉に手を掛けようとしたヨンハの肩をむんずと掴み、そのまま引き倒した。

「でっ……!何すんだ、離せ!」
「うるせぇっ!」

ジェシンの妨害から逃れようとするヨンハを、抑えこむジェシン。二人とも必死である。地面に転がり、組んず解れつの攻防戦が始まった。
そんな先輩二人を、しばし呆然と見下ろしていたソンジュンだったが、ふと首を巡らし、享官庁の扉へと足を向けた。

待て老論!頼むから行くな!

ヨンハに組み敷かれながら、目の端でそれを捉えたジェシンが腕を伸ばし、ソンジュンの足を掴もうとするが、ヨンハに阻まれて届かない。じたばたと虚しく宙を掻く彼の手を他所に、ソンジュンはゆっくりと、その扉を開けた。






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2012/04/19 Thu. 09:45 [edit]

category: 第八話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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第八話 2 享官庁の秘密  

ソンジュンが享官庁の中に足を踏み入れるやいなや、ヨンハとジェシンも雪崩れ込むようにその後に続いた。

室内の明かりは既に落とされており、人の気配はなかった。ヨンハはソンジュンを押しのけ、空の湯桶に顔を突っ込んだり、鍵の掛かった戸棚をガタガタいわせたりと忙しく動き回ったが、どうやら何の収穫もなかったらしい。
怪訝な顔で、首を捻るばかりである。
ほっとしたのはジェシンだ。彼は室内にユンシクの痕跡がないことをひと通り確認すると、途端に余裕の表情でヨンハに訊ねた。

「何か見つけたか?」
「……幸い、火の気はないようですね」

憮然としているヨンハの代わりに、ソンジュンが答えた。
とりあえず危機は脱した。どっと疲れがやってきて、ジェシンは大きく伸びをした。

「気が済んだろ。とっとと戻れ。俺も、たまには就寝の点呼にでも出るかな」

と、一歩足を踏み出したときである。その足元に、ぽた、とひとしずくの水滴が落ちてきた。
ジェシンはぎくりとして、そのまま石のように動けなくなってしまった。


い…いる────!


どっと、全身から冷や汗が吹き出した。二滴、三滴と降ってくるそれは、ジェシンの頭上、つまりは、すぐ横の棚の上から落ちてきているものと思われた。
濡れそぼった髪のまま、息を詰めてそこに身を潜めているユンシクの気配を、はっきりと感じる。

「───待て」

ヨンハが、ゆっくりとこちらに歩み寄ってきた。
まさか気付かれたか、とジェシンは肝を冷やす。

「こんなことってあるか?確かにさっきまで明かりが漏れてたんだ」

どん、と拳で棚を殴りつける。びくっと肩を揺らすユンシクの気配がまともに伝わってきて、ジェシンは内心気が気ではない。

よせ、ヨンハ。なんだっていいからとにかくあっち行け。

必死で念を送っていると、突然、入り口の扉が開け放たれた。

「お前たち、何をしてる!」

そこに立っていたのは、ユ博士だった。背後に、書吏を一人引き連れている。よりによって教授陣の中で一番のうるさ型が今夜の見回り担当であるらしい。

「こんな時刻に、しかも享官庁で何をしてる。答えよ!」
「明かりが見えたので確認を」

答えたのはソンジュンだ。ユ博士が、眉間に皺を寄せる。

「明かり?」

確認するように中を伺う。特に異常がないことを見て取ると、ユ博士は言った。

「理由はなんであれ、神聖な建物に許可なく入るとはけしからん。全員減点5点だ」

ヨンハが「先生~」と情けない声を出したが、博士は「早く外へ出なさい」と取り付く島もない。
彼は大きく息を吐き出すと、腹いせのようにもう一度、ユンシクのいる棚を殴ってから、部屋を出ていった。
助かった、とヨンハとは別の種類の溜息をついたのはジェシンと───
そして恐らくは、棚の上に潜んでいる約一名。


「我らがテムルはまだ帰ってない……か」

東斎に揃って戻ってきたものの、中二房の障子は真っ暗なままだ。

「享官庁でもないなら、一体どこにいったんだ?成均館の中にいて、姿が見えなくなるなんてね……」

縁側に腰を下ろしたヨンハが、含みのある目でジェシンを見上げる。

「おかしいよな?コロ?」

ジェシンはそれには答えず、踏み石の上で無造作に靴を脱いだ。だがソンジュンは縁側には上がらず、踵を返す。

「何処へ行く?」
「捜してきます」
「待て!」

つい、声を上げてしまったジェシンは、ヨンハが薄く笑うのを横目に見てひやりとした。
そうだ。やたらと引き止めるのは不自然すぎる。
何気なく、自然に、いつもの俺らしく……って、一体どんなんだ?
それすらもわからなくなってきた。

「放っとけって。心配ない」
「しかし……」
「あいつだって子供じゃないんだぞ。だいたいお前は、あいつに構いすぎなんだ」

それでよく今までバレなかったもんだと内心感心する。いや、相手が頭の堅いこいつだからか?

ソンジュンはひとつ息をつくと、諦めたように中二房の前に引き返してきた。
お前もさっさと部屋に戻れ、とヨンハを促し、ジェシンはようやく、肩の荷を降ろした気分だった。


*   *   *


人の気配が完全に消えるのを待ってから、ユニはそっと享官庁の扉を開け、外を伺った。ユ博士が来てくれて助かった。あのままでは、とても心臓が持ちそうになかった。
周囲には誰もいない。ユニは手早く髷を結い、脱いだ服をまとめると、享官庁を出た。

彼女がそこを通りかかるのを待っていたのだろうか。東斎に戻る途中、ユニは、後ろ手を組み、庭先で一人じっと佇んでいるチョン博士の姿を見た。

「……先生」

博士はこちらに顔を向けると、顰めた眉のまま、深く息を吐き出した。
現れないことを願っていたが、やっぱり来たか。
そんな溜息だった。


「享官庁で騒ぎがあったそうだが、お前か?」

薬草の匂いの立ち込めるこの部屋で、博士の眉間の皺を見るのは何度目になるだろう。薬房で、ユニは胸に抱えた服をさらに押し潰すようにして、小さくなっていた。

「すみません」
「成均館での生活を、暇つぶしの遊びくらいに軽く考えているのか?」
「そんなことはありません、先生」

顔を上げたユニはそこに、じっと自分に注がれるチョン博士の目を見た。
何故だかはよくわからないが、この目は、以前にも見た気がする。成均館に来てからではなく、もっとずっと昔に。
もう、顔もはっきりと思い出せなくなってしまった父。
もしかしたら、こんな目をしていたのだろうか。
ふと、そんなことを思った。

「よく聞きなさい。この成均館でお前は、決して女であってはならないのだ。たとえ露見せずとも、警戒を怠ってはならん。成均館に残るからには、いついかなる時にも命がけで行動するのだ。危険な道を選んだのは、キム・ユニ、お前なのだから」

チョン博士の言葉の一つ一つが、ユニの心に重く響いた。秘密の露見は命にかかわる。自分だけじゃなく、それを知った周囲の者にも、危険は及ぶ。それはよくわかっているのに、心の何処かで思っていたのかもしれない。
いっそ気付いてくれたら、と。

ぞっとした。人を好きになる心は、なんて身勝手なんだろう。
その人を大切に思うなら、むしろ絶対に知られぬように注意を払うべきなのに。
自分が嫌になった。芙蓉花を妬んでいじけていた時よりも、ずっと酷い。

「───肝に銘じます、先生」






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2012/04/25 Wed. 10:11 [edit]

category: 第八話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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第八話 3 深夜の儒生たち 

一方その頃、中二房。

間にユンシクの布団をひとつ挟み、ジェシンとソンジュンは互いに背を向けて横になっている。
いつもの定位置だ。
だが今夜は二人共、それぞれに隣の空の布団の主のことを考え、全く寝付けずにいた。

ジェシンは思い出していた。
享官庁の扉の隙間、立ち昇る湯気の中。微笑んでいたテムルの顔。
ほっそりとした腕に、指を滑らせる仕草。濡れた髪。白い胸元。

ヤバい。何を考えてる。

頭に浮かんだ光景を振り払おうと、身震いするように頭を振った。

ソンジュンは思い出していた。
怪我をしていた手。巻かれた包帯のせいで、余計に小さく見えた。
関係ないだろ、とソンジュンの手を振り払った、冷たい声。責めるような、視線。

僕がいったい何をした?

肩越しに、隣に敷かれた布団を見つめる。ぽっかりと空いた空間。はたと、その向こうにいるジェシンと目が合った。
なんとなく気まずい空気が流れる。
ソンジュンは小さく咳払いをし、ジェシンは意味もなく枕を二、三度叩き、互いに再び背を向けた。

───ったく、いつになったら帰ってくるんだ。

胸の内でこぼした言葉は、二人とも同じだった。


ややあって。
微かな音とともに部屋の扉が開いた。
ソンジュンとジェシンはぴくりとも動かず、ユンシクの気配に耳をそばだてる。
二人が眠っていると思っているのだろう。殊更に音を立てないよう、服を棚にしまい、ユンシクはそろそろと真ん中の布団に潜り込んだ。

「ひっく」

夜のしじまに、ジェシンのしゃっくりが小さく響いた。
堪えようとするが、焦れば焦るほど、胸に飼っているイナゴは飛び上がることをやめない。
たまらず、枕を弾き飛ばすようにして中二房を飛び出した。

落ち着け。相手はテムルだ。今までと何も変わっちゃいない。

縁側の柱に手をつき、しゃっくりを止めようと深呼吸していると。

「───見たんだな」

いきなり声を掛けられて、ぎくりとする。首を巡らすと、隣の部屋の扉が僅かに開き、その隙間からヨンハの にんまりとした顔が覗いていた。
ヨンハはするりと部屋から出てくると、ジェシンの耳元で囁いた。

「さっき、享官庁で。だろ?」

ごくりと息を呑んだ。喉が、カラカラに乾いていた。



ジェシンが部屋を出ていった後、ソンジュンはユンシクに背を向けたまま、口を開いた。

「……今まで何をしてたんだ?」

口うるさい同室生だと思われようが、構いやしない。明日は、寄宿生が自宅に帰ることを許される、月に二度の帰宅日だ。朝から何かと慌ただしくなるだろう。今言っておかないと、うやむやになってしまう気がした。

「殴り合いの喧嘩もしたそうだな。いったいどういうつもりだ?点呼にも戻らず、コロ先輩の真似か?」

返事はない。まだ怒っているのだろうか。
半身を起こして振り返ったソンジュンはそこに、口を半開きにしたまま既に夢の中のユンシクを見た。

寝付きの早さは天下一品だな。

こっちは心配して、全然眠れなかったっていうのに。
ソンジュンはまた少し理不尽な思いを抱きながら、布団からはみ出ているユンシクの手を取り、中にしまってやった。
白い包帯が目に入る。
傷の具合は、どうだったのだろう。結局、訊けずじまいだった。

ムニャムニャと口を動かしながら、ユンシクがこちら側に寝返りを打った。その無防備な表情が妙に愛らしい。そして、鼻筋から口元、顎にかけての、繊細な稜線。剥いた卵のように、白く艶やかな頬───。
はっとした。同性の寝顔に思わず見入ってしまうなんて、一体どういう了見だ?

ソンジュンは頭を振ると、ユンシクに背を向けて布団に潜り込んだ。長い一日だった。大射礼での優勝が、最早何日も前の出来事のように思える。
目を瞑ると、流石に疲れていたのか、すぐに意識が遠のいていった。




ふわりと、背中に温かいものが触れるのを感じた。後ろから伸びてくる、か細く、しなやかな腕。
それはソンジュンを優しく掻き抱く。

誰だろう。

ソンジュンはその腕を取り、振り返る。
にっこりと微笑むその顔は、絶世の美女だ。何処かで見たような気もするし、初めて見るような気もする、顔。
豊かな飾り髪に、蝶のかんざしが揺れている。
ソンジュンは一目で、彼女に心を奪われてしまった。

───君は誰だ?

問いかけるが、彼女は美しい口元に笑みを浮かべるばかりで、答えない。
男なら誰もが吸い付きたくなるだろう、魅惑的な桃色の唇が、ソンジュンを誘う。
抱き締めようと腕を伸ばした。だがその身体は空気のように すっと、ソンジュンの腕をすり抜けてしまう。

天女───?

唐突に、そんな言葉が閃いた。彼女はそれを肯定するように、腕に絡ませた薄布をひらりと翻し、ソンジュンの頭上へゆっくりと舞い上がっていく。
彼女が腕を振る度、銀色の光の粒が、その輪郭からきらきらとこぼれ落ちた。その光景に、ソンジュンはただただ圧倒されるばかりだった。

なんてきれいなんだ。

追いかけることも忘れ、その場に跪きたいような感覚にかられる。

これは夢だ。
美しく、とても幸せな夢。

だがなぜか、無性にせつなかった。






**********************************************************
あまるですどうもこんにちわ。

あまる地方では桜も終わり、そろそろツツジが満開になる頃です。
博多周辺はどんたくやらあちこちで始まる陶器市やらで、一年で一番人が多くなる時期。
ゴールデンウィークのご予定はお決まりですか?

……すいません。ちょっとまったり日記ブログ風気取ってみたかっただけです。(爆)

というわけで(どんなわけだ)毎度お馴染み(^^ゞウソ注意報発令です。
今回はソンジュンの夢の部分。ぬふ。←スケベ笑い
ではまた~(逃げ)




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2012/04/26 Thu. 09:38 [edit]

category: 第八話

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第八話 4 深夜の儒生たち 

「キム・ユンシクは、女なんだろ?」

虫の音だけが響く夜更けの縁側。ジェシンの顔を覗き込み、ヨンハが密やかな声で訊ねる。

「何の話だ」
「とぼけるなよ。私はク・ヨンハだぞ。白粉の匂いだけで下着の色を当てる女林〈ヨリム〉、そしてお前とは十年来の友人」

ふん、とジェシンは鼻で笑った。

「ご立派なこった。それで?」
「しゃっくりだよ。お前は、しゃっくりに耐えられず外に出てきた。つまりこの部屋には女がいる。イ・ソンジュンは誰が見たって間違いなく男だ。となると答えはひとつ。テムル───キム・ユンシク」

ヨンハには確信があるのだ。何かしらの証拠があるわけではない。自分自身の勘と、観察眼がそう言っているに過ぎない。だがそれは、どんな物的証拠よりも彼自身が信頼しているものだった。

その眼とアタマ、もっと別のことに使えよ。

胸の内でそう呟きながら、コン、と手の甲でヨンハの頭を小突く。
もう寝ろ、と言って、ジェシンは立ち上がった。

「目ぇ開けたまま寝言言ってんじゃねぇよ。癖になるぞ」

中二房の扉に手を掛けると、背後からヨンハが歌うように言った。

「いつまで、女と一緒の部屋で我慢できるかな?」

知るか。

少なくともあいつは、単なる遊びだとか好奇心で、こんな男だらけの場所に飛び込んできたわけじゃないだろう。
それは、今までのあいつを見てりゃわかる。
大の男ですら逃げ出したくなるような状況でも、歯を食いしばって立っていた。そこにはきっと、理由があるはずだ。女のあいつが、男としてここにいなきゃならない理由が。
だったら、俺は───。

扉を開けた。
そこには、眠っているユンシクがいた。
伏せられた、長い睫毛。丸い頬と、小さな鼻。そして、この月明かりでもそうとわかる、淡い桃色の唇。

ダメだ。もう女にしか見えない。

というより、どうして今まで何の疑いも持たず男だと思い込んでいられたのか、そっちの方が不思議だった。
ヒクッ、とまた例のしゃっくりがジェシンを襲う。
はっとして、はだけていた服の衿を掻き合わせた。お世辞にも女の前でするべき格好ではないことに、今更ながら気付いたのだ。
いや待て。寝ている間にまたあられもない姿にならないとも限らない。念のため上に羽織るものを、と棚から薄物の快子〈ケジャ〉を引っ張りだした。
と、その拍子に、足元に何かがはらりと落ちた。拾い上げたそれは、一枚の手巾だった。そこに控えめに刺してある小花の刺繍を見てジェシンは思い出した。いつだったか、チンピラに絡まれていた娘を助けたときに、渡されたものだ。

『恩返しさせてください』

そう言って、差し出した。まだ怯えの残る指先が、微かに震えていた。
身なりは粗末だったが、言葉遣いや立ち居振る舞いで、両班の娘だということは何となくわかった。
印象的だった、秀でた額と白い肌。そして、真っ直ぐに相手を見つめる黒い瞳。

あっ、と思った。

初めてキム・ユンシクを見たとき、なんとなく何処かで見た顔だとは思ったのだ。結局思い出せずにそのまま忘れてしまっていたが、間違いない。ジェシンが助けた、あのときの娘だ。

俺に恩返しする気でこんなとこに潜り込んだのか?いやまさか。だがしかし……。

ただでさえ混乱していたのに、ますますわけがわからなくなってきた。
とにかく寝よう。考えても埒があかない、と横になろうとしたジェシンだったが、今度は、すぐ隣にユンシクがいると思うと、いつものごとく布団の上に無造作に寝転がることもできない。

くそぅ、いったいどうすりゃいいんだ。

考えた末、ジェシンは布団を捲り、夏場だというのにそれを蓑虫のように身体に巻きつけるという暴挙に出た。
止まらないしゃっくりは、口の中に手巾を丸めて突っ込み、やり過ごす。

く……苦しい。

が、ヨンハに怪しまれずにこの部屋で眠るためには仕方がない。
とはいっても、この状態で果たして眠れるのか?
ユンシクの寝相の悪さは相当なものだ。もし少しでもこっち側に来られたら、どうしたらいいんだ。
ふと、首を巡らせて背後のユンシクを見た。

ぽろりと、ジェシンの口から手巾がこぼれ落ちた。

先刻まで自分の寝床で真っ直ぐに寝ていたはずのユンシクが、いつの間にか向こうを向き、ソンジュンの背中にぴったりとくっついて、すやすやと寝息をたてている。

そんな衝撃的な光景が、そこにはあった。




そして一方、部屋に戻ったヨンハは。

「キム・ユンシクめ……上手く逃げたな」

横たわった夜具の上で天井を見つめ、一人呟いている。

「女の身で成均館に入学し、王と法を愚弄するとは……」

ふと、思った。
だがそれの、どこがいけない?
法で禁じられてはいるものの、別に人を殺したわけじゃない。
身分や家柄さえ金で買える世の中だ。性別を偽るくらい、なんだっていうんだ?

むくりと、起き上がった。
許せないのは、キム・ユンシクがこの自分まで騙そうとしていることだ。
女を知り尽くした稀代の遊び人、ヨリム。そう呼ばれるこのク・ヨンハ様を騙そうというのだ。あんな可愛い顔をして。
そんなことが許されるか?
いいや、たとえ王が許しても、それはあり得ない。

「コロさえいなきゃ、今日でカタがついたってのに」

悔しさに眠れぬまま、壁の向こうを忌々しげに見つめるヨンハだった。






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2012/05/01 Tue. 00:51 [edit]

category: 第八話

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第八話 5 帰宅日の朝  

斎直の叩く太鼓の音が、朝靄の中に響く。

「起寝〈キチム〉!起寝!起きてくださーい!」

朝か……。

まどろみの中にいたソンジュンは、腕の中に感じる心地良い温もりに、しばらく目を開けられずにいた。
起きなければいけないのはわかってる。でももう少し。
この手に戻ってきた、あの天女の余韻を感じていたい。
天女の温もりを。
天女の。
てん……

うっすらと瞼を開けたソンジュンが見たのは、自分の胸に丸くなって顔を埋めているジェシンの、ボサボサ頭だった。

がば、と身を起こした。
ぱちぱちと瞬きする。
なんだこれは。今度は悪夢を見てるのか?

人差し指で、恐る恐る、丸まった布団の上からジェシンをつついてみた。

「……先輩」

反応は無い。さらにつついた。

「先輩」
「失せろ!」

怒鳴り声と同時に、ジェシンが跳ね起きた。
起き抜けで状況が飲み込めないのは向こうも同じらしく、ぼうっとした目が間近でソンジュンを見返した。
互いに無言のまま見つめ合っていると。

「コロ先輩、どうしてそっちに?」

ジェシンの声で目を覚ましたらしいユンシクが、部屋の隅から声を掛けてきた。
途端、ジェシンは弾かれるようにソンジュンから離れた。

「服もちゃんと着て、布団までかぶって」

四つん這いで近寄ってきたユンシクをあからさまに避け、ジェシンは夜具の上でじりじりと後退る。

「ち、近寄るな」
「先輩?」

ユンシクが訝しげに眉を顰めた。

「瘧(おこり)……瘧にかかったらしい」
※マラリアのこと

瘧!?

ソンジュンは ぎょっとしてジェシンを見た。ユンシクはといえば「瘧ですか?」と怖いもの知らずにもジェシンの額に手を伸ばし、熱を診ようとする。びくりとしたジェシンはそれを避けて更に壁際へ飛び退った。

「ああ、だから、だから俺に近寄るな」

布団を胸元まで引っ張り上げ、部屋の隅っこでかたかたと身を震わせているジェシンの様子は、確かにただごとではない。

まさか僕はそんな重病人を、一晩中抱き締めて眠っていたのか?

急に気分が悪くなってきた。
ジェシンからそっと離れ、横を向いて密かに自分の額に手のひらを当ててみる。が、幸い熱はなく、ホッとするソンジュンだった。


*   *   *

その朝、厠へ行ったユニは、後から入ってきたヨンハと顔を合わせた。
間に低い衝立があるとはいえ、こんなところで誰かに会うとやはり落ち着かない。大あくびしているヨンハを横目に見ながら、ユニは手早く衣服を整え、個室を出た。

「昨夜は、ちゃんと風呂には入れたか?」

入り口近くの個室で用を足していたヨンハが、すれ違いざま、声を掛けてきた。
昨夜のことを思い出し、ユニは危ない危ない、と気を引き締めた。このしれっとした顔に気を許したら、こっちの命がいくつあっても足りなくなる。

「いいえ。先輩のお陰で大変でした」
「どうして。何かあったのか?享官庁で」

白々しい、と思いながらも、ユニは答えた。

「享官庁には行かなかったんです」
「行ってない?なんで?」
「先輩からあんな話を聞いた後ですよ。女の幽霊が、男が来るのを待ち構えてると思ったら、怖くていけませんよ」

なんせぼくはテムルですからね、と肩をそびやかす。

「だから先輩と一緒に行水でもしようと思ったのに、留守でしたね。ああ、先輩は享官庁には絶対に行っちゃダメですよ。だってそうでしょ?女の恨みといえば、先輩も相当なはずだもの」

ヨンハの顔色が変わった。

「ちょっと、ちょっと待て、テムル」

慌ただしく前を掻き合わせながら、ヨンハが個室から出てきた。ユニは素知らぬ顔で視線を逸らす。

「確かに昨夜、享官庁で明かりを見たんだ」
「享官庁へ行ったんですか?」

殊更に目を丸くして、ユニは言った。ヨンハがはっと口元を抑える。用を足した後だということも忘れているらしい。
ユニはヨンハを手招きした。長身を屈めたヨンハに近づき、彼がいつもやっているのを真似て、耳元で囁く。

「ほらね……幽霊が明かりを灯して、先輩を呼んだんですよ」

目を剥いたヨンハは、そのまま石のように固まった。顔から血の気が引いている。
その肩をぽんぽんと叩いて、ユニは言った。

「これに懲りて、女遊びはほどほどにしてくださいね。じゃ」

昨夜はヨンハのお陰で大変な目に合わされたのだ。これくらいの仕返しは許されるだろう。
厠を後にしながら、ユニはぺろりと舌を出した。


成均館には毎月8日と23日に、自宅に帰ることのできる帰宅日が設けられている。
だが、入館した最初の月は帰宅を許されないため、その日は新入生たちにとって入学以来初めての帰宅日となった。

休暇中といえど、成均館の学生であることに変わりはない。賭け事はもちろん、狩りや釣り等の殺生は一切禁止。
成均館に戻る際に、金品や贅沢品を持ち込むことも禁じられた。
朝から尊経閣がいつにも増して賑わっているのは、休暇明けに旬頭殿講〈スンドゥジョンガン〉が行われるためである。
王の面前で行われる試験で流石に不可は避けたい儒生たちが、自宅で勉強するための写本を手当たり次第に持ち去っているのだ。

「家に帰るぞー!」

妻子を残して寄宿舎生活をしているドヒョンを始め、私服に着替えた儒生たちの顔は皆生き生きと明るい。ユニももちろんその一人だ。久しぶりに母と弟の顔が見られると思うと心が弾んで、自然と顔が綻ぶのを抑えることができなかった。

「おいテムル、嬉しいのは家に帰ることか?この金か?正直に言ってみろ」

青い巾着袋をお手玉のように手の上で弾ませて、ドヒョンが言った。それは、休暇中の小遣いという名目で成均館の儒生全員に支給されるもので、中には、貧しいユニには目を瞠るほどの額の金子が入っていた。

「女房子供がいるわけでもなし。金に決まってんだろ」

ヘウォンがいつものごとく干菓子を片手に言うと、すかさずウタクが「子曰く……」と人差し指を立てる。その口にドヒョンが巾着袋を押し込んだので、後はふがふがとよく聞き取れなかった。
ひとしきり笑って、ユニは言った。

「ぼくはね、お金を持って家に帰れるのがすーっごく嬉しい」

こいつぅ、とドヒョンがユニを小突く。ヘウォンやウタクも次々と羽交い絞めしたりくすぐったりするので、ユニは笑いすぎてお腹が痛くなった。


そんなキム・ユンシクの姿を、東斎の縁側からじっと見つめる視線があった。
ジェシンである。

「あいつ……一体何者なんだ」

ドヒョンやヘウォンたちと無邪気に笑い合う姿は、そこらにいる儒生たちと何ら変わるところはない。
学堂にすら通えぬ女の身で、よくもこの成均館に入学できたものだと感心するが、ユンシクがああやって男たちに少しも違和感なく溶け込んでいることに、ジェシンは驚きを隠せない。
あれが本当に、チンピラに情けを請い、青白い顔で跪いていた娘と同一人物なのだろうか?
大した度胸してやがる、とジェシンは首を振った。あのときは、とてもそうは見えなかったのに。

縁側から腰を上げたジェシンの前を、ヨンハが塞いだ。いつもの彼らしくもなく、何やら切羽詰まった顔をしている。

「教えてくれ。昨夜、本当に、冗談抜きで、享官庁には誰もいなかったのか?」

またその話か、とジェシンは無視を決め込もうとするが、ヨンハは引き下がらない。必死の形相で、ジェシンの襟首を掴む。

「ちゃんと答えろって!」

目にうるさくかかる前髪を指先で払いのけ、ジェシンはヨンハをじろりと見遣った。

「しつこいんだよ。幽霊でも見たような顔しやがって」

ヨンハが絶句して、表情を強張らせる。襟元を掴むその手をひっぺがし、ジェシンはさっさと東斎を後にした。






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2012/05/09 Wed. 21:07 [edit]

category: 第八話

thread: 二次創作:小説 - janre: 小説・文学

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2017-08
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